民事執行法 第116条(保管人の選任等)
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- 執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、必要があると認めるときは、強制競売の開始決定がされた船舶について保管人を選任することができる。
- 2.前項の保管人が船舶の保管のために要した費用(第四項において準用する第百一条第一項の報酬を含む。)は、手続費用とする。
- 3.第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
- 4.第九十四条第二項、第九十六条及び第九十九条から第百三条までの規定は、第一項の保管人について準用する。
この条文の基本情報
保管人の選任等とは何ですか?
定義保管人の選任等とは、民事執行法第116条に定められた規定で、「執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、必要があると認めるときは、強制競売の開始決定がされた船舶について保管人を選任することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第116条(保管人の選任等)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第116条の条文原文は「執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、必要があると認めるときは、強制競売の開始決定がされた船舶について保管人を選任することができる。」で始まります。
- 民事執行法第116条は第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第116条の前の条は民事執行法第115条です。
- 民事執行法第116条の次の条は民事執行法第117条です。
- 民事執行法第116条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第116条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第116条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/116
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法116条は、差押債権者の申立てにより、執行裁判所が強制競売開始決定後の船舶に保管人を選任できると定める。保管費用は手続費用として優先回収される。
Q · 差し押さえた船が勝手に出港しないよう、港に縛りつける方法はある?
申立てで保管人を付け出港と劣化を止められます
民事執行法116条により、差押債権者は執行裁判所に申し立て、強制競売開始決定がされた船舶に保管人を選任できます。保管人は船を物理的に管理し、船員による無断出港や船体の劣化を防ぎます。その保管費用は手続費用として競売代金から最優先で回収され(2項)、立替えは配当の一番上で戻ります。実務では船舶国籍証書等の取上げ(115条)と同時に申し立てるのが鉄則です。選任決定に不服があれば執行抗告で争えます(3項)。
解説
あなたが融資した相手が返済を止めた。担保は一隻の貨物船。土地なら逃げないが、船は違う。強制競売の開始決定を取っても、その船が横浜の岸壁を離れてシンガポールへ向かえば、あなたの担保は公海の彼方だ。民事執行法116条は、この「逃げる担保」を港に縛りつける鍵を差押債権者に渡す。裁判所に申し立てれば、船に保管人を選任できる。保管人は船を物理的に管理し、船員による無断出港や船体の劣化を止める。しかも保管費用は「手続費用」となり、競売代金から最優先で回収される。つまり、あなたが立て替えた保管料は、配当の一番上で戻ってくる。船を押さえる者がこれを知らないと、数か月の競売手続の間に、担保価値が錆と港湾料で溶けていく。
法的な位置づけ
民事執行法116条は、船舶執行における保管人の選任を定める規定である。強制競売の開始決定がされた船舶につき、執行裁判所は差押債権者の申立てにより、必要があると認めるときに保管人を選任でき、その保管に要した費用は手続費用として扱われる。選任についての決定には執行抗告による不服申立てが認められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.船の現在地・定係港・出港予定を把握 強制執行を検討したら、まず対象船が今どの港にいて、いつ出港予定かを確認する。船は不動産と違い数時間で日本の海を離れるため、時間軸の把握が回収の成否を分ける
- 2.強制競売の開始決定を取得 執行裁判所に強制競売を申し立て、開始決定(114条)を得る。ただし開始決定は法律上の差押えにすぎず、これだけでは船は物理的に止まらないことを前提に次の手続を準備する
- 3.保管人選任と国籍証書取上げを同時申立て 保管人の選任(116条1項)と船舶国籍証書等の取上げ(115条)を一つの申立てでまとめて出す。時間差を作るとその隙に船が出港・回航されるため、同時申立てが担保を逃がさない唯一のタイミング
- 4.実務能力のある保管人を推薦 保管人には船舶管理会社など実際に船を管理できる者を推薦する。船員の労働債権や港湾料の優先関係、稼働停止中の劣化対策を事前に確認し、保管計画を立てる
- 5.保管費用を手続費用として配当で計上 立て替えた保管費用は手続費用(116条2項)として配当で最優先回収される。領収書・報酬明細を保管し、配当時に手続費用として計上して立替分を回収する
よくある質問 AI による整理
Q1船舶執行とは何ですか?
