雇用保険法 第61条の9(給付制限)
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- 偽りその他不正の行為により育児休業給付の支給を受け、又は受けようとした者には、当該給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、育児休業給付を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、育児休業給付の全部又は一部を支給することができる。
- 2.前項の規定により育児休業給付の支給を受けることができない者とされたものが、同項に規定する日以後、当該育児休業給付の支給に係る育児休業を開始した日に養育していた子以外の子について新たに育児休業を開始し、育児休業給付の支給を受けることができる者となつた場合には、同項の規定にかかわらず、当該育児休業に係る育児休業給付を支給する。
この条文の基本情報
給付制限とは何ですか?
定義給付制限とは、雇用保険法第61条の9に定められた規定で、「偽りその他不正の行為により育児休業給付の支給を受け、又は受けようとした者には、当該給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、育児休業給付を支給しない。ただし、…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 雇用保険法第61条の9(給付制限)は、日本の雇用保険法に含まれる条文です。
- 雇用保険法第61条の9の条文原文は「偽りその他不正の行為により育児休業給付の支給を受け、又は受けようとした者には、当該給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、育児休業給付を支給しない。ただし、…」で始まります。
- 雇用保険法第61条の9は第二節 育児休業給付に置かれています。
- 雇用保険法の公布日は昭和49年12月28日です。
- 雇用保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 雇用保険法第61条の9の前の条は雇用保険法第61条の8です。
- 雇用保険法第61条の9の次の条は雇用保険法第61条の10です。
- 雇用保険法第61条の9には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第61条の9 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116 - 本サイト収録
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第61条の9(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/349AC0000000116/61_9
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点雇用保険法61条の9は、不正な行為で育児休業給付を受け又は受けようとした者にその日以後の給付を支給しないと定める。ただし別の子の育休を新たに開始すれば給付は再開する。
Q · 育休の給付金で不正受給を認定されたら、もう二度と育児休業給付はもらえないんですか?
その子については止まるが、別の子の育休では支給される
雇用保険法61条の9第1項により、偽りその他不正の行為で育児休業給付を受け、又は受けようとした日以後、育児休業給付は支給されません。止まるのは既に受け取った分だけでなく、これから受け取るはずだった残額も含みます。ただし同項ただし書は、やむを得ない理由がある場合に全部又は一部を支給できるとし、第2項は、当該給付に係る育児休業を開始した日に養育していた子以外の子について新たに育児休業を開始したときは、第1項にかかわらず支給すると定めています。永久追放ではなく、子ごとに区切られた制限です。
解説
育児休業給付をめぐる不正で本当に効いてくるのは、返還額の桁ではない。61条の9第1項は、偽りその他不正の行為により給付を受けた、または受けようとした日以後、育児休業給付を支給しないと定める。すでに振り込まれた分だけの話ではなく、これから受け取るはずだった残り全部が止まる。しかも「受けようとした」で足りるため、実際に入金されていなくても、申請書を出した時点で制限は発動しうる。ただし逃げ道が二つ条文に書き込まれている。一つはただし書の「やむを得ない理由」による全部または一部の支給という裁量。もう一つが第2項で、この遮断はあくまで当該の育児休業の対象だった子に紐づいており、別の子について新たに育児休業を開始すれば、第1項にかかわらず給付は復活する。永久追放ではない。この二段構えを知っているかどうかで、打ち切り通知を受けた後に残る選択肢の数がまるで違う。
法的な位置づけ
雇用保険法61条の9は育児休業給付の給付制限を定める規定であり、偽りその他不正の行為により育児休業給付の支給を受け、又は受けようとした者について、その日以後の育児休業給付を支給しない旨を規定する。第1項ただし書はやむを得ない理由がある場合の全部又は一部の支給を認め、第2項は当該給付に係る子以外の子について新たに育児休業を開始した場合の支給を規定する。
