保険業法 第163条(相互会社を設立するときの株式会社と相互会社との新設合併契約)
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- 株式会社と相互会社とが新設合併をする場合において、新設合併により設立する保険会社等が相互会社であるときは、新設合併契約において、次に掲げる事項を定めなければならない。
- 一新設合併により消滅する株式会社(以下この節において「新設合併消滅株式会社」という。)及び新設合併消滅相互会社の商号及び名称並びに住所
- 二新設合併設立相互会社の目的、名称及び主たる事務所の所在地
- 三前号に掲げるもののほか、新設合併設立相互会社の定款で定める事項
- 四新設合併設立相互会社の設立時取締役の氏名
- 五次に掲げる場合の区分に応じ、次に定める事項
- 一新設合併設立相互会社が会計参与設置会社である場合新設合併設立相互会社の設立時会計参与の氏名又は名称
- 二新設合併設立相互会社が監査役設置会社である場合新設合併設立相互会社の設立時監査役の氏名
- 三新設合併設立相互会社が会計監査人設置会社である場合新設合併設立相互会社の設立時会計監査人の氏名又は名称
- 六新設合併消滅株式会社の株主及び新株予約権者に対する補償の方法
- 七新設合併消滅相互会社の社員に対して交付すべき金銭の額を定めたときは、その定め
- 八新設合併設立相互会社の準備金に関する事項
- 九新設合併後における保険契約者の権利に関する事項
- 十その他内閣府令で定める事項
- 2.新設合併設立相互会社が監査等委員会設置会社である場合には、前項第四号に掲げる事項は、設立時監査等委員である設立時取締役とそれ以外の設立時取締役とを区別して定めなければならない。
- 3.前条第二項の規定は第一項の新設合併の場合について、同条第三項の規定は新設合併消滅株式会社について、それぞれ準用する。この場合において、同項中「吸収合併」とあるのは「新設合併」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
- 4.第八十三条の規定は、第一項の新設合併について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
この条文の基本情報
相互会社を設立するときの株式会社と相互会社との新設合併契約とは何ですか?
定義相互会社を設立するときの株式会社と相互会社との新設合併契約とは、保険業法第163条に定められた規定で、「株式会社と相互会社とが新設合併をする場合において、新設合併により設立する保険会社等が相互会社であるときは、新設合併契約において、次に掲げる事項を定めなければなら…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第163条(相互会社を設立するときの株式会社と相互会社との新設合併契約)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第163条の条文原文は「株式会社と相互会社とが新設合併をする場合において、新設合併により設立する保険会社等が相互会社であるときは、新設合併契約において、次に掲げる事項を定めなければなら…」で始まります。
- 保険業法第163条は第二款 合併契約に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第163条の前の条は保険業法第162条です。
- 保険業法第163条の次の条は保険業法第164条です。
- 保険業法第163条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第163条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第163条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/163
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法163条は、株式会社と相互会社が新設合併して相互会社を設立する場合の合併契約の法定記載事項9項目を定める。株主には株式でなく補償が交付される。
Q · 株式会社の保険会社が相互会社と合併して相互会社になったら、株主は何をもらえるの?
