民事執行法 第157条(取立訴訟)
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- 差押債権者が第三債務者に対し差し押さえた債権に係る給付を求める訴え(以下「取立訴訟」という。)を提起したときは、受訴裁判所は、第三債務者の申立てにより、他の債権者で訴状の送達の時までにその債権を差し押さえたものに対し、共同訴訟人として原告に参加すべきことを命ずることができる。
- 2.前項の裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
- 3.取立訴訟の判決の効力は、第一項の規定により参加すべきことを命じられた差押債権者で参加しなかつたものにも及ぶ。
- 4.前条第二項又は第三項の規定により供託の義務を負う第三債務者に対する取立訴訟において、原告の請求を認容するときは、受訴裁判所は、請求に係る金銭の支払は供託の方法によりすべき旨を判決の主文に掲げなければならない。
- 5.強制執行又は競売において、前項に規定する判決の原告が配当等を受けるべきときは、その配当等の額に相当する金銭は、供託しなければならない。
この条文の基本情報
取立訴訟とは何ですか?
定義取立訴訟とは、民事執行法第157条に定められた規定で、「差押債権者が第三債務者に対し差し押さえた債権に係る給付を求める訴え(以下「取立訴訟」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第157条(取立訴訟)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第157条の条文原文は「差押債権者が第三債務者に対し差し押さえた債権に係る給付を求める訴え(以下「取立訴訟」という。」で始まります。
- 民事執行法第157条は第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第157条の前の条は民事執行法第156条です。
- 民事執行法第157条の次の条は民事執行法第158条です。
- 民事執行法第157条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第157条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第157条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/157
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法157条は取立訴訟を定め、第三債務者の申立てで他の差押債権者を参加させることができる。第三債務者に供託義務があれば、支払は供託の方法によるべき旨が判決主文に掲げられる。
Q · 差し押さえた給料や売掛金を取立訴訟で取り立てたら、その金は全部自分のものになるの?
勝訴しても金銭は供託され、他の債権者と按分になります
民事執行法157条により、差押債権者が第三債務者に取立訴訟を提起すると、第三債務者の申立てで訴状送達時までに差し押さえた他の債権者を参加させることができます(1項)。参加を命じられて参加しなかった債権者にも判決の効力が及びます(3項)。第三債務者に供託義務があるときは、支払は供託の方法によるべき旨が判決主文に掲げられ(4項)、原告が受けるべき配当相当額は供託されます(5項)。したがって勝訴しても金銭を独占できず、競合する債権者と按分配当になります。
解説
お金を貸した相手が返さない。裁判で勝ち、相手が勤務先から受け取る給料や取引先への売掛金を差し押さえた。ここまでは知っている人も多い。だが差し押さえた債権を現金化するには、その勤務先や取引先(第三債務者、つまりあなたの債務者にお金を払う立場の会社や個人)に直接「私に払え」と請求し、応じなければ被告として訴える必要がある。それが取立訴訟だ。157条の急所は、あなたが一人で走っているとは限らないという点にある。同じ債権を狙う別の債権者がいると、第三債務者は誰に払えばいいのか板挟みになる。そこで第三債務者は、訴状が届くまでに差押えを済ませた他の債権者を全員この訴訟に引きずり込むよう裁判所に申し立てられる。引きずり込まれたのに参加しなかった債権者にも判決の効力は及ぶ。しかもあなたが勝って取り立てても、その金は独り占めできず供託され、債権者全員で山分けになる。早い者勝ちではない、それが日本の建前だ。
法的な位置づけ
民事執行法157条は取立訴訟に関する規定であり、差押債権者が第三債務者に対し差し押さえた債権の給付を求めて提起する訴えについて、他の競合債権者の訴訟参加と判決効の拡張、及び供託義務ある第三債務者への供託主文の付加を定める。債権者平等主義を手続面で担保する条文である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.取立権の発生と任意履行の請求 差押命令が第三債務者に送達され取立権が発生したら、まず第三債務者に対して任意の支払いを書面で請求する。応じない場合に取立訴訟へ進む
- 2.競合債権者の有無を先に確認 提訴前に、同じ債権を差し押さえた他の債権者や配当要求・二重差押えの有無を確認する。競合があれば勝訴しても供託・按分配当になる前提で実回収額を試算する
- 3.取立訴訟の提起、または配当手続への切替 被差押債権が既に供託されているなら取立訴訟ではなく配当手続で権利を主張する。未供託なら取立訴訟を提起し、供託主文(157条4項)が付く可能性を織り込む
- 4.第三債務者側は156条供託を最優先 第三債務者として複数の差押えを受けたら、特定の債権者へ弁済せず、まず156条の供託(権利供託・義務供託)を検討する。これが二重弁済からの唯一の安全弁
- 5.参加命令の申立てで訴訟を一本化 第三債務者として取立訴訟を起こされ、訴状送達時までに差し押さえた他の債権者がいる場合、157条1項の参加命令を申し立て、全員を一つの訴訟に集約して二重弁済リスクを封じる
よくある質問 AI による整理
Q1取立訴訟とは何ですか?
