民事執行法 第167条の15(扶養義務等に係る金銭債権についての間接強制)
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- 第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権についての強制執行は、前各款の規定により行うほか、債権者の申立てがあるときは、執行裁判所が第百七十二条第一項に規定する方法により行う。ただし、債務者が、支払能力を欠くためにその金銭債権に係る債務を弁済することができないとき、又はその債務を弁済することによつてその生活が著しく窮迫するときは、この限りでない。
- 2.前項の規定により同項に規定する金銭債権について第百七十二条第一項に規定する方法により強制執行を行う場合において、債務者が債権者に支払うべき金銭の額を定めるに当たつては、執行裁判所は、債務不履行により債権者が受けるべき不利益並びに債務者の資力及び従前の債務の履行の態様を特に考慮しなければならない。
- 3.事情の変更があつたときは、執行裁判所は、債務者の申立てにより、その申立てがあつた時(その申立てがあつた後に事情の変更があつたときは、その事情の変更があつた時)までさかのぼつて、第一項の規定による決定を取り消すことができる。
- 4.前項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、第一項の規定による決定の執行の停止を命ずることができる。
- 5.前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
- 6.第百七十二条第二項から第五項までの規定は第一項の場合について、同条第三項及び第五項の規定は第三項の場合について、第百七十三条第二項の規定は第一項の執行裁判所について準用する。
この条文の基本情報
扶養義務等に係る金銭債権についての間接強制とは何ですか?
定義扶養義務等に係る金銭債権についての間接強制とは、民事執行法第167条の15に定められた規定で、「第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権についての強制執行は、前各款の規定により行うほか、債権者の申立てがあるときは、執行裁判所が第百七十二条第一項…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第167条の15(扶養義務等に係る金銭債権についての間接強制)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第167条の15の条文原文は「第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権についての強制執行は、前各款の規定により行うほか、債権者の申立てがあるときは、執行裁判所が第百七十二条第一項…」で始まります。
- 民事執行法第167条の15は第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第167条の15の前の条は民事執行法第167条の14です。
- 民事執行法第167条の15の次の条は民事執行法第167条の16です。
- 民事執行法第167条の15には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第167条の15 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第167条の15(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/167_15
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法167条の15は、養育費・婚姻費用・扶養料などの金銭債権について、通常の差押えに加え間接強制を認める規定。ただし債務者が支払能力を欠く場合等は認められない。
Q · 元夫が養育費を払わないけど、口座も勤務先も分からない。もう回収は無理?
いいえ。167条の15の間接強制なら財産を知らなくても申立て可能です。
民事執行法167条の15により、養育費・婚姻費用・扶養料など扶養義務等に係る金銭債権は、通常の差押え(直接強制)に加えて、間接強制でも履行を強制できます。裁判所が「支払期日を過ぎるごとに1日いくら上乗せして払え」と債務者に命じ、その上乗せ金はあなた自身が受け取ります。相手の口座や勤務先を突き止める必要はありません。ただし債務者が本当に支払能力を欠く、又は払えば生活が著しく窮迫する場合は、第1項但書により認められません。
