保険業法 第271条の12(保険主要株主による報告又は資料の提出)
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内閣総理大臣は、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため、第百二十八条第一項の規定により保険会社に対し報告又は資料の提出を求める場合において、特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者である保険主要株主に対し、その理由を示した上で、当該保険会社の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。
この条文の基本情報
保険主要株主による報告又は資料の提出とは何ですか?
定義保険主要株主による報告又は資料の提出とは、保険業法第271条の12に定められた規定で、「内閣総理大臣は、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため、第百二十八条第一項の規定により保険会社に対し報告又は資料の提出を求める…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第271条の12(保険主要株主による報告又は資料の提出)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第271条の12の条文原文は「内閣総理大臣は、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため、第百二十八条第一項の規定により保険会社に対し報告又は資料の提出を求める…」で始まります。
- 保険業法第271条の12は第二款に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第271条の12の前の条は保険業法第271条の11です。
- 保険業法第271条の12の次の条は保険業法第271条の13です。
- 保険業法第271条の12には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第271条の12 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第271条の12(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/271_12
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法271条の12は、内閣総理大臣が保険会社に報告を求める場合に特に必要があるときは、保険主要株主に対しても理由を示した上で、必要の限度で報告や資料の提出を求められると定める。
Q · 保険会社の大株主になったら、金融庁から直接「資料を出せ」と言われることがあるんですか?
あります。株主本人に直接の提出義務が生じます
保険業法271条の12により、内閣総理大臣(実務上は金融庁)は、同法128条1項で保険会社に報告徴求をしている場面で特に必要があると認めるときに、主要株主基準値(原則20パーセント、一定の場合15パーセント)以上の議決権を持つ保険主要株主に対し、直接、報告や資料の提出を求めることができます。ただし条文は、保険会社への報告徴求が先行していること、その必要の限度であること、理由を示すことという三つの条件を明記しており、理由と無関係な資料まで義務の範囲ではありません。
解説
保険会社の議決権を主要株主基準値(原則20パーセント、一定の場合15パーセント)以上握った瞬間、あなたは単なる投資家ではなくなり、監督の射程に入る。271条の12が定めるのは、内閣総理大臣(実務上の運用は金融庁)が128条1項で保険会社本体に報告を求めている場面で、さらに特に必要があると認めたときに、その保険会社の保険主要株主であるあなたに対して直接、業務または財産の状況に関する報告や資料の提出を求められるという権限である。見落とされやすいのは、この権限に三本の絞りが明記されていることだ。第一に、保険会社への報告徴求が先行していなければ発動できない。第二に「その必要の限度において」であり、保険会社の業務・財産と無関係なあなたの内部情報まで無制限に取れるわけではない。第三に「その理由を示した上で」であり、理由を示さない包括的な資料要求は条文の形式を満たしていない。この三本の絞りこそが、提出範囲を交渉できる余地そのものである。
法的な位置づけ
保険業法271条の12は、保険主要株主に対する報告徴求権を定める規定である。内閣総理大臣は、同法128条1項に基づく保険会社への報告徴求を行う場合において特に必要があると認めるときに限り、その必要の限度において、理由を示した上で、保険主要株主に対し当該保険会社の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。
手順
- 1.要請書の根拠条文と理由欄を最初に読む 本文より先に、根拠条文が271条の12か、保険会社への128条1項の報告徴求が先行しているか、理由欄に何が書かれているかを確認する。この三点が提出範囲を設計する出発点になる
- 2.示された理由と求められた資料の対応関係を表にする 理由欄の記載ごとに、求められている資料項目を一対一で紐づける。理由と対応しない項目、当該保険会社の業務・財産と接点のない自社内部情報を別枠に切り分ける
- 3.範囲が広い部分は書面で照会する 拒否ではなく、理由の具体化と必要の限度との関連を書面で照会する。照会中の項目と、争いなく提出できる項目を分け、後者を先に段階的に提出して対話の姿勢を示す
- 4.保険会社側の回答と事実関係を突き合わせる 当局は保険会社の回答と株主側の資料を照合する前提で動く。提出前に保険会社側の担当と事実関係を確認し、数字や時系列の食い違いを潰す。説明の不整合は統治体制への関心を呼び込む
- 5.提出物の控えとログを自社で保管する 提出した資料の一覧、提出日、担当者、当局側の受領記録を自社で保管する。後日の紛争や訴訟で、当局提出資料の存在自体が相手方の主張の起点になることがある
よくある質問 AI による整理
Q1保険業法271条の12とは?
保険主要株主に対する報告徴求権の規定です。保険会社への128条1項の報告徴求が先行し、特に必要があると認められる場合に、必要の限度で理由を示して資料提出を求められます。
Q2保険主要株主になるには何が必要ですか?
主要株主基準値以上の議決権を保有するには、保険業法271条の10による内閣総理大臣の認可が必要です。認可を受けた者が保険主要株主として本条の対象になります。
Q3主要株主基準値が15パーセントに下がるのはどんな場合ですか?