総トン数20トン以上の船舶を対象とする不動産に準じた強制執行です。開始決定・保管人選任・国籍証書取上げなどの手続で船を差し押さえ、競売して債権を回収します。20トン未満は動産執行になります。
Q2保管人の選任はどう申し立てるの?
差押債権者が執行裁判所に書面で申し立てます。強制競売の開始決定を得た後、保管の必要性を疎明して申立てを行い、実務では船舶国籍証書等の取上げ(115条)と同時に出すのが定石です。
Q3船舶国籍証書等の取上げ(115条)とは?
船舶執行で船を物理的に足止めするため、船長から船舶国籍証書などの航行に必要な書類を取り上げる手続です。保管人選任(116条)とセットで機能し、無断出港を防ぎます。
Q420トン未満の船は差し押さえられますか?
できますが手続が違います。総トン数20トン未満の船は原則として動産執行の対象で、116条を含む船舶執行は適用されません。入口を間違えると手続全体がやり直しになります。
Q5船舶執行の執行抗告はいつまでにできますか?
保管人選任決定の告知を受けた日から1週間の不変期間内です(民執10条2項)。この期間を過ぎると決定は確定し、もはや争えなくなります。
Q6保管人には誰がなれますか?
法律上の資格制限はありませんが、実務では船舶管理会社など船を実際に管理できる能力のある者が選任されます。船員の労働債権や港湾料の扱いを事前に確認しておくことが重要です。
Q7差し押さえた船の保管費用はどれくらいかかりますか?
係留料・港湾使用料・保管人報酬・維持管理費などがかかり船種と期間で変動します。これらは手続費用として競売代金から最優先で回収されるため、立替えは損になりません。
Q8船を差し押さえられたら船主はどうすればいいですか?
保管人選任に不服なら告知から1週間以内に執行抗告を。事業継続の必要が高いなら、保証を提供して強制競売手続そのものの取消しを求める道(117条)がより実効的です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1差し押さえた船が勝手に出港しちゃうことってあるんですか?
あり得ます。強制競売の開始決定(114条)は法律上の差押えにすぎず、船を物理的に拘束するものではありません。船を港に足止めするには、保管人の選任(116条)と船舶国籍証書等の取上げ(115条)を別に申し立てる必要があります。実務のポイント:実務では開始決定、保管人選任、国籍証書取上げを同時に申し立てるのが鉄則です。時間差を作ると、その隙に便宜置籍船が外国の港へ回航され、担保が事実上追えなくなる。だから経験ある代理人は一枚の申立てにまとめる
Q2保管人の費用って、結局申し立てた自分が丸損しませんか?
