雇用保険法 第84条
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- 労働保険事務組合が次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした労働保険事務組合の代表者又は代理人、使用人その他の従業者は、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
- 一第七条の規定に違反して届出をせず、又は偽りの届出をした場合
- 二第七十六条第一項の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは偽りの報告をし、又は文書を提出せず、若しくは偽りの記載をした文書を提出した場合
- 三第七十六条第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反して証明書の交付を拒んだ場合
- 四第七十九条第一項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは偽りの陳述をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 雇用保険法第84条は、日本の雇用保険法に含まれる条文です。
- 雇用保険法第84条の条文原文は「労働保険事務組合が次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした労働保険事務組合の代表者又は代理人、使用人その他の従業者は、六月以下の拘禁刑又は三十万円…」で始まります。
- 雇用保険法第84条は第八章 罰則に置かれています。
- 雇用保険法の公布日は昭和49年12月28日です。
- 雇用保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 雇用保険法第84条の前の条は雇用保険法第83条です。
- 雇用保険法第84条の次の条は雇用保険法第85条です。
- 雇用保険法第84条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第84条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116 - 本サイト収録
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第84条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/349AC0000000116/84
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点雇用保険法84条は、労働保険事務組合の届出義務違反や報告義務違反、証明書の交付拒否、検査拒否について、違反行為をした職員個人を六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する規定である。
Q · 労働保険事務組合が不正な届出をしたら、罰せられるのは組合ですか、それとも担当職員ですか?
処罰されるのは組合ではなく、違反行為をした職員個人です
雇用保険法84条は、労働保険事務組合が四類型の違反に該当するとき、「その違反行為をした労働保険事務組合の代表者又は代理人、使用人その他の従業者」を六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処すると定めます。名指しされるのは団体ではなく、実際に届出や答弁を行った個人です。組合という法人自体への罰金は、第86条の両罰規定によって別途科される二層構造になっています。「上司の指示だった」という事情は量刑や起訴猶予の判断材料にとどまり、個人の刑事責任そのものを消すものではありません。
解説
商工会や商工会議所、あるいは事業協同組合が「労働保険事務組合」として、あなたの会社の雇用保険手続を代行している。中小企業では珍しくない光景だ。だがこの条文が名指しで刑事罰を科す相手は、団体そのものではない。「その違反行為をした労働保険事務組合の代表者又は代理人、使用人その他の従業者」、つまり実際に手を動かした担当職員個人である。組合の窓口で日々書類を扱っている事務員が、ハローワークの調査官の質問に対して口裏を合わせた瞬間、六月以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金という刑事責任が、その人の名前で立ち上がる。「上司に言われたから」「組合の方針だから」は免罪符にならない。逆に言えば、事業主として組合に手続を委託しているあなたは、組合職員がなぜ「その書類は出せません」と渋るのかを理解できるようになる。彼らは自分の前科を賭けて仕事をしている。
法的な位置づけ
雇用保険法84条は、労働保険事務組合の四類型の義務違反について、団体ではなく違反行為をした代表者・代理人・使用人その他の従業者を処罰する行為者処罰規定である。法定刑は六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金であり、組合という法人に対する罰金は第86条の両罰規定により別途科される。
よくある質問 AI による整理
Q1雇用保険法84条とは何ですか?
労働保険事務組合の四類型の義務違反について、団体ではなく違反行為をした代表者・代理人・使用人その他の従業者個人を、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する罰則規定です。
Q2労働保険事務組合とは何ですか?
中小事業主の委託を受けて労働保険の申告・納付や雇用保険の届出を代行する団体で、商工会・商工会議所・事業協同組合などが厚生労働大臣の認可を受けて担います。根拠は労働保険徴収法33条です。
Q3雇用保険法84条の罰則はいくらですか?
六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金です。2025年6月1日施行の刑法改正で懲役と禁錮が拘禁刑に統合されたため、それ以前の解説にある「六月以下の懲役」は旧表記です。
Q484条で処罰されるのは組合ですか職員ですか?
条文が名指しするのは「その違反行為をした」代表者・代理人・使用人その他の従業者、つまり個人です。組合という法人への罰金は86条の両罰規定によって別に科されます。
Q5労働保険事務組合が証明書の交付を拒むと違法ですか?