差押債権者が、差し押さえた債権を任意に払わない第三債務者に対して、給付を求めて提起する訴えです。民事執行法155条の取立権を訴訟で実現する手続で、157条が競合債権者の扱いを定めます。
Q2取立訴訟の管轄裁判所はどこですか?
差し押さえた金銭債権の給付を求める通常訴訟なので、原則として第三債務者の普通裁判籍や義務履行地など民事訴訟法の管轄規定によります。訴額に応じて簡易裁判所または地方裁判所となります。
Q3取立訴訟と転付命令の違いは何ですか?
転付命令(民執159条)は差押債権を券面額で差押債権者に移転し独占回収を可能にしますが、取立訴訟で供託義務がある場合は按分配当になります。競合債権者の有無で有利不利が分かれます。
Q4第三債務者が供託したらどうなりますか?
第三債務者は156条の供託により債務から解放されます。供託後は執行裁判所が配当手続を行い、競合する債権者へ債権額に応じて按分配当されます。取立訴訟を続ける必要はなくなります。
Q5参加命令はいつまでに出せますか?
参加命令が及ぶのは取立訴訟の訴状送達時までに債権を差し押さえた他の債権者です。裁判所は口頭弁論を経ずに参加命令を出せます(157条2項)ので、期日前でも発令され得ます。
Q6取立訴訟で勝訴したら配当はいつもらえますか?
供託主文が付く場合は勝訴金がそのまま支払われるのではなく供託され、その後の配当手続を経て各債権者に分配されます。実際の受領は配当表確定後で、勝訴即入金ではありません。
Q7取立訴訟に時効はありますか?
取立訴訟の提起自体に固有の出訴期間はありませんが、差し押さえた債権の消滅時効(民法166条、原則5年または10年)が進行します。管理を怠れば回収不能になり得ます。
Q8取立訴訟で第三債務者は何を主張できますか?
第三債務者は債務者に対して有していた抗弁(弁済、相殺、債権の不存在など)を差押債権者にも主張できます。さらに競合債権者がいれば供託義務と供託主文を主張します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1従業員の給料が何人もの人から差し押さえられて、誰に払えばいいか分かりません
誰か一人に払うのは危険です。他の債権者から取立訴訟を起こされ二重に払わされる恐れがあります。第三債務者は156条により法務局へ供託でき、供託すれば債務から解放され、あとは債権者間で配当が処理されます。取立訴訟を起こされたら157条1項で他の債権者を参加させる道もあります。実務のポイント:中小企業の経理は「早く来た督促に払えば穏便」と考えがちですが、実務では供託こそが自社を守る最短ルート。弁護士は真っ先に供託を勧めます。安易な弁済で二度払いになった例は珍しくない
Q2取立訴訟で勝ったのに全額もらえないって、どういうことですか?