株式ではなく「補償」を受け取ります
保険業法163条は、株式会社と相互会社が新設合併して相互会社を設立する場合の合併契約の記載事項を定めています。相互会社には株式も譲渡可能な持分証券も存在しないため、消滅する株式会社の株主と新株予約権者には、株式の割当てではなく「補償の方法」が定められます(1項5号イ)。保険契約者の権利に関する事項は同項8号に記載され、その他の細目は9号により内閣府令に委任されています。
解説
株式を持つ会社が、株式そのものが存在しない会社へ生まれ変わる。それが本条の扱う場面である。相互会社に株主はいない。いるのは保険契約者であり、その契約者が同時に社員という立場を兼ねる。だから株式会社と相互会社が新設合併して相互会社を設立するとき、消える株式会社の株主に渡すべき「株式」は、最初からこの世に存在しない。1項5号イが「補償の方法」という耳慣れない言葉を使うのはそのためだ。あなたが保険会社の株主なら、その一行が投下資本の回収方法そのものになる。あなたが保険契約者なら、8号「新設合併後における保険契約者の権利に関する事項」に自分の契約の行き先が書かれている。分厚い合併関係書類のうち、本当に読むべきはこの二か所だ。しかも9号は内閣府令へ丸ごと委任されているため、法律の条文だけを読んでも記載事項の全体像は見えない。
法的な位置づけ
保険業法163条は、株式会社と相互会社の新設合併により設立される保険会社等が相互会社である場合における、新設合併契約の法定記載事項を定める規定である。消滅株式会社の株主に対する補償の方法、設立時取締役の氏名、準備金、新設合併後の保険契約者の権利など九つの事項が対象となり、細目は内閣府令に委任されている。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.1項各号を逐条チェックリスト化する 新設合併契約のドラフトに対し、1項1号から9号までを一号ずつ照合するチェックリストを作る。商号・名称・住所、設立相互会社の目的・名称・主たる事務所、定款事項、設立時取締役の氏名、補償の方法、社員への交付金銭、準備金、保険契約者の権利、内閣府令事項の順に潰す
- 2.9号の内閣府令事項を施行規則と突き合わせる 1項9号「その他内閣府令で定める事項」は法律本文だけを読んでも全体像が見えない。保険業法施行規則の該当規定を条文単位で開き、委任された細目を一つずつ契約書の記載に対応付ける。認可審査で指摘が集中するのはこの階層である
- 3.監査等委員会設置会社なら設立時取締役を区別して記載する 新設合併設立相互会社を監査等委員会設置会社とする方針なら、2項に従い、設立時監査等委員である設立時取締役とそれ以外の設立時取締役を区別して定める。誰を監査等委員に据えるかは取締役会上程前に確定させる
- 4.3項・4項の準用による読替後条文を確定させる 3項は前条2項・3項を、4項は83条を準用し、必要な技術的読替えは政令で定められる。読替後の条文を法務部門で書き下してから契約書の文言を固める。読替えを曖昧にしたまま上程すると、後から条項番号の齟齬が出る
- 5.取締役会承認から認可申請までの順序を通す 取締役会承認 → 株主総会および社員総会(総代会)の承認 → 保険契約者への公告と異議申述期間 → 内閣総理大臣の認可申請、の順で進める。記載漏れに気付いた時点で総会をやり直す方が、認可段階で補正を受けるより結局は早い
よくある質問 AI による整理
Q1新設合併とは何ですか?
合併する会社すべてが消滅し、新たに設立する会社が権利義務を包括承継する方式です。既存の一方が存続する吸収合併と対になり、保険業法163条は設立する会社が相互会社である場合を扱います。
Q2相互会社とは何ですか?
保険契約者が同時に社員となる保険会社の組織形態です。株主が存在せず、株式も譲渡可能な持分証券もないため、合併の対価設計が株式会社とは根本的に異なります。
Q3保険業法163条の記載事項は何項目ですか?
1項に9号が並びます。両社の商号・名称・住所、設立相互会社の目的・名称・所在地、定款事項、設立時取締役の氏名、補償の方法等、準備金、保険契約者の権利、内閣府令事項です。
Q4相互会社の社員になると何ができますか?
総代会を通じた議決権の行使と、剰余金分配を受ける地位が得られます。株式会社の保険契約者が基本的に債権者にとどまるのに対し、会社運営に関与する側へ移ります。
Q5保険会社の合併に認可は必要ですか?
内閣総理大臣の認可を受けなければ効力を生じないとされています。認可審査では合併契約の法定記載事項が形式要件として確認されるため、記載漏れは補正の対象になります。
Q6新設合併契約は誰が承認しますか?
取締役会で承認した契約書を、株式会社側は株主総会、相互会社側は社員総会または総代会に上程して承認を得ます。上程後の修正は決議手続のやり直しにつながります。
Q7監査等委員会設置会社だと記載はどう変わりますか?
