雇用保険法 第79条(立入検査)
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- 行政庁は、この法律の施行のため必要があると認めるときは、当該職員に、被保険者、受給資格者等若しくは教育訓練給付金支給対象者を雇用し、若しくは雇用していたと認められる事業主の事業所又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であつた団体の事務所に立ち入り、関係者に対して質問させ、又は帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)の検査をさせることができる。
- 2.前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
- 3.第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
この条文の基本情報
立入検査とは何ですか?
定義立入検査とは、雇用保険法第79条に定められた規定で、「行政庁は、この法律の施行のため必要があると認めるときは、当該職員に、被保険者、受給資格者等若しくは教育訓練給付金支給対象者を雇用し、若しくは雇用していたと認めら…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 雇用保険法第79条(立入検査)は、日本の雇用保険法に含まれる条文です。
- 雇用保険法第79条の条文原文は「行政庁は、この法律の施行のため必要があると認めるときは、当該職員に、被保険者、受給資格者等若しくは教育訓練給付金支給対象者を雇用し、若しくは雇用していたと認めら…」で始まります。
- 雇用保険法第79条は第七章 雑則に置かれています。
- 雇用保険法の公布日は昭和49年12月28日です。
- 雇用保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 雇用保険法第79条の前の条は雇用保険法第78条です。
- 雇用保険法第79条の次の条は雇用保険法第79条の2です。
- 雇用保険法第79条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第79条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116 - 本サイト収録
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第79条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/349AC0000000116/79
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点雇用保険法79条は、行政庁の職員が事業主の事業所等に立ち入り、関係者に質問し帳簿書類を検査する権限を定める。犯罪捜査には転用できないが、拒否や虚偽陳述には83条の罰則がある。
Q · ハローワークや労働局の立入検査は断れますか?
事実上断れません。拒めば83条の罰則対象です
雇用保険法79条は、行政庁の職員が事業主の事業所や労働保険事務組合の事務所に立ち入り、関係者に質問し、帳簿書類(電磁的記録を含む)を検査する権限を定めています。令状は不要で、3項により犯罪捜査への転用は禁止されます。もっとも、答弁をしない、偽りの陳述をする、検査を拒み妨げ忌避する行為には83条の罰則が科され、86条の両罰規定で法人にも罰金が及びうるため、実務上「断る」という選択肢はありません。
解説
ハローワークの職員が二人、アポイントなしで会社の受付に立っている。目的は帳簿の確認だと告げられる。総務担当のあなたは、この瞬間に何を判断すべきか。雇用保険法79条は、行政庁の職員が事業主の事業所や労働保険事務組合の事務所に立ち入り、関係者に質問し、帳簿書類を検査する権限を定める。押さえるべき点は三つある。第一に、検査対象には電磁的記録が明記されている。勤怠クラウド、給与計算ソフト、業務指示のチャットログまで射程に入る。紙の帳簿がないから出せない、は通用しない。第二に、対象は現に雇用している事業主だけでなく「雇用していたと認められる」事業主も含む。退職者が出た後でも、事業をたたんだ後でも、遡って来る。第三に、3項は「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない」と書く。犯罪捜査ではないから令状は要らない。だが答弁を拒めば83条の罰則が待つ。断る自由はあるが、断れば罰せられる。この非対称な構造こそが、行政調査という制度の正体である。
