要点不正競争防止法 30 条は、検察官または弁護人が証拠開示を行う際、営業秘密を特定させる事項を関係者に知られないよう相手方に要請できる制度を定める。被告人の防御に必要な場合等は例外となる。
Q · 営業秘密を盗まれて刑事で訴えると、証拠開示でその秘密が被告にもう一度渡るって本当?
原則そうなるが、30 条の秘匿要請で防げる
刑事手続では検察官に証拠開示義務があり(刑事訴訟法 299 条 1 項)、放置すると盗まれた営業秘密が被告側へ再び渡ります。不正競争防止法 30 条は、検察官または弁護人が証拠を閲覧させる際、営業秘密を特定させる事項を関係者(被告人を含む)に知られないよう相手方に要請できると定めます。ただし犯罪の証明・捜査・被告人の防御に必要な場合は例外で、起訴状に記載された事項は被告人本人には伏せられません。要請は開示が現実に行われる前に出すことが効果の鍵です。
自社の製造レシピや顧客リストを辞めた社員に持ち出され、競合へ流された。刑事告訴して相手に刑事責任を取らせたい。だが多くの企業は、ここで動きを止める。刑事裁判は公開が原則で、しかも検察官は手元の証拠を被告側に開示する義務を負う(刑事訴訟法 299 条 1 項)。つまり、盗まれた営業秘密を「これが盗まれた」と立証するために、法廷でその秘密をもう一度差し出すことになり、被告である元社員や、その背後にいる競合に、秘密が制度の側から再び漏れていく。この自己矛盾こそ、長年「営業秘密の刑事事件は割に合わない」と言われてきた正体だった。30 条はその矛盾を断ち切るために置かれている。検察官または弁護人が証拠を閲覧させるとき、営業秘密を特定させてしまう事項について、犯罪の証明・捜査・被告人の防御に必要な場合を除き、関係者(被告人を含む)に知られないよう相手方に要請できる。あなたが守りたいのは秘密そのものであって、訴えた代償に秘密を失うことではない。この一条が、刑事という選択肢を現実の盤面に乗せる。
不正競争防止法 30 条は、営業秘密侵害の刑事手続における証拠開示時の秘匿要請を定める規定である。検察官または弁護人が刑事訴訟法 299 条 1 項により証拠を閲覧させるに当たり、営業秘密を特定させる事項を、犯罪の証明・捜査・被告人の防御に必要な場合を除き、関係者に知られないよう相手方に求めることができる手続を規律する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
できます。不正競争防止法 30 条により、検察官または弁護人が証拠を閲覧させる際、営業秘密を特定させる事項を関係者に知られないよう相手方に要請できます。開示前に出すことが効果の条件です。
いいえ。30 条は被告人の防御に必要な場合を例外とし、起訴状に記載された事項は被告人本人への秘匿要請の対象から除いています。防御権を犠牲にしてまでの秘匿はできません。
秘密管理性・有用性・非公知性の三つです(不正競争防止法 2 条 6 項)。これを満たさない情報はそもそも営業秘密として保護されず、刑事処罰や秘匿要請の前提を欠きます。
証拠開示が現実に行われる前です。開示後に出しても、特定された事項が関係者に伝わってからでは取り返せません。告訴・捜査・公判前整理の各段階で開示が走る前に動く必要があります。
使えます。30 条 2 項により、刑事訴訟法 316 条の 28 第 2 項で準用される証拠開示の場面にも準用されます。公判廷だけでなく整理手続段階の開示にも及びます。
23 条は公判での営業秘密の呼称等を裁判所が決定で伏せる制度、30 条は証拠開示の局面で相手方に秘匿を要請する制度です。両者を連動させて設計するのが実務の要点です。
かつては証拠開示で秘密が漏れる構造から敬遠されました。現在は 23 条の秘匿決定・30 条の秘匿要請等の特例が整い、制度を知って設計すれば刑事の選択肢は現実的になっています。
関係あります。レシピ・顧客リスト・ソースコード・配合比率を持つ会社はすべて営業秘密の保有者です。持ち出されて刑事に持ち込むとき、この保護の存在を知っているかが分かれ目になります。
そこを心配して告訴を諦める企業が多いのですが、不正競争防止法は 23 条の秘匿決定で公判での呼称を伏せ、30 条で証拠開示時に秘密を特定させる事項を関係者に知られないよう要請できる仕組みを用意しています。完全に防げるわけではなく、犯罪の証明や被告人の防御に必要な範囲は例外です。業界裏話ヒント:弁護士でも営業秘密の刑事特例に不慣れな人は「刑事はリスクが高い」と一律に止めがちです。営業秘密・知財刑事に実績のある弁護士を選び、告訴状の段階から秘匿の設計を一緒に組むかどうかで、漏れる範囲がまるで変わります
いいえ。30 条は『被告人の防御に関し必要がある場合』を秘匿の例外として明文で外し、さらに起訴状に記載された事項は被告人本人への秘匿要請の対象から除いています(30 条 1 項ただし書)。秘密保護は防御権を犠牲にしてまで貫けない構造です。業界裏話ヒント:秘匿要請が広すぎて防御に必要な閲覧まで実質的に封じている、という主張は争点になり得ます。対象情報が本当に営業秘密の三要件を満たすか(公知ではないか、秘密管理が実態としてあったか)を崩せれば、秘匿の前提そのものが揺らぎます
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 場面 | 30 条:証拠開示時の秘匿要請 | — |
| 主体・効果 | 検察官・弁護人が相手方に秘匿を『要請』 | — |
| 被告人の扱い | 防御に必要な場合・起訴状記載事項は秘匿対象外 | — |
| 本条との関係 | — | — |
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