解説
元配偶者が養育費を止めた。給料を差し押さえようにも、転職先も銀行口座も分からない。ここで多くの人が「打つ手なし」と諦める。だが民事執行法167条の15を握っていれば、盤面はまるで違う。通常、お金の支払いを求める債権は、相手の財産を直接押さえる方法(差押え)でしか強制できない。「払わない限り1日あたり◯円を上乗せして払え」という心理的圧力の手法(間接強制)は、原則として金銭債権には使えない。ところが養育費、婚姻費用、親の扶養料といった、誰かの生活を直接支えるための金銭債権だけは例外。相手の財産のありかを一切知らなくても、裁判所に間接強制を命じさせられる。しかも上乗せ分は、あなた自身が受け取る。ただし相手に本当に支払能力がない、または払えば相手の生活が著しく困窮する場合は、この武器は封じられる(第1項但書)。狙いは「払えるのに払わない」相手だ。
法的な位置づけ
民事執行法167条の15は、扶養義務等に係る金銭債権の履行確保を強化する規定である。第151条の2第1項各号に掲げる養育費・婚姻費用・扶養料等の金銭債権について、直接強制のみとする原則の例外として、債権者の申立てにより第172条第1項の間接強制を可能とし、支払能力の欠如又は生活の著しい窮迫を除外事由として定める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.債務名義を確認する 養育費を定めた調停調書・審判書・執行認諾文言付き公正証書があるか確認する。口約束や単なる離婚協議書では債務名義にならないため、まず家庭裁判所の調停・審判で債務名義を取得する
- 2.直接強制か間接強制かを選ぶ 相手の勤務先・口座が分かるなら給料や預金の差押え(直接強制)、分からない・逃げ回るなら167条の15の間接強制を選ぶ。両者は併用できるため、状況に応じて組み合わせる
- 3.勤務先・口座が不明なら情報取得手続を走らせる 財産開示手続・第三者からの情報取得手続を申し立て、裁判所経由で勤務先・預貯金口座を特定する。2019年改正で不出頭・虚偽陳述に刑事罰が科されるようになり実効性が上がった
- 4.執行裁判所に間接強制を申し立てる 管轄の執行裁判所に間接強制の申立書を提出する。裁判所は167条の15第2項に基づき、債権者の不利益・債務者の資力・従前の履行態様を考慮して1日あたりの上乗せ額を決定する
- 5.但書リスク(相手の無資力)を織り込む 相手が本当に支払能力を欠く、又は払えば生活が著しく窮迫する見込みなら、第1項但書で却下されうる。狙いは『払えるのに払わない』相手に絞り、無資力が疑われる場合は直接強制や財産調査を優先する
よくある質問 AI による整理
Q1間接強制とは何ですか?
義務を履行しない期間に応じて一定額の金銭を上乗せさせ、心理的圧力で履行を促す強制執行の方法です(民事執行法172条1項)。物の引渡し等が典型ですが、扶養義務等の金銭債権にも167条の15で使えます。
Q2養育費の間接強制はいくら上乗せされますか?
法定の一律額はなく、裁判所が事案ごとに決めます。167条の15第2項により、債権者の不利益、債務者の資力、従前の履行態様を特に考慮して金額が定められます。1日あたり数千円程度とされる例が多いです。
Q3養育費の間接強制はどこの裁判所に申し立てますか?
債務名義の種類に応じた執行裁判所に申し立てます。調停調書・審判書なら原則として相手方の住所地を管轄する地方裁判所が窓口となります。まず債務名義と管轄の確認が第一歩です。
Q4調停調書があれば養育費の強制執行はできますか?
できます。調停調書・審判書・執行認諾文言付き公正証書は債務名義となり、直接強制も167条の15の間接強制も申し立てられます。口約束や離婚協議書のみでは債務名義になりません。
Q5養育費の間接強制はいつまで申し立てられますか?
各支払期日ごとに時効が進行し、確定判決・審判・調停で確定した分は各期日から10年(民法169条1項)です。時効消滅した分は取れないため、滞納が始まったら早めに動くのが重要です。
Q6財産開示手続と間接強制はどちらを先にやるべきですか?
併用が有効です。財産開示・第三者からの情報取得で勤務先や口座を割り出しつつ、間接強制で心理的圧力をかけると逃げ道を同時に塞げます。片方だけでは相手に回避の余地が残ります。
Q7養育費を減額できる事情変更とは何ですか?
失業・大幅な減収・再婚・子の独立などです。167条の15第3項により、事情変更があれば債務者は申立て時までさかのぼって間接強制決定の取消しを求められます(第4項で執行停止も可能)。
Q8間接強制の決定に不服がある場合は争えますか?