76条3項の証明書交付義務に違反する交付拒否は84条三号に該当します。会費未納など組合内部の債権回収の都合は、交付義務を免れる理由になりません。
Q6検査の拒否・妨げ・忌避はどこから成立しますか?
79条1項の立入検査に対し、書類の提示を引き延ばす、立入りを事実上遅らせるといった対応でも、拒否・妨げ・忌避(四号)に該当しうるとされます。書類の破棄までは必要ありません。
Q7雇用保険法83条と84条の違いは何ですか?
83条は事業主側の同種違反に対する罰則、84条は労働保険事務組合側の違反に対する罰則です。手続を自社で行うか組合に委託するかで、適用条文が分かれます。
Q884条違反の公訴時効は何年ですか?
六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金にあたる罪の公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。起算点は偽りの届出をした日や検査を拒んだ日などの行為終了時です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1組合の上司に言われて出した書類でも、平の職員が捕まるんですか?
条文は「その違反行為をした」者を対象とするため、実行した職員個人が名指しされる。指示があったことは量刑や起訴猶予の判断で考慮されるが、責任が上司へ移転するわけではない。実務のポイント:指示系統の記録が残っているかどうかで結論が分かれる。口頭指示だけの職場ほど末端が背負う構造になるため、無理な依頼はその場でメールに残しておくのが実務上の防衛線である
Q2うっかり届出を忘れただけでも刑罰の対象になりますか?
七条の届出をせずに放置すれば一号に形式的には該当するが、刑事罰が実際に発動する場面は限定的で、まずは労働局からの指導・是正勧告が先行する。実務のポイント:発覚後に自主的に届出を補完したかどうかが実質的な分岐点になる。是正が済んでいる事案が起訴まで進むことは稀で、放置と否認を続けた事案だけが刑事手続へ乗る
Q3調査官の質問に「わかりません」と答えるのは、答弁拒否になりますか?
記憶や資料がなく真実として答えられない場合は、七十九条一項の答弁拒否には当たらない。問題になるのは、知っているのに答えない場合と、事実と異なる陳述をした場合である(四号)。実務のポイント:後で「わかりません」が虚偽だったと判断される最大の材料は、同時期の社内メールやメモである。曖昧に答えるより、確認して後日回答すると明言して記録に残す方が安全だ
間違えやすい点 AI による整理
- 「法人が処罰される規定だから、担当者個人は関係ない」という前提そのものが逆立ちしている。この条文は最初から個人だけを名指ししており、団体への罰金は別途の両罰規定(第八十六条)で追加されるという二層構造になっている。個人が先、団体が後だ
- 労働保険事務組合の職員は「自分は公務員ではないから行政調査の答弁義務も軽い」と考えがちだが、雇用保険法の枠内では、委託を受けて公的手続を代行する立場ゆえに、通常の民間事業者より重い応答義務を負う。立場が特殊であることが、責任を軽くするのではなく重くしている
- 「拘禁刑六月以下だから、どうせ罰金で済む」と軽く見る人がいるが、深刻なのは刑の重さではなく前科がつくこと。労働保険事務組合の認可要件・役員の適格性に直結し、有罪となれば職員個人が業界内で事務代行の職に就けなくなる。三十万円の罰金より、その後の職業人生の方が高くつく
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰対象 | 84条:労働保険事務組合の違反行為をした代表者・代理人・使用人その他の従業者(個人) | 83条:事業主側の同種違反(届出・報告・検査対応) 86条:両罰規定により法人・事業主本人にも罰金 |
| 前提となる義務 | 7条の届出、76条1項の報告命令、76条3項の証明書交付、79条1項の質問検査 | 事業主自身が負う同種の届出・報告・検査応答義務 行為者処罰を前提に、業務主へ罰金を追加する構造 |
| 法定刑 | 六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金 | 六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金 行為者処罰に加えて法人へ罰金刑 |
| 実務上の分岐点 | 委託手続を代行する組合職員の署名・答弁が誰のものか | 自社で手続を行った場合の担当者・代表者の関与 法人の選任監督上の注意を尽くしたかどうか |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では投保単位の虚偽申告・不実報告は原則として行政罰(罰鍰)で処理され、日本のように代行団体の職員個人へ刑事罰を直撃させる構造は採っていない