手順
- 1.次の支給申請書を出す前に、出勤簿と申請書を突合する 支給単位期間ごとに、就業日数・就業時間・休業開始日・復職日の四点を出勤簿および賃金台帳と並べて突き合わせる。誤りが見つかったら、その申請書を提出する前に止める。同じ誤りを次の申請書へ重ねた瞬間、単純な記載ミスという説明は通らなくなる
- 2.照合される前に、自分からハローワークへ訂正を届け出る 事業所調査で指摘されてから訂正するのと、自ら誤りを届け出るのとでは、「偽りその他不正の行為」と評価されるかどうかの分水嶺が動く。窓口へ行った日付、担当者名、提出した訂正書類の控えを必ず残し、自主申告であった事実を記録として固定する
- 3.打ち切り通知が届いたら、返還命令と給付制限を分けて整理する 返還命令・納付命令(雇用保険法10条の4)と、61条の9の給付制限は別個の処分であり、不服申立てもそれぞれ必要になる。通知書ごとに処分の名称・根拠条文・処分があったことを知った日を書き出し、時系列表を作成する
- 4.知った日の翌日から3か月以内に雇用保険審査官へ審査請求する 処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、都道府県労働局の雇用保険審査官へ審査請求を行う(雇用保険法69条、労働保険審査官及び労働保険審査会法8条)。61条の9第1項ただし書の「やむを得ない理由」に当たる事情は、この書面で正面から主張する
- 5.次の子の育休では、第2項を明示して申請する 制限がかかるのは当該育児休業に係る子についてであり、別の子について新たに育児休業を開始すれば第2項により支給される。社内担当者が第1項だけを読んで「もう受給できない」と説明する例があるため、申請時に61条の9第2項を根拠として明示する
よくある質問 AI による整理
Q1育児休業給付の不正受給とは何ですか?
雇用保険法61条の9にいう「偽りその他不正の行為」により給付を受け、又は受けようとすることです。就業日数や復職日の虚偽記載が典型で、実際に入金されていなくても申請の時点で該当しえます。
Q2育休給付金の不正受給はどうやって発覚しますか?
多くは本人の申告ではなく、事業所調査や離職時の書類処理で発覚します。ハローワークは事業主が提出する賃金台帳・出勤簿・被保険者記録と突合できる立場にあり、時間差はあっても照合は行われます。
Q3育休中に働くと給付は止まりますか?
支給単位期間中の就業日数10日以下(10日を超える場合は就業時間80時間以下)が前提です。この線を超えた事実を隠して申請すると61条の9の給付制限が発動し、差額の返還では終わりません。
Q4育休給付の支給停止処分に不服があるときは?
処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に雇用保険審査官へ審査請求できます(雇用保険法69条)。61条の9ただし書の「やむを得ない理由」は、この場で正面から主張できます。
Q5出生時育児休業給付金にも同じ制限がかかりますか?
出生時育児休業給付金は育児休業給付の一種として第3章の2に置かれる建て付けであり、61条の9の射程に入ると解されます。ただし改正で条番号が動くため、申請前に現行条文の確認が必要です。
Q6育休給付の不正受給は詐欺罪になりますか?
悪質な事案では刑法246条の詐欺罪に問われる可能性があります。行政上の返還命令・納付命令と刑事責任は別個の問題であり、片方が終われば他方が消えるという関係ではありません。
Q7育休給付の請求や返還に時効はありますか?
育児休業給付を受ける権利および返還を受ける権利の時効は2年です(雇用保険法74条)。ただし61条の9の給付制限自体に期間の定めはなく、時の経過で自動的に解除されるものではありません。
Q8不正受給が発覚すると社会保険料の免除も取り消されますか?
育児休業中の社会保険料免除は育休という事実を前提とするため、休業期間を偽っていた場合は免除の前提が崩れ、健康保険料・厚生年金保険料が追納となりうる点は見落とされがちです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うっかり就業日数を間違えて書いただけでも、不正受給になるんですか?
61条の9が求めるのは「偽りその他不正の行為」であり、実務上、故意のない単純な記載ミスは不正受給として扱われず支給額の調整で処理される。分かれ目は誤りに気付いた後の行動である。実務のポイント:調査が入る前に自分から訂正を申し出た記録が残っていれば故意の推認は大きく弱まる。逆に次回の申請書に同じ誤りを重ねた瞬間、単純ミスという説明は通らなくなる。
Q2一度不正受給を認定されたら、もう二度と育休の給付はもらえないんですか?
61条の9第2項が正面から否定している。制限がかかるのはその育児休業給付に係る子についてであり、別の子について新たに育児休業を開始すれば、第1項にかかわらず給付は支給される。実務のポイント:社内の担当者が第1項だけを読んで「一生ダメ」と説明する例は珍しくない。第二子のときに申請そのものを諦めさせるこの誤解が、実際にいちばん高くつく。
Q3返還する額って、もらった分だけですよね?