2項により、設立時監査等委員である設立時取締役とそれ以外の設立時取締役を区別して記載しなければなりません。一括して並べた契約書は記載不備を抱えることになります。
Q8保険契約者は合併に異議を出せますか?
合併の公告に定められた異議申述期間内であれば異議を述べられ、この期間は法令上1か月を下回れません。期間経過後は争う手段が訴訟に絞られます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1株式会社の保険会社が相互会社と合併したら、私の保険料や保障内容は変わるんですか?
保険契約は新設される相互会社に包括承継されるため、合併それ自体で保障内容や保険料が動くことはない。変わるのは立場である。相互会社では保険契約者が社員となり、総代会を通じた議決権を持つ。163条1項8号は、この点を合併契約に明記させている。実務のポイント:社員になれば剰余金分配を受ける側に回るが、総代の選任実務は会社側の推薦手続が実質を握っていることが多い。議決権があることと、それが機能することは別の話だ
Q2合併契約書に書き漏らしがあったら、その合併は無効になるんですか?
1項各号は法定記載事項なので、欠ければ契約の効力そのものが問題になる。ただし実務で先に止まるのは認可の段階で、審査の過程で補正を求められる。効力発生後に覆すには合併無効の訴えによるほかない。実務のポイント:認可審査で指摘が出るのは、法律の九つの号よりも9号が委任する内閣府令の細目であることが多い。法律だけを読んで記載事項を揃えるのが、この分野で最も繰り返されている事故である
間違えやすい点 AI による整理
- 「合併されたら自分の保険契約はどう変わるのか」という問いの立て方自体がずれている。包括承継されるため契約の内容は合併それ自体では動かない。動くのはあなたの法的地位だ。株式会社の保険契約者は基本的に債権者にすぎないが、相互会社の保険契約者は社員となり、総代会を通じた議決権と剰余金分配の立場を得る。問うべきは「契約がどう変わるか」ではなく「自分がどちら側の立場に移るか」である
- 1項9号の「その他内閣府令で定める事項」を、形式的な補足条項だと軽く見ている実務家は少なくない。深刻なのは、認可審査で指摘が集中するのがまさにこの内閣府令レベルの細目だという点だ。法律の九つの号だけを見て記載事項を揃えたつもりになる、これが組織再編実務で最も典型的な事故である
- 消滅する株式会社の株主は新会社の持分を受け取れると思われがちだが、相互会社には株式も譲渡可能な持分証券も存在しない。1項5号イが定めるのは株式の割当てではなく「補償の方法」であり、実質は金銭その他の財産による清算に近い形をとる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用場面 | 保険業法163条:株式会社と相互会社の新設合併で、設立する保険会社等が相互会社である場合 | 保険業法162条:吸収合併の場合の契約記載事項(本条3項が一部を準用) 会社法753条:新設合併で設立する会社が株式会社である場合の契約記載事項 |
| 消滅株式会社の株主への対価 | 株式ではなく「補償の方法」を定める(1項5号イ)。相互会社に株式・譲渡可能な持分証券が存在しないため | 存続会社の形態に応じて対価が定まる(相互会社が存続する場合は同様に補償の枠組み) 設立株式会社の株式・社債・新株予約権の割当てを定める |
| 保険契約者の地位 | 新設合併後における保険契約者の権利に関する事項を必ず記載(1項8号)。契約者は社員となる | 吸収合併後の契約者の地位は存続会社の形態により決まる 会社法上は保険契約者固有の記載事項の定めはない |
| 機関設計に関する特則 | 監査等委員会設置会社なら設立時監査等委員である設立時取締役と他を区別して記載(2項) | 存続会社の既存機関を前提とするため設立時取締役の記載は不要 設立時取締役等の記載は会社法の設立規定に従う |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も合併契約を書面とし記載事項を法定するが、保険業の組織形態は株式会社と保険合作社が中心で、日本型の相互会社に完全対応する類型は限られる。主管機関の許可を要する点は共通
