雇用保険法 第36条
クイックジャンプ
- 技能習得手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合に、その公共職業訓練等を受ける期間について支給する。
- 2.寄宿手当は、受給資格者が、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その者により生計を維持されている同居の親族(婚姻の届出をしていないが、事実上その者と婚姻関係と同様の事情にある者を含む。第五十八条第二項において同じ。)と別居して寄宿する場合に、その寄宿する期間について支給する。
- 3.第三十二条第一項若しくは第二項又は第三十三条第一項の規定により基本手当を支給しないこととされる期間については、技能習得手当及び寄宿手当を支給しない。
- 4.技能習得手当及び寄宿手当の支給要件及び額は、厚生労働省令で定める。
- 5.第三十四条第一項及び第二項の規定は、技能習得手当及び寄宿手当について準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 雇用保険法第36条は、日本の雇用保険法に含まれる条文です。
- 雇用保険法第36条の条文原文は「技能習得手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合に、その公共職業訓練等を受ける期間について支給する。」で始まります。
- 雇用保険法第36条は第二款 技能習得手当及び寄宿手当に置かれています。
- 雇用保険法の公布日は昭和49年12月28日です。
- 雇用保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 雇用保険法第36条の前の条は雇用保険法第35条です。
- 雇用保険法第36条の次の条は雇用保険法第37条です。
- 雇用保険法第36条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第36条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116 - 本サイト収録
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第36条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/349AC0000000116/36
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点雇用保険法36条は、公共職業安定所長が指示した職業訓練を受ける期間に技能習得手当を、親族と別居して寄宿する期間に寄宿手当を支給すると定める。給付制限期間中は支給されない。
Q · 職業訓練を受けると、失業手当のほかに何がもらえるんですか?
訓練期間は受講手当・通所手当・寄宿手当が基本手当に上乗せされます
雇用保険法36条1項により、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間について技能習得手当(受講手当・通所手当)が支給されます。さらに、その訓練のため生計を維持する同居の親族と別居して寄宿する場合は、寄宿する期間について寄宿手当が支給されます(2項)。いずれも基本手当への上乗せ給付です。ただし32条の訓練拒否等または33条1項の離職理由による給付制限で基本手当が支給されない期間は、これらの手当も一切支給されません(3項)。支給要件と額は厚生労働省令で定められます(4項)。
解説
ハローワークで職業訓練のパンフレットを渡された人の多くは、授業料が無料になる制度だと理解して帰る。それは半分しか合っていない。36条が定める技能習得手当(受講手当と通所手当)と寄宿手当は、訓練を受けている期間、基本手当に上乗せされる現金給付である。だが本当の破壊力は3項の裏側にある。33条1項ただし書により、自己都合退職の給付制限期間中でも、公共職業安定所長の指示した訓練を受け始めればその日から基本手当が動き出す。訓練は、止まっていた給付の栓を抜く鍵でもある。ただし条件が一つ。実務では窓口の扱いが受講指示か受講推薦かで、技能習得手当が出るか出ないかが分かれる。あなたが窓口で確認すべきはコース名ではなく、その一語だ。
法的な位置づけ
雇用保険法36条は、求職者給付のうち技能習得手当および寄宿手当の支給事由を定める規定である。技能習得手当は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間について、寄宿手当はその訓練のため生計を維持されている同居の親族と別居して寄宿する期間について支給される。いずれも基本手当への上乗せ給付であり、給付制限により基本手当が支給されない期間には支給されない。
手順
- 1.離職票提出と同時に訓練コース一覧を入手する ハローワークで離職票を提出したその足で、公共職業訓練のコース一覧、各コースの申込締切日と開講日を入手する。開講は年に数回、申込締切は開始日の1、2か月前であるため、待っていると1期分が丸ごと消える
- 2.支給残日数から訓練開始日を逆算する 窓口で基本手当の支給残日数と受給期間の満了日を確認し、志望コースの開講日に残日数があるかを逆算する。開始日に残日数があれば24条の訓練延長給付が付き、使い切ってから開始すると延長は付かない
- 3.「受講指示が出るか」を明示的に確認する 相談時にコース内容より先に「このコースで受講指示は出ますか」と確認する。36条は「公共職業安定所長の指示した」訓練を要件とし、受講推薦の扱いだと技能習得手当や訓練延長給付の対象外とされるのが実務の一般的な取扱いである
- 4.寄宿を伴うなら生計維持と別居の立証書類を先に揃える 36条2項は「その者により生計を維持されている同居の親族と別居して寄宿する場合」を要件とする。単身者が寮に入っても対象外。事実婚なら住民票の続柄(妻(未届)等)が根拠資料になるため、申込前に揃える
- 5.受講開始後は出席と受講証明書の提出を落とさない 受講手当は出席した日についてのみ支給される。欠席が続けば訓練の指示自体が取り消され、基本手当と訓練延長給付まで止まる。事前届出のある欠席と無断欠席は扱いが別になるため、休むときは必ず事前に届け出る
よくある質問 AI による整理
Q1技能習得手当とは何ですか?