韓国も雇用保険の届出・報告義務違反に罰則を置くが、日本の労働保険事務組合に相当する認可代行団体の制度設計が異なるため、処罰主体の切り分け方も異なる
ドイツは Arbeitsförderung の届出義務違反を原則として秩序違反(Ordnungswidrigkeit)として過料で処理し、刑事罰は詐欺等の一般刑法に委ねる構成が中心
米国は失業保険が州制度であり、虚偽報告は州法の罰則と連邦の虚偽陳述罪が重畳しうる。代行団体という日本固有の中間主体を前提とした規定は存在しない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 商工会の事務局で10年働いてきた職員。会員企業の社長から「離職票の離職理由、自己都合にしといてよ、助成金の関係で」と頼まれた。断れば会員が減る、応じれば七条の届出違反。この条文はその職員個人を、社長ではなく職員個人を、被告人席に座らせる
- 労働保険事務組合に労働局の調査が入り、職員が「その帳簿は倉庫にあって今は出せない」と繰り返した。検査の拒否・妨げ・忌避(四号)は、書類を破棄しなくても、その場での引き延ばしだけで成立しうる。あと数時間の粘りが、罰金三十万円との交換になる
- 委託事業主から「うちの分の労働保険料の納付証明書を出してほしい」と求められた組合が、会費未納を理由に交付を拒んだ。七十六条三項の証明書交付拒否(三号)に該当する。組合内部の債権回収の都合は、この条文の前では抗弁にならない
- もし、あなたが組合の新人職員で、前任者が偽った報告書をそのまま引き継いで労働局へ提出したら? 「違反行為をした」者が誰かが争点になる。作成者か、提出者か、それとも承認した上司か。両罰規定(第八十六条)で組合自体にも罰金が及ぶ構造も同時に動き出す
取るべき行動
被害を受けた側:委託事業主として証明書の交付を拒まれた場合、まず口頭ではなく書面で交付請求を行い、日付と請求内容の記録を残す。七十六条三項の交付義務は組合の内部事情に優先する。それでも拒否されるなら、管轄の都道府県労働局または公共職業安定所へ事実を申告する。刑事罰の適用は捜査機関の判断だが、労働局からの指導だけで交付されるケースが実務上は多い
訴えられた側:調査時の答弁や書類提出について責任を問われそうな場合、まず自分が「違反行為をした者」に当たるかを事実で切り分ける。誰が作成し、誰が判断し、誰が提出したかを時系列で書き出す。次に故意の有無を検証する。この条文は過失犯を処罰する規定を置いておらず、うっかりの記載漏れと「偽りの届出」は法的に別物である。組合の指示に従っただけであっても個人責任は残るため、指示の記録を保全したうえで早期に弁護士へ相談する
時効(請求できる期限):六月以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金にあたる罪の公訴時効は三年(刑事訴訟法二百五十条二項六号)。起算点は犯罪行為が終わった時、つまり偽りの届出をした日や検査を拒んだ日である。なお組合に対する認可取消しなどの行政処分は刑事手続とは別の時間軸で進む
学説
通説:本条は団体の義務違反について現実の行為者を処罰する行為者処罰規定であり、86条の両罰規定と併せて個人責任と法人責任の二層構造を形成する。過失犯処罰の明文がないため、単なる失念と「偽りの届出」は法的に区別されると解されている
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法改正による懲役と禁錮の拘禁刑への統合に伴い、法定刑の表記が「六月以下の懲役」から「六月以下の拘禁刑」へ改められた
改正の年表
- 1.昭和49年(1974年) 新設:雇用保険法(昭和49年法律第116号)の制定に伴い、労働保険事務組合の義務違反に対する行為者処罰規定として設けられた
- 2.令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年6月1日)施行 改正:刑法改正による懲役と禁錮の拘禁刑への統合に伴い、法定刑の表記が「六月以下の懲役」から「六月以下の拘禁刑」へ改められた
- 雇用保険法 第7条一号が前提とする被保険者に関する届出義務
- 雇用保険法 第76条二号三号が前提とする報告命令と証明書交付義務
- 雇用保険法 第79条四号が前提とする立入検査と質問の権限
- 雇用保険法 第83条事業主側の同種違反に対する罰則
- 雇用保険法 第86条法人にも罰金を科す両罰規定
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第33条労働保険事務組合の認可と業務範囲の根拠
- 刑法 第60条指示者との共同正犯の成否
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