雇用保険法 第83条
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- 事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
- 一第七条の規定に違反して届出をせず、又は偽りの届出をした場合
- 二第七十三条の規定に違反した場合
- 三第七十六条第一項の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは偽りの報告をし、又は文書を提出せず、若しくは偽りの記載をした文書を提出した場合
- 四第七十六条第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反して証明書の交付を拒んだ場合
- 五第七十九条第一項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは偽りの陳述をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 雇用保険法第83条は、日本の雇用保険法に含まれる条文です。
- 雇用保険法第83条の条文原文は「事業主が次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 雇用保険法第83条は第八章 罰則に置かれています。
- 雇用保険法の公布日は昭和49年12月28日です。
- 雇用保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 雇用保険法第83条の前の条は雇用保険法第82条です。
- 雇用保険法第83条の次の条は雇用保険法第84条です。
- 雇用保険法第83条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第83条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116 - 本サイト収録
雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第83条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/349AC0000000116/83
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点雇用保険法83条は、事業主が届出義務違反、証明書交付の拒否、検査忌避など五つの類型に該当した場合、六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処すると定める規定である。
Q · 離職票のもとになる証明書を出さない会社に、刑事罰はあるの?
事業主に六月以下の拘禁刑か三十万円以下の罰金を科す規定です
雇用保険法83条は、事業主が①第7条の届出義務違反、②第73条違反(確認請求を理由とする不利益取扱い)、③第76条第1項の報告命令違反、④第76条第3項の証明書交付拒否、⑤第79条第1項の質問検査の拒否・妨害・忌避のいずれかに該当する場合、六月以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金に処すると定めます。労働者側から見れば、離職に必要な証明書を正当な理由なく拒む行為が刑事罰の対象になるということです。法人の場合は86条の両罰規定により、行為者と法人の双方に罰金が科されます。
解説
退職した会社が離職票のもとになる離職証明書を出さない。パートを雇用保険に入れないまま何年も放置している。労働局の職員が来ても「忙しい」と追い返す。これらはすべて、事業主の側に六月以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金という刑事罰が待っている行為である。雇用保険法83条は、五つの違反類型を並べた事業主専用の罰則条文だ。中でもあなたが握っておくべきは2号と4号。2号は、労働者が「自分は雇用保険に入っているのか」とハローワークに確認請求したことを理由に解雇や不利益な扱いをした事業主を罰する。4号は、失業給付を受けるために必要な証明書の交付を正当な理由なく拒んだ事業主を罰する。つまり、あなたが会社に何かを求めたとき、会社が「出せない」「やめておけ」と返す場面の多くは、会社側にとって刑事リスクを負う分岐点になっている。その事実を知っているかどうかで、あなたが送る一通のメールの文面が変わる。
法的な位置づけ
雇用保険法第83条は、事業主を名宛人とする罰則規定であり、第7条の届出義務違反、第73条の不利益取扱い禁止違反、第76条第1項の報告命令違反、第76条第3項の証明書交付拒否、第79条第1項の質問検査の拒否・妨害・忌避という五つの類型について、六月以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金を定める。
手順
- 1.退職日の翌日から10日を過ぎたら書面で請求する 資格喪失届の提出期限が被保険者でなくなった日の翌日から10日以内(雇用保険法施行規則7条)であることを明記し、離職証明書の交付をメールまたは書面で請求する。送信記録と到達記録を必ず残す
- 2.ハローワーク適用課に離職票交付の申請を行う 会社が応じない場合、離職票を交付するのはハローワークであることを踏まえ、管轄のハローワーク適用課に相談し、離職者本人として離職票交付の申請を行う。ハローワークから事業主へ督促がかかる
- 3.職権確認に耐える資料を自分の手元で揃える 給与明細、賃金台帳の写し、タイムカード、雇用契約書、振込履歴を時系列で揃える。会社が資料を出さなくても、これらをもとに職権で確認が進む運用がある。雇用保険料の控除が確認できれば2年を超える遡及の根拠にもなる
- 4.未加入なら8条の確認請求を併せて行う そもそも被保険者として届け出られていない場合は8条の確認請求を行う。請求を理由に解雇やシフト削減などの不利益を受けたら、請求日と処遇変更日を記録し、73条違反・83条2号として労働局に持ち込む
よくある質問 AI による整理
Q1雇用保険法83条とは何ですか?
事業主専用の罰則規定です。届出義務違反、不利益取扱い、報告義務違反、証明書交付拒否、検査忌避の五類型に、六月以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金を定めています。
Q2離職証明書を出さない会社は違法ですか?
正当な理由なく拒めば違法です。76条3項が交付義務を定め、違反は83条4号の刑事罰の対象になります。事務が煩雑、退職の経緯に不満がある、は正当な理由になりません。
Q3雇用保険の未加入に罰則はありますか?