雇用保険法10条の4は、返還命令に加えて不正受給額の2倍以下の金額の納付命令を規定しており(育児休業給付への適用は準用による)、合計で最大3倍になりうる。その上で61条の9により残りの支給も止まる。実務のポイント:事業主が虚偽の証明をしていた場合、同条は事業主に労働者と連帯して返還・納付を命じられると定める。会社に頼まれて日付を動かしたケースでは、この連帯を持ち出せるかどうかで最終負担額が変わる。
間違えやすい点 AI による整理
- 「不正受給は返せば済む」と知っている人でも、その返還が返還命令に加えて不正受給額の2倍以下の納付命令を伴いうること(雇用保険法10条の4、育児休業給付への適用は準用による)まではたどり着いていない。最大で受給額の3倍、さらに61条の9で将来分も止まる。想定している金額の桁が一つ足りない。
- 「バレなければ大丈夫か」という問いの立て方そのものがずれている。ハローワークは事業主から提出される賃金台帳・出勤簿・雇用保険の被保険者記録と突合できる立場にあり、発覚の多くは本人の申告ではなく事業所調査や離職時の書類処理から起きる。問うべきは「バレるか」ではなく「いつ照合されるか」である。
- あなたから見れば「日付を少し間違えただけ」でも、行政の側は事実と異なる申告があったという結果から出発する。実務では故意のない単純な記載ミスは不正受給として扱われないが、その故意の有無を推認する材料になるのは、あなたの主観ではなく、訂正を申し出た時期と書類の整合性である。この落差が、悪意のない人を不正受給者の側に置いてしまう。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の内容 | 61条の9:不正受給者への将来分の育児休業給付の不支給 | 10条の4:受給済み額の返還命令と最大2倍の納付命令 34条:不正受給者への基本手当の支給制限 |
| 対象となる給付 | 育児休業給付(出生時育児休業給付金を含む建て付け) | 失業等給付・育児休業給付を横断(育児休業給付へは準用による適用) 基本手当(求職者給付) |
| 効果の性質 | 将来に向かって給付を遮断する処分。金銭の請求ではない | 金銭債務を発生させる処分。事業主の連帯責任もありうる 将来に向かって給付を遮断する処分 |
| 解除・回復の道 | ただし書の「やむを得ない理由」による一部支給、第2項による別の子での支給再開 | 分割納付の協議、審査請求による処分の取消し 制限期間の経過、審査請求による処分の取消し |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は育嬰留職停薪津貼の詐領について、給付の追還に加えて二倍の罰鍰を課す構成をとる。日本の61条の9のように「将来の給付を子ごとに遮断する」明文の制限規定を置いていない点が構造的な差異である
韓国は日本と極めて近い構成をとり、거짓이나 그 밖의 부정한 방법으로 육아휴직 급여를 받았거나 받으려 한 자について、その日以後の育児休職給与を支給しないと定める。반환명령・추가징수(제62조)を別条に置く点も日本の10条の4と対応する
中国は育児休業給付に相当する独立給付を置かず、生育保険の枠内で処理する。騙取に対しては返還命令と騙取額の2倍以上5倍以下の罰款という金銭制裁で対応し、将来給付の遮断という手法をとらない
ドイツは Elterngeld を税財源の家族給付として設計するため、不正受給は社会法総則(SGB X)の受給決定の職権取消しと返還で処理される。将来の給付を子ごとに遮断する専用規定は置かれていない
連邦の FMLA は無給の休業保障にとどまり、給付そのものが存在しないため不正受給の観念が生じない。有給給付は州制度に委ねられ、給付不正は各州の制度法に基づく返還・加算金の対象となる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 復職日を一週間ずらしたことを申告し忘れたまま、次回の支給申請書を出してしまった。次の認定日まであと3日。自分から先に訂正を届け出るか、事業所の出勤簿との突合で先に指摘されるかで、その後の評価は完全に別の道に分かれる。
- 育休中に少しだけ在宅で業務を手伝い、就業日数を実際より少なく書いたらどうなる? 育児休業給付金は支給単位期間中の就業日数が10日以下(10日を超える場合は就業時間80時間以下)であることを前提としており、この線をまたぐ虚偽記載は典型的な不正認定パターンである。差額の返還では終わらず、残りの育休期間の給付が丸ごと止まる。
- 人事担当のあなたが、社員に頼まれて休業開始日を実際より前倒しした証明書を作った。雇用保険法10条の4は、事業主が虚偽の届出や証明をしたためにその給付が支給されたときは、その事業主に労働者と連帯して返還・納付を命じられると定める。社員のための一手が、会社の債務に変わる。
