民事執行法 第164条(移転登記等の嘱託)
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- 第百五十条に規定する債権について、転付命令若しくは譲渡命令が効力を生じたとき、又は売却命令による売却が終了したときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権を取得した差押債権者又は買受人のために先取特権、質権又は抵当権の移転の登記等を嘱託し、及び同条の規定による登記等の抹消を嘱託しなければならない。
- 2.前項の規定による嘱託をする場合(次項に規定する場合を除く。)においては、嘱託書に、転付命令若しくは譲渡命令の正本又は売却命令に基づく売却について執行官が作成した文書の謄本を添付しなければならない。
- 3.第一項の規定による嘱託をする場合において、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第十六条第二項(他の法令において準用する場合を含む。)において準用する同法第十八条の規定による嘱託をするときは、その嘱託情報と併せて転付命令若しくは譲渡命令があつたことを証する情報又は売却命令に基づく売却について執行官が作成した文書の内容を証する情報を提供しなければならない。
- 4.第一項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、同項に規定する差押債権者又は買受人の負担とする。
- 5.第百五十条の規定により登記等がされた場合において、差し押さえられた債権について支払又は供託があつたことを証する文書が提出されたときは、裁判所書記官は、申立てにより、その登記等の抹消を嘱託しなければならない。債権執行の申立てが取り下げられたとき、又は差押命令の取消決定が確定したときも、同様とする。
- 6.前項の規定による嘱託に要する登録免許税その他の費用は、同項前段の場合にあつては債務者の負担とし、同項後段の場合にあつては差押債権者の負担とする。
この条文の基本情報
移転登記等の嘱託とは何ですか?
定義移転登記等の嘱託とは、民事執行法第164条に定められた規定で、「第百五十条に規定する債権について、転付命令若しくは譲渡命令が効力を生じたとき、又は売却命令による売却が終了したときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権を取…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第164条(移転登記等の嘱託)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第164条の条文原文は「第百五十条に規定する債権について、転付命令若しくは譲渡命令が効力を生じたとき、又は売却命令による売却が終了したときは、裁判所書記官は、申立てにより、その債権を取…」で始まります。
- 民事執行法第164条は第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第164条の前の条は民事執行法第163条です。
- 民事執行法第164条の次の条は民事執行法第165条です。
- 民事執行法第164条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第164条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第164条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/164
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法164条は、転付命令等が効力を生じたとき、裁判所書記官が申立てにより担保権の移転登記等と差押登記の抹消を嘱託すると定める。費用は差押債権者等の負担である。
Q · 転付命令が確定したら、抵当権の登記も自動で自分の名前に変わるの?
自動では変わらない。書記官への嘱託申立てが必要
民事執行法164条1項により、担保権の移転登記等は裁判所書記官が嘱託します。ただし嘱託は「申立てにより」行われるため、転付命令や譲渡命令が効力を生じただけでは登記簿は動きません。差押債権者または買受人が嘱託の申立てをして初めて、登記簿上の抵当権者が書き換わります。嘱託書には命令の正本または執行官作成文書の謄本を添付し(2項)、登録免許税その他の費用は差押債権者または買受人の負担です(4項)。
解説
抵当権つきの債権が差し押さえられる、その裏側で登記簿に何が書き込まれるかを、多くの人は知らないまま終わる。民事執行法164条は、そのペンを握っているのが誰かを定めた条文だ。あなたが債権者として、相手の持つ「抵当権つき貸金債権」を差し押さえて転付命令(差し押さえた債権を券面額で自分のものにする命令)を取ったとする。ここで見落とされがちなのが、抵当権はあなたに自動的に移らないという点。裁判所書記官が法務局に嘱託(役所から役所への登記依頼)して初めて、登記簿の抵当権者欄があなたの名前に書き換わる。しかもその嘱託は「申立てにより」動く。あなたが申し立てなければ、書記官は動かない。さらに4項、その登録免許税はあなた持ちだ。逆に債務者側から見れば、5項が命綱になる。支払や供託で決着がついたのに登記簿に差押えの記録が残り続けたら、その不動産の担保価値は死ぬ。抹消嘱託もまた、申し立てなければ動かない。
法的な位置づけ
民事執行法164条は、担保権の登記等がある債権について転付命令・譲渡命令が効力を生じ、又は売却命令による売却が終了した場合における、裁判所書記官による担保権移転登記等の嘱託および差押登記等の抹消嘱託の手続と費用負担を定める規定である。嘱託は職権ではなく当事者の申立てを起動要件とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.転付命令等の効力発生・売却終了を確認 転付命令若しくは譲渡命令が効力を生じたこと、または売却命令による売却が終了したことを確認する。確定証明書や執行官作成文書を取得し、嘱託の前提事実を固める
- 2.執行裁判所の書記官に嘱託を申し立てる 164条1項の嘱託は「申立てにより」行われる。差押債権者または買受人として、担保権移転登記等および150条による登記の抹消の嘱託を申し立てる
- 3.添付書類または電子提供情報を揃える 書面嘱託なら転付命令・譲渡命令の正本または執行官作成文書の謄本を添付(2項)。不動産登記法16条2項準用の電子嘱託なら、命令があったことを証する情報等を嘱託情報と併せて提供(3項)
- 4.登録免許税を試算・納付する 嘱託に要する登録免許税その他の費用は差押債権者または買受人の負担(4項)。債権額に連動するため、高額債権では事前試算が必須
- 5.登記事項証明書で記載変更を確認 嘱託後、法務局で登記事項証明書を取得し、抵当権者欄が実際に書き換わったか、150条による差押登記が抹消されたかを目視で確認する
- 6.債務者側は5項の抹消嘱託を申し立てる 支払または供託があったことを証する文書(供託書正本、受領書等)を提出し、5項に基づき差押えに関する登記等の抹消嘱託を申し立てる。前段の場合の費用は債務者負担(6項前段)
よくある質問 AI による整理
Q1民事執行法164条とは何ですか?
