保険業法 第165条の5(株式買取請求権)
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- 次に掲げる株主は、消滅株式会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
- 一合併契約を承認するための株主総会(種類株主総会を含む。以下この号において同じ。)に先立って当該合併に反対する旨を当該消滅株式会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該合併に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
- 二当該株主総会において議決権を行使することができない株主
- 2.会社法第七百八十五条第五項から第九項まで(反対株主の株式買取請求)、第七百八十六条(株式の価格の決定等)、第八百六十八条第一項(非訟事件の管轄)、第八百七十条第二項(第二号に係る部分に限る。)(陳述の聴取)、第八百七十条の二(申立書の写しの送付等)、第八百七十一条本文(理由の付記)、第八百七十二条(第五号に係る部分に限る。)(即時抗告)、第八百七十二条の二(抗告状の写しの送付等)、第八百七十三条本文(原裁判の執行停止)、第八百七十五条(非訟事件手続法の規定の適用除外)及び第八百七十六条(最高裁判所規則)の規定は、前項の規定による請求について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
この条文の基本情報
株式買取請求権とは何ですか?
定義株式買取請求権とは、保険業法第165条の5に定められた規定で、「次に掲げる株主は、消滅株式会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第165条の5(株式買取請求権)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第165条の5の条文原文は「次に掲げる株主は、消滅株式会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。」で始まります。
- 保険業法第165条の5は第一目 消滅株式会社の手続に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第165条の5の前の条は保険業法第165条の4です。
- 保険業法第165条の5の次の条は保険業法第165条の6です。
- 保険業法第165条の5には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第165条の5 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第165条の5(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/165_5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法165条の6は、合併に反対する消滅保険会社の株主に株式買取請求権を認める。事前の反対通知と総会での反対が要件で、無議決権株主は通知不要である。
Q · 保険会社の合併に反対したら、自分の株を買い取ってもらえるんですか?
総会前の反対通知と総会での反対、この二つが要件です
保険業法165条の6第1項により、合併消滅会社の株主は自己の株式を公正な価格で買い取るよう請求できます。ただし議決権を行使できる株主は、株主総会に先立って会社へ反対の意思を通知し、かつ総会で実際に反対することの二つが必要です(1号)。事前通知を欠けば、総会で反対票を投じても請求権は発生しません。一方、総会で議決権を行使できない株主は反対のしようがないため、通知も反対も不要で当然に請求できます(2号)。価格協議が調わない場合は、会社法786条の準用により裁判所が価格を決定します。
解説
保険会社の合併が決まったとき、株主総会で反対票を投じたあなたには、まだ手札が残っている。「自分の株を公正な価格で買い取れ」と会社に突きつける権利だ。保険業法165条の6が定めるのはそれである。ポイントは二つ。第一に、単に総会で反対しただけでは足りない。総会「に先立って」反対の意思を会社へ通知しておくこと、そのうえで総会で実際に反対すること、この二段構えが要件だ。事前通知を忘れた瞬間、権利は消える。第二に、そもそも議決権を行使できない株主(無議決権株式の保有者など)は、反対のしようがないので通知も反対も不要で、当然に買取請求できる。そして「公正な価格」とは、あなたが買った値段でも直近の株価でもない。合併がなかったと仮定した価格、あるいは合併によるシナジーを織り込んだ価格を、最終的には裁判所が決める。株主総会で負けた側が、価格という別の土俵で戦い直せる設計になっている。
法的な位置づけ
保険業法165条の6は、合併消滅株式会社の反対株主に株式買取請求権を認める規定である。請求権者は、総会に先立つ反対通知と総会での反対を備えた議決権行使可能株主、および総会で議決権を行使できない株主の二類型に限られる。買取価格は公正な価格とされ、協議が調わない場合は会社法786条の準用により裁判所が決定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.招集通知を開封し期限を三つカレンダーに落とす 株主総会日、合併の効力発生日、価格決定申立ての起算日(総会承認日)の三つを最初に記入する。議案本文を読むより先に日付を確定させる。効力発生日の20日前から前日までが買取請求の期間となる
- 2.総会前に反対通知を会社へ到達させる 議決権を行使できる株主は、総会日より前に「本合併に反対する」旨を消滅株式会社へ通知する。内容証明郵便で送付し、配達記録と控えを保管する。無議決権株主はこの手続は不要で、開示情報から合併の事実を把握することが前提になる
- 3.総会当日に反対の議決権行使を確実に行う 出席して反対するか、議決権行使書・委任状で反対の意思表示をする。欠席・白票・棄権では「当該株主総会において反対した株主」の要件を満たさない。委任状方式なら反対通知と同時に送付すると立証が容易になる
- 4.期間内に株式買取請求を行う 準用される会社法785条5項に従い、効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までに、株式の数を明示して買取りを請求する。振替株式の場合は口座管理機関を通じた買取口座への振替申請も併せて必要になる
- 5.協議不調なら裁判所へ価格決定を申し立てる 会社の提示額に納得できない場合、株主総会承認から30日を経過した後30日以内に、会社法786条2項の準用により裁判所へ価格決定を申し立てる。自前の株価算定書を早期に提出すると判断の出発点を動かせる
よくある質問 AI による整理
Q1反対株主の株式買取請求権とは何ですか?