原則は議決権の20パーセントですが、役員派遣や重要な融資など実質的な影響力が認められる場合には15パーセントに引き下げられます。持分率だけで判断すると誤ります。
Q4報告や資料を出さないとどうなりますか?
立入検査や監督上の措置、認可の取消しといった次段階へ進む契機になります。不提出や虚偽報告に対する罰則は改正が重ねられているため、最新の条文をご確認ください。
Q5保険持株会社も報告を求められますか?
本条の名宛人は保険主要株主です。保険持株会社には別途の監督規定が設けられており、根拠条文が異なります。要請書がどの条文に基づくかを必ず確認してください。
Q6外国のファンドや親会社も対象になりますか?
日本の保険会社について主要株主基準値以上の議決権を持ち認可を受けていれば、所在地が国外でも保険主要株主です。国外資料をどこまで求められるかが実務上の争点になります。
Q7理由が示されていない提出要請にも応じる義務がありますか?
条文は「その理由を示した上で」と明記しています。理由が示されない包括的な資料要求は条文の形式を満たさないため、拒否ではなく書面での理由照会が実務上の対応になります。
Q8報告はいつまでに提出すればよいですか?
本条自体に法定期間はなく、期限は個別の要請書で指定されます。保険会社側の回答と突き合わされる前提のため、社内の事実確認を先行させる必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1金融庁から資料を出せと言われたら、株主でも断れないんですか?
本条に基づく要請は監督権限の行使であり、正当な理由のない不提出は次段階の措置(立入検査や認可の取消し等)を招きます。ただし条文は「その必要の限度において」「その理由を示した上で」と明記しており、理由と無関係な資料まで義務の範囲ではありません。実務のポイント:実務で効くのは拒否ではなく照会です。理由との関連を書面で確認し段階的に提出する対応は、当局側も想定内の作法として扱います。最初から全量を投げる会社ほど、以後の要求水準が上がる
Q2うちはファンドで、保険会社は投資先の一つに過ぎません。ファンド全体の情報まで出す必要がありますか?
条文が対象としているのは「当該保険会社の業務又は財産の状況に関し参考となるべき」報告と資料です。ファンド全体の運用情報が当然に含まれるわけではなく、当該保険会社への影響という接点が必要になります。実務のポイント:この線引きは要請書の理由欄の書きぶりで決まります。理由が抽象的なまま広い資料を求められた場合、理由の具体化を求める照会自体が、その後の範囲を縮める最も安価な手段になる
Q3そもそも何パーセント持つと、この条文の対象になるんですか?
主要株主基準値は原則として議決権の20パーセントですが、役員派遣や資金供与などを通じて実質的な影響力があると認められる場合は15パーセントに引き下げられます。基準値以上を保有するには271条の10の認可が必要で、認可を受けた者が保険主要株主になります。実務のポイント:持分率だけを見て対象外と判断する社内メモが最も危険です。共同保有や役員派遣の有無まで含めて判定する必要があり、この判定ミスは認可なき保有という別の問題に直結する
Q4報告を出したら、その内容は公表されてしまいますか?
本条に基づく報告や資料は監督目的で収集されるもので、それ自体が公表される仕組みではありません。ただし監督上の措置に至った場合、措置の事実は公表されうるため、資料の内容が間接的に外部に現れる可能性はあります。実務のポイント:非公表を前提に社内の生々しい資料をそのまま提出する会社は多いが、後に紛争や訴訟になった際、当局提出資料の存在自体が相手方の主張の起点になることがある。提出物のリストは必ず自社側でも保管する
間違えやすい点 AI による整理
- 「規制されるのは保険会社であって、株主である自分ではない」と整理している投資家は多い。だが本条は、規制対象である保険会社を飛び越えて、株主本人に直接の提出義務を課す構造になっている。あなたが保険業の免許を持っていないことは、報告を拒む理由にならない
- 本条の存在自体は知っていても、その深刻度が見えていないケースが多い。報告徴求は単独で終わる手続ではなく、立入検査、措置命令、認可の取消しへと連なる監督のはしごの最初の一段である。最初の回答の粗さが、二段目以降の当局の姿勢を決める
- 「どこまで資料を出せば当局は納得するか」という問いの立て方自体が誤っている。条文が求めているのは網羅性ではなく、示された理由と必要の限度に対応した資料である。理由と無関係な資料を大量に出す対応は、誠実さの証明にならないばかりか、本来当局が持つ必要のなかった情報を自ら差し出す結果になる
- 内閣総理大臣が自ら行使する権限だと読めるため遠い話に見えるが、実務では金融庁長官等への委任を通じて日常的な監督のツールとして運用されている。条文上の主語と実務上の相手方は一致しない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 名宛人 | 保険主要株主(免許を持たない株主本人) | 保険会社(被規制主体である免許事業者) 主要株主基準値以上の議決権を取得しようとする者 |
| 発動の前提 | 128条1項の報告徴求が先行し、特に必要があると認めるとき | 業務の健全かつ適切な運営の確保、保険契約者等の保護のため必要があるとき 基準値以上の議決権を保有しようとする時点(事前規制) |
| 条文上の絞り | 必要の限度において、かつ理由を示した上で | 必要の限度において(株主への先行要件は不要) 認可基準への適合性審査 |
