要点育児・介護休業法 16 条の 9 は、要介護状態の家族を介護する労働者が請求すれば、事業主は所定外労働をさせてはならないと定める。拒否できるのは事業の正常な運営を妨げる場合のみ。
Q · 親の介護が始まったら、会社に残業を断らせることはできるの?
請求すれば会社は原則あなたに残業をさせられません
育児・介護休業法 16 条の 9 は、16 条の 8 を準用し、要介護状態にある対象家族を介護する労働者が請求すれば、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはならないと定めます。制限期間は 1 回につき 1 か月以上 1 年以内、請求回数に上限はなく、介護が続く限り更新できます。事業主が拒めるのは「事業の正常な運営を妨げる場合」だけで、単なる人手不足や繁忙は理由になりません。請求は制限開始予定日の 1 か月前までに行う必要があります。
親が脳梗塞で倒れ、退院後は毎日の通院付き添いと服薬管理が必要になった。仕事は続けたいが、定時の 18 時に上がっても間に合わない日がある。多くの人はここで「介護休業を取るか、いっそ辞めるか」の二択で消耗する。だが第三の道がある。この条文は、要介護状態の家族を介護する労働者に「所定外労働の制限」を請求する権利を与える。つまり、あなたが会社に請求すれば、契約上の勤務時間(たとえば 9 時から 18 時)を超える残業を、会社は原則させられなくなる。介護休業(93 日)と違い、この請求は 1 回につき 1 か月以上 1 年以内で、しかも回数無制限。介護が続く限り何度でも更新できる。会社が断れるのは「事業の正常な運営を妨げる場合」だけで、単なる人手不足では断れない。仕事を辞めずに、毎日定時で帰る。その法的な足場が、たった一条の準用規定の中に隠れている。
育児・介護休業法 16 条の 9 は、介護のための所定外労働の制限を定める規定であり、同法 16 条の 8 を準用して、要介護状態にある対象家族を介護する労働者の請求により、事業主が所定労働時間を超える労働をさせることを原則として禁止する。制限期間は 1 回につき 1 か月以上 1 年以内で請求回数の上限はなく、事業主が拒み得るのは事業の正常な運営を妨げる場合に限られる。
要介護状態の対象家族を介護する労働者が請求すると、会社が所定労働時間を超える残業をさせられなくなる制度です。育児・介護休業法 16 条の 9 が根拠で、請求回数に上限はありません。
制限開始予定日の 1 か月前までに、会社所定の様式または書面で請求します。遡って過去分を免除させることはできないため、介護開始の見通しが立った時点で出すのが実務上の要点です。
回数制限はありません。1 回につき 1 か月以上 1 年以内の期間で請求し、要介護状態が続く限り更新請求を繰り返せます。通算 93 日・3 回までの介護休業とはここが決定的に違います。
使えます。育児・介護休業法 2 条 3 号の要介護状態は介護保険の要介護認定と無関係で、負傷・疾病・障害により 2 週間以上の常時介護を要するかどうかで判断されます。
断れるのは「事業の正常な運営を妨げる場合」だけです。繁忙期や人手不足という抽象的な理由では足りず、代替要員の検討をしないまま拒否すれば違法と評価されます。
請求や取得を理由とする解雇・降格・減給・不利益な配置転換は育児・介護休業法で禁止されています。違反があれば都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。
できます。対象家族には配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫が含まれます。同居や扶養は要件ではないため、遠距離介護でも請求できます。
別制度です。16 条の 9 は所定労働時間を超える残業をゼロにでき、18 条は法定時間外労働を月 24 時間・年 150 時間までに抑える制度です。上限つきの 18 条より 16 条の 9 の方が強力です。
断れます。介護休業(通算 93 日、3 回まで)と所定外労働の制限(16 条の 9)は完全に別制度で、休業を使い切っていても所定外制限は請求でき、しかも回数無制限です。業界裏話ヒント:人事でも両者を混同して「介護休業の枠を使い切ったから無理」と誤案内するケースがあります。制度が別だと条番号を示して指摘できれば、その場で話が動く
いいえ、できます。この法律の要介護状態(2 条 3 号)は介護保険の要介護認定とは別物で、負傷・疾病・障害により 2 週間以上の常時介護を要する状態を指します。役所の認定を待つ必要はありません。業界裏話ヒント:認定が出る前の退院直後こそ最も介護が大変な時期で、請求すべきタイミングです。認定を待っていると、一番きつい数週間を残業しながら乗り切る羽目になる
請求や取得を理由とする降格・減給・不利益な配置転換は、育児・介護休業法で明確に禁止されており、違反すれば労働局の指導対象です。業界裏話ヒント:報復は請求の直後の不自然な異動や低評価という形で出やすい。請求書の控えと、請求前後の評価・業務内容の記録を残しておくと、後で因果関係を主張する決定的な証拠になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 制度の効果 | 16 条の 9:所定労働時間を超える労働を全面的に免除(残業ゼロ) | — |
| 期間と回数 | 1 回につき 1 か月以上 1 年以内、回数無制限で更新可能 | — |
| 請求のタイミング | 制限開始予定日の 1 か月前まで | — |
| 事業主が拒める場合 | 事業の正常な運営を妨げる場合のみ(立証責任は事業主) | — |
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