組織再編に反対する株主が、会社に対し自己の株式を公正な価格で買い取るよう求める権利です。多数決で再編を止められない少数株主に、金銭での退出路を保障する制度です。
Q2合併に反対する旨の通知はいつまでに出せばいいですか?
保険業法165条の6第1項1号は「株主総会に先立って」通知することを求めています。総会日より前に会社へ到達している必要があり、当日の反対だけでは要件を満たしません。
Q3株式買取請求は後から撤回できますか?
準用される会社法785条7項により、原則として会社の承諾がなければ撤回できません。請求した時点で価格決定手続に拘束されるため、市場売却と比較してから決断すべきです。
Q4買取代金はいつ支払われますか?
合併の効力発生日に買取りの効力が生じ、価格が確定した後に支払われます。協議や裁判所の価格決定が長引く場合、会社は法定利率による利息も支払う扱いとなります。
Q5反対通知は書面でないと無効ですか?
条文は方式を明示していませんが、到達と内容を立証できることが決定的です。実務では内容証明郵便または会社所定の書式を用い、控えと配達記録を保管するのが確実です。
Q6保険業法165条の6は会社法の何条を準用していますか?
第2項が会社法785条5項〜9項、786条、868条1項、870条2項、870条の2、871条本文、872条、872条の2、873条本文、875条、876条を準用します。
Q7保険契約者も合併に異議を述べられますか?
株主の買取請求とは別に、保険業法上の契約者異議手続が並走します。契約者は保険契約の承継条件について異議を述べる枠組みがあり、株主の権利とは制度系統が異なります。
Q8価格決定の申立ては誰ができますか?
準用される会社法786条2項により、株主側だけでなく会社側も申し立てられます。協議が調わないまま期間を徒過すると、会社は株主の請求額を争いにくくなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1総会に出席できないんですけど、委任状で反対したら要件を満たしますか?
代理人による議決権行使で反対すれば、「当該株主総会において反対した」に該当する。ただし本条1項1号は事前通知も要求しているので、委任状を出す前に会社へ反対通知を送っておくこと。実務のポイント:委任状の指示欄で反対に丸をつけただけで安心する株主が多いが、事前通知が抜けていれば買取請求権は発生しない。実務では、反対通知と委任状を同じ封筒で同時に送るのが確実。会社側は「通知は受け取っていない」と争う余地を潰される
Q2議決権のない株を持ってるんですが、私も買取請求できるんですか?
できる。本条1項2号が「当該株主総会において議決権を行使することができない株主」を明示的に対象にしている。反対のしようがない以上、事前通知も総会での反対も不要である。実務のポイント:会社側の招集通知は議決権のある株主向けに作られており、無議決権株主には通知自体が届かないこともある。合併の事実は公告や適時開示で知るしかない。無議決権株を持っているなら、発行会社の開示情報を自分で監視する習慣が権利の前提になる
Q3裁判所が決める「公正な価格」って、結局いくらになるんですか?
一律の算定式はなく、市場株価、DCF 法、純資産法などを事案ごとに組み合わせて判断される。合併が企業価値を増加させる場合は、その増加分の適切な分配を反映した価格になりうると解されている。実務のポイント:実務上、算定手法の選択と加重で見解が分かれており、同じ会社の同じ合併でも鑑定人によって数割の差が出る。申立て側が自前の株価算定書を早期に提出すると、裁判所の判断の出発点を動かせる。この書面の有無が結論を左右することは珍しくない
間違えやすい点 AI による整理
- 「総会で反対票を投じれば買取請求できる」と理解している人は多いが、その理解では権利を失う。条文は「株主総会に先立って当該合併に反対する旨を通知し、かつ、当該株主総会において反対した株主」と二つの行為を要求している。総会当日に手を挙げただけの株主は、要件を満たさない
- 「公正な価格」を「合併前の市場価格」だと思っている人が多いが、問いの立て方が違う。判例上、合併がシナジーを生む場合は「合併がなかったと仮定した価格(ナカリセバ価格)」ではなく、シナジーを適切に分配した価格が基準になりうる。つまり、合併が企業価値を高める取引なら、その果実の分け前を請求できる。「安く買い叩かれないための制度」ではなく「増加分の取り分を争う制度」でもある
- 少数株主から見れば「一票も持たない自分は蚊帳の外」だが、法律から見れば議決権のない株主こそ第2号で無条件に保護される対象である。この落差に気付かず、無議決権株主が「自分には何もできない」と思い込んで期限を逃すケースがある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 守られる主体 | 保険業法165条の6:合併に反対する消滅会社の株主 | 保険業法173条:保険契約者(契約承継への異議) 保険業法167条:公益・契約者一般(内閣総理大臣の認可) |
| 行使のタイミング | 総会前の反対通知 → 総会での反対 → 効力発生日前の請求 | 公告後の異議申述期間内 会社側が効力発生前に認可を取得 |
