建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。
要点借地借家法31条は、賃借権の登記がなくても建物の引渡しがあれば、その後に建物の物権を取得した第三者に賃貸借を対抗できると定める。ただし抵当権の登記が先なら買受人には対抗できない。
Q · アパートの大家が建物を売ったら、新しいオーナーに追い出されるの?
原則、住んでいれば新オーナーにも対抗でき住み続けられる
借地借家法31条により、賃借権の登記がなくても、建物の引渡しを受けていれば、その後に建物を取得した新オーナーや相続人に対し賃貸借を主張できます。新オーナーは前の貸主の地位をそのまま承継するだけで、契約をリセットしたり一方的に退去させたりはできません。明け渡しを求めるには借地借家法28条の正当事由が必要です。ただし入居(引渡し)より前に抵当権の設定登記があり競売された場合は買受人に対抗できず、民法395条の6か月明渡猶予が適用されます。
賃貸アパートで何年も暮らしていると、ある朝、見知らぬ人が訪ねてきて「この建物を買った新しいオーナーだ。来月までに出て行ってほしい」と言う。多くの人はここで青ざめ、契約書を引っ張り出して自分を守る一文を探すが見つからない。だが借地借家法31条を知っていれば、あなたは動じない。建物の賃貸借は、賃借権の登記がなくても、建物の引渡しを受けていれば、その後に建物について物権を取得した者、つまり新しい買主や相続人に対して効力を持つ。あなたが鍵を受け取って実際に住んでいるという事実そのものが、新オーナーに対する盾になる。賃貸借はもともと貸主と借主の間だけの約束、つまり債権にすぎず、本来は第三者に主張できない。だがこの条文は建物の借主を特別に保護し、誰でも満たせる「引渡し」という要件一つで、所有者が代わっても住み続ける権利を与えた。新オーナーは前の大家の立場をそのまま引き継ぐだけで、契約をリセットすることはできない。
借地借家法31条は建物賃貸借の対抗力を定める規定であり、賃借権の登記がなくても、建物の引渡しがあれば、その後に当該建物について物権を取得した第三者に対し賃貸借の効力が生じる旨を規定する。賃借権の登記を要する民法605条の一般原則に対し、建物借家人を保護するための特則として機能し、引渡しという外形的事実を対抗要件とする点に特徴がある。
AI 輔助整理,以條文原文為準
建物の引渡し(実際に住んでいること)です。賃借権の登記は不要で、引渡しを受けていれば新所有者に賃貸借を対抗できます。
原則できません。新オーナーは前の貸主の地位を承継するだけで、退去を求めるには借地借家法28条の正当事由と多くは立退料が必要です。
対抗できます。借地借家法31条は登記を要せず、建物の引渡しのみで対抗力を認める特則です。
鍵の受領記録、最初の家賃振込履歴、電気・ガス・水道の開始日などで証明できます。抵当権との先後判断に直結します。
入居が抵当権設定登記より前なら買受人に対抗できます。後なら対抗できませんが、民法395条で6か月の明渡猶予があります。
新オーナーです。所有権移転に伴い敷金返還義務も新賃貸人に承継されます(民法605条の2第4項)。
できません。地位を承継するだけで契約はリセットされず、値上げには借地借家法32条の借賃増減請求の要件が必要です。
31条は建物賃貸借の規定です。土地(借地権)は借地借家法10条が建物の登記による対抗力を定めています。
新オーナーです。建物の所有権移転とともに、敷金返還義務も新賃貸人に承継されます(民法605条の2第4項)。前の大家に「敷金は引き継いでいない」と言われても、それは内部の話で、あなたは新オーナーに直接請求できます。業界裏話ヒント:ただし退去時に家賃滞納や原状回復費があれば敷金から差し引かれる。揉めそうなら、所有権が移った時点で「敷金は新オーナーに承継された」と一筆もらっておくと後が楽になる
できます。31条が要求するのは登記でも契約書でもなく、建物の引渡し、つまり実際に住んでいるという事実だけです。書面がなくても、引渡しがあれば対抗力は生じます。業界裏話ヒント:問題は揉めたときの証明です。入居日が分かる証拠、最初の家賃の振込記録、電気ガス水道の開始日、鍵の受領メールなどを残しておく。引渡しの時期はそのまま抵当権との先後判断に直結するので、日付の証拠が命綱になる
新オーナーは前の貸主の地位をそのまま引き継ぐので、契約をリセットして一方的に値上げすることはできません。家賃を上げるには、近隣相場や経済事情の変動という借賃増減請求(借地借家法32条)の要件が要ります。業界裏話ヒント:値上げに同意しなくても、あなたが相当と考える従前の額を払い続ければ滞納にはならない。受取を拒まれたら法務局に供託すればよく、最終的な決着は協議か調停で付ける
あなたの引渡し(入居)が抵当権の設定登記より前なら、買受人に対抗でき住み続けられます。後なら対抗できませんが、民法395条で買受時から6か月の明渡猶予があります。業界裏話ヒント:登記簿の乙区で抵当権の設定日を確認し、自分の入居日と比べる。この先後一つで「住み続けられる」か「6か月で退去」かが決まる。これを知らずに通知が来た途端に即引っ越す人が、本来使えたはずの権利や猶予を捨てている
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対抗要件 | 借地借家法31条:建物の引渡し(登記不要) | — |
| 保護対象 | 建物の借家人 | — |
| 特約での排除 | 借地借家法30条により借主に不利な特約は無効 | — |
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