民事執行法 第156条(第三債務者の供託)
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- 第三債務者は、差押えに係る金銭債権(差押命令により差し押さえられた金銭債権に限る。以下この条及び第百六十一条の二において同じ。)の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる。
- 2.第三債務者は、次条第一項に規定する訴えの訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令、差押処分又は仮差押命令の送達を受けたときはその債権の全額に相当する金銭を、配当要求があつた旨を記載した文書の送達を受けたときは差し押さえられた部分に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。
- 3.第三債務者は、第百六十一条の二第一項に規定する供託命令の送達を受けたときは、差押えに係る金銭債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。
- 4.第三債務者は、前三項の規定による供託をしたときは、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
この条文の基本情報
第三債務者の供託とは何ですか?
定義第三債務者の供託とは、民事執行法第156条に定められた規定で、「第三債務者は、差押えに係る金銭債権(差押命令により差し押さえられた金銭債権に限る。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第156条(第三債務者の供託)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第156条の条文原文は「第三債務者は、差押えに係る金銭債権(差押命令により差し押さえられた金銭債権に限る。」で始まります。
- 民事執行法第156条は第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第156条の前の条は民事執行法第155条です。
- 民事執行法第156条の次の条は民事執行法第157条です。
- 民事執行法第156条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第156条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第156条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/156
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法156条は、差押命令を受けた第三債務者が差押金銭債権の全額を供託所に供託できると定める。差押えが競合すると供託は義務となり、供託後は執行裁判所への事情届が必要になる。
Q · 社員に差押命令が来たら、給料は本人に払っちゃダメなの?どうすればいい?
差押部分は本人に払えず、供託所に供託すれば会社は免責される
民事執行法156条により、差押命令を受けた第三債務者(給料や買掛金を払う立場の人)は、差し押さえられた金銭債権を債務の履行地の供託所に供託できます。単独の差押えなら任意の権利供託(1項)ですが、差押えの競合や配当要求、供託命令があると供託は義務となります(2項・3項)。供託すれば債務は消滅し二重弁済のリスクから免れます。ただし供託後は必ず執行裁判所へ事情届を提出しなければなりません(4項)。
解説
売掛金や従業員の給料を本来の相手に支払ったのに、もう一度払わされる。差押えの場面では、この理不尽が現実に起きる。差押命令があなた(第三債務者、つまり債務者にお金を払う立場の人)に届いた瞬間、あなたは債務者本人への支払いを禁じられる(民事執行法145条)。それを知らずに払えば、差押債権者からもう一度請求され、二重払いになる。156条は、この板挟みから抜け出すための盾だ。差し押さえられた金額を法務局(供託所)に供託すれば、あなたの債務は消滅し、あとは債権者同士が配当で奪い合う。しかも複数の差押えや配当要求が競合したときは、供託は「してもよい」から「しなければならない」に変わる。この切り替えを見落とすと、今度はあなたが供託義務違反の責任を負う側になる。
法的な位置づけ
民事執行法156条にいう第三債務者の供託とは、差押命令を受けた第三債務者が、差し押さえられた金銭債権の全額または差押部分に相当する金銭を、債務の履行地の供託所に供託する執行供託を指す。単独の差押えでは権利供託(1項)として任意に行えるが、差押えの競合や配当要求、供託命令があるときは義務供託(2項・3項)となる。供託後は執行裁判所への事情届(4項)を要する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.債務者本人への支払いを直ちに停止 差押命令が届いたら、差し押さえられた部分について債務者本人(社員・取引先)への支払いを直ちに止める。差押命令の送達で第三債務者は弁済を禁じられる(145条)。うっかり払うと二重払いが確定する
- 2.単独か競合かを確認して供託の性質を判断 他の差押命令・仮差押命令・配当要求・供託命令が来ていないかを確認する。単独なら権利供託(任意)、競合や配当要求・供託命令があれば義務供託(強制)に切り替わる。取立訴訟の訴状送達を受ける時までの時間軸に注意
- 3.債務の履行地の供託所へ供託を申請 債務の履行地を管轄する法務局(供託所)へ、差押金銭債権の全額または差押部分に相当する金銭を供託する。供託により第三債務者の債務は消滅し、二重弁済のリスクから抜けられる
- 4.執行裁判所へ事情届を提出 供託を終えたら遅滞なく執行裁判所へ事情届を提出する(156条4項)。供託書正本の写し等を添付する。これを起点に裁判所の配当手続が始まり、第三債務者としての役割が完了する
よくある質問 AI による整理
Q1第三債務者の供託とは何ですか?
差押命令を受けた第三債務者(払う立場の人)が、差し押さえられた金銭を供託所に預けて債務を消滅させる制度です。民事執行法156条が根拠で、二重弁済を避けられます。
Q2権利供託と義務供託の違いは何ですか?