担保権つき債権が転付命令等で移転した場合に、裁判所書記官が申立てにより抵当権等の移転登記と差押登記の抹消を嘱託する手続を定めた規定です。
Q2転付命令の登記嘱託は誰が申し立てるのですか?
債権を取得した差押債権者または買受人です。164条1項は「申立てにより」と定めており、裁判所書記官が職権で自動的に嘱託することはありません。
Q3移転登記の嘱託書には何を添付しますか?
転付命令若しくは譲渡命令の正本、又は売却命令に基づく売却について執行官が作成した文書の謄本です(164条2項)。電子嘱託の場合は3項の情報提供になります。
Q4登録免許税は誰が払うのですか?
移転登記等の嘱託費用は差押債権者または買受人の負担(4項)。抹消嘱託は、支払・供託による場合は債務者、取下げ・取消決定確定による場合は差押債権者の負担です(6項)。
Q5差押えの登記はいつ抹消されますか?
差し押さえられた債権について支払または供託があったことを証する文書が提出され、申立てがされたときです(5項)。申立てがなければ登記は残り続けます。
Q6債権執行を取り下げたら登記費用はどうなりますか?
申立ての取下げまたは差押命令取消決定の確定による抹消嘱託の費用は、差押債権者の負担になります(6項後段)。取り下げる側が抹消コストを負います。
Q7オンラインで登記嘱託はできますか?
不動産登記法16条2項において準用する同法18条による電子嘱託が可能です。その場合、命令があったことを証する情報等を嘱託情報と併せて提供します(164条3項)。
Q8民事執行法150条と164条の関係は?
150条は担保権の登記がある債権を差し押さえた際の差押登記を定め、164条はその後の移転登記嘱託と150条による登記の抹消嘱託を定めます。入口と出口の関係です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1転付命令が確定したのに、登記簿の抵当権者が相手の名前のままなんですが?
164条1項の嘱託申立てをしていない可能性が高い。書記官の嘱託は「申立てにより」動く仕組みで、命令確定だけでは自動的に登記が変わらない。実務のポイント:転付命令の申立書だけ出して満足し、嘱託申立てを失念する例は実務でも起きる。命令確定通知を受けたその日に嘱託申立てをセットで出すのが確実
Q2登記費用って結局誰が払うんですか?
