育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第10条(不利益取扱いの禁止)
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事業主は、労働者が育児休業申出等(育児休業申出及び出生時育児休業申出をいう。以下同じ。)をし、若しくは育児休業をしたこと又は第九条の五第二項の規定による申出若しくは同条第四項の同意をしなかったことその他の同条第二項から第五項までの規定に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
この条文の基本情報
不利益取扱いの禁止とは何ですか?
定義不利益取扱いの禁止とは、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第10条に定められた規定で、「事業主は、労働者が育児休業申出等(育児休業申出及び出生時育児休業申出をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第10条(不利益取扱いの禁止)は、日本の育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に含まれる条文です。
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第10条の条文原文は「事業主は、労働者が育児休業申出等(育児休業申出及び出生時育児休業申出をいう。」で始まります。
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第10条は第二章 育児休業に置かれています。
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の公布日は平成3年5月15日です。
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第10条の前の条は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第9条の7です。
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第10条の次の条は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第11条です。
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第10条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第10条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000076 - 本サイト収録
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第10条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/403AC0000000076/10
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点育児・介護休業法10条は、育児休業の申出・取得等を理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁止する。降格や減給、不利益な配置転換、雇止めも禁止対象に含まれる。
Q · 育休から復帰したら降格されました。これって違法ですか?
違法になりえます。解雇だけでなく降格や減給も禁止対象です
育児・介護休業法10条は、育児休業申出等をしたこと、育児休業をしたこと、出生時育児休業中の就業の申出・同意をしなかったこと等を理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁止します。禁止対象は解雇に限らず、降格、減給、不利益な配置転換、昇進・昇格差別、賞与の不当査定、契約更新の拒否まで及びます。最高裁は妊娠・出産を理由とする降格を原則無効とし、例外を認めるには事業主側が特段の事情を立証する必要があるとしました(広島中央保健生協事件)。
解説
育休から復帰したら、元の課長ポストではなく実務のない閑職に回されていた。会社は「組織再編の一環」と説明する。だが、この配置転換が育休取得と時間的に近接していれば、育児・介護休業法10条が禁じる「不利益な取扱い」と評価されうる。多くの人は「解雇さえされなければセーフ」と思っているが、この条文が禁じるのは解雇だけではない。降格、減給、不利益な配置転換、昇進・昇格での差別、契約更新の拒否、自宅待機の強要、これらすべてが射程に入る。さらに2022年に加わった部分が見落とされがちだ。出生時育児休業(産後パパ育休)の期間中、会社から「この日は働いてくれ」と就業を求められても、労働者は同意しない自由がある。そして同意しなかったことを理由に冷遇することも、この条文で禁じられている。あなたが知っておくべきは、育休を取る権利と、その後を守る盾は別物だという点だ。10条はその盾の方である。
法的な位置づけ
育児・介護休業法第10条は、育児休業等を理由とする不利益取扱いの禁止を定める規定である。事業主は、労働者が育児休業申出等をし、若しくは育児休業をしたこと、又は出生時育児休業中の就業に関する申出・同意をしなかったこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。介護休業その他の制度については、第16条以下で本条が準用される。
手順
- 1.不利益処遇の内示は即答せず「理由を書面で」と求める 降格・減給・異動・雇止め等を告げられたら、その場で受諾せず、変更の理由を書面またはメールで示すよう求める。会社が後から理由を差し替える前に、最初の説明を証拠として固定する
- 2.育休と不利益処遇の時系列を整理する 育児休業申出・取得の日、出生時育児休業中の就業を断った日、そして不利益処遇が告げられた日を一枚の時系列表にまとめる。時間的近接性それ自体が有力な状況証拠になる
- 3.都道府県労働局に相談し、紛争解決援助・調停を申し立てる 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談する。紛争解決援助または調停は無料・非公開で、訴訟に比べて迅速。行政指導が入るというシグナル自体が会社への圧力になる
- 4.解決しなければ労働審判・訴訟で地位確認と損害賠償を求める 地位確認、降格前の賃金支払、不法行為に基づく損害賠償を請求する。降格無効を争う場面では、事業主が特段の事情を立証できなければ原則無効に傾く
よくある質問 AI による整理
Q1育児介護休業法10条とは何ですか?
