受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 最終改正 収録時点 令和8年10月9日読了 7 分7 分7 分

民事執行法 第129条(剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等)

クイックジャンプ
  1. 差し押さえるべき動産の売得金の額が手続費用の額を超える見込みがないときは、執行官は、差押えをしてはならない。
  2. 2.差押物の売得金の額が手続費用及び差押債権者の債権に優先する債権の額の合計額以上となる見込みがないときは、執行官は、差押えを取り消さなければならない。

この条文の基本情報

剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等とは何ですか?

定義剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等とは、民事執行法第129条に定められた規定で、「差し押さえるべき動産の売得金の額が手続費用の額を超える見込みがないときは、執行官は、差押えをしてはならない。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 民事執行法第129条(剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
  2. 民事執行法第129条の条文原文は「差し押さえるべき動産の売得金の額が手続費用の額を超える見込みがないときは、執行官は、差押えをしてはならない。」で始まります。
  3. 民事執行法第129条は第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行に置かれています。
  4. 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
  5. 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
  6. 民事執行法第129条の前の条は民事執行法第128条です。
  7. 民事執行法第129条の次の条は民事執行法第130条です。
  8. 民事執行法第129条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第129条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004
  • 本サイト収録民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第129条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/129

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点民事執行法129条は、動産の売得金が手続費用(及び優先債権)を超える見込みがないとき、執行官に差押えの禁止(1項)と取消し(2項)を命じる、剰余主義に基づく規定である。

Q · 勝訴したのに、相手の家財を差し押さえできないことがあるって本当?

売れば費用倒れになる動産は差押えできません

民事執行法129条1項は、差し押さえる動産の売得金が執行手続費用を超える見込みがないとき、執行官に差押えそのものを禁じます。中古家電や家具はオークションで値がつかず費用倒れになるためです。2項では、既に差し押さえた物でも、売得金が手続費用と優先債権(質権・動産先取特権など)の合計に満たない見込みなら、執行官は差押えを取り消さなければなりません。動産執行が空回りするなら、預貯金や給与の差押えへ切り替えるのが実務の定石です。

解説

貸した金が返ってこない。裁判で勝った。次は差押えだ、と執行官を連れて債務者の家に乗り込む。テレビ、冷蔵庫、ソファ、応接セット。ところが執行官はメジャーではなく電卓を叩き、手を止める。民事執行法129条1項は、差し押さえる動産の「売得金」が手続費用を超える見込みがないとき、執行官に差押えそのものを禁じる。中古の家電や家具はオークションで二束三文、執行の手数料や保管費用にすら届かない。だから執行官は「差し押さえても無駄です」と告げる。さらに2項では、すでに差し押さえた物でも、売った金が手続費用と優先債権(質権や動産先取特権など、他人が先に取れる権利)の合計に届かない見込みなら、執行官は差押えを取り消さなければならない。あなたが債権者なら、これは動産執行という手段の限界を教える条文だ。あなたが債務者なら、生活を支える家財が経済的な理由でも守られていると知る条文だ。

法的な位置づけ

民事執行法129条は、動産執行における無剰余差押えの禁止を定める規定である。差し押さえるべき動産の売得金が執行手続費用を超える見込みがない場合には差押えを禁じ(1項)、既に差し押さえた物でも売得金が手続費用と優先債権の合計に達しない見込みのときは差押えの取消しを執行官に義務づける(2項)。剰余主義の動産版として機能する。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.動産執行の前に採算を計算する 対象動産の中古相場(メルカリ・リサイクルショップ・オークション価格)を調べ、予納金・保管費・売却費などの執行手続費用と比較する。売得金が費用を下回るなら、その時点で無剰余(空振り)と判断できる
  2. 2.相手の優先債権・担保を確認する 対象動産にリース、所有権留保、質権、動産先取特権など優先する権利がないかを契約書で確認する。優先債権があれば売得金から先に引かれ、129条2項で差押えが取り消される見込みが高い
  3. 3.無剰余なら債権執行へ切り替える 動産が無剰余と判明したら家財の差押えは諦め、預貯金債権・給与債権など実効性のある対象へ執行を切り替える(民事執行法143条以下の債権執行)。動産にこだわると予納金と時間を失う
  4. 4.財産の在りかを特定する 相手の口座や勤務先が不明なら、財産開示手続や第三者からの情報取得手続(令和元年改正で強化)を使い、金融機関に口座の有無を回答させてから債権執行を申し立てる

よくある質問 AI による整理

Q1無剰余とは何ですか?