あります。7条の届出をしなかった、または偽りの届出をした事業主は83条1号の対象です。損害が発生していなくても、届出を怠った時点で構成要件を満たします。
Q4資格喪失届の提出期限はいつまでですか?
被保険者でなくなった日の翌日から10日以内です(雇用保険法施行規則7条)。この期限を過ぎたら、催促を口頭から書面・メールに切り替える目安になります。
Q5拘禁刑と懲役は何が違いますか?
拘禁刑は懲役と禁錮を一本化した自由刑で、2025年6月1日から施行されました。本条の法定刑も「六月以下の懲役」から「六月以下の拘禁刑」に改められています。
Q6会社が罰せられると社長も罰金ですか?
86条の両罰規定により、違反行為をした行為者本人と法人の双方に罰金が科される建て付けです。担当者一人の判断で処理させてはいけない理由がここにあります。
Q7労働局の調査を断るとどうなりますか?
79条1項の質問に答弁しない、偽りの陳述をする、検査を拒み・妨げ・忌避した場合、83条5号に該当しうります。繁忙を理由にした追い返しも忌避と評価される余地があります。
Q8確認請求をしたら解雇されました。違法ですか?
73条は確認請求を理由とする解雇その他の不利益取扱いを禁じており、違反した事業主は83条2号の対象です。請求日と処遇変更日の記録を残して労働局へ持ち込んでください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社が離職票を出してくれないんですけど、どうすればいいですか?
76条3項により、事業主は失業等給付に必要な証明書の交付を正当な理由なく拒めず、拒めば83条4号の罰則対象になる。実務ではハローワークに離職票交付の申請を行い、ハローワークから事業主へ督促がかかる。実務のポイント:告発を口にする前に「ハローワークに相談に行きます」と伝えるだけで大半は動く。事業主が本当に嫌がるのは刑罰より、調査が他の未加入者にも波及することだからだ
Q2パートで働いてきたのに雇用保険に入れてもらっていません。今から遡れますか?
8条の確認請求で争える。遡及は原則2年前までだが、給与から雇用保険料が控除されていたことが確認できる期間は2年を超えて遡及できる(14条2項)。会社の届出義務違反は83条1号の対象。実務のポイント:請求したことを理由とする解雇や不利益取扱いは73条違反で83条2号にあたる。この二つの条番号を先に押さえておくと、在職中に請求するという選択肢が現実的になる
Q3届出を忘れていた事業主です。今から自分で申し出たら、いきなり刑事罰ですか?
実務上、直ちに起訴される例は稀で、労働局の是正指導と遡及届出、保険料の遡及徴収(労働保険の保険料の徴収等に関する法律)が先行するのが通例。ただし意図的な隠蔽や虚偽の届出は評価が変わる。実務のポイント:調査で未加入者が一人見つかると、全従業員の遡及点検に発展する。自主的に遡及届を出すのと調査で掘り出されるのとでは、追徴の範囲も担当官の見方も別物になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「離職票を出さない会社は不誠実だ」までは多くの人が知っている。知られていないのは、その深刻度だ。失業給付に必要な証明書の交付を正当な理由なく拒む行為は、単なるマナー違反ではなく76条3項違反として83条4号の刑事罰の対象である。労使のもめごとの話ではなく、刑事の話に変わる分岐がここにある
- 「どうすれば会社に離職票を出させられるか」という問いの立て方自体がずれている。離職票を発行するのはハローワークであり、会社が出すのは離職証明書だ。会社が動かない場合、離職者本人がハローワークに離職票交付の申請を行い、給与明細や賃金台帳をもとに職権で手続が進む運用がある。会社を動かすことが唯一の道ではない
- あなたから見れば「社長が忙しくて手が回らないだけ」に映る。法から見れば、名宛人は社長個人の善意ではなく「事業主」という地位であり、法人の場合は86条の両罰規定で行為者本人と法人の双方に罰金が科される構造になっている。個人の性格の問題として処理している間に、期限だけが過ぎていく
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 名宛人 | 雇用保険法83条:事業主(行為者本人) | 雇用保険法86条:法人または人(両罰規定) 労働基準法22条:使用者(退職時証明の交付義務) |
| 対象行為 | 届出違反・不利益取扱い・報告義務違反・証明書交付拒否・検査忌避の五類型 | 83条等の違反行為が業務に関して行われたこと 退職者が請求した使用期間・業務種類・退職事由等の証明書を交付しないこと |
| 効果 | 六月以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金 | 行為者を罰するほか、法人にも罰金刑 同法の罰則の対象(失業給付の可否ではなく退職証明の場面を規律) |
| 労働者側の使い方 | 離職証明書・被保険者資格を動かす交渉カード | 担当者個人ではなく会社として対応させる圧力 離職理由の食い違いを争う際の別ルート |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は投保単位(雇主)が加入手続を怠った場合を主に行政罰鍰で処理し、日本のように自由刑を正面から置く構造ではない。労働者側は労保局への申告で争う
韓国も事業主の被保険者資格届出義務違反を罰則で担保する構造を採り、근로복지공단への확인청구が労働者側の入口になる点で日本と近い
