雇用保険法 第73条(不利益取扱いの禁止)
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事業主は、労働者が第八条の規定による確認の請求又は第三十七条の五第一項の規定による申出をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
この条文の基本情報
不利益取扱いの禁止とは何ですか?
定義不利益取扱いの禁止とは、雇用保険法第73条に定められた規定で、「事業主は、労働者が第八条の規定による確認の請求又は第三十七条の五第一項の規定による申出をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなら…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 雇用保険法第73条(不利益取扱いの禁止)は、日本の雇用保険法に含まれる条文です。
- 雇用保険法第73条の条文原文は「事業主は、労働者が第八条の規定による確認の請求又は第三十七条の五第一項の規定による申出をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなら…」で始まります。
- 雇用保険法第73条は第七章 雑則に置かれています。
- 雇用保険法の公布日は昭和49年12月28日です。
- 雇用保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 雇用保険法第73条の前の条は雇用保険法第72条です。
- 雇用保険法第73条の次の条は雇用保険法第74条です。
- 雇用保険法第73条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第73条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116 - 本サイト収録
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第73条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/349AC0000000116/73
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点雇用保険法73条は、労働者が8条の確認請求または37条の5第1項の申出をしたことを理由に、事業主が解雇その他不利益な取扱いをすることを禁じる規定である。シフト削減や更新拒否も射程に入る。
Q · 雇用保険に入っていないとハローワークに相談したら、会社に解雇されたりシフトを減らされたりしませんか?
違法です。73条が報復的な不利益取扱いを禁じています
雇用保険法73条により、事業主は、労働者が8条の確認の請求または37条の5第1項の申出をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。禁止されるのは解雇だけでなく、シフト削減、契約更新の拒否、遠隔地への配置転換、賞与の減額なども含まれます。違反は同法83条の罰則の対象になりうるとされ、解雇については私法上も無効と解されるのが一般的です。争点は「請求と無関係の理由だ」という会社の主張であるため、請求日と通告日の記録が要になります。
解説
給与明細に雇用保険料の欄がない。店長に聞くと「うちは短時間勤務だから入れない決まり」と返ってきた。ここで引き下がる必要はない。雇用保険法8条は、労働者本人がいつでもハローワークに「自分は被保険者のはずだ」と確認を請求できると定める。事業主の届出(7条)を待つ必要も、会社の同意を得る必要もない。そして73条は、その請求をしたことを理由に解雇する、シフトを削る、契約更新を拒む、そうした報復を事業主に正面から禁じる。禁止対象は解雇だけではなく「その他不利益な取扱い」全般だ。さらに2022年1月からは、65歳以上のダブルワーカーが自分で申し出る37条の5の制度も同じ盾の下に入った。あなたが権利を使う場面と、使った後に守られる場面が、この一条で接続されている。
法的な位置づけ
雇用保険法73条は、被保険者資格の確認請求(同法8条)または65歳以上の複数就業者による申出(同法37条の5第1項)を行ったことを理由とする不利益取扱いを禁止する規定である。事業主の人事裁量そのものを否定するのではなく、権利行使を理由とする部分に限って違法とする点に特徴があり、8条の請求権と一組で機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.給与明細と勤務実績の証拠を先に確保する 雇用保険料の控除欄がある給与明細を1枚残らず保管し、雇用契約書、シフト表、タイムカード、勤務指示の LINE 等を写真またはスクリーンショットで確保する。控除の事実が確認できる明細は、2年を超える遡及の鍵になる
- 2.ハローワークで8条の確認請求を行い、請求日を固定する 事業所を管轄するハローワークで被保険者資格の確認請求を行う。会社の同意は不要。窓口の受付印または電子申請の受付番号で請求日を客観的に確定させ、控えを保管する
- 3.請求後の人事措置の日付と内容を即日記録する 解雇、シフト削減、更新拒否、配置転換などの通告を受けたら、通告日、通告者、発言内容をその場でメモし、書面やメッセージが残る形で理由の明示を求める。請求日との時間的近接が因果関係の推認材料になる
- 4.是正を求める窓口を選び、時効を意識して動く ハローワークまたは労働局へ73条違反として申告し、解雇であれば労働契約法16条による地位確認、損害賠償は民法724条の3年、未払賃金は労働基準法115条の消滅時効を意識して着手する。あっせんや弁護士相談も並行して検討する
よくある質問 AI による整理
Q1雇用保険法73条とは何ですか?