差し押さえた物を売っても、その代金が執行手続費用(や優先債権)に届かない状態です。民事執行法129条により、無剰余の動産は差押えが禁止・取消しの対象となります。

Q2動産執行の費用はいくらかかりますか?

申立手数料のほか、執行官への予納金(数万円程度)、保管費、売却費がかかります。無剰余で空振りに終わると、予納金が戻らないこともあるため事前見積もりが重要です。

Q3差し押さえできない財産にはどんなものがありますか?

生活に不可欠な衣類・寝具・家具や一定額の現金などは差押禁止動産です(民事執行法131条)。これとは別に、費用倒れになる動産は129条で差押え自体が禁じられます。

Q4財産開示手続とは何ですか?

債務者に財産の状況を裁判所で陳述させる手続です。令和元年改正で第三者からの情報取得手続も強化され、預貯金口座や勤務先を特定してから執行に進めるようになりました。

Q5給料は差し押さえられますか?いくらまで?

給与債権は差押えの本命です。ただし原則として手取りの4分の3(一定額以上は33万円超部分)は差押禁止で、生活保障のための上限が定められています。

Q6差押えが取り消されるのはどんな場合ですか?

民事執行法129条2項では、売得金が手続費用と優先債権の合計に届かない見込みのとき、執行官が差押えを取り消します。130条の売却見込みなしの場合も取消しの対象です。

Q7執行異議はどうやって申し立てますか?

執行官の処分に不服があるときは、執行裁判所に執行異議を申し立てます(民事執行法11条)。無剰余の違法な差押えが成立した場合の是正手段になります。

Q8判決後、何年以内に強制執行しないと時効になりますか?

確定判決で確定した債権は、確定の時から10年で時効消滅します(民法169条)。強制執行や催告などで時効の完成を猶予・更新できます。

この条文についての質問 AI による整理

Q1判決で勝ったのに、相手の家財を差し押さえできないってどういうことですか?

民事執行法129条1項が、売っても手続費用に届かない動産の差押えを執行官に禁じているからです。中古の家電や家具はオークションでほとんど値がつかず、費用倒れになります。実務のポイント:弁護士やサービサーは、最初から動産執行をほぼ狙いません。本命は預貯金と給与。動産は相手に心理的圧力をかける目的で申し立てることはあっても、回収手段としては期待していない

Q2相手に他の借金や担保があると、私の差押えはどうなりますか?

129条2項により、その動産の売得金が手続費用と優先債権(質権・動産先取特権など)の合計に届かない見込みなら、執行官はあなたの差押えを取り消さなければなりません。実務のポイント:リース物件や所有権留保付きの商品は、見た目は債務者の物でも法的には他人の担保下にあります。店舗や事務所の設備を差し押さえようとして、リース会社の優先権で全部取り消されるのは、実務でよくある空振りパターン

Q3動産がダメなら、何を差し押さえればいいんですか?

預貯金債権と給与債権が本命です(民事執行法143条以下の債権執行)。相手の口座や勤務先が分からなければ、令和元年改正で強化された財産開示手続や第三者からの情報取得手続で特定できます。実務のポイント:銀行口座の差押えは支店名の特定が従来のネックでしたが、情報取得手続で金融機関に口座の有無を回答させられるようになった。この制度を使いこなせるかで回収率が大きく変わる(最新の運用状況をご確認ください)

間違えやすい点 AI による整理

  • 「判決に勝てば財産を差し押さえて回収できる」と思っているが、動産についてはそうとは限らない。129条は、売っても費用が出ない差押えを禁じる。判決は「回収できる権利」を確定するだけで、「回収できる財産があること」までは保証しない
  • 「執行官はどの動産を差し押さえるか選ぶ」という問いの立て方自体がずれている。執行官がまず判断するのは「そもそも差し押さえてよいか」だ。売得金が手続費用に届かない見込みなら、どれを選ぶか以前に、差押えそのものが法律で禁じられる
  • 129条2項の「優先債権」の重みを、多くの人は軽く見ている。あなたが差し押さえても、その動産に質権や動産先取特権があれば、優先債権者が売得金を先に取る。あなたの取り分がゼロと見込まれた瞬間、執行官はあなたの差押えを取り消さなければならない。順位が一つ下なだけで、差押えは丸ごと無に帰す
比較の観点この条文ほかの条文
禁止・取消しの理由129条:経済的無益(費用倒れの動産差押え)63条:経済的無益(不動産・剰余主義)
128条:量的過剰(超過差押えの禁止)
対象財産動産不動産
動産(差押えの数量的範囲)
効果差押えの禁止(1項)+既存差押えの取消し(2項)無剰余なら競売手続を取消し・停止
必要な限度を超える差押えを禁止
債務者保護の性質経済的合理性による保護(131条の政策的保護とは別系統)経済的合理性による保護
過剰執行からの保護