ドイツは使用者の届出義務違反を原則として Ordnungswidrigkeit(秩序違反=過料)として処理し、悪質な社会保険料の不納付は刑法典の別条で処罰する二層構造
米国は失業保険を連邦税+州運営で組み立て、使用者の報告義務違反は主に加算税・民事制裁金で処理される。刑事罰は虚偽申告など故意の類型に限られる傾向
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 退職から二週間、離職票が届かない。会社は「まだ手続き中」と繰り返す。失業給付の手続は離職票がないと着手できず、初回認定日までの空白が家賃の引き落とし日と重なる。資格喪失届の提出期限は被保険者でなくなった日の翌日から10日以内(雇用保険法施行規則7条)で、その先に証明書の交付を正当な理由なく拒めば83条4号の対象になる。残された時間は10日ではなく、あなたの口座残高が持つ日数の方だ
- もし、あなたが「自分は雇用保険に入っていないのでは」とハローワークに確認請求(8条)した翌週、シフトをゼロにされたとしたら? 73条は確認請求を理由とする解雇その他の不利益取扱いを禁じ、違反した事業主は83条2号で六月以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金。労働者側の請求権と、事業主側の刑事リスクが同じ一本の線でつながっている
- 従業員20名の飲食店を経営している。労働局の職員が来店し、賃金台帳の提示と質問を求めた。ランチのピークだからと追い返した。79条1項の検査忌避として83条5号に該当しうる
- 週20時間以上、31日以上の雇用見込みという要件を満たすパート従業員を、事務が煩雑だからと届け出ていない。7条違反は「届け出なかったこと」自体で83条1号の構成要件を満たす。損害が発生していなくても、届出を怠った時点で完成している類型である点が、他の労働紛争と決定的に違う
- 友人から「会社が離職理由を自己都合で書いて出したらしい」と相談された。離職理由の争いは離職票の異議申立てで戦う話だが、行政庁の命令に対して偽りの報告をしたのであれば83条3号の射程に入る。どちらの土俵で戦うかを最初に切り分けられるかどうかで、費やす時間が数か月変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 退職日の翌日から10日を過ぎたら、離職証明書の交付をメールか書面で請求し、送信記録を残す。2. 応じなければ管轄のハローワーク適用課に相談し、離職票交付の申請を行う。3. 給与明細、賃金台帳の写し、タイムカード、雇用契約書を揃える。会社が出さなくても、これらをもとに職権で確認が進む運用がある。4. そもそも未加入なら8条の確認請求を併せて行い、それを理由に不利益を受けたらその経緯も記録して労働局へ持ち込む
訴えられた側:1. 未提出や未加入に気付いた時点で自主的に遡及届出を出す。調査で発覚するより、追徴の範囲でも心証でも有利になる。2. 証明書の交付を拒むには「正当な理由」が要る。手続が煩雑、退職の経緯に不満がある、はいずれも正当な理由にならない。3. 立入検査は拒まず、その場で出せない書類は提出期限を協議する。忌避と評価されると5号に該当しうる。4. 法人は86条で会社にも罰金が及ぶ。担当者一人の判断で処理させない
時効(請求できる期限):刑事の側:公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項、長期5年未満の拘禁刑または罰金に当たる罪。犯罪行為が終わった時から起算)。給付の側:被保険者資格の遡及確認は原則として確認の日の2年前まで(雇用保険法14条2項)、ただし給与から雇用保険料が控除されていたことが確認できる期間は2年を超えて遡及できる。事業主の資格喪失届の提出期限は、被保険者でなくなった日の翌日から10日以内(雇用保険法施行規則7条)
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法改正による懲役と禁錮の拘禁刑への統合に伴い、本条の法定刑が「六月以下の懲役」から「六月以下の拘禁刑」に改められた
改正の年表
- 1.昭和49年(1974年) 新設:雇用保険法の制定に伴い、事業主の届出義務違反等に対する罰則として本条が置かれた
- 2.令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年6月1日)施行 改正:刑法改正による懲役と禁錮の拘禁刑への統合に伴い、法定刑が「六月以下の懲役」から「六月以下の拘禁刑」に改められた
- 雇用保険法 第7条被保険者資格の得喪に関する事業主の届出義務
- 雇用保険法 第73条確認請求を理由とする不利益取扱いの禁止
- 雇用保険法 第76条報告命令および証明書交付義務の根拠
- 雇用保険法 第79条当該職員の質問検査権、忌避が処罰対象
- 雇用保険法 第86条両罰規定、法人にも罰金刑を科す
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律 第46条適用徴収面における事業主罰則の並行規定(現行効力を要確認)
- 健康保険法 第208条社会保険の届出義務違反に対する並行罰則(現行効力を要確認)
- 労働基準法 第22条退職時証明の交付義務、証明拒否局面の並行規定
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