韓国も相互会社の設立を認める枠組みを持ち、合併には金融当局の認可を要する。条文構成は日本法の影響を受けたとされるが、条項単位の対応関係は要確認
ドイツは相互保険社団(VVaG)の合併を組織再編法(UmwG)の特別章で扱い、監督官庁の認可を要する。株式のない社団の合併という課題設定は日本法と同型
米国は州法ベースで、相互会社の合併・株式会社化(demutualization)は州保険監督官の承認と契約者への通知・投票手続を要する。連邦統一法は存在しない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 加入している生命保険会社が相互会社と合併して新しい相互会社になると通知が来たら、あなたの契約はどうなる? 答えは合併契約書の1項8号に必ず書かれている。通知に同封された書面のどこを探しても契約者の権利に関する記載が見当たらないなら、それは開示が足りていない状態である。会社に書面で説明を求める根拠が、この号にある
- あなたが合併を進める側の法務担当で、新設合併契約書を取締役会にかける三日前だとする。1項4号の設立時取締役の氏名欄がまだ空欄で、しかも新会社を監査等委員会設置会社にする方針なら、2項により設立時監査等委員である取締役とそれ以外を区別して記載しなければならない。区別せず一括で並べた契約書は、記載不備を抱えたまま株主総会と総代会に上程されることになる。誰を監査等委員に据えるか、残り三日で決着させる必要がある
- 認可申請を受けた当局の担当者が最初に開くのは、合併契約書の記載事項である。9号が委任する内閣府令の細目が一つ欠けているだけで補正を求められる。法定記載事項は形式要件であり、交渉の余地はない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知書のうち合併契約の要旨を探し、保険契約者の権利に関する事項(1項8号)と補償の方法(同5号イ)の二か所を先に読む2. 記載が抽象的なら書面で会社に説明を求める、回答文書はそのまま証拠になる3. 納得できなければ公告で定められた異議申述期間内に異議を述べる、期間経過後は手段が訴訟に絞られる4. 株主の立場なら、補償額の算定根拠と第三者評価の有無を確認し、総会の前に質問状を出す
訴えられた側:1. 1項各号を逐条チェックリスト化し、9号については保険業法施行規則の該当規定と必ず突き合わせる2. 新会社を監査等委員会設置会社にするなら、2項に従い設立時監査等委員である設立時取締役とそれ以外を区別して記載する3. 3項・4項の準用に伴う技術的読替えは政令で定められるため、読替後の条文を法務で確定させてから契約書を固める4. 記載漏れに気付いた時点で総会をやり直す方が、認可段階で補正を受けるより結局は早い
時効(請求できる期限):本条自体に時効の定めはない。合併の効力を争うには会社法の合併無効の訴えによることになり、提訴期間は効力発生日から6か月とされている(最新の改正状況をご確認ください)。保険契約者の異議申述は、合併の公告に定められた期間内に限られ、この期間は法令上1か月を下回れない。加えて合併は内閣総理大臣の認可を受けなければ効力を生じないため、認可前後で取りうる手段が入れ替わる
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)会社法改正関連(人的検証が必要) 監査等委員会設置会社の制度創設に対応し、2項として設立時監査等委員である設立時取締役とそれ以外の設立時取締役を区別して定めるべき旨が置かれた。制度自体は平成27年(2015年)施行であり、本項の追加時期はこれに連動するとみられるが、改正法の条項単位の確認が必要
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 新設:保険業法の全部改正により現行法が成立し、相互会社を設立する新設合併についての契約記載事項が本条に置かれた。旧法下の規律との条項単位の対応は個別確認が必要
- 2.平成26年(2014年)前後 改正:監査等委員会設置会社の制度創設に対応して、2項(設立時監査等委員である設立時取締役とそれ以外の区別)が置かれたとみられる。制度の施行は平成27年(2015年)であり、本項の追加時期は改正法の条項単位での確認を要する
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