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
強制執行法第50條之1

台湾も、査封動産の売得金が執行費用を清算した後に剰余の見込みがない場合、執行法院は査封してはならないと定める。日本129条1項とほぼ同一の発想。

韓国
대한민국 민사집행법(무잉여 관련規定)

韓国も無剰余(무잉여)の場合の執行制限法理を持ち、剰余の見込みのない差押え・競売を抑制する点で日本と共通する。

ドイツ
ZPO § 803 Abs. 2

ドイツは、差し押さえる物の換価により執行費用を超える剰余が期待できないときは差押えを行ってはならないと明文で定める。日本129条1項の直接の母法にあたる。

アメリカ
各州の exemption statutes 及び執行実務

米国は無剰余の一般規定より、差押禁止財産(exemptions)と、費用倒れの差押えを避ける実務判断で同種の帰結に至る。統一的な剰余主義規定はない。

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 取引先が代金を払わないまま夜逃げ同然に消えた。あなたは少額訴訟で勝ち、意気込んで動産執行を申し立てた。だが執行官の見積もりは「無剰余」。相手の家財では手続費用も出ず、差押えは一つも成立しなかった。判決書は手にしたのに、一円も回収できない現実がここにある
  • もし、あなたが貸した金を回収するため執行官を債務者宅に呼んだ日、部屋にあったのが型落ちの家電と量販店の家具だけだったら? 執行官は品定めではなく採算計算をする。売得金の見込みが手続費用に届かなければ、その場で「差押えできません」と告げて引き上げる
  • サラ金の督促がついに執行官の訪問になった。だが差し押さえられた物は何もなかった。あなたの家財は、売っても費用倒れになるからだ
  • 事務所のコピー機やサーバーを差し押さえられた。しかしそれがリース物件で、リース会社に所有権留保や動産先取特権があると、その優先債権が売得金を食い尽くす。2項により執行官は差押えを取り消さなければならない。相手が優先権を主張してくる前に、こちらの回収可能性を計算し直す必要がある
  • 家賃を半年滞納した入居者に、明渡しと未払賃料の判決を得た。だが強制執行の申立てには予納金が要る。動産に数万円を予納しても、無剰余で空振りに終われば、その予納金まで戻ってこない。申立ての前夜、対象物の中古相場を調べ直すかどうかで、追加の出費が決まる

取るべき行動

被害を受けた側:1. 動産執行を申し立てる前に、対象動産の中古相場を調べ、執行手続費用(予納金・保管費・売却費)と比較する2. 相手にリース・ローン・質入れなど優先債権がないか確認、あれば売得金から先に引かれると想定する3. 無剰余の見込みなら動産は諦め、預貯金債権・給与債権・不動産へ執行対象を切り替える(民事執行法143条以下の債権執行) 4. 財産の在りかが不明なら、財産開示手続や第三者からの情報取得手続(令和元年改正で強化)で口座や勤務先を特定してから動く

訴えられた側:1. 執行官が来たら、その動産に優先する担保(所有権留保・動産先取特権・質権)があれば契約書で示す、2項で差押えが取り消される余地がある2. 生活必需品は差押禁止動産(131条)にも該当しうるので、あわせて主張する3. 無剰余での差押えは違法なので、成立していれば執行異議(民事執行法11条)を申し立てる4. そもそも支払能力がないなら、任意整理・自己破産など債務整理で執行そのものを止める選択肢を弁護士と検討する

時効(請求できる期限):129条自体に時効はない。無剰余の差押えに対する執行異議(民事執行法11条)は、その執行手続が続いている間に申し立てる必要がある。なお判決で確定した債権に基づく強制執行そのものは、確定の時から10年で時効消滅する(民法169条、確定判決による権利の時効期間)

学説

通説:129条は剰余主義を動産執行に具体化した規定であり、売得金が手続費用(1項)ないし手続費用と優先債権の合計(2項)を上回る剰余の見込みがなければ、無益な執行として差押えを禁止・取消しの対象とすると解される。63条の不動産版と共通の原理に立つ。

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法制定(昭和54年法律第4号)。旧民事訴訟法の強制執行編を分離・独立させ、動産執行における無剰余差押えの禁止を129条として整理した。

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

民事執行法の全文を見る所属する編章節を開く:第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›