雇用保険法 第60条(給付制限)
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- 偽りその他不正の行為により求職者給付又は就職促進給付の支給を受け、又は受けようとした者には、これらの給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、就職促進給付を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、就職促進給付の全部又は一部を支給することができる。
- 2.前項に規定する者が同項に規定する日以後新たに受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格を取得した場合には、同項の規定にかかわらず、その受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格に基づく就職促進給付を支給する。
- 3.第一項に規定する者であつて、第五十二条第三項(第五十五条第四項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定により日雇労働求職者給付金の支給を受けることができない者とされたものが、その支給を受けることができない期間を経過した後において、日雇受給資格者である場合又は日雇受給資格者となつた場合には、第一項の規定にかかわらず、その日雇受給資格者たる資格に基づく就職促進給付を支給する。
- 4.第一項に規定する者(第五十二条第三項の規定により日雇労働求職者給付金の支給を受けることができない者とされている者を除く。)が新たに日雇受給資格者となつた場合には、第一項の規定にかかわらず、その日雇受給資格者たる資格に基づく就職促進給付を支給する。
- 5.受給資格者が第一項の規定により就職促進給付を支給されないこととされたため、当該受給資格に基づく就業促進手当の全部又は一部の支給を受けることができなくなつたときは、第五十六条の三第四項の規定の適用については、その全部又は一部の支給を受けることができないこととされた就業促進手当の支給があつたものとみなす。
この条文の基本情報
給付制限とは何ですか?
定義給付制限とは、雇用保険法第60条に定められた規定で、「偽りその他不正の行為により求職者給付又は就職促進給付の支給を受け、又は受けようとした者には、これらの給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、就職促進給付を支…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 雇用保険法第60条(給付制限)は、日本の雇用保険法に含まれる条文です。
- 雇用保険法第60条の条文原文は「偽りその他不正の行為により求職者給付又は就職促進給付の支給を受け、又は受けようとした者には、これらの給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、就職促進給付を支…」で始まります。
- 雇用保険法第60条は第五節 就職促進給付に置かれています。
- 雇用保険法の公布日は昭和49年12月28日です。
- 雇用保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 雇用保険法第60条の前の条は雇用保険法第59条です。
- 雇用保険法第60条の次の条は雇用保険法第60条の2です。
- 雇用保険法第60条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第60条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116 - 本サイト収録
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第60条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/349AC0000000116/60
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点雇用保険法60条は、不正の行為で給付を受け、又は受けようとした者に、その日以後の就職促進給付を支給しないと定める。新たに受給資格を取得すればその資格に基づく給付は復活する。
Q · 失業保険で不正受給を認定されたら、再就職手当はもうもらえないんですか?
その受給資格では出ません。新たな受給資格を取れば復活します
雇用保険法60条1項により、偽りその他不正の行為で給付を受け、又は受けようとした者には、その日以後、就職促進給付(再就職手当・就業促進定着手当・移転費など)が支給されません。ただし同項ただし書は、やむを得ない理由がある場合の全部又は一部の支給を認めています。さらに2項により、その日以後に新たに受給資格、高年齢受給資格又は特例受給資格を取得した場合には、その資格に基づく就職促進給付が支給されます。制限は人に永久に貼られるのではなく、その時の受給資格に紐づいています。
解説
失業給付の受給中に単発のバイトを一日だけした。失業認定申告書の就労欄に印を付け忘れた。ハローワークがそれを「偽りその他不正の行為」と認定した瞬間、雇用保険法60条1項が起動する。効果は「その日以後、就職促進給付を支給しない」。再就職が決まっても再就職手当は一円も出ず、引っ越しのための移転費も出ない。多くの人が見落とすのは5項だ。もらえなかったはずの就業促進手当が、56条の3第4項の適用上「支給があったものとみなす」とされ、基本手当の支給残日数はきっちり削られる。払われないのに、消費はされる。ただし1項にはただし書きがあり、2項から4項には出口が彫ってある。新たに受給資格を取得すれば、その資格に基づく就職促進給付は復活する。一生の烙印ではない。どこが締まり、どこが開いているのかを正確に読める人だけが、窓口で次の一手を打てる。
法的な位置づけ
雇用保険法60条は、就職促進給付の給付制限を定める規定である。偽りその他不正の行為により求職者給付又は就職促進給付の支給を受け、又は受けようとした者は、その日以後、就職促進給付の支給を受けられない。ただし、やむを得ない理由がある場合の裁量支給、新たな受給資格の取得、日雇受給資格の取得による給付の復活が、同条1項ただし書から4項に併せて規定されている。
よくある質問 AI による整理
Q1就職促進給付とは何ですか?
早期の再就職を後押しする給付の総称です。再就職手当、就業促進定着手当、就業手当などの就業促進手当のほか、移転費、求職活動支援費が含まれます。雇用保険法60条の制限はこの給付全体にかかります。
Q2不正受給の給付制限はいつまで続きますか?
60条1項の効果は「支給を受け、又は受けようとした日以後」に生じ、原則としてその受給資格に基づく給付が終わるまで続きます。新たな受給資格を取得すれば2項により復活します。
Q3一円も受け取っていない未遂でも給付制限されますか?