法的な位置づけ
雇用保険法79条は行政庁の立入検査権を定める規定であり、被保険者等を雇用し又は雇用していたと認められる事業主の事業所、及び労働保険事務組合の事務所への立入り、関係者への質問、帳簿書類(電磁的記録を含む)の検査を内容とする。2項は職員の身分証明書の携帯及び提示義務を、3項は当該権限を犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない旨を定める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.身分証明書の提示を受け、来訪記録を取る 2項は職員に身分証明書の携帯と提示を義務づけている。氏名、所属、証明書番号、来訪時刻、告げられた検査の目的と根拠条文を、その場でメモに書き取る。後日、処分の適正性を争う際にこの記録が唯一の入口になる
- 2.検査の範囲と対象書類を確認する どの期間の、どの労働者に関する、どの帳簿を確認したいのかを職員に明示してもらう。範囲が曖昧なまま全社の資料を差し出さない。電磁的記録の閲覧を求められた場合も、閲覧範囲を特定してもらう
- 3.原本ではなく写しで対応し、提出リストを残す 求められた資料は原本を渡さず写しで対応し、何をいつ何部提出したかのリストを自社控えとして残す。持ち帰りとなった資料については受領書の交付を求める
- 4.曖昧な事項は即答せず書面回答に切り替える 答弁義務はあるが即答義務はない。記憶が曖昧な事項をその場で断定すると、偽りの陳述として83条の射程に入り込む。「記録を確認のうえ書面で回答する」と区切り、回答期限を確認する
- 5.当日中に専門家へ連絡し、回答書面を設計する 遡及適用、保険料の追徴、助成金の返還が絡む案件は、その日のうちに社会保険労務士または弁護士へ連絡する。原始記録と申請書類のどこがずれているかを自ら洗い出したうえで、回答書面の作成を任せる
よくある質問 AI による整理
Q1雇用保険の立入検査とは何ですか?
行政庁の職員が事業所に立ち入り、関係者に質問し帳簿書類を検査する行政調査です。雇用保険法79条が根拠で、令状は不要ですが犯罪捜査への転用は禁止されています。
Q2労働局の調査では何を見られますか?
出勤簿、賃金台帳、労働者名簿、雇用契約書、被保険者資格関係の届出控えなどです。79条1項は電磁的記録も明記しており、勤怠クラウドや給与ソフトのデータも対象になります。
Q3立入検査は事前に連絡が来ますか?
条文上、事前通知は義務づけられていません。日程調整の連絡が入る場合もありますが、予告なく来訪することもあり得ます。日頃から帳簿を整えておくことが唯一の備えです。
Q4雇用保険の書類は何年保存が必要ですか?
雇用保険に関する書類は4年間の保存が求められます(雇用保険法施行規則)。検査は保存期間内の資料を対象とするため、廃棄の判断は保存年限を確認してから行ってください。
Q5クラウド勤怠のデータも検査の対象ですか?
対象です。79条1項は帳簿書類に代えて電磁的記録が作成・保存されている場合、当該電磁的記録を含むと明記しています。紙がないことは提出しない理由になりません。
Q6退職した会社も調査されますか?
されます。79条1項の対象は現に雇用する事業主だけでなく「雇用していたと認められる」事業主も含みます。退職者が出た後や事業を終了した後でも遡って調査され得ます。
Q7助成金の調査で不正が判明したらどうなりますか?
支給決定の取消しと返還命令の対象となり、悪質な場合は事業主名の公表や刑事告発に至ることもあります。検査で得られた事実がその根拠資料として引用されます。
Q8調査に社労士や弁護士を同席させられますか?
条文上、専門家の同席を禁じる規定はなく、実務上も同席は行われています。日程調整の連絡があった段階で顧問社労士や弁護士に相談し、立会いを依頼するのが安全です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ハローワークの調査、忙しいので断ったらどうなるんですか?
答弁をしない、偽りの陳述をする、検査を拒み妨げ忌避する、いずれも83条の罰則対象で、6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金です。86条の両罰規定により法人にも罰金が科されうる。実務のポイント:実際に刑事立件される例は稀である。だが拒否した事実は調査記録に残り、助成金の不支給決定や支給決定の取消理由として引用される。刑事罰より行政的な不利益の方がはるかに早く、確実に来る
Q23項に犯罪捜査じゃないと書いてあるなら、答えた内容が刑事事件に使われることはないですよね?