育児休業申出等や育児休業の取得、出生時育児休業中の就業に同意しなかったこと等を理由に、事業主が解雇その他の不利益な取扱いをすることを禁じる規定です。
Q2育休を理由とする降格は違法ですか?
違法になりえます。10条の禁止対象は解雇に限られず降格も含まれます。最高裁は妊娠・出産を理由とする降格を原則無効とし、例外の立証責任を事業主に負わせています。
Q3不利益な取扱いにはどんなものが含まれますか?
解雇、雇止め、降格、減給、賞与の不当査定、不利益な配置転換、昇進・昇格での差別、就業環境を害する行為(業務を与えない等)が含まれます。
Q4産後パパ育休中の就業を断ったら不利益に扱われますか?
第9条の5の就業の申出や同意をしなかったことを理由とする不利益取扱いは10条で明文で禁止されています。断る自由が法的に保障されています。
Q5育休を理由とする雇止めは違法ですか?
有期雇用でも要件を満たせば育休を取得でき、育休取得を実質的理由とする雇止めは10条違反となりえます。労働契約法19条の雇止め法理でも保護されます。
Q6育休の不利益取扱いはどこに相談すればいいですか?
都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談し、紛争解決援助や調停を申し立てられます。無料・非公開で、訴訟より迅速に解決できる場合があります。
Q7育休期間を賞与から控除するのは違法ですか?
就労実態のない期間を日数按分で控除すること自体は適法とされますが、育休を取ったこと自体を理由に懲罰的に減額・低査定するのは10条違反となりえます。
Q8男性の育休でも10条は適用されますか?
適用されます。10条は性別を問わず「労働者」を保護対象とし、いわゆるパタハラも女性のマタハラと同じ条文で違法とされます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1育休を取ったら賞与をごっそり減らされたんですが、これって違法ですか?
育休期間中の就労実態がない分を控除すること自体は適法ですが、育休を取ったこと自体をマイナス評価の理由として一律に低く査定するのは10条が禁じる不利益取扱いに当たりえます。両者の線引きが争点です。実務のポイント:会社は『ノーワーク・ノーペイ』を盾にしますが、休んだ日数分の按分控除と、休んだこと自体を理由とする懲罰的減額は法的に別物です。賞与算定式に育休を懲罰的に組み込んでいないか、計算根拠の開示を求めるのが第一歩になる
Q2上司に『育休取るなら昇進は当分ないと思って』と言われました。発言だけでも問題になりますか?
育休取得を理由に昇進させないと示唆する発言は、それ自体が育児休業等に関するハラスメント(10条・25条の趣旨)に該当しえます。実際に昇進が見送られれば不利益取扱いの問題に発展します。実務のポイント:この種の発言は録音やメモが決定的証拠になります。多くの会社は『指導の一環だった』と弁解しますが、発言の日時・文言を記録しておくだけで、後の行政相談や交渉での立場が一変する。言われた当日に残すのが鉄則です
Q3有期契約なんですが、育休を取ったら次の更新で切られそうです。正社員じゃないと守られないんですか?