丸損にはなりません。116条2項で、保管費用(準用される101条1項の報酬を含む)は「手続費用」とされ、競売代金から最優先で回収されます。あなたの立て替えは配当の一番上で戻ってくる仕組みです。実務のポイント:手続費用は抵当権者や一般債権者への配当より先に処理されます。だから費用の立替えを渋る債権者が多い中で、先に立て替えて船価を維持した債権者は、劣化した担保より高い代金で回収できる。ためらう者ほど損をする構造です
間違えやすい点 AI による整理
- 「開始決定さえ出せば船は動かせない」と思いがちだが、開始決定(114条)は書類上の差押えにすぎない。船を物理的に止めるには、保管人の選任(116条)と船舶国籍証書等の取上げ(115条)を別途申し立てる必要がある。決定だけで安心していると、船は普通に出港する
- 保管人の費用が自腹だと知っている人でも、その費用が「手続費用」として配当で最優先回収される(2項)ことまでは知らない。立替えは損ではなく、むしろ優先的に戻る投資だと分かれば、申立てをためらう理由が消える
- 「20トン未満の小型ボートも同じ手続で押さえられる」という前提で相談に来る人がいるが、問いの立て方そのものが間違っている。総トン数20トン未満の船は原則として動産執行の対象で、船舶執行(116条を含む)は適用されない。押さえ方の入口を間違えると、手続全体がやり直しになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 目的・機能 | 116条:保管人を選任し船を管理下に置く(無断出港・劣化防止) | 115条:船舶国籍証書等を取り上げ船を物理的に足止め 117条:船主が保証を提供し強制競売手続そのものを取消し |
| 申立権者・要件 | 差押債権者の申立て+執行裁判所が必要と認めるとき | 差押債権者の申立て(開始決定後、航行阻止の必要) 船主(債務者・船舶所有者)が保証を提供 |
| 費用・効果 | 保管費用は手続費用として配当で最優先回収(2項) | 書類取上げにより出港を封じる(保管人選任と併用) 保証提供で船を解放し営業を継続できる |
| 不服申立て | 選任決定に執行抗告(3項、告知から1週間) | 取上げ処分に執行異議等 取消決定に対する不服手続 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も船舶を不動産に準じて執行し、査封後の船舶保管や航行阻止の仕組みを置く。逃走する担保の固定という機能面で日本の116条・115条に近い
韓国は船舶執行に감수보존처분(監守保存処分)を設け、監守者による船舶の保管・航行阻止を認める。日本の保管人選任と類似の機能を果たす
ドイツは船舶の仮差押(Schiffsarrest)と登記船舶の強制競売(ZVG)で船舶執行を規律し、保管・管理のための処分を認める。日本法の母法的位置にある
米国は海事管轄下で連邦執行官(U.S. Marshal)が船舶を差し押さえ、substitute custodian に保管を委ねる。保管費用は優先的費用として扱われる点で機能が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 差し押さえた漁船が、あと3日で漁期に合わせて出港するとの情報が入った。開始決定は出ているが、それだけでは船は止まらない。今日中に保管人選任を申し立て、国籍証書を取り上げなければ、担保は日本海の彼方へ消える
- 船舶抵当権を設定して融資したが、船主が破綻。船は名古屋港に係留されているが、船員の給料が滞り、いつ誰が船を動かすか分からない。保管人を立てれば、あなたのコントロール下で船を管理し、稼働停止中の劣化も抑えられる
- あなたの持ち船が差し押さえられ、裁判所が保管人を選任した。船の指揮権はあなたの手を離れる。選任が不当だと思うなら、執行抗告で争える
- 修繕代金を踏み倒した船主の船が、明日にも他港へ回航されそうだとしたら、あなたはどう足止めする? 造船所として強制執行を検討しているなら、開始決定と同時に保管人選任を打つ以外に、手はない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 強制競売の開始決定を得たら、間を置かず保管人選任(116条1項)と船舶国籍証書等の取上げ(115条)をセットで申し立てる2. 船の現在地、定係港、出港予定を把握し、出港前に手続を完了させる3. 保管人には船舶管理会社など実務能力のある者を推薦し、船員の労働債権や港湾料の扱いを事前に確認する4. 立て替えた保管費用は手続費用として配当で回収されるので、領収書を保管し配当時に計上する
訴えられた側:1. 保管人選任決定に不服なら、告知から1週間以内に執行抗告(116条3項、10条)を申し立てる2. 保管の必要性がないこと(既に係留され逃走の恐れがない等)を疎明して争う3. 事業継続の必要が高い船なら、保証を提供して強制競売手続そのものの取消しを求める道(117条)がより実効的4. 保管費用が過大なら、準用される報酬規定(101条)の相当性を争う
時効(請求できる期限):執行抗告は、裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間内(民事執行法10条2項)。この期間を過ぎると保管人選任の決定は確定し、もはや争えなくなる
学説
通説:116条の保管人選任は、船舶という移動・劣化する担保の価値を保全するための実力行使的処分であり、115条の国籍証書取上げと併用して初めて実効性を持つと解される。保管費用の手続費用化は費用立替えの誘因を制度的に担保するものと位置づけられる。
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