受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間について支給される、基本手当への上乗せ給付です(雇用保険法36条1項)。受講手当と通所手当から構成されます。
Q2寄宿手当はいつからいつまで出ますか?
指示された訓練を受けるために、生計を維持されている同居の親族と別居して寄宿する期間について支給されます(36条2項)。別居・寄宿が終われば支給も終わります。
Q3職業訓練中に基本手当は止まりますか?
止まりません。訓練期間中も基本手当は支給され、そこに技能習得手当が上乗せされます。むしろ33条1項ただし書により、給付制限中でも訓練開始日から基本手当が動き出します。
Q4訓練延長給付とは何ですか?
指示された訓練を受ける期間、所定給付日数を超えて基本手当を延長する制度です(雇用保険法24条)。訓練開始日に支給残日数が残っていることが前提になります。
Q5事実婚のパートナーでも寄宿手当の対象になりますか?
なります。36条2項の括弧書きが、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を同居の親族に含めています。生計維持と同居の事実が要件です。
Q6技能習得手当が支給されないのはどんなときですか?
32条1項・2項の訓練拒否等、または33条1項の離職理由による給付制限で基本手当が支給されない期間は、技能習得手当も寄宿手当も支給されません(36条3項)。
Q7不正受給がバレたらどうなりますか?
36条5項が準用する34条により技能習得手当・寄宿手当も支給停止となり、さらに10条の4で受給額の返還に加えて最大2倍額の納付を命じられうる扱いです。
Q8手当の支給決定に不服がある場合はどうしますか?
雇用保険審査官への審査請求ができます。期間は処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(同法69条)。給付を受ける権利自体の消滅時効は2年(同法74条)です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1訓練を受けると失業手当っていくら増えるんですか?
基本手当に上乗せされるのは受講手当(訓練を受けた日について1日500円、上限40日分)と通所手当(交通費相当、月額に上限あり)、寄宿する場合の寄宿手当です。額は36条4項の委任で雇用保険法施行規則が定めており、改正で動きます(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:受講手当は出席した日についてしか出ません。就職面接や体調不良で休んだ日は、基本手当は出るのに受講手当だけ落ちる。月末の受講証明書で初めて気付く人が多い
Q2自己都合で辞めたので給付制限中です。今から訓練に申し込む意味ありますか?
あります。33条1項ただし書により、公共職業安定所長の指示した訓練を受ける期間は給付制限が適用されず、訓練開始日から基本手当が出ます。なお2025年4月施行の改正で自己都合離職の給付制限は原則1か月に短縮されています(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:効くのは訓練開始日からで、申込日でも選考合格日でもない。締切は開始日の1、2か月前なので、動き出す週が1週ずれるだけで開講が1期先送りになる
Q3窓口で「受講推薦」と言われました。指示と何が違うんですか?
36条が要求しているのは「公共職業安定所長の指示した」公共職業訓練等です。実務上、受講の扱いには受講指示・受講推薦・支援指示の区分があり、受講推薦の場合は基本手当は受けられても技能習得手当や訓練延長給付の対象外とされる扱いが一般的です(この区分は法律ではなく行政運用で、取扱いに幅があります)。実務のポイント:区分は残りの支給日数や訓練の必要性で決まるため、申込前に指示が出る条件を確認しておくと、同じコースでも手取りが数万円変わる
Q4訓練を休みがちだと、手当だけが止まるんですか?