有期雇用でも、一定の要件を満たせば育休を取得でき、育休取得を実質的な理由とする雇止めは10条違反となりえます。更新の合理的期待があった場合は労働契約法19条の雇止め法理でも保護されます。実務のポイント:会社は『契約満了による自然な終了』を装いますが、過去の更新実績、更新を期待させる言動、雇止めの真の理由を時系列で示せれば覆る余地がある。育休と雇止めの時間的近さは、それ自体が強力な状況証拠になる(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「不利益取扱い禁止=クビにできない、というだけの話」と思われているが、これは規制範囲を狭く誤解している。降格、減給、不利益な配転、昇進差別、賞与の不当査定、契約更新拒否まで全部が禁止対象だ。解雇という派手な一手ではなく、じわじわ冷遇する手口こそ、この条文が本当に効く相手である
- 「会社が『育休が理由じゃない』と言えば、それで終わり」と諦める人が多い。だが最高裁は妊娠・出産を理由とする降格について、原則として無効とし、例外を認めるには会社側が特段の事情を立証しなければならないと判断した(広島中央保健生協事件、最判平成26年(2014年)10月23日)。立証の重荷を背負うのは、あなたではなく会社の側だ
- あなたから見れば「育休を取らせてもらえただけありがたい、文句は言えない」という構図に見える。だが法律から見れば、育休取得は権利の行使であって恩恵ではなく、その行使を理由とする冷遇は端的な違法行為だ。この『お世話になっている』という心理の落差が、本来主張できる権利をあなたに手放させる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 育介法10条:育休申出等・取得、第9条の5の不同意を理由とする不利益取扱いの禁止 | 育介法6条:育児休業申出を事業主が拒めない原則 育介法25条:育児休業等に関する職場のハラスメント防止措置義務 |
| 誰を縛るか | 事業主の処遇決定権(結果を規制) | 事業主の申出拒否権(入口を規制) 事業主の体制整備義務(環境を規制) |
| 違反したときの効果 | 解雇・降格等の私法上の無効、損害賠償責任 | 拒否は無効、育休は成立する 措置義務違反として行政指導・勧告・公表 |
| 介護休業への波及 | 第16条により介護休業等へ準用される | 第12条に介護休業の対応規定あり 介護休業等ハラスメントも同条の対象 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も育嬰留職停薪(育児休業)の申請を理由とする不利益処分を明文で禁止し、事業主に復職義務を課す。行政の裁罰(過料)と民事の無効主張が併存する点は日本と近い
韓国は育児休業を理由とする解雇その他の不利益取扱いを禁止し、育休期間中および終了後一定期間の解雇を制限する。刑事罰を伴う点で日本より制裁が重い
ドイツは Elternzeit(両親時間)の申請時から終了までの期間、原則として解雇を絶対的に禁止し、例外は行政庁の許可を要する。日本の「理由として」判断より形式的で予測可能性が高い
米国は FMLA により権利行使への干渉と報復を禁止するが、無給かつ適用事業主・勤続要件が厳しく、保護の射程は日本より狭い。州法(例:カリフォルニア CFRA)が上乗せ保護を与える
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 育休復帰の面談で「ブランクがあるから」と賞与査定を最低ランクにされた。会社は人事評価の裁量だと言う。だが育休期間を欠勤扱いにして一律マイナス査定する運用は、不利益取扱いと認定された裁判例がある。査定の「理由」と「タイミング」を記録に残せるかで、結論が割れる
- もし、育休明けに突然「フルタイム勤務できないなら契約は更新しない」と言われたら、どう動く? 有期雇用でも、育休取得を実質的な理由とする雇止めは10条違反になりうる。会社が表向きに掲げる「業績不振」という理由が後付けかどうか、ここが勝負どころになる
- あなたが管理職側で、育休から戻った部下の処遇を決める立場だとする。良かれと思って「負担の軽い部署へ」と異動させた。本人が望んでいない降格的異動なら、配慮のつもりが違法行為になる。マタハラ・パタハラは悪意がなくても成立する
- 産後パパ育休の最中に上司から「人手が足りないから3日だけ出てくれないか」と打診された。断ったら、その後の評価面談で態度を理由に評価を下げられた。第9条の5の同意をしなかったことを理由とする不利益取扱いは、2022年改正で明確に禁止された新しい論点だ
