要点民事執行法167条の15は、養育費・婚姻費用・扶養料などの金銭債権について、通常の差押えに加え間接強制を認める規定。ただし債務者が支払能力を欠く場合等は認められない。
Q · 元夫が養育費を払わないけど、口座も勤務先も分からない。もう回収は無理?
いいえ。167条の15の間接強制なら財産を知らなくても申立て可能です。
民事執行法167条の15により、養育費・婚姻費用・扶養料など扶養義務等に係る金銭債権は、通常の差押え(直接強制)に加えて、間接強制でも履行を強制できます。裁判所が「支払期日を過ぎるごとに1日いくら上乗せして払え」と債務者に命じ、その上乗せ金はあなた自身が受け取ります。相手の口座や勤務先を突き止める必要はありません。ただし債務者が本当に支払能力を欠く、又は払えば生活が著しく窮迫する場合は、第1項但書により認められません。
元配偶者が養育費を止めた。給料を差し押さえようにも、転職先も銀行口座も分からない。ここで多くの人が「打つ手なし」と諦める。だが民事執行法167条の15を握っていれば、盤面はまるで違う。通常、お金の支払いを求める債権は、相手の財産を直接押さえる方法(差押え)でしか強制できない。「払わない限り1日あたり◯円を上乗せして払え」という心理的圧力の手法(間接強制)は、原則として金銭債権には使えない。ところが養育費、婚姻費用、親の扶養料といった、誰かの生活を直接支えるための金銭債権だけは例外。相手の財産のありかを一切知らなくても、裁判所に間接強制を命じさせられる。しかも上乗せ分は、あなた自身が受け取る。ただし相手に本当に支払能力がない、または払えば相手の生活が著しく困窮する場合は、この武器は封じられる(第1項但書)。狙いは「払えるのに払わない」相手だ。
民事執行法167条の15は、扶養義務等に係る金銭債権の履行確保を強化する規定である。第151条の2第1項各号に掲げる養育費・婚姻費用・扶養料等の金銭債権について、直接強制のみとする原則の例外として、債権者の申立てにより第172条第1項の間接強制を可能とし、支払能力の欠如又は生活の著しい窮迫を除外事由として定める。
AI 輔助整理,以條文原文為準
義務を履行しない期間に応じて一定額の金銭を上乗せさせ、心理的圧力で履行を促す強制執行の方法です(民事執行法172条1項)。物の引渡し等が典型ですが、扶養義務等の金銭債権にも167条の15で使えます。
法定の一律額はなく、裁判所が事案ごとに決めます。167条の15第2項により、債権者の不利益、債務者の資力、従前の履行態様を特に考慮して金額が定められます。1日あたり数千円程度とされる例が多いです。
債務名義の種類に応じた執行裁判所に申し立てます。調停調書・審判書なら原則として相手方の住所地を管轄する地方裁判所が窓口となります。まず債務名義と管轄の確認が第一歩です。
できます。調停調書・審判書・執行認諾文言付き公正証書は債務名義となり、直接強制も167条の15の間接強制も申し立てられます。口約束や離婚協議書のみでは債務名義になりません。
各支払期日ごとに時効が進行し、確定判決・審判・調停で確定した分は各期日から10年(民法169条1項)です。時効消滅した分は取れないため、滞納が始まったら早めに動くのが重要です。
併用が有効です。財産開示・第三者からの情報取得で勤務先や口座を割り出しつつ、間接強制で心理的圧力をかけると逃げ道を同時に塞げます。片方だけでは相手に回避の余地が残ります。
失業・大幅な減収・再婚・子の独立などです。167条の15第3項により、事情変更があれば債務者は申立て時までさかのぼって間接強制決定の取消しを求められます(第4項で執行停止も可能)。
間接強制決定自体には執行抗告ができます。ただし第3項の取消申立てに伴う執行停止決定(第4項)に対しては、第5項により不服を申し立てることができません。
直接の差押えは口座や勤務先の特定が要りますが、167条の15の間接強制は不要です。裁判所が「支払わない期間に応じ1日いくら」と債務者に命じ、その金はあなたが受け取ります。業界裏話ヒント:2019年改正で財産開示手続と第三者からの情報取得手続が強化され、間接強制で圧力をかけつつ裁判所経由で勤務先・口座を割り出せるようになった。この二段構えを知る人と知らない人で回収率が段違い。
あなた(債権者)が受け取ります。間接強制金は罰金ではなく、履行遅延への上乗せとして債権者に支払われる金銭です(民事執行法172条1項)。業界裏話ヒント:この「自分の懐に入る」構造ゆえ、滞納が長引くほどあなたの取り分は積み上がる。相手にとっては早く払うほど損が小さいので、心理的圧力が強い。逆に相手が無資力なら但書で封じられるため、狙いは『払えるのに払わない』相手に絞る。
支払能力を欠く、または払えば生活が著しく窮迫する場合は但書で認められません(167条の15第1項但書)。ただし口先だけの「金がない」では通らず、実質的な資力が問われます。業界裏話ヒント:相手が資産を隠していそうなら、財産開示手続で不出頭・虚偽陳述に刑事罰(6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)が科されるようになった。開示を渋ること自体が相手の首を絞める材料になる(最新の改正状況をご確認ください)。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 強制の仕組み | 167条の15:間接強制(172条1項を準用、心理的圧力で履行を促す) | — |
| 対象債権 | 扶養義務等に係る金銭債権(養育費・婚姻費用・扶養料) | — |
| 除外・特例 | 支払能力を欠く・生活が著しく窮迫する場合は不可(第1項但書) | — |
| 金額算定・救済 | 債権者の不利益・債務者の資力・従前の履行態様を特に考慮(第2項)/事情変更で取消し可(第3項) | — |
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