| 得られる結果 | 公正な価格による金銭での退出(合併自体は止まらない) | 契約承継に関する保護・所定の措置 認可されなければ合併そのものが進まない |
| 争う場 | 会社との価格協議 → 裁判所の非訟手続(会社法786条準用) | 会社への異議申述手続 行政庁の審査、行政訴訟 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も事前の書面異議と総会での反対を要件とし、請求期間内に会社と価格協議、不調なら法院に価格裁定を申し立てる構造で日本と酷似する
韓国も総会前の書面による反対通知を要件とし、総会決議から一定期間内に買取請求を行う。協議不調時は法院が価格を決定する点も同型
ドイツは個別の買取請求権ではなく、会社が現金補償の申出(Barabfindungsangebot)を行い、その額の妥当性を Spruchverfahren で集団的に審査する構造。決定の効力が全株主に及ぶ点が日本と決定的に異なる
米国も総会前の書面による請求意思表明と反対票を要件とする。日本の制度の直接の源流であり、衡平法裁判所が fair value を決定する。合併発表後に買い集めて価格決定を狙う appraisal arbitrage が発達している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 相互会社から株式会社化した保険会社の株を、親の相続で受け継いだ。ある日「合併契約承認の株主総会」の招集通知が届く。合併後の会社の株価は明らかに下がりそうだ。総会当日に反対票を投じるだけでは不十分で、その前に書面で反対通知を出しておかないと買取請求権は発生しない。招集通知が届いた日から総会日までの二週間が、権利の生死を分ける
- 議決権のない優先株を持っている少数株主。総会に呼ばれず、議案に一票も投じられない。それでも165条の6第1項第2号により、事前通知なしで買取請求できる。「発言権がないなら退出する権利を与える」という構造を知らずに、通知を無視して期限を逃す人が実際にいる
- 会社側の立場ならどうか。合併を進める保険会社の総務・法務担当として、反対株主から次々に買取請求が来た。買取価格の協議が総会承認から30日以内にまとまらなければ、その後30日以内に裁判所へ価格決定の申立てができる(会社法786条準用)。この期間管理を外すと、会社は法定利率の利息を上乗せして払う羽目になる
- もし、あなたが買取請求をした後で気が変わったら、撤回できるだろうか? 原則として会社の承諾がなければ撤回できない(会社法785条7項準用)。請求のボタンを押した時点で、あなたは価格決定手続という別の戦場に足を踏み入れている
- 合併の効力発生日まであと20日。株価は合併発表以降じわじわ下がっている。市場で売却するか、買取請求で戦うか。買取請求を選べば数か月から一年、裁判所の価格決定を待つことになる。その間、資金は動かせない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 招集通知を受け取ったら、まず総会日と効力発生日をカレンダーに記入2. 議決権を行使できる株主なら、総会日より前に「本合併に反対する」旨を書面(内容証明郵便が確実)で会社へ通知3. 総会当日は必ず反対の議決権行使をする、欠席や白票では要件を満たさない4. 会社法785条5項の定める期間内に買取請求を行う5. 会社の提示額に納得できなければ、総会承認から30日を経過した後30日以内に裁判所へ価格決定を申し立てる(会社法786条準用)
訴えられた側:1. 会社側なら、招集通知に反対株主の買取請求手続を正確に記載、記載漏れは手続瑕疵として合併無効の主張材料になる2. 反対通知が届いた株主数と株式数を集計し、買取原資を確保3. 価格協議は誠実に、かつ記録を残して行う、協議の形跡がないと裁判所で不利4. 協議不調なら、期間内に会社側からも価格決定の申立てが可能5. 準用される非訟事件手続(会社法868条以下)に沿って、陳述の聴取・即時抗告の期間を管理
時効(請求できる期限):反対通知は株主総会「に先立って」到達する必要がある。買取請求そのものの期間および価格決定の申立期間は、準用される会社法785条5項・786条2項に従い、効力発生日の20日前から前日まで(請求)、株主総会承認から30日を経過した後30日以内(価格決定申立て)が基本となる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条は会社法上の反対株主の株式買取請求権を保険会社の合併に特則として接続した規定であり、合併の効力そのものを争う手段ではなく、金銭的補償による退出を保障する制度と理解される。二重の要件は、会社側が総会前に買取請求の規模を把握し資金手当てを行えるようにする予測可能性の確保として説明される。
- 保険業法 第159条保険会社の合併の基本規定
- 保険業法 第165条株式会社間の合併に関する手続規定
- 保険業法 第167条合併の内閣総理大臣による認可
- 保険業法 第173条保険契約者の異議手続との並走関係
- 会社法 第785条反対株主の株式買取請求の一般規定を準用
- 会社法 第786条株式の価格決定手続を準用
- 会社法 第828条合併無効の訴え、手続瑕疵の争い方
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