間接強制決定自体には執行抗告ができます。ただし第3項の取消申立てに伴う執行停止決定(第4項)に対しては、第5項により不服を申し立てることができません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1養育費の差押えって、相手の銀行口座を知らないと無理ですよね?
直接の差押えは口座や勤務先の特定が要りますが、167条の15の間接強制は不要です。裁判所が「支払わない期間に応じ1日いくら」と債務者に命じ、その金はあなたが受け取ります。実務のポイント:2019年改正で財産開示手続と第三者からの情報取得手続が強化され、間接強制で圧力をかけつつ裁判所経由で勤務先・口座を割り出せるようになった。この二段構えを知る人と知らない人で回収率が段違い。
Q2間接強制で相手が払ったお金は、私がもらえるんですか?それとも国に取られる?
あなた(債権者)が受け取ります。間接強制金は罰金ではなく、履行遅延への上乗せとして債権者に支払われる金銭です(民事執行法172条1項)。実務のポイント:この「自分の懐に入る」構造ゆえ、滞納が長引くほどあなたの取り分は積み上がる。相手にとっては早く払うほど損が小さいので、心理的圧力が強い。逆に相手が無資力なら但書で封じられるため、狙いは『払えるのに払わない』相手に絞る。
Q3相手が「お金がない」と言い張ったら、間接強制は使えないんですか?
支払能力を欠く、または払えば生活が著しく窮迫する場合は但書で認められません(167条の15第1項但書)。ただし口先だけの「金がない」では通らず、実質的な資力が問われます。実務のポイント:相手が資産を隠していそうなら、財産開示手続で不出頭・虚偽陳述に刑事罰(6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)が科されるようになった。開示を渋ること自体が相手の首を絞める材料になる(最新の改正状況をご確認ください)。
間違えやすい点 AI による整理
- 「相手の銀行口座と勤務先を突き止めなければ養育費は取れない」と思い込み、探偵費用に何十万も注ぎ込む人がいる。問いの立て方がずれている。167条の15の間接強制は、相手の財産のありかを一切知らなくても申し立てられる。押さえるのは財産ではなく、相手の「払う意思」だからだ。
- 間接強制という制度名は知っていても、その上乗せ金(間接強制金)が国庫ではなく「あなた自身の懐」に入ることまで理解している人は少ない。滞納が長引くほど、あなたが受け取る額は積み上がる。相手にとっては、早く払うほど損が小さい。
- 「お金の支払いは差押えでしか強制できず、間接強制は物の引渡しなど非金銭債務の話」と一般には理解されている。実は養育費・婚姻費用・扶養料だけは例外で、金銭債権でありながら間接強制の対象になる。この一点を知るかどうかで、回収の初手が変わる。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 強制の仕組み | 167条の15:間接強制(172条1項を準用、心理的圧力で履行を促す) | 151条の2:将来分も含む差押えの特例(直接強制の対象拡張) 172条:間接強制の一般規定(本条が準用する母規定) |
| 対象債権 | 扶養義務等に係る金銭債権(養育費・婚姻費用・扶養料) | 同上(扶養義務等の定期金債権) 原則として非金銭債務(物の引渡し・作為不作為等) |
| 除外・特例 | 支払能力を欠く・生活が著しく窮迫する場合は不可(第1項但書) | 確定期限未到来分の差押えを可能にする特例 152条:差押禁止範囲を1/2に緩和する扶養債権の特例 |
| 金額算定・救済 | 債権者の不利益・債務者の資力・従前の履行態様を特に考慮(第2項)/事情変更で取消し可(第3項) | 定期金債権の性質に応じた執行手続 一般の間接強制金決定手続 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は怠金(過料)による間接強制の枠組みを持ち、家事事件の履行確保でも扶養費請求を支える。金銭債権に間接強制を拡張する点で日本と発想が近い
韓国は家庭裁判所の履行命令と、違反時の過料・監置(身柄拘束)で扶養費の履行を確保する。心理的・身体的圧力で履行を促す点は間接強制に類似