権利供託(156条1項)は単独の差押えで任意に行えます。義務供託(156条2項・3項)は差押えの競合・配当要求・供託命令があるときに強制され、怠ると義務違反になります。
Q3供託の事情届はいつまでに出しますか?
供託後は遅滞なく執行裁判所へ事情届を提出します(156条4項)。これを出さないと配当手続が始まらず、第三債務者の手続が完了しません。
Q4給料の差押えは供託でいくらまで止まりますか?
差し押さえられるのは原則として手取りの4分の1まで(民事執行法152条、最新の改正状況は要確認)。全額を止める必要はなく、差押可能額だけを供託すれば足ります。
Q5供託所はどこに供託しますか?
債務の履行地の供託所(原則として法務局)に供託します(156条各項)。実務では債務の履行地を管轄する法務局・地方法務局へ申請します。
Q6差押えの競合とは何ですか?
同一の金銭債権に対し複数の差押命令や配当要求が重なる状態です。競合した瞬間、第三債務者には全額を供託する義務が生じます(156条2項)。
Q7供託命令とは何ですか?
民事執行法161条の2に基づき執行裁判所が第三債務者に発する命令です。送達を受けると第三債務者は全額を供託しなければなりません(156条3項)。
Q8第三債務者が供託しないとどうなりますか?
義務供託の場面で供託を怠ると供託義務違反となり、二重弁済や損害賠償の責任を負いかねません。差押債権者から取立訴訟(157条)を起こされることもあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちの会社の社員に差押命令が来ました。給料、本人に払っちゃダメなんですか?
差し押さえられた部分は本人に払ってはいけません(民事執行法145条で弁済禁止)。払えば差押債権者からもう一度請求されます。差押部分だけ供託し、残りは本人に払えます。実務のポイント:給料の差押えは原則として手取りの4分の1までが上限(民事執行法152条、最新の改正状況をご確認ください)。全額を止める必要はなく、差押可能額だけ供託すればよい。誤って全額止めると今度は社員から苦情が来る
Q2供託って面倒そう。放っておいて債権者同士で解決してもらえばダメなんですか?
単独の差押えなら放置しても取立てを受けるだけですが、差押えが複数競合したり配当要求が来た場合、供託は法律上の義務です(156条2項)。放置すれば供託義務違反となり、二重弁済や損害賠償の責任を負いかねません。実務のポイント:実務では、競合が来た時点で迷わず供託するのが定石。判断に迷って払ってしまう方が圧倒的にリスクが高い。銀行が預金差押えで即供託するのはこのためだ
Q3供託したあとは、もう放っておけばいいんですか?
供託後は必ず執行裁判所に『事情届』を提出する必要があります(156条4項)。これを出さないと裁判所が配当手続を始められず、案件が宙に浮きます。実務のポイント:事情届の書式は民事執行規則で定まっており、供託書正本の写しなどを添付する。事情届を出して初めて第三債務者としての役割が完了する。『供託したから終わり』と届出を忘れる例が実務で散見される
Q4複数の会社から差押えが来たけど、金額を分けて払えば公平ですよね?
できません。差押えが競合した瞬間、あなたに分配の権限はなく、全額供託が義務です(156条2項)。配当をどう分けるかを決めるのは執行裁判所であって、第三債務者ではありません。実務のポイント:善意で按分払いをしても免責されず、払い過ぎた分の返還請求も相手の資力次第で回収困難。『公平に分ける』のは裁判所の仕事、あなたの仕事は『全額を供託所に預ける』ことだけだ
間違えやすい点 AI による整理
- 差押命令が来たら支払いを止める、というところまでは多くの人が知っている。だが『止めたまま放置』も危険だという深刻さに気づいていない。複数の差押えや配当要求が競合すれば供託は義務になり(156条2項)、放置は供託義務違反として二重弁済や損害賠償のリスクに直結する
- 『誰に払えば正解か』と考えること自体が、この局面では誤った問いだ。差押えが競合した状況での正解は『誰にも払わず供託所に預ける』であって、当事者の中から支払先を選ぶという問いの立て方が最初から間違っている
- 『供託は債権者がやる手続』と思われがちだが、156条の供託は第三債務者(払う側)が主体だ。あなた自身が供託所に出向いて申請し、そのうえで執行裁判所に事情届を出す当事者になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制度の主体 | 156条:第三債務者(払う側)が供託する | 155条:差押債権者が自ら取り立てる 157条:差押債権者が第三債務者に訴えを提起する |
| 発動する場面 | 板挟み回避(1項の権利供託)・競合時の義務(2・3項) | 第三債務者が任意に支払う(取立権の行使) 第三債務者が任意に払わず供託もしない |
