要点雇用保険法 37 条の 6 は、特例高年齢被保険者の給付を調整する規定。育児・介護の休業給付は全事業で休業した場合のみ支給され、1 社離職時の高年齢求職者給付金は離職先の賃金のみで算定される。
Q · 2 社掛け持ちで 1 社だけ辞めたら、雇用保険の給付はもらえるの?
もらえる。ただし額は辞めた会社の賃金だけで計算される
雇用保険法 37 条の 6 第 2 項により、37 条の 5 の申出で特例高年齢被保険者となった人が 2 社のうち 1 社を離職した場合、もう 1 社で働き続けていても高年齢求職者給付金を請求できます。ただし賃金日額の算定は「離職した適用事業において支払われた賃金」に限られ、2 社の合算額ではありません。また同条 1 項により、育児休業給付・介護休業給付は全ての適用事業で休業しなければ支給されず、片方だけの休業は減額ではなく不支給となります。
「とあるのは」「とする」だけで埋め尽くされたこの条文は、法律書でも飛ばされる部類に入る。だがここには、65 歳以上で 2 社を掛け持ちする人だけに開いた扉と、その扉に仕掛けられた落とし穴が同時に書かれている。65 歳以上で、週 5 時間以上 20 時間未満の仕事を 2 つ持ち、合計が週 20 時間以上になる人は、本人がハローワークに申し出れば雇用保険に入れる(37 条の 5)。そして 2 社のうち 1 社を辞めれば、もう 1 社で働き続けていても高年齢求職者給付金を請求できる。ここまでが扉だ。落とし穴は 2 つ。第一に、給付額の計算に使う賃金は「離職した会社で支払われた賃金」だけに限られる。合算した収入ではない。第二に、育児休業給付や介護休業給付は「全ての適用事業において」休業しないと 1 円も出ない。片方だけ休んで介護に入った人が、給付ゼロを窓口で知らされる。この 2 行の読替を先に知っているかどうかで、あなたの手取りは十数万円単位で変わる。
雇用保険法 37 条の 6 は、同法 37 条の 5 の申出により高年齢被保険者となった複数就業者に対する失業等給付の適用を調整する読替規定である。1 項は育児・介護に関する休業給付について全ての適用事業における休業を要求し、2 項はいずれか一の適用事業を離職した場合の高年齢求職者給付金の算定基礎を、離職した事業所で支払われた賃金に限定する。
65 歳以上で 2 つの事業所を掛け持ちし、本人がハローワークに申し出て雇用保険の被保険者となった人です(雇用保険法 37 条の 5)。通常は 1 社ごとに週 20 時間以上が必要ですが、この特例は 2 社の合算で判定します。
65 歳以上であること、2 つの事業所の週の所定労働時間が合計 20 時間以上、各事業所で 5 時間以上 20 時間未満、それぞれ 31 日以上の雇用見込みがあることです。加えて本人からの申出が必要になります。
被保険者期間 1 年未満なら基本手当日額の 30 日分、1 年以上なら 50 日分の一時金です。特例で加入した人が 1 社を離職した場合、算定の基礎は離職した会社の賃金に限られます(37 条の 6 第 2 項)。
勤務先の会社ではなく、本人の住所地を管轄するハローワークです。会社は雇用の事実と賃金を証明する立場であり、制度を使えるかどうかを決める権限は持っていません。
3 つ以上の事業所で働いていても、申出の対象にできるのは 2 つの事業所です。どの 2 社を組み合わせるかは本人が選びます。組み合わせ次第で離職時の給付額も変わります。
できません。37 条の 5 の特例は 65 歳以上に限られます。64 歳以下は各事業所ごとに週 20 時間以上・31 日以上の雇用見込みという原則要件を、単独で満たす必要があります。
対象となる 2 社それぞれで、労働者本人と事業主が保険料を負担します。65 歳以上の労働者に対する保険料免除は令和 2 年 3 月末で廃止されており、現在は徴収されます。
申出に伴う雇用の事実・賃金の証明、保険料の事業主負担、離職時の離職証明書の作成です。要件を満たす申出について、事業主側に可否を決める裁量はありません。
受けられる。本条 2 項が、いずれか一の適用事業を離職した場合について 37 条の 4(高年齢求職者給付金)の額の計算を読み替える形で、この場面を正面から想定している。ただし額は離職した会社の賃金のみで算定される。業界裏話ヒント:一般の基本手当は完全な失業状態が前提なので、働きながら受給できるこの構造は例外中の例外。社会保険労務士でも高齢者分野を扱っていない人は把握していないことがある
出ない。本条 1 項が 61 条の 4 などについて「をした場合」を「を全ての適用事業においてした場合」と読み替えるため、片方だけの休業は支給要件を満たさない。減額ではなく不支給である。業界裏話ヒント:逆に言えば、2 社の休業を同じ時期に設定できれば支給対象になる。介護の相談を受けた窓口が休業日程の調整まで助言してくれることは稀なので、自分から両社に切り出す必要がある
さかのぼらない。特例高年齢被保険者の資格は申出(37 条の 5)を行った日に取得するもので、過去の勤務期間は被保険者期間に算入されない。給付には原則として離職前 1 年間に 6 か月の被保険者期間が要る。業界裏話ヒント:退職の相談を受けた社会保険労務士が最初に確認するのが申出日である。辞めると決めてから駆け込む人と、半年前に申し出ていた人とで、同じ働き方でも受給の可否が真っ二つに分かれる
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