要点雇用保険法 85 条は、報告をしない、職員の質問に答えない、検査を拒むなどの調査妨害に対し、六月以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金を科す。給付の受給がなくても成立する。
Q · 失業給付を受け取っていなくても、ハローワークの調査に応じないと罰せられるの?
受け取っていなくても、調査に応じなければ処罰されます
雇用保険法 85 条は、不正受給そのものではなく調査手続への非協力を処罰する規定です。77 条の報告命令に応じない、偽りの報告や偽りの記載をした文書を提出する、出頭しない、79 条 1 項の職員の質問に答えない、偽りの陳述をする、検査を拒み・妨げ・忌避する——これらは失業等給付を一円も受け取っていなくても、六月以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金の対象になります。不正受給に対する返還・納付命令(10 条の 4)や 83 条の罰則とは別の軌道で成立します。
ハローワークの窓口で、担当職員から「この期間、本当に働いていませんでしたか」と聞かれる。あるいは事業所に調査官が来て、出勤簿と賃金台帳を見せろと言われる。そこで面倒だからと黙る、適当に答える、書類を出し渋る。その瞬間、あなたは雇用保険法 85 条の射程に入っている。この条文が処罰するのは「不正受給そのもの」ではない。不正受給の罰は 83 条にあり、こちらは調査への非協力、つまり手続段階の妨害だ。報告しない、嘘の報告をする、文書を出さない、出頭しない、職員の質問に答えない、検査を拒む。これらは単独で六月以下の拘禁刑または二十万円以下の罰金にあたる。給付を一円も受け取っていなくても成立する。しかも名宛人は被保険者だけでなく、受給資格者等、教育訓練給付金の支給対象者、未支給給付を請求する者、そして「その他の関係者」まで広い。あなたが家族の未支給給付を請求した遺族であっても、この条文の当事者になりうる。
雇用保険法 85 条は、失業等給付をめぐる行政調査の実効性を担保する罰則規定である。被保険者、受給資格者等、教育訓練給付金支給対象者、未支給給付の請求者その他の関係者を名宛人とし、日雇労働被保険者手帳の不正取得、報告命令違反、職員の質問に対する不答弁・虚偽陳述、検査の拒否・妨害・忌避を構成要件として、六月以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金を定める。
失業等給付に関する行政調査への非協力を処罰する罰則規定です。報告命令違反、質問への不答弁・虚偽陳述、検査拒否が対象で、六月以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金が定められています。
77 条の命令に基づく出頭要請に応じない場合、85 条 2 号の不出頭として処罰対象になります。行政からの呼び出しは任意のお誘いではなく、罰則で担保された義務です。
違法です。79 条 1 項の職員の質問に対する偽りの陳述は 85 条 3 号にあたり、給付を受け取っていなくても六月以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金の対象になります。
法定刑が六月以下の拘禁刑であるため公訴時効は 3 年です(刑事訴訟法 250 条 2 項 6 号)。起算点は報告期限の経過時や虚偽陳述をした時点など、行為の終了時になります。
83 条は主として事業主等を名宛人とする罰則で、85 条は被保険者・受給資格者等・関係者の調査非協力を対象とします。85 条は給付を受け取ったかどうかを問いません。
44 条に違反して偽りその他不正の行為で交付を受けた時点で 85 条 1 号が成立します。給付金を受け取る前でも犯罪は完成しており、手帳の取得自体が処罰対象です。
回答前の段階が最も選択肢が広く、事実整理と自主的な訂正申告を選べます。社会保険労務士または弁護士への相談は、虚偽の陳述をする前に行うことが決定的に重要です。
条文上「未支給の失業等給付等の支給を請求する者」が名宛人に含まれるため、遺族も対象です。相続手続の一環という感覚で照会を放置すると、遺族自身が処罰対象になりえます。
79 条 1 項の職員の質問に対して答弁しない、または偽りの陳述をした場合、85 条 3 号により六月以下の拘禁刑または二十万円以下の罰金の対象になる。実際に起訴されるのは悪質な事案に絞られるが、条文上は成立する。業界裏話ヒント:実務で刑事処分に進むかの分水嶺は、金額の大小より「調査に対する態度」である。誤りを自ら訂正した事案と、督促を繰り返し無視した事案では、同じ金額でも扱いが変わる
別制度なので併存しうる。返還命令と最大 2 倍額の納付命令(10 条の 4)は行政上の措置、85 条は刑事罰である。さらに詐欺的な受給には 83 条の罰則もあり、こちらが適用される場合もある。業界裏話ヒント:返還さえすれば刑事は動かないと考える人が多いが、返還は情状にはなっても構成要件を消さない。特に調査妨害型の 85 条は、返還の有無と論理的に無関係である
85 条 2 号は「文書を提出せず」を処罰対象にしているが、犯罪の成立には故意が必要である。真に紛失していて提出できない場合は、その事情を書面で説明し、代替資料を提示することで対応する。業界裏話ヒント:黙って提出しないことと、提出できない理由を説明することは、記録上まったく別の意味を持つ。説明の記録が残っていれば、後に故意を争う際の中核証拠になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 処罰・措置の性質 | 85 条:調査手続への非協力に対する刑事罰 | — |
| 給付の受給が必要か | 不要。一円も受け取っていなくても成立する | — |
| 典型的な行為態様 | 報告しない、偽りの報告、文書不提出、不出頭、不答弁、虚偽陳述、検査拒否 | — |
| 法的効果 | 六月以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金(前科となる) | — |
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