されえます。60条1項は「支給を受け」だけでなく「受けようとした」場合も対象にしています。受給に至らなくても、申告書に虚偽を記載した時点で制限の起算点が生じます。
Q4日雇労働者でも就職促進給付は復活しますか?
します。52条3項で日雇労働求職者給付金を受けられない期間が明けた後に日雇受給資格者であれば、60条3項によりその資格に基づく就職促進給付が支給されます。4項も同趣旨です。
Q5不正受給で会社も責任を負いますか?
負う場合があります。事業主が偽りの届出・報告・証明をしたときは、雇用保険法10条の4第2項により受給者と連帯して返還と納付の責任を負うとされています。
Q6給付制限の処分に不服がある場合はどうすればいいですか?
雇用保険審査官に対する審査請求ができます(雇用保険法69条)。期間制限があるため、通知書の受領日を記録し、日数を数えたうえで手続きしてください。
Q7不正受給の返還請求に時効はありますか?
雇用保険法74条が給付の返還を受ける権利について時効を定めており、現行は2年とされています。最新の改正状況は e-Gov 法令検索でご確認ください。
Q8不正受給は詐欺罪になりますか?
悪質な事案では刑法246条の詐欺罪が併存しえます。返還命令・納付命令という行政上の措置と刑事責任は別建てで、行政手続で返還しても刑事責任が自動的に消えるわけではありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1バイト一日、申告し忘れただけでも不正受給になるんですか?
なりえます。60条1項の「偽りその他不正の行為」は金額の大小ではなく、申告義務に反したかどうかで判断されます。ただし実務では単純な記載漏れと意図的な隠蔽は区別され、前者は減額修正で済むことがあります。実務のポイント:この線引きは法令ではなく、厚生労働省の「雇用保険に関する業務取扱要領」という内部の取扱基準に書かれています。窓口で「要領のどの取扱いに基づく判断か」と聞ける人と聞けない人では、同じ事案でも着地が変わる
Q2返還のほかに2倍の納付って、必ず取られるんですか?
必ずではありません。雇用保険法10条の4は「二倍に相当する額以下の金額の納付を命ずることができる」と定めており、悪質性、自主申告の有無、金額を見た裁量判断です。近年は延滞金の規定も整備されています(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:調査の呼び出しより前に自ら申し出た事案では、納付命令まで進まない扱いがあります。呼び出しの日付と自分から申し出た日付、どちらが先かが記録上の分かれ目になる
Q3制限中に再就職したら、再就職手当は本当に一円も出ないんですか?
その受給資格に基づく就職促進給付は支給されません(60条1項)。例外は「やむを得ない理由がある場合」のただし書きと、新たな受給資格を取得した場合の2項です。さらに5項により、支給されなかった就業促進手当は56条の3第4項の適用上「支給があったものとみなす」とされ、基本手当の残日数は消費されます。実務のポイント:この5項を説明されないまま制限期間を過ごし、後で残日数の少なさに驚く人が多い。制限が決まった時点で残日数の計算根拠を書面で出させておく
間違えやすい点 AI による整理
- 不正受給をすれば返還がある、そこまでは多くの人が知っている。知られていないのは深刻度の方だ。返還だけでは終わらず、受給額の2倍以下の納付が上乗せされうる(雇用保険法10条の4)。合計で最大3倍。そこに60条の給付制限が重なり、悪質なら詐欺罪(刑法246条)が並走する。三段重ねだと分かって初めて、最初の呼び出しに一人で行くことの重さが理解できる
- 「バレたらいくら返すのか」という問いの立て方が、そもそもずれている。60条1項が動くのは「支給を受け」た場合だけでなく「受けようとした」場合も含む。つまり一円も受け取っていない未遂の段階で給付制限は発動しうる。問うべきは金額ではなく、どの日を起算日として制限がかかるかである
- 一度不正受給をしたら二度と雇用保険は使えない、と思われがちだが、2項は逆を書いている。新たに受給資格、高年齢受給資格、特例受給資格を取得すれば、その資格に基づく就職促進給付は支給される。制限は人に貼られるのではなく、その時の受給資格に紐づいている。ただし返還と納付の債務そのものは、資格が変わっても消えない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制限される給付 | 60条:就職促進給付(再就職手当・就業促進手当・移転費等) | 34条:基本手当その他の求職者給付 52条3項:日雇労働求職者給付金 |
| 適用対象者 | 不正の行為で求職者給付又は就職促進給付を受け、又は受けようとした者 | 不正の行為で失業等給付を受け、又は受けようとした受給資格者 不正の行為で日雇労働求職者給付金を受け、又は受けようとした者 |
| 復活・例外の道 | 1項ただし書のやむを得ない理由/2項の新受給資格/3項・4項の日雇受給資格 | やむを得ない理由がある場合の全部又は一部の支給 支給を受けられない期間の経過 |
| 併存する金銭的措置 | 10条の4の返還命令+受給額2倍以下の納付命令(合計最大3倍) | 同左(10条の4は失業等給付全体に及ぶ) 同左 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も不正受給について追還に加え受給額2倍の過料を定め、返還と制裁金の二段構えである点で日本の10条の4と近い。ただし就職促進給付に相当する給付の停止を独立条文で規定する構造にはなっていない。