第三債務者に供託義務がある場面では、判決主文に「支払は供託の方法による」と明記され(157条4項)、あなたが受け取るべき配当相当額は供託されます(同5項)。競合する債権者がいれば、供託金は債権額に応じて按分配当されます。実務のポイント:分け前を厚くしたいなら差押えのタイミングが鍵。参加命令が及ぶのは訴状送達時までに差し押さえた債権者だけ。他人が動き出す前に自分の差押えを滑り込ませられるかで、配当のテーブルに座れるかが決まる
Q3裁判所から『他の債権者として訴訟に参加せよ』という命令が来ました。無視したらどうなりますか?
無視は最悪手です。参加を命じられたのに参加しなかった債権者にも、その取立訴訟の判決の効力が及びます(157条3項)。つまり出席しないまま不利な判決に縛られ、後からその内容を争えなくなります。実務のポイント:参加命令は口頭弁論を経ずに出せる(157条2項)ので、油断していると気づいたときには手続が進んでいる。通知が来たら、自分の債権額や優先関係を主張するためにも、迷わず参加して土俵に上がるのが定石
間違えやすい点 AI による整理
- 「取立訴訟で勝った金は自分のもの」と思い込んでいる人が多いが、第三債務者に供託義務が生じる場面では、判決主文に「支払は供託の方法によりすべき」と明記され(157条4項)、あなたが受け取るべき配当相当額は供託される(同5項)。勝訴イコール全額回収ではない
- 第三債務者として「複数の債権者に差し押さえられたが、とりあえず一番先に来た人に払えばいい」と考えるのは、問いの立て方そのものが誤っている。正しい問いは「誰に払うか」ではなく「供託すべきか」だ。一人に弁済しても他の債権者を排除できず、二重払いのリスクだけが残る。156条の供託でこそ債務から解放される
- 他の債権者がいることは知っていても、その深刻さを取り違えている。参加命令を受けたのに参加しなかった債権者にも判決の効力は及ぶ(157条3項)。つまり「面倒だから出ない」を選ぶと、勝手に不利な判決に縛られ、後からその内容を争えなくなる。無関心が権利放棄に直結する怖さがここにある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の性質 | 民執157条:取立訴訟(差押債権を訴訟で回収) | 民執155条:差押債権者の取立権(訴訟前の任意取立て) 民執159条:転付命令(券面額で債権を移転し独占回収) |
| 競合債権者への効果 | 供託・按分配当(債権者平等)、参加命令で判決効拡張 | 任意取立ての金銭も競合時は供託義務の対象 確定すれば独占、ただし他の差押え等があると効力に制限 |
| 第三債務者の保護 | 供託主文(4項)+配当相当額の供託(5項)で二重弁済を回避 | 民執156条の供託により債務から解放 転付命令確定で第三債務者は移転先へ支払えば免責 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も第三人(第三債務者)が債権を否認したとき債権者が訴えを提起する構造で日本と類似。配当は執行法上の分配手続で処理される。
韓国も差押債権者による추심의 소(取立訴訟)を認め、競合債権者がいる場合の供託・배당(配当)で平等主義的に処理する点が日本に近い。
ドイツは Überweisung zur Einziehung を得た債権者が Drittschuldner に対し Einziehungsklage を提起する。日本の取立訴訟はこのドイツ制度を継受した系譜にある。
米国の garnishment は州ごとに規律が分かれ、first-in-time 原則をとる州が多い。日本の債権者平等・按分配当とは思想が異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 貸金の返還判決を得て、相手の勤務先に対する給料債権を差し押さえた。勤務先が任意に払わないので取立訴訟を起こす。もし相手に別の借金があり、他の債権者も同じ給料を差し押さえていたら、あなたが勝ち取った金額はそのまま供託され、債権額に応じて按分される。全額回収の皮算用は最初から崩れている