労働者が被保険者資格の確認請求(8条)や65歳以上の複数就業者の申出(37条の5第1項)をしたことを理由に、事業主が解雇その他不利益な取扱いをすることを禁じる規定です。
Q2雇用保険に入れないと会社に言われたらどうすればいい?
会社の判断に従う必要はありません。8条により労働者が単独でハローワークに確認請求でき、被保険者に当たるかどうかを判断するのは会社ではなく行政です。
Q3被保険者資格の確認請求はどこに出しますか?
事業所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)です。給与明細、雇用契約書、シフト表など勤務実態を示す資料を持参すると手続きが進みやすくなります。
Q4マルチジョブホルダー制度とは何ですか?
65歳以上で2か所以上に勤務する人が、自ら申し出て被保険者になれる制度です(37条の5第1項)。2022年1月施行で、この申出も73条の保護対象に含まれます。
Q5雇用保険の加入条件は?
週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあることが基本です。適用除外に当たらなければ、パートやアルバイトでも要件を満たせば被保険者になります。
Q6確認請求に会社の同意は必要ですか?
必要ありません。事業主の届出義務(7条)と労働者の請求権(8条)は別ルートであり、会社の協力も他の従業員の連名も請求の要件ではありません。
Q773条に違反した事業主に罰則はありますか?
違反は雇用保険法83条の罰則の対象になりうるとされています。あわせて、報復目的の解雇は強行規定違反として私法上も無効と解されるのが一般的です(最新の改正状況をご確認ください)。
Q8賞与の減額や配置転換も不利益取扱いになりますか?
条文は「解雇その他不利益な取扱い」と定めており、賞与の減額、遠隔地への配置転換、嫌がらせ的な担当変更も射程に入りえます。争点は請求との因果関係の立証です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1雇用保険に入ってなかった分、あとから遡って加入できるって本当ですか?
できる。雇用保険法8条の確認請求により、被保険者だった期間を遡って確定させられる。原則は2年前までだが、給与から雇用保険料が控除されていたことを明細等で確認できる場合は2年を超えて遡及できる(平成22年(2010年)10月施行)。実務のポイント:この2年の壁を破る鍵は、あなたの記憶でも会社の帳簿でもなく、あなたの手元に残った明細の紙1枚である。転職のたびに古い明細を捨てる人は、この救済の入口を自分で閉じている
Q2確認請求したのが会社にバレたら、居づらくなりませんか?
その報復こそ73条が禁じる行為であり、違反した事業主は雇用保険法83条の罰則の対象になりうる(最新の改正状況をご確認ください)。実務上、窓口で請求者名の取扱いに配慮を求めることはできるが、事業所調査の過程で誰の件か推測されることは十分ありうる。実務のポイント:完全な匿名を期待するより、請求日を受付番号で固定し、直後の人事措置の日付を記録する方が防御力は高い。時間的近接の記録が、後で理由を争うときの主戦場になる
Q3シフトを減らされただけでも73条違反になりますか?