| 結果・効果 | 供託で債務消滅・免責、以後は執行裁判所の配当へ | 差押債権者が直接回収する 判決で第三債務者に支払を強制する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も第三人(第三債務者)の金銭債権に対する執行で、供託(提存)による免責と債権者間の分配を予定する点で日本と類似する
韓国も第三債務者の供託(집행공탁)を定め、権利供託と義務供託の二段構えは日本と類似する
ドイツは金銭債権の多重差押え(mehrfache Pfändung)の際、第三債務者(Drittschuldner)に供託(Hinterlegung)を義務づける。日本の義務供託の母法的位置づけにある
米国は複数の請求が競合する garnishee が interpleader により供託金を裁判所に預け、二重の責任を免れる仕組みをとる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 従業員の給料に差押命令が届いた。経理はいつも通り本人の口座に振り込んでいいのか? ダメだ。差し押さえられた部分を本人に振り込めば、差押債権者にもう一度払う羽目になりうる。その部分を供託すれば会社は免責される(156条1項)
- 取引先A社への買掛金があるところへ、A社の債権者Bから差押命令、続けて債権者Cからも差押命令が来た。二人に按分して払えば公平だと思うか? 競合した瞬間、あなたには全額を供託する義務が生じる(156条2項)。勝手な按分払いは免責されない
- 取立訴訟の訴状が届こうとしている。この訴状の送達を受ける『時まで』に二件目の差押えが来ていれば義務供託、送達後だと扱いが変わる。時間軸そのものが権利義務を分ける。判断の猶予は数日単位しかない
- あなたが差押債権者の側。第三債務者がのらりくらりと払わない。相手が供託して事情届を出せば案件は配当手続に乗り、裁判所経由で回収に近づく。供託を渋る相手には取立訴訟(157条)という手がある
- 銀行預金を差し押さえた。銀行はほぼ即座に権利供託する。あなたが自分で取り立てるより、供託所経由の方が早く決着することも多い
取るべき行動
被害を受けた側:1. 第三債務者に差押命令が送達されたら、まず相手が供託したか確認(供託されれば執行裁判所へ事情届が出る) 2. 供託されれば案件は配当手続に乗るので、執行裁判所での配当を待つ3. 相手が任意に払わず供託もしないなら、取立権(民事執行法155条)を行使して直接取り立て、応じなければ取立訴訟(157条)を提起4. 他の債権者の差押えが競合していないか確認、単独なら取立て、競合なら配当を見据える
訴えられた側:1. 差押命令が届いたら、まず債務者本人への支払いを直ちに停止(145条で弁済を禁止される) 2. 単独の差押えなら権利供託(156条1項)で差押部分を供託所に供託し、その分の債務を消滅させて板挟みから抜ける3. 二件目の差押え、配当要求、供託命令が来たら供託は義務(156条2項、3項)、債務の履行地の供託所へ4. 供託後は必ず執行裁判所に事情届を提出(4項)、これを怠ると配当手続が進まない
時効(請求できる期限):156条2項の義務供託は『取立訴訟(157条1項)の訴状の送達を受ける時まで』に競合する差押え等の送達を受けた場合に発生する。権利供託(1項)自体に特定の期限はないが、債務者に弁済してしまうと免責の利益を失う。供託後の事情届は遅滞なく行う必要がある
学説
通説:156条は、二重弁済リスクにさらされる第三債務者の免責(1項の権利供託)と、複数債権者の平等な満足(2項・3項の義務供託)という二つの要請を両立させる二段構えの制度と解される。単独の差押えでは任意、競合が生じた瞬間に手続を執行裁判所の管理下へ引き上げる構造である
改正沿革 AI による整理
- 要人的検証 1項の権利供託、2項の義務供託、4項の事情届は1979年(昭和54年)制定時からの基本構造。3項(161条の2の供託命令に基づく供託義務)は近年の改正で追加された規定であり、追加年・施行日・条番号の現行効力の確認が必要
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、旧来の債権執行における第三債務者供託の規律を整理。1項の権利供託、2項の義務供託、4項の事情届という基本構造を明文化した
- 民事執行法 第145条差押命令による第三債務者への弁済禁止の効力
- 民事執行法 第155条差押債権者の取立権、供託との選択関係
- 民事執行法 第157条取立訴訟、義務供託の時的基準となる訴え
- 民事執行法 第161条の2供託命令、3項の義務供託の発生原因
- 民事執行法 第165条事情届を起点とする配当等を受けるべき債権者の範囲
- 供託法 第1条執行供託の手続・供託所を定める一般法
- 民事保全法 第50条仮差押えの執行における第三債務者供託の準用
- 国税徴収法 第62条滞納処分による債権差押処分、2項の競合対象
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