- 第一子の育休で不正受給を認定され、給付を打ち切られた。二年後、第二子の育休に入ろうとする。第1項だけを読んだ社内の担当者は「もう一生もらえません」と説明するが、第2項は別の子について新たに育児休業を開始した場合には支給すると明記している。その説明を信じて申請しなければ、あなたは自分の手で数十万円を捨てる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 返還命令と給付制限は別個の処分であり、不服申立てもそれぞれ必要になる点をまず確認2. 誤記の原因が会社側にあるなら、出勤簿・賃金台帳・休業申出書の写しを入手して時系列表を作る3. 処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に雇用保険審査官へ審査請求4. ただし書の「やむを得ない理由」に当たる事情を書面で主張5. 次の子の育休が視野にあるなら第2項の適用を明示して申請する
訴えられた側:1. 次の支給申請書を出す前に、事実と異なる記載を自分から訂正して届け出る、照合前の自主申告か否かで評価が分かれる2. 就業日数・就業時間・復職日の三点について、出勤簿と申請書の突合表を作る3. 返還命令・納付命令は分割納付の協議余地があるので、支払不能を放置せず窓口で相談4. 会社の指示で書類を動かした事案なら、事業主の連帯責任(雇用保険法10条の4)を早い段階で主張材料に置く
時効(請求できる期限):育児休業給付を受ける権利および返還を受ける権利の時効は2年(雇用保険法74条)。給付制限そのものには期間の定めがなく、当該の子に係る育児休業給付については解除されない(別の子について新たに育児休業を開始した場合は第2項により支給)。処分への審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内(労働保険審査官及び労働保険審査会法8条)。不正受給に基づく返還請求権の消滅時効の扱いは実務上、解釈が分かれている(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説的理解:「偽りその他不正の行為」には故意を要すると解され、故意のない単純な記載ミスは不正受給として扱われず支給額の調整で処理される。故意の有無は、申請者の主観そのものではなく、訂正を申し出た時期と提出書類の整合性から推認されるのが実務の運用である。
改正沿革 AI による整理
- 令和2年(2020年)改正 育児休業給付が失業等給付から切り離され、第3章の2として独立の章に再編された。これに伴い給付制限の規定も同章内に移り、条番号が異動している(移動前後の正確な条番号は人的検証が必要)
- 令和3年(2021年)改正、令和4年(2022年)10月施行 産後パパ育休に対応する出生時育児休業給付金が新設され、第3章の2の条文構成が再び動いた。給付制限の対象範囲との関係を含め、条番号の異動は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和49年(1974年) 新設:雇用保険法(昭和49年法律第116号)制定。失業保険法を全面改編し、失業等給付を中核とする現行制度が発足した。育児休業給付は後年の改正で導入されている
- 2.令和2年(2020年) 改正:育児休業給付が失業等給付から切り離され、第3章の2として独立の章に再編された。これに伴い給付制限の規定も同章内に移り、条番号が異動している(移動前後の正確な条番号は人的検証が必要)
- 3.令和3年(2021年)改正・令和4年(2022年)10月施行 改正:産後パパ育休に対応する出生時育児休業給付金が新設され、第3章の2の条文構成が再び動いた。給付制限の対象範囲との関係を含め、条番号の異動は人的検証が必要
- 雇用保険法 第10条の4不正受給の返還命令・納付命令
- 雇用保険法 第34条基本手当の不正受給による給付制限
- 雇用保険法 第61条の7育児休業給付金の支給要件(現行条番号を要確認)
- 雇用保険法 第69条処分に対する審査請求・再審査請求
- 雇用保険法 第74条給付および返還の権利の2年時効
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第5条育児休業自体の取得要件を定める(通称 育児・介護休業法)
- 刑法 第246条悪質な不正受給の詐欺罪としての責任
- 労働保険審査官及び労働保険審査会法 第8条審査請求期間3か月の定め
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