- あなたが会社を経営していて、取引先の従業員(あなたに売掛債権を持つ相手)の債権者から、その売掛金を差し押さえられた。しかも差押命令が二通、三通と届く。誰か一人に払えば安全か? いや、一人に払った後にもう一人から取立訴訟を起こされ、二重に払わされる危険がある。ここで打つべき手は決まっている
- 離婚した元配偶者が養育費を払わない。あなたは調停調書を債務名義として、元配偶者の勤務先への給料債権を差し押さえ、勤務先が払わないので取立訴訟に進む。だが元配偶者の消費者金融の借金でも同じ給料が差し押さえられていたら、あなたの養育費と貸金業者が同じ土俵で並ぶ
- 第三債務者として取立訴訟の被告になったあなたに、裁判所から「他の差押債権者も共同訴訟人として参加させよ」との申立てが相手から出た。あなたに残された選択は限られ、下手に動くと二重弁済のリスクを自分で抱え込む。あと数日で第一回期日、供託の準備を今夜から進めるか否かで結末が変わる
- 友人が「相手の会社を訴えて債権を取り立てる」と息巻いている。だが相手には他にも債権者が群がっている。あなたが一言「それ、勝っても供託されて山分けだよ」と教えられるかどうかで、友人の戦略はまるで変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 差押命令が第三債務者に送達され取立権が発生したら、まず第三債務者に任意の支払いを求める。応じなければ取立訴訟を提起2. 提起前に、他に競合する差押債権者がいないか(配当要求・二重差押えの有無)を確認。競合があれば勝訴しても供託・配当になる前提で回収額を試算3. 被差押債権が既に供託されているなら、取立訴訟ではなく配当手続で権利を主張4. 判決で供託主文(157条4項)が付く可能性を織り込み、弁護士費用と実回収見込みのバランスを最初に計算する
訴えられた側:1. 第三債務者として複数の差押えを受けたら、特定の債権者に弁済せず、まず156条による供託(権利供託・義務供託)を検討。これが二重弁済からの唯一の安全弁2. 取立訴訟を起こされたら、他に訴状送達時までに差し押さえた債権者がいる場合、157条1項の参加命令の申立てを行い、全員を一つの訴訟に集約3. 供託義務がある局面では、判決で供託主文が付くよう主張し、勝手な弁済リスクを裁判所の判断に委ねる4. 第一回口頭弁論期日前に、供託の要否と参加命令の申立てを弁護士と詰める
時効(請求できる期限):取立訴訟の提起自体に特定の出訴期間はないが、差し押さえた債権そのものの消滅時効(民法166条、原則として権利行使できる時から5年または10年)が進行する。差押えにより時効の完成猶予(民法148条)が生じ得るが、被差押債権の管理を怠れば回収不能になる。参加命令に対する対応は第一回口頭弁論期日前が実務上の勝負どころ(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:取立訴訟は差押債権者が取立権(民執155条)を訴訟によって行使するものであり、第三債務者は債務者に対する抗弁を差押債権者にも対抗できる。競合債権者がいる場面では債権者平等主義に基づき、供託・按分配当に一元化される。
通説:157条3項による不参加債権者への判決効拡張は、参加命令という手続保障を前提とする。参加命令は口頭弁論を経ずに発令できるため(2項)、通知を受けた債権者は自らの優先関係を主張するために参加すべきとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定(昭和54年法律第4号)により、旧民事訴訟法に置かれていた強制執行の規定を単行法として分離・整備。取立訴訟と参加命令・供託主文の枠組みが体系化された。
- 民事執行法 第155条差押債権者の取立権、取立訴訟の前提
- 民事執行法 第156条第三債務者の供託、本条4項5項の供託義務の根拠
- 民事執行法 第145条差押命令、差押えの効力発生
- 民事執行法 第159条転付命令、取立てに代わる回収手段
- 民事執行法 第165条配当等を受けるべき債権者の範囲確定の基準時
- 民事訴訟法 第115条確定判決の効力が及ぶ者の範囲、参加命令と判決効拡張の対応
- 民事訴訟法 第52条共同訴訟参加、参加命令による共同訴訟人化の手続的枠組み
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