その前提が誤っている。3項は令状なしの検査権限を犯罪捜査に流用することを禁じる規定であって、調査で判明した事実が後に詐欺罪(刑法246条)の告発や不正受給の返還命令(雇用保険法10条の4)につながることまで遮断しない。実務のポイント:職員が「これは犯罪捜査ではありませんので」と告げるのは事実だが、安心材料ではない。行政調査に憲法35条・38条の保障がどこまで及ぶかは川崎民商事件(最大判昭和47.11.22)以来、限定的に解されており、実務上も解釈が分かれる領域である
Q3身分証明書を見せてこなかったら、追い返していいですか?
2項は職員に証明書の携帯と提示を義務づけているので、提示を求めるのは完全に正当である。ただし提示を受けた後に立入りを拒めば83条の忌避に該当しうる。なお提示義務違反そのものに罰則規定は置かれていない。実務のポイント:提示を求める真の意味は追い返すことではなく、求めた事実と職員名を記録に残すことにある。後日、処分の適正性を争うとき、その一行のメモが唯一の突破口になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「立入検査は任意調査だから拒否できる」と知っている人は少なくない。だがその深刻度を測り違えている。拒否・妨害・忌避、そして虚偽の陳述には83条の罰則(6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金。旧懲役、2025年6月1日施行の刑法改正により拘禁刑へ統合)が科され、86条の両罰規定で法人にも罰金が及びうる。物理的に押し入られないという意味の任意であって、断ってよいという意味の任意ではない
- 「拒否できますか」という問いの立て方そのものが誤っている。実務で勝敗を分けるのは拒否の可否ではなく、その場で即答するか記録を確認して後日回答するかの選択である。答弁義務はあるが即答義務はない。この一点を知っているかどうかで、虚偽の陳述という最も重い地雷を踏むかどうかが決まる
- あなたから見れば、これは書類を見せるだけの事務手続に見える。だが法の側から見れば、被保険者資格の遡及適用、保険料の追徴、助成金の支給決定取消しと返還命令、さらには刑事告発へ至る証拠収集の第一歩である。この落差を認識しないまま「聞かれたことに素直に答えた」記録が、半年後に不利益処分の根拠として引用される
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 行政庁が行う行為 | 79条:事業所への立入り、関係者への質問、帳簿書類・電磁的記録の検査 | 76条:報告の要求、文書の提出命令(書面による調査) 83条:義務違反に対する刑事罰の発動 |
| 現場に踏み込むか | 踏み込む(事業所・事務組合の事務所に立入り) | 踏み込まない(書面のやり取りで完結) 該当なし(罰則規定) |
| 違反したときの効果 | 拒否・妨害・忌避、答弁拒否、偽りの陳述は83条の罰則対象 | 報告をせず又は偽りの報告をした場合も83条の罰則対象 6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、86条により法人にも罰金 |
| 実務上の位置づけ | 書面調査で疑義が残ったときの次の段階、証拠収集の実質的な山場 | 調査の入口。ここでの回答内容が立入検査の照準を決める 任意調査に実効性を与える間接強制の留め金 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も保険者による査訪・文件調閱を認めるが、日本のように条文単位で立入検査権と罰則を明示的に対にする構成は薄く、行政程序法の職権調査原則に吸収される部分が大きい
韓国も雇用労働部所属職員による事業場への出入り、関係者への質問、書類調査を認め、拒否・妨害に過怠料または罰則を科す構造をとる。日本の79条・83条の対と機能的に近い
ドイツは連邦雇用エージェンシーの立入・調査権と、年金保険による事業主監査(Arbeitgeberprüfung)が分業しており、社会保険料全体を一括して定期監査する点で日本より制度化が進んでいる