移転登記等の嘱託費用は差押債権者または買受人の負担(4項)。抹消嘱託は、支払・供託による場合は債務者負担、取下げや差押命令取消しによる場合は差押債権者負担(6項)と、経路で振り分けられる。実務のポイント:この振り分けは「誰の都合で手続が終わったか」に対応している。取り下げる側は抹消コストも背負う前提で判断すべき
間違えやすい点 AI による整理
- 転付命令が確定すれば抵当権も自動的に自分に移ると考える人が多いが、実体法上の移転と登記上の公示は別問題。164条1項の嘱託がなければ登記簿の名義は変わらず、対抗関係で不利な立場に置かれうる
- 「登記の手続は裁判所がやってくれるのだから費用も裁判所持ち」と思い込みやすいが、4項は明確に差押債権者または買受人の負担と定める。登録免許税は債権額に連動するため、高額債権では無視できない出費になる
- 抹消嘱託(5項)の存在は知っていても、その放置がどれだけ深刻かを理解している人は少ない。差押えの記録が残った不動産は、売買でも融資審査でも事実上凍結される。事件が終わったことと、登記簿が正常に戻ることは、別々に手当てが必要な二つの作業である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 民執164条:担保権移転登記等の嘱託と抹消嘱託 | 民執150条:担保権の登記がある債権の差押えの登記 民執159条・160条:転付命令の発令と移転・弁済の効果 |
| 動く主体 | 裁判所書記官(ただし当事者の申立てが起動要件) | 裁判所書記官による差押えの登記等の嘱託 執行裁判所(命令の発令)と当事者(申立て) |
| 登記簿への効果 | 抵当権者欄の名義書換え+差押登記の抹消 | 差押えの事実を登記簿に公示 実体法上の債権移転のみ、登記簿は動かない |
| 費用負担 | 移転=差押債権者・買受人(4項)/抹消=経路により債務者又は差押債権者(6項) | 差押えを申し立てた差押債権者 申立手数料は申立人(登記費用は発生しない) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も執行法院が登記機関に囑託する構造を採る。金銭債権の執行では収取命令・移転命令が用いられ、担保権の移転登記も執行法院の囑託による点で日本と近い
韓国も抵当権付債権の差押えについて登記촉탁の仕組みを持ち、日本法を経由した継受構造が残る
ドイツは抵当債権の差押えに証書の引渡しや登記を要求し、Überweisung(転付に相当)後の登記処理も執行機関が関与する。実体権移転と登記公示を分離する発想は共通
米国は裁判所嘱託ではなく、権利取得者自身が assignment を county recorder に record する当事者主義。書記官が代わりに動く日本型とは起動主体が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の社長個人が、知人に3,000万円を貸して自宅に抵当権を設定していた。あなたはその貸金債権を差し押さえ、転付命令を得た。ここで164条1項の申立てをしないまま放置すると、登記簿上の抵当権者は債務者のままで、第三者に対して自分が抵当権者だと主張しにくい状態が続く
- 供託(債務者が法務局にお金を預けて債務を免れる手続)で決着し、事件は終わった。だが登記簿の差押記録は消えない。5項の申立てをして初めて抹消される。金融機関が登記簿を見て融資を断る事態は、この一手を打たなかったことが原因
- 差押債権者の側が、途中で申立てを取り下げたとしたら? 5項後段により、抹消の登録免許税は取り下げた債権者の負担になる。「やっぱりやめた」にもコストがつく
- 買受人として売却命令(裁判所が執行官に債権を売らせる命令)で債権を買った。あと数日で決済。移転登記の嘱託書に添付する執行官作成文書の謄本(2項)が揃っていなければ、法務局で嘱託が止まる
取るべき行動
被害を受けた側:差押債権者・買受人の立場なら、1. 転付命令もしくは譲渡命令の確定、または売却終了を確認2. 執行裁判所の書記官に164条1項の嘱託申立てを行う3. 添付書類(命令の正本または執行官作成文書の謄本、2項)を揃える4. 登録免許税は自己負担(4項)なので債権額に応じた税額を事前に試算5. 嘱託後は登記事項証明書を取得して記載を実際に確認する
訴えられた側:債務者の立場なら、1. 支払または供託が済んだことを証する文書(供託書正本、受領書など)を確保2. 5項に基づき差押えに関する登記等の抹消を申し立てる3. 前段の場合(支払・供託)の費用は債務者負担(6項)である点を織り込む4. 差押債権者が申立てを取り下げた、または差押命令の取消決定が確定した場合は費用が差押債権者負担になるため、どちらの経路で終わったかを記録しておく
時効(請求できる期限):本条自体に申立ての期間制限は定められていない。ただし嘱託の前提となる転付命令等の確定や差押命令取消決定の確定という時点が起算の基準になるため、確定後は速やかに動くこと。放置期間中に生じた第三者との対抗関係上の不利益は取り戻せない(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、旧民事訴訟法の強制執行編から債権執行の規律を独立させ、担保権つき債権が転付命令等で移転した場合の登記嘱託手続を条文として整備した
- 民事執行法 第150条抵当権等の登記がある債権の差押えの登記
- 民事執行法 第159条転付命令の発令と効力の基本規定
- 民事執行法 第160条転付命令による債権の移転と弁済の効果
- 民事執行法 第161条譲渡命令・売却命令等の換価方法
- 民事執行法 第156条第三債務者の供託、抹消嘱託の前提事実
- 不動産登記法 第16条官庁又は公署の嘱託による登記の手続
- 登録免許税法 第9条移転・抹消登記の税額算定の根拠
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