要点雇用保険法 61 条の 9 は、不正な行為で育児休業給付を受け又は受けようとした者にその日以後の給付を支給しないと定める。ただし別の子の育休を新たに開始すれば給付は再開する。
Q · 育休の給付金で不正受給を認定されたら、もう二度と育児休業給付はもらえないんですか?
その子については止まるが、別の子の育休では支給される
雇用保険法 61 条の 9 第 1 項により、偽りその他不正の行為で育児休業給付を受け、又は受けようとした日以後、育児休業給付は支給されません。止まるのは既に受け取った分だけでなく、これから受け取るはずだった残額も含みます。ただし同項ただし書は、やむを得ない理由がある場合に全部又は一部を支給できるとし、第 2 項は、当該給付に係る育児休業を開始した日に養育していた子以外の子について新たに育児休業を開始したときは、第 1 項にかかわらず支給すると定めています。永久追放ではなく、子ごとに区切られた制限です。
育児休業給付をめぐる不正で本当に効いてくるのは、返還額の桁ではない。61条の9第1項は、偽りその他不正の行為により給付を受けた、または受けようとした日以後、育児休業給付を支給しないと定める。すでに振り込まれた分だけの話ではなく、これから受け取るはずだった残り全部が止まる。しかも「受けようとした」で足りるため、実際に入金されていなくても、申請書を出した時点で制限は発動しうる。ただし逃げ道が二つ条文に書き込まれている。一つはただし書の「やむを得ない理由」による全部または一部の支給という裁量。もう一つが第2項で、この遮断はあくまで当該の育児休業の対象だった子に紐づいており、別の子について新たに育児休業を開始すれば、第1項にかかわらず給付は復活する。永久追放ではない。この二段構えを知っているかどうかで、打ち切り通知を受けた後に残る選択肢の数がまるで違う。
雇用保険法 61 条の 9 は育児休業給付の給付制限を定める規定であり、偽りその他不正の行為により育児休業給付の支給を受け、又は受けようとした者について、その日以後の育児休業給付を支給しない旨を規定する。第 1 項ただし書はやむを得ない理由がある場合の全部又は一部の支給を認め、第 2 項は当該給付に係る子以外の子について新たに育児休業を開始した場合の支給を規定する。
雇用保険法 61 条の 9 にいう「偽りその他不正の行為」により給付を受け、又は受けようとすることです。就業日数や復職日の虚偽記載が典型で、実際に入金されていなくても申請の時点で該当しえます。
多くは本人の申告ではなく、事業所調査や離職時の書類処理で発覚します。ハローワークは事業主が提出する賃金台帳・出勤簿・被保険者記録と突合できる立場にあり、時間差はあっても照合は行われます。
支給単位期間中の就業日数 10 日以下(10 日を超える場合は就業時間 80 時間以下)が前提です。この線を超えた事実を隠して申請すると 61 条の 9 の給付制限が発動し、差額の返還では終わりません。
処分があったことを知った日の翌日から 3 か月以内に雇用保険審査官へ審査請求できます(雇用保険法 69 条)。61 条の 9 ただし書の「やむを得ない理由」は、この場で正面から主張できます。
出生時育児休業給付金は育児休業給付の一種として第 3 章の 2 に置かれる建て付けであり、61 条の 9 の射程に入ると解されます。ただし改正で条番号が動くため、申請前に現行条文の確認が必要です。
悪質な事案では刑法 246 条の詐欺罪に問われる可能性があります。行政上の返還命令・納付命令と刑事責任は別個の問題であり、片方が終われば他方が消えるという関係ではありません。
育児休業給付を受ける権利および返還を受ける権利の時効は 2 年です(雇用保険法 74 条)。ただし 61 条の 9 の給付制限自体に期間の定めはなく、時の経過で自動的に解除されるものではありません。
育児休業中の社会保険料免除は育休という事実を前提とするため、休業期間を偽っていた場合は免除の前提が崩れ、健康保険料・厚生年金保険料が追納となりうる点は見落とされがちです。
61条の9が求めるのは「偽りその他不正の行為」であり、実務上、故意のない単純な記載ミスは不正受給として扱われず支給額の調整で処理される。分かれ目は誤りに気付いた後の行動である。業界裏話ヒント:調査が入る前に自分から訂正を申し出た記録が残っていれば故意の推認は大きく弱まる。逆に次回の申請書に同じ誤りを重ねた瞬間、単純ミスという説明は通らなくなる。
61条の9第2項が正面から否定している。制限がかかるのはその育児休業給付に係る子についてであり、別の子について新たに育児休業を開始すれば、第1項にかかわらず給付は支給される。業界裏話ヒント:社内の担当者が第1項だけを読んで「一生ダメ」と説明する例は珍しくない。第二子のときに申請そのものを諦めさせるこの誤解が、実際にいちばん高くつく。
雇用保険法10条の4は、返還命令に加えて不正受給額の2倍以下の金額の納付命令を規定しており(育児休業給付への適用は準用による)、合計で最大3倍になりうる。その上で61条の9により残りの支給も止まる。業界裏話ヒント:事業主が虚偽の証明をしていた場合、同条は事業主に労働者と連帯して返還・納付を命じられると定める。会社に頼まれて日付を動かしたケースでは、この連帯を持ち出せるかどうかで最終負担額が変わる。
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