米国は州の失業保険当局が記録検査権を持ち、連邦レベルでは FUTA 税の税務調査権として現れる。連邦・州の二層構造である点が単一の行政庁を前提とする日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、月曜の朝一番に労働局の職員が二名、名刺を持って受付に現れたとしたら? 社長は出張中、顧問社労士は電話に出ない。応接室に通した時点で、あなたは79条の検査に立ち会う「関係者」になっている。出勤簿、賃金台帳、雇用契約書、そして勤怠システムのログイン画面まで求められる可能性がある。誰が何を答えたかは、その日のうちに記録として残る
- 元従業員が離職票の離職理由に異議を申し立てた。ハローワークはあなたの会社の出勤簿とシフト表を見に来る。一人の異議申立てが、全従業員分の帳簿検査に化ける
- 雇用調整助成金の受給後、労働局から追加資料の提出を求められ、提出期限まであと5日。ここで曖昧な休業実績表を出すと、後の立入検査で現物のタイムカードと突き合わされる。数字が合わなければ、返還命令だけでなく偽りの陳述として83条の射程に入り込む。今夜のうちに、原始記録と申請書類のどこがずれているかを自分で洗い出しておく必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:雇用保険に加入させてもらえない労働者側の立場なら、1. 給与明細、タイムカードの写し、シフト表、業務指示の LINE やチャット履歴を手元に確保する2. ハローワークに8条の確認請求を行う。これが79条の調査の端緒になる3. 確認請求を理由に解雇や不利益な取扱いを受けた場合は73条違反であり、それ自体が83条の罰則対象である4. 遡及加入が認められれば、過去に遡って基本手当の受給資格が生じる可能性がある
訴えられた側:事業主側なら、1. まず身分証明書の提示を受け、氏名・番号・時刻・検査の目的を記録する(2項は携帯と提示を義務づけている) 2. 求められた資料は原本を渡さず写しで対応し、何を提出したかのリストを自分でも残す3. 記憶が曖昧な事項はその場で断定せず、書面での後日回答に切り替える4. 助成金や遡及適用が絡む案件は、その日のうちに社会保険労務士または弁護士へ連絡し、回答書面の作成を任せる5. 検査の拒否は最悪手である。刑事罰以前に、支給決定の取消理由として記録される
時効(請求できる期限):立入検査の実施そのものに期限の定めはない。関連する時間軸として、雇用保険に関する書類の保存義務は4年間(雇用保険法施行規則)、失業等給付の支給または返還を受ける権利は2年で時効消滅(雇用保険法74条)、労働保険料の徴収権も2年(労働保険の保険料の徴収等に関する法律41条)。検査当日に持ち帰りとなった資料は、実務上1週間から2週間程度の提出期限を指定されることが多い(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(行政調査論):行政調査は、実力行使を伴う強制調査、罰則により間接的に義務を担保する間接強制調査、純粋な任意調査の三類型に分けられる。雇用保険法79条は83条の罰則と結合した間接強制調査に位置づけられ、実力による立入りは認められない一方、拒否は処罰の対象となる
有力説(適正手続論):3項の目的外使用禁止は、調査で得られた資料をそのまま刑事手続に転用することを制約するにとどまり、調査結果が刑事責任追及の端緒となること自体は妨げないと解されている。この境界の評価については学説上なお議論がある
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和49年(1974年) 新設:失業保険法に代わる雇用保険法(昭和49年法律第116号)の制定に伴い、行政庁の立入検査権が本条に置かれた
- 雇用保険法 第76条報告・文書提出命令、立入検査の前段階の書面調査
- 雇用保険法 第83条検査拒否・偽りの陳述に対する罰則、間接強制の要
- 雇用保険法 第86条両罰規定、法人への罰金併科(現行効力を要確認)
- 雇用保険法 第7条事業主の被保険者資格届出義務、検査の主要な確認対象
- 雇用保険法 第8条被保険者の確認請求、立入検査の典型的な端緒
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第43条労働保険料に関する並行的な立入検査権(現行効力を要確認)
- 労働基準法 第101条労働基準監督官の臨検権、司法警察権を伴う点で対照
- 刑事訴訟法 第218条令状による捜索差押え、3項が画する境界の対岸
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