- 復帰後、嫌がらせのように業務を一切与えられず机だけ与えられた。退職へ追い込む「追い出し部屋」型の冷遇も、解雇という形を取らなくても10条の不利益取扱いに当たる。会社は「解雇していない」と言い張るが、それは反論にならない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 不利益な処遇(降格、減給、異動、雇止め等)の内示を受けたら、その場で受諾せず「理由を書面で」と求め、説明のメール・通知を保全する2. 育休取得や産後パパ育休中の就業を断った時期と、不利益処遇の時期の近接性を時系列で整理する3. 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に相談、紛争解決援助または調停を申し立てる(無料・非公開・比較的迅速) 4. 解決しなければ、地位確認・賃金支払・損害賠償を求めて労働審判または訴訟へ。降格無効を争う場合、会社側が特段の事情を立証できなければ原則無効に傾く
訴えられた側:1. 育休取得者の処遇を変更する前に、その変更が育休と無関係の客観的・合理的理由(本人同意のある場合を含む)に基づくと説明できるか検証する2. 評価や配置の根拠資料を、育休取得前から一貫した基準で残しておく3. 産後パパ育休中の就業はあくまで任意であり、断ったことを評価に反映させない運用を徹底する4. 紛争化した場合、後付けの理由は通用しにくい。最初の説明と社内記録の一貫性が防御の生命線になる
時効(請求できる期限):本条違反による解雇・降格の無効主張それ自体に出訴期間の定めはないが、未払賃金の請求権は消滅時効にかかる(労働基準法115条、賃金請求権は当分の間3年)。不利益取扱いによる損害賠償(民法709条)は、損害および加害者を知った時から3年。行政の紛争解決援助・調停の申立てに法定期限はないが、証拠が散逸する前に早期に動くこと(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条の「理由として」は、育児休業等の取得と不利益取扱いとの間に因果関係があれば足り、事業主の害意は不要と解される。時間的近接性がある場合、事業主が育休と無関係の客観的・合理的理由を立証しない限り、因果関係が事実上推認される。
私法上の効力に関する見解:本条は取締法規にとどまらず強行法規と解され、これに違反する解雇・降格等の処遇は私法上も無効となる。加えて、不利益取扱いが不法行為(民法709条)を構成し損害賠償責任を生じさせうる点で通説はほぼ一致する。
改正沿革 AI による整理
- 平成13年(2001年) 従来は解雇の禁止が中心であったところ、降格・減給等を含む『その他不利益な取扱い』を禁止対象として明確化し、保護範囲を解雇以外の処遇全般へ拡大した
- 令和3年(2021年)改正、令和4年(2022年)10月1日施行 出生時育児休業(産後パパ育休)の創設に伴い、出生時育児休業申出をしたこと、及び第9条の5の規定による就業の申出・同意をしなかったことを理由とする不利益取扱いの禁止を本条に追加した
改正の年表
- 1.平成3年(1991年) 新設:育児休業等に関する法律の制定に伴い、育児休業申出・取得を理由とする解雇を禁止する規定が設けられた
- 2.平成13年(2001年) 改正:解雇の禁止に加え「その他不利益な取扱い」を禁止対象として明文化し、降格・減給・不利益配転等の処遇全般へ保護範囲を拡張した
- 3.令和3年(2021年)改正・令和4年(2022年)10月1日施行 改正:出生時育児休業(産後パパ育休)の創設に伴い、出生時育児休業申出をしたこと、及び第9条の5の規定による就業の申出・同意をしなかったことを理由とする不利益取扱いの禁止を本条に追加した
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第6条育児休業申出を事業主が拒めない原則、本条と一体で権利を実効化
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第9条の5本条が引用する出生時育児休業中の就業に関する申出・同意の規定
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第16条本条を介護休業に準用する規定
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第25条育児休業等に関する職場のハラスメント防止措置義務
- 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 第9条婚姻・妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い禁止の並行規定(通称 男女雇用機会均等法)
- 労働契約法 第16条解雇権濫用法理、本条は育休を理由とする解雇を明文で無効とする特則的位置づけ
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