韓国も不正行為による給付の支給制限を規定し、返還命令と追加徴収を別条で置く。制限の効果を資格単位で捉える点は日本と共通する。
ドイツは不正受給を給付決定の職権取消しと返還請求として処理し、日本の60条のような「以後の別種給付を止める」独立制裁は置かない。支給停止は帰責事由に基づく Sperrzeit として別建てである。
米国は連邦の枠組みのもとで各州が不正受給による受給資格剥奪と加算ペナルティを定める。州ごとに制限週数や加算率が異なり、全国一律の条文は存在しない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 失業認定申告書の「就労した日」欄を空欄のまま出した。実際には知人の引っ越しを手伝って日当をもらっていた。三か月後、ハローワークから「事実確認のため来所してください」と電話が来る。この呼び出しは雑談ではなく調査の入口で、そこで何をどう答えるかが、単なる減額修正で終わるか60条の給付制限に進むかを分ける
- もし、再就職の内定が出た翌週に不正受給を認定されたらどうなる? 再就職手当は60条1項で支給されない。それでいて基本手当の残日数は5項によって消費済み扱いになる。就職先がもし試用期間で切れたとき、受け皿が両側から抜け落ちている
- 開業届を出した日を申告していなかった。自分では「まだ仕事になっていない」つもりだった。法的には就労の開始日であり、そこから先の受給は不正受給の対象になりうる
- 認定通知と返還命令、納付命令が同じ封筒で届いた。内容を争うなら審査請求には期限がある(雇用保険法69条)。通知書の日付から何日経ったかを今すぐ数えること。一日過ぎた瞬間、中身の当否を争う道は事実上閉じ、残るのは金額の分納交渉だけになる
- 建設現場の日雇いで働き、日雇労働求職者給付金の不正受給を理由に52条3項の支給停止期間に入った。その期間が明けて再び日雇受給資格者になれば、60条3項によりその資格に基づく就職促進給付は支給される。3項と4項は日雇労働者のために書かれた出口であり、ここを読めない人は永久に締め出されたと誤解して手続きそのものをやめてしまう
取るべき行動
被害を受けた側:1. 認定が下りる前なら、心当たりのある就労日を自分から書面で申し出る。認定後の弁明より圧倒的に効く2. 認定通知が来たら、どの日を起算日としたか、どの給付を制限対象としたかを書面で確認する3. 併せて5項によって基本手当の残日数がどう計算されたか、根拠を出させる4. 不服なら雇用保険審査官へ審査請求(雇用保険法69条)。期限は処分を知った日から起算するので、通知書の受領日を先に記録する5. 返還と納付の資力がなければ、放置せず分納の相談を先に入れる
訴えられた側:事業主側の場合。1. 離職票や就労証明の誤りに気付いたら、労働者が受給を始める前に自ら訂正届を出す。偽りの届出、報告、証明をしたと認定されると、事業主も連帯して返還と納付の責任を負う(雇用保険法10条の4第2項) 2. 誰がいつどの数字を書いたか、社内の作成記録を先に固める3. 同じ書類が雇用関係助成金の申請にも使われているなら、助成金の不支給と返還にも波及するため、労務担当だけで抱えず経営判断に上げる
時効(請求できる期限):60条1項の制限は「支給を受け、又は受けようとした日以後」から起算し、原則としてその受給資格に基づく給付が終わるまで続く。処分に不服がある場合の審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算する期間制限があり、現行は3か月とされる(雇用保険法69条、行政不服審査法18条、最新の改正状況をご確認ください)。給付の返還を受ける権利の時効は2年とされる(雇用保険法74条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:「偽りその他不正の行為」は、受給資格や失業状態に関する重要事実について故意に虚偽の申告や隠蔽をすることを指し、過失による単純な記載漏れは含まないと解される。実務上も両者は区別して取り扱われる。
行政実務の理解:60条の制限は受給資格という単位に紐づく効果であり、対象者の人格に永続的に付着する資格剥奪ではない。2項から4項の復活規定は、この理解を条文上明示したものと位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和49年(1974年) 新設:失業保険法に代わる雇用保険法の制定に伴い、就職促進給付制度とともに、不正受給者に対する就職促進給付の支給制限および復活規定が置かれた。
- 雇用保険法 第34条同じ不正行為による求職者給付側の給付制限
- 雇用保険法 第10条の4不正受給の返還命令と2倍以下の納付命令
- 雇用保険法 第56条の3就業促進手当、第5項のみなし規定の適用先
- 雇用保険法 第52条日雇労働求職者給付金の給付制限、第3項が本条3項の前提
- 雇用保険法 第69条給付制限処分に対する審査請求の手続
- 刑法 第246条悪質な不正受給に併存する詐欺罪
- 行政事件訴訟法 第3条給付制限処分の取消訴訟の受け皿
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