要点民事執行法 167 条の 8 は、少額訴訟で差し押さえられた給料について、生活状況を理由に執行裁判所へ差押えの取消し・縮小を申し立てられると定める規定。逆に債権者も拡張を申し立てられる。
Q · 給料を差し押さえられたら、払い終わるまで我慢するしかないの?
生活が苦しければ裁判所に差押えの縮小を申し立てられる
いいえ。民事執行法 167 条の 8 第 1 項により、債務者は執行裁判所に差押処分の取消し・縮小を申し立てられます。給料は原則 4 分の 3 が差押禁止ですが、残りの 4 分の 1 すら生活に必要なら、その分の取消しも可能です。逆に債権者は、債務者に十分な資力があれば、保護部分(4 分の 3)への差押えの拡張を申し立てられます。事情が変われば、双方とも同条 2 項で後から再調整を求められます。給料等の差押えには送達から取立猶予期間があり、この間に申し立てるのが定石です。
給料日、明細を見たら「差押」の欄が引かれている。裁判で負けた、あるいは払えなかった借金の債権者が、簡易裁判所の書記官を通じてあなたの給料に差押処分をかけたのだ。これが少額訴訟債権執行。ここで多くの人が誤解する。「差し押さえられたら、払い終わるまで我慢するしかない」と。違う。給料は原則として手取りの4分の3(政令で定める額、現行は月額33万円を超える部分はこの限りでない)が差押禁止で、取れるのは4分の1。だが民事執行法167条の8は、その残りすら生活が立ち行かないなら、あなたの申立てで裁判官が差押処分の取消し・縮小を命じられると定める。逆に、あなたに十分な資力があると債権者が示せば、保護されているはずの4分の3にまで差押えを広げることもできる。差押えは一方通行ではない。扉は両側に開く。
民事執行法 167 条の 8 は、少額訴訟債権執行における差押禁止債権の範囲変更を定める規定である。執行裁判所は、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮し、申立てにより差押処分の全部又は一部を取り消し、あるいは差押禁止部分についても差押処分を命ずることができる。事情変更による再調整も認められる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
少額訴訟の判決などを債務名義として、簡易裁判所の書記官が差押処分により給料や預金を差し押さえる簡易な執行手続です。通常の債権執行より手軽に利用できます。
差押処分をした簡易裁判所(執行裁判所)に「差押禁止債権の範囲変更の申立書」を提出します。書記官への抗議ではなく、裁判官への申立てが必要です。窓口を間違えると時間だけが過ぎます。
原則として手取りの 4 分の 1 までです。ただし手取りが月額 33 万円を超える部分は全額差押えの対象になります(民事執行法 152 条、施行令で定める額)。
給料等の債権では、債務者への差押処分の送達から 4 週間は債権者が取り立てできません(155 条 2 項、令和元年改正で 1 週間から延長)。この猶予が範囲変更申立ての勝負どころです。
申立て自体に特定の期限はなく、執行手続が続く間は可能です。ただし取立猶予の 4 週間を過ぎると当月分は引かれるため、実質的な期限はこの猶予期間です。
はい。167 条の 8 第 2 項は事情変更による再調整を認めます。収入が落ちれば債務者が縮小を、隠れ資力が判明すれば債権者が拡張を、後からでも申し立てられます。
通常の債権執行は地方裁判所が差押命令で行い、少額訴訟債権執行は簡易裁判所の書記官が差押処分で行う簡易版です。範囲変更は 153 条(通常)と 167 条の 8(少額)で同趣旨です。
範囲変更の申立てのほか、167 条の 8 が準用する 153 条により、審理中の取立ての一時停止も同時に求められます。結論に不服なら即時抗告で争う余地があります。
いいえ。民事執行法167条の8第1項で、生活状況を理由に差押処分の取消し・縮小を執行裁判所に申し立てられます。給料は原則4分の3が差押禁止ですが、残りの4分の1すら生活に必要なら、その分の取消しも可能です。業界裏話ヒント:給料等の差押えは債務者への送達から4週間、債権者が取り立てできません(155条2項)。この猶予は債務者が範囲変更を申し立てる時間を確保するため令和元年改正で1週間から延長された。動くなら、この4週間のうちに
執行裁判所は債務者と債権者双方の生活状況その他の事情を考慮します(167条の8第1項)。実務では家計収支表、扶養家族の状況、家賃・医療費・教育費の領収書など、生活が立ち行かないことを数字で示す疎明資料が要ります。業界裏話ヒント:抽象的に「苦しい」と訴えても通りません。可処分所得と最低生活費の差額を具体的な数字で示せた申立てが通る。生活保護基準額が一つの目安として参照されることがあります
可能な場合があります。167条の8第1項後段は、債権者の申立てにより、本来差押禁止の部分(4分の3)についても差押処分を命じられると定めます。債務者に十分な資力があり、保護の必要性が低いと裁判所が判断すればです。業界裏話ヒント:この債権者側の拡張申立ては、存在は知られていても実際の認容例は多くありません。相手の他の収入源や資産を示す客観資料を添えられるかが分かれ目で、単に『払えるはず』では動きません
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象手続 | 167 条の 8:少額訴訟債権執行(簡裁書記官の差押処分)の範囲変更 | — |
| 変更を判断する主体 | 執行裁判所(簡易裁判所の裁判官) | — |
| 双方向性 | 債務者は取消し・縮小、債権者は禁止部分への拡張を申立て可(第1項) | — |
| 取立猶予との関係 | 155 条 2 項(4 週間の取立猶予)の間に申立てるのが実効的 | — |
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