条文は「解雇その他不利益な取扱い」と書いており、シフト削減や更新拒否も不利益な取扱いに含まれうる。会社は請求と無関係の理由を主張してくるため、時系列の証拠が要になる。73条違反の解雇は強行規定違反として私法上も無効と解されるのが一般的だが、個別措置の効力判断は実務上、事案ごとに解釈が分かれる。実務のポイント:解雇より、静かにシフトを絞る手口の方が圧倒的に多い。だから記録すべきは解雇通知ではなく、請求前後の勤務時間数の推移である
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社が入れてくれないなら諦めるしかない」と思われているが、8条の確認請求は労働者が単独で行える。事業主の届出義務(7条)と労働者の請求権(8条)は別ルートで、会社の協力は請求の要件ではない。会社が「うちは入れない方針」と言っても、被保険者に当たるかどうかを判断するのは会社ではなく行政である
- 73条を知っている人でも、禁止されているのは解雇だけだと思い込んでいることが多い。条文は「解雇その他不利益な取扱い」と書く。シフト削減、契約更新拒否、遠隔地への配置転換、賞与の減額、嫌がらせ的な担当変更まで射程に入る。深刻なのは、解雇より立証しにくいこれらの手口の方が、現実にははるかに多いという点だ
- あなたから見れば「保険料を納めていないのは会社の落ち度」だが、法律から見れば、あなたの被保険者としての地位は確認によって初めて公的に確定する。会社が悪いという事実だけでは、失業給付は1円も出ない。この落差が、退職してから給付を受けられないと知る人を毎年生み続けている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 名宛人と内容 | 73条:事業主に対し、権利行使を理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁止 | 8条:労働者に対し、被保険者資格の確認を請求する権利を付与 7条:事業主に対し、資格取得・喪失等の届出を義務付け |
| 発動する場面 | 確認請求または37条の5第1項の申出をした「後」の報復局面 | 未加入や届出漏れに気づいた「時点」でいつでも行使可能 雇入れ・離職など資格に変動が生じた時点 |
| 会社の関与 | 会社の意思に関係なく禁止(強行規定) | 会社の同意・協力は請求の要件ではない 会社が単独で履行すべき公法上の義務 |
| 違反したときの帰結 | 83条の罰則の対象になりうる。解雇は私法上も無効と解されるのが一般的 | 請求を経て行政庁が9条により資格を確認し、遡及が確定 保険料の遡及徴収に加え、助成金の受給要件にも影響しうる |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾は労基法74条で、監督機関への申告を理由とする解雇その他不利益処分を禁じる。雇用保険に相当する就業保険法とは別の法律に保護規定が置かれている点が日本と異なる
韓国も労働基準法で監督機関への申告を理由とする不利益処遇を禁じる構造。雇用保険法内に報復禁止を置く日本73条とは条文配置が異なる
社会保険登記義務と労働者の申立て権は定めるが、申立てを理由とする報復を本条ほど明文で禁じる規定は置かれていない
ドイツは民法典に一般的な報復禁止規定を置き、権利行使を理由とする不利益措置を広く無効とする。個別の社会保険法に依存しない横断的な構造
フランスは労働法典の差別・通報者保護の枠組みで処理し、社会保険手続の権利行使も通報保護の射程に取り込む傾向がある
米国は失業保険を州法が規律するため、報復禁止の根拠も州法または連邦労働法に分散する。単一の条文で完結する日本と対照的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが小さな飲食店の経営者で、アルバイトの一人がハローワークに確認請求をした。過去分の保険料を遡って徴収されると知り、腹立ちまぎれに翌月のシフトをゼロにした。シフト削減は「解雇」ではないが「その他不利益な取扱い」にあたり、73条違反として雇用保険法83条の罰則の射程に入りうる。人事権の行使のつもりが、刑事事件の入口になる
- もし、確認請求をした翌週に契約更新を断られたらどうなる? 更新拒否も不利益な取扱いに含まれうる。争点になるのは、会社が「請求とは無関係の業績上の理由だ」と主張してくる点である