受講手当が出ないだけでは済みません。欠席が続いて受講の意思なしと判断されれば訓練の指示自体が取り消され、以後の基本手当や訓練延長給付も止まります。虚偽の受講証明で受給した場合は5項が準用する34条の給付制限に加え、10条の4により返還と最大2倍額の納付を命じられます。実務のポイント:出席率のボーダーは訓練実施機関の運用で、8割を切ると面談が入るのが通例。事前に届け出た欠席と無断欠席では扱いが別になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「職業訓練の手当はいくらもらえるのか」という問いの立て方自体がずれている。36条の手当は上乗せ分にすぎず、生活を支えているのは基本手当の方だ。判断すべきは手当の額ではなく、訓練を受けることで基本手当がいつから出るようになり、いつまで延びるかである。問いを立て直した瞬間に、選ぶコースも申込のタイミングも変わる
- 給付制限中でも訓練を受ければ手当が出る、ここまでは知っている人が多い。知られていないのは3項の逆側で、32条の訓練拒否や33条の給付制限が発動している期間は、技能習得手当も寄宿手当も同時に止まるという点。基本手当だけが止まって手当は出ると考えていると、訓練期間中の資金繰りが丸ごと狂う
- 寄宿手当は遠方の訓練に通う人なら誰でも出ると思われがちだが、条文が要求しているのは「その者により生計を維持されている同居の親族と別居して寄宿する場合」である。一人暮らしの単身者が寮に入っても対象外だ。逆に、婚姻の届出をしていない事実上の配偶者と暮らしていた人は、2項の括弧書きで正面から対象に入る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 給付の性質 | 36条:訓練期間中の上乗せ給付(技能習得手当・寄宿手当) | 24条:訓練期間中の基本手当の給付日数を延長(訓練延長給付) 33条:離職理由による基本手当の支給停止(給付制限) |
| 訓練との関係 | 指示された訓練を受ける期間について支給 | 指示された訓練を受ける期間、所定給付日数を超えて延長 指示された訓練を受け始めれば制限が解除される(1項ただし書) |
| 前提条件 | 公共職業安定所長の指示+(寄宿手当は)生計維持親族との別居寄宿 | 訓練開始日に支給残日数が残っていること 自己都合退職等の離職理由に該当すること |
| 止まる条件 | 32条・33条1項で基本手当が止まる期間は同時に停止(3項) | 訓練の指示取消し・受講の意思なしと判断された場合 訓練開始日から制限が適用されなくなる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は日本の「基本手当+上乗せ手当」という二層構造をとらず、訓練期間中は平均月投保薪資に対する一定割合の職業訓練生活津貼を支給する一本化型。上乗せではなく置換に近い設計で、日本の技能習得手当のような日額の出席連動給付は持たない
韓国は日本法を強く参照しており、訓練受講中の職業能力開発手当と訓練延長給付という組み合わせが日本の36条・24条とほぼ対応する。ただし寄宿手当に相当する給付の位置づけは日本と異なる
ドイツは訓練費用(受講料・交通費・宿泊費・子の保育費)を Weiterbildungskosten として実費補填する構成をとり、日本のような定額の日額手当ではない。訓練中の生活保障は失業給付の継続支給で行う
米国は連邦統一の訓練手当を持たず、州の失業保険で approved training 中の求職活動要件を免除する仕組みが中心。貿易自由化による失業に限って連邦の TRA が延長給付を出すという、対象を限定した設計
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし給付制限の期間中に訓練を申し込んだら、制限は途中で消えるのか? 消える。ただし効くのは訓練開始日からで、申込日には遡らない。開講は年に数回、申込締切は開始日の1、2か月前。制限が明けるのを黙って待っているうちに、取れたはずの分が静かに消えていく
- 訓練に週2回顔を出さず日雇いのアルバイトに行き、受講証明書だけは出席扱いで通していた。発覚すれば5項が準用する34条で技能習得手当も止まり、10条の4により受給額の返還に加えて最大2倍額の納付を命じられうる。訓練施設の出席簿は、あなたが思っているより正確に給付とつながっている