ドイツは扶養債権について差押禁止範囲を狭める特例(§850d)と国による立替払制度で対応する。金銭債権の間接強制(Zwangsgeld)は原則使わず、日本の167条の15とは手法が異なる
米国は連邦の養育費強制執行制度(income withholding、州横断の強制回収)と、裁判所侮辱(civil contempt)による身柄拘束の威嚇で履行を確保する。間接強制金より侮辱手続の比重が大きい
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 元夫が半年前から養育費を止めた。会社を辞めたらしく給料の差押えもできない。だが調停調書という債務名義があれば、167条の15で間接強制を申し立てられる。裁判所は「支払期日を過ぎるごとに1日いくら上乗せ」と命じ、その金はあなたが受け取る。相手の口座を突き止める必要すらない。
- あなたが自営業で、業績悪化を理由に養育費を滞納。元妻が間接強制を申し立ててきた。ここで効くのが但書。本当に支払能力を欠く、または払えば生活が著しく窮迫すると疎明できれば、間接強制は認められない。ただし「払いたくないだけ」は一切通らない。
- 相手が本当に無収入だったら、間接強制は空振りに終わる? そう、但書で封じられる。だから狙うべきは「払えるのに払わない」相手だ。
- 元夫が海外赴任か退職の噂。財産を移されたり所在をくらまされる前に動きたいが、残された時間は読めない。債務名義があるなら、間接強制と財産開示手続を同時に走らせる、その初動が回収率を分ける。
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず債務名義を確認:養育費を定めた調停調書・審判書・執行認諾文言付き公正証書があるか。なければ家庭裁判所の調停から。2. 直接強制(給料・口座の差押え)と間接強制のどちらを使うか、併用するかを選ぶ。財産が分かるなら差押え、分からない・逃げ回るなら間接強制。3. 勤務先や口座が不明なら財産開示手続・第三者からの情報取得手続で特定。4. 相手に支払能力がない見込みなら、但書で却下されうる点を織り込んで戦略を組む。
訴えられた側:1. 本当に支払能力を欠く、または払えば生活が著しく窮迫するなら、但書該当を資力疎明資料(源泉徴収票、確定申告書、生活費の内訳)で主張し間接強制を防ぐ。2. 失業・減収・再婚・子の独立など事情変更があれば、第3項でさかのぼって決定の取消しを申し立て、あわせて第4項の執行停止を求める。3. ただし「払いたくないだけ」「資産を隠す」は通らず、間接強制金だけが膨らむ。早期に減額調停や誠実な一部履行へ動く方が損失は小さい。
時効(請求できる期限):養育費など各期の支分権の消滅時効は、期限が到来した分ごとに進行する。確定判決・審判・調停調書で確定した分は各支払期日から10年(民法169条1項)、確定時に未到来だった将来分や債務名義のない分は原則5年(民法166条1項1号)。起算点は各支払期日。間接強制の申立て自体に固有の期限はないが、時効消滅した分は取れない(最新の改正状況をご確認ください)。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)新設・平成17年(2005年)施行 扶養義務等の履行確保を強化する民事執行法改正により新設。金銭債権は原則として直接強制のみとする従来の枠組みに例外を設け、養育費・婚姻費用・扶養料といった生活維持のための金銭債権について、間接強制(172条1項の方法)による履行確保を可能にした。あわせて差押禁止範囲の特例(152条3項)や将来分の差押え特例(151条の2)も整備された
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:扶養義務等の履行確保を強化する民事執行法改正により新設(施行は平成17年/2005年)。金銭債権は原則として直接強制のみとする従来の枠組みに例外を設け、養育費・婚姻費用・扶養料など生活維持のための金銭債権について、172条1項の間接強制による履行確保を可能にした。あわせて差押禁止範囲の特例や将来分の差押え特例も整備された
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