- 退職して失業給付を申請したら、窓口で加入期間が足りないと告げられた。会社は3年前から届出をしていなかった。遡及は原則2年、ただし給与から雇用保険料が控除されていた事実を明細で示せれば2年を超えて遡れる。手元の明細が何か月分残っているか、今夜数えるところから勝負が始まる
- 65歳を過ぎて2か所でパートをしているあなたが、37条の5のマルチジョブホルダー制度を使うと片方の事業主に伝えた。「うちは関係ない、手続きが面倒だ」と渋られ、勤務日を減らすと言われた。この申出を理由とする勤務日削減こそ、2022年の改正で73条が名指しで禁じた行為である
- 同僚が「自分、雇用保険に入ってないみたいで」と相談してきた。あなたが伝えるべきは一つ、本人だけで請求できるということ。会社の同意も、他の従業員の連名も要らない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 給与明細、雇用契約書、シフト表、勤務実績が分かる LINE やタイムカードの写しを先に確保する。特に雇用保険料の控除欄がある明細は1枚残らず保管2. 管轄のハローワークで8条の確認請求を行い、受付日を記録に残す3. 請求後に解雇、シフト削減、更新拒否があれば、通告日と通告者を記録し、可能なら書面や録音で理由を残す4. 解雇であれば労働契約法16条による無効主張と地位確認、あわせて労働局のあっせんや弁護士相談へ進む
訴えられた側:1. まず遡及届出と保険料の納付を先に済ませ、届出漏れの是正を確定させる。未加入の事実自体は7条違反として別に評価される2. 請求後の人事措置は、請求と無関係の合理的理由(客観的な業績数値、事前から予定されていた組織変更)を時系列の資料で示せるかを検証する3. 請求の直後に不利益措置を重ねることは避ける。時間的近接それ自体が理由の推認材料になる4. 措置が既に出ている場合は撤回と原状回復を早期に検討する方が、争って負けたときの遡及賃金より安く済むことが多い
時効(請求できる期限):73条違反そのものに固有の時効はない。実務上効いてくるのは次の三つ。(1)確認による資格の遡及は原則2年、ただし給与から雇用保険料が控除されていた事実を明細等で証明できれば2年を超えて遡及できる(平成22年(2010年)10月施行の改正、最新の改正状況をご確認ください)(2)解雇の効力を争う地位確認は、遅れるほど解雇を受け入れたと評価されやすくなるため、通告到達日から速やかに動く(3)不利益取扱いによる損害賠償は民法724条で損害と加害者を知った時から3年、未払賃金は労働基準法115条の消滅時効(当分の間3年、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:73条は強行規定であり、これに違反する解雇は私法上も無効と解するのが一般的である。もっとも、シフト削減や更新拒否など個別措置の私法上の効力については、事案ごとに解釈が分かれ、請求との因果関係の立証が実務上の主戦場となる
改正沿革 AI による整理
- 令和2年(2020年)改正、令和4年(2022年)1月1日施行 65歳以上の複数就業者が自ら被保険者資格を申し出るマルチジョブホルダー制度(37条の5第1項)の創設に伴い、保護対象に同項の申出を追加する改正が行われた。従来は8条の確認請求のみが保護対象であった
改正の年表
- 1.昭和49年(1974年) 新設:雇用保険法(昭和49年法律第116号)の制定に伴い、確認の請求をしたことを理由とする不利益取扱いの禁止規定として置かれた
- 2.令和2年(2020年)改正・令和4年(2022年)1月1日施行 改正:65歳以上の複数就業者が自ら被保険者資格を申し出るマルチジョブホルダー制度(37条の5第1項)の創設に伴い、保護対象に同項の申出が追加された。従来は8条の確認請求のみが保護対象であった
- 雇用保険法 第7条事業主の資格取得等の届出義務
- 雇用保険法 第8条労働者による確認の請求権
- 雇用保険法 第9条行政庁による資格の確認
- 雇用保険法 第37条の565歳以上の複数就業者の申出制度
- 雇用保険法 第83条本条違反に対する罰則(現行効力を要確認)
- 労働基準法 第104条監督機関への申告を理由とする不利益取扱いの禁止
- 労働組合法 第7条不利益取扱いを不当労働行為として救済
- 公益通報者保護法 第5条通報を理由とする不利益取扱いの禁止
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