- 夫婦2人暮らし。片方が訓練のため他県の施設に半年寄宿する。家賃と光熱費が二重になるこの形こそ、2項の寄宿手当が想定した場面だ
- 友人が「職業訓練を受けると月10万円もらえるらしい」と相談してきた。それは雇用保険を受けられない人向けの求職者支援制度の話で、受給資格のある友人には適用されない。友人が受け取るのは基本手当+受講手当+通所手当という別の組み合わせで、収入要件も金額の出方もまったく違う
- 安定所から紹介された訓練を「希望する分野と違う」と断った。32条の給付制限が発動すれば、その期間は基本手当だけでなく技能習得手当も寄宿手当も同時に止まる(3項)。断る自由はあるが、断り方に正当な理由があったかは後から審査される
取るべき行動
被害を受けた側:1. 離職票を提出したその足で、訓練コース一覧と各コースの申込締切・開講日を入手する2. 窓口で基本手当の支給残日数を確認し、開講日に残日数があるか逆算する3. 相談時に「このコースで受講指示は出ますか」と明示的に確認し、出ない場合の条件も聞く4. 寄宿を伴うなら、生計を維持している同居親族がいることを示す書類(住民票、健康保険証など)を先に揃える5. 受講開始後は毎月の受講証明書の提出と認定日を落とさない
訴えられた側:1. 支給されない理由が3項の給付制限(32条・33条)なのか、出席不足なのか、そもそも受講指示がなかったのかを文書で確認する2. 訓練拒否が理由なら、拒否に正当な理由(傷病、家族の介護、通所困難)があったことを診断書や記録で示す3. 不正受給を疑われている場合、故意でない申告漏れであることを裏付ける資料を早期に提出する。自主的な申告は納付命令の判断で考慮されうる4. 処分に納得できなければ雇用保険審査官への審査請求へ進む
時効(請求できる期限):技能習得手当・寄宿手当は基本手当と同じ受給期間(原則、離職の日の翌日から1年、雇用保険法20条)の枠内でしか出ない。訓練開始日に受給期間と支給残日数が残っていることが前提になる。給付を受ける権利自体の消滅時効は2年(同法74条)。支給しない処分に不服がある場合の審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(同法69条)
学説
通説的理解:36条の技能習得手当・寄宿手当は基本手当に付随する上乗せ給付であり、独立の受給権ではないと解される。3項が給付制限期間中の不支給を明示するのは、この付随性を確認するとともに、給付制限の実効性が上乗せ給付によって空洞化することを防ぐ趣旨と理解されている。
実務上の争点:36条の「公共職業安定所長の指示した」の解釈をめぐり、受講指示・受講推薦・支援指示という行政運用上の区分が手当の支給可否を事実上決めている。区分の基準は法律ではなく通達・運用に委ねられており、取扱いに幅があることが実務上の主要な不透明要素とされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和22年(1947年) 前身法:失業保険法が制定され、失業時の所得保障が導入される。職業訓練期間中の給付は限定的で、訓練と給付の接続は制度化されていなかった
- 2.昭和49年(1974年) 新設:雇用保険法(昭和49年法律第116号)制定に伴い、失業保険法を全面的に改組。求職者給付の一類型として技能習得手当・寄宿手当を明文化し、給付を職業訓練へ接続する設計を採用した
- 雇用保険法 第24条訓練延長給付、訓練期間中の給付日数延長
- 雇用保険法 第32条訓練拒否等による給付制限、3項の参照先
- 雇用保険法 第33条離職理由による給付制限と訓練受講による解除
- 雇用保険法 第34条不正受給による給付制限、5項が準用
- 雇用保険法 第10条求職者給付の種類、技能習得手当の体系的位置
- 職業能力開発促進法 第15条の7公共職業訓練の実施主体を定める(現行効力を要確認)
- 職業訓練の実施等による求職者の就職の支援に関する法律 第7条受給資格のない求職者への訓練受講給付金(現行効力を要確認)
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める