| 対象となる情報 | 当該保険会社の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告・資料 | 保険会社自身の業務又は財産の状況 取得者の財産・収支、取得資金、保有目的等 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は同一人・同一関係人の持株比率に応じた段階的な申告・許可制を採り、主管機関が資料徴求と検査を行う。株主段階を監督に取り込む発想は日本と共通
韓国は大株主との取引規制とセットで大株主への資料提出要求を規定する。取引規制と情報徴求を一体で設計する点が日本より踏み込んでいる
ドイツは EU 指令に基づく Inhaberkontrolle(持分保有者審査)として重要な持分の取得を事前審査し、BaFin が広範な情報請求権を持つ
米国は州保険庁がホールディングカンパニー制度として支配関係(原則10パーセント推定)を登録させ、支配株主に継続的な情報提出を求める。閾値が日本より低い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 投資先の中堅生命保険会社で保険金支払い遅延が表面化し、金融庁が保険会社に128条1項の報告徴求をかけた。その三日後、20パーセント超を保有する PE ファンドであるあなたのもとに、理由書付きの提出要請が届く。指定期限はあと10日。ファンド本体の投資委員会議事録までが対象なのか、それとも当該保険会社に関する部分だけなのか、この線引きを最初の回答で決めないと、以後の範囲は事実上固定される
- 保険会社の株を15パーセントしか持っていなければ、この条文は無関係だろうか。主要株主基準値は原則20パーセントだが、役員派遣や重要な融資など実質的な支配関係がある場合には15パーセントに引き下げられる。自社の持分率だけを見て「規制対象外」と判断している法務部は、この引き下げ要件を読み飛ばしている
- 保険持株会社の CFO であるあなたに、当局から理由書が届く。子会社の資産運用体制に関する資料提出の求めだ。回答者はあなたであり、保険会社側の広報ではない
- 保険会社の法務担当者として、自社への報告徴求に対応している最中に、親会社にも同じ件で提出要請が行っていると知る。ここで両者の回答内容に食い違いが出ると、当局の関心は事実関係から統治体制そのものへ移る。社内で事前に事実関係を突き合わせる回路を持っているかどうかが分かれ目になる
- 海外ファンドが日本の損害保険会社を買収し認可を得た。数年後、親ファンドの運用方針が保険会社の資産構成に影響していないかを当局が確認したい場面で、この条文が使われる。国外にある親ファンドの資料を、日本法の枠組みでどこまで求められるのかが実務上の争点になる
取るべき行動
被害を受けた側:保険契約者や保険会社の実務担当の立場では、支配株主の影響で自社の運営が歪んでいると感じたとき、当局には保険会社を飛び越えて株主本人へ直接届く回路があることを知っておく。社内では、株主から受けた指示や要請の記録(メール、議事録、稟議)を日付入りで残す。当局対応の局面で保険会社側と株主側の説明が食い違ったとき、記録を持つ側の説明が採用される。金融庁の金融サービス利用者相談室など外部窓口の存在も選択肢として把握しておく
訴えられた側:提出要請を受けた保険主要株主側は、まず要請書の記載を三点で検証する。第一に保険会社への128条1項の報告徴求が先行しているか、第二に示された理由は何か、第三に求められた資料がその理由の必要の限度に収まっているか。範囲が広すぎると判断した場合は、拒否ではなく書面での照会と段階的提出で対応する。単純な不提出や不正確な報告は、立入検査や認可の取消しを含む次段階の監督措置を呼び込む選択であり、最も避けるべき対応である
時効(請求できる期限):本条自体に法定の期間は定められておらず、提出期限は個別の要請書で指定される。時間圧の本体は期限そのものではなく、先行する保険会社への報告徴求がすでに進行している点にある。当局は保険会社側の回答と突き合わせる前提で株主側の資料を求めるため、社内の事実確認が保険会社の回答提出に間に合わない場合、説明の不整合という形で不利益が固定される。なお不提出や虚偽報告に対する罰則の内容は改正が重ねられているため、最新の改正状況をご確認ください
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 新設:保険業法の全部改正により現行法が成立。保険会社本体に対する監督規定が整備された
- 2.平成13年(2001年) 改正:銀行法等の改正に合わせ、保険会社の主要株主に対する認可制と監督規定の枠組みが導入された。被規制主体でない株主を監督の射程に入れる構造はこのときに形成された
- 保険業法 第128条保険会社への報告徴求、本条発動の前提
- 保険業法 第2条保険主要株主の定義規定
- 保険業法 第271条の10基準値以上の議決権保有の認可
- 保険業法 第271条の13保険主要株主への立入検査、次段階の監督(条番号の現行効力を要確認)
- 保険業法 第271条の14保険主要株主への措置命令(条番号の現行効力を要確認)
- 行政手続法 第14条理由提示原則の個別的具体化
- 金融商品取引法 第27条の23大量保有報告による議決権保有の公示、監督情報の別回路
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