保険業法 第271条の28(保険持株会社等に対する立入検査)
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- 内閣総理大臣は、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため、第百二十九条第一項の規定による保険会社に対する立入り、質問又は検査を行う場合において、特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に当該保険会社を子会社とする保険持株会社の事務所その他の施設に立ち入らせ、当該保険会社若しくは当該保険持株会社の業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は当該保険持株会社の帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
- 2.内閣総理大臣は、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため、第百二十九条第一項の規定による保険会社に対する立入り、質問又は検査を行う場合において、特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に当該保険会社を子会社とする保険持株会社の子法人等若しくは当該保険持株会社から業務の委託を受けた者の営業所その他の施設に立ち入らせ、当該保険会社に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
- 3.前二項の規定による立入り、質問又は検査をする職員は、その立入り、質問又は検査の相手方にその理由を示さなければならない。
- 4.前条第二項の規定は、第二項の規定による保険持株会社の子法人等又は当該保険持株会社から業務の委託を受けた者に対する質問及び検査について準用する。
この条文の基本情報
保険持株会社等に対する立入検査とは何ですか?
定義保険持株会社等に対する立入検査とは、保険業法第271条の28に定められた規定で、「内閣総理大臣は、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため、第百二十九条第一項の規定による保険会社に対する立入り、質問又は検査を行…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第271条の28(保険持株会社等に対する立入検査)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第271条の28の条文原文は「内閣総理大臣は、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため、第百二十九条第一項の規定による保険会社に対する立入り、質問又は検査を行…」で始まります。
- 保険業法第271条の28は第四款に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第271条の28の前の条は保険業法第271条の27です。
- 保険業法第271条の28の次の条は保険業法第271条の28の2です。
- 保険業法第271条の28には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第271条の28 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第271条の28(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/271_28
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法271条の28は、保険会社への立入検査に特に必要がある場合、保険持株会社や子法人等・業務委託先の施設にも立ち入り検査できると定める。職員は理由を示す義務を負う。
Q · 子会社の保険会社に検査が入っただけなのに、なぜ親会社や委託先まで検査されるの?
保険会社の検査に必要な限度でのみ、外側へ伸びる権限だから
保険業法271条の28により、内閣総理大臣は同法129条1項の保険会社への立入検査に際し特に必要があると認めるとき、その必要の限度で保険持株会社の事務所に立ち入り、質問し、帳簿書類を検査できます。2項は対象を持株会社の子法人等と業務委託先の営業所にも広げますが、質問・検査は「保険会社に対する質問若しくは検査に必要な事項」に限定されます。3項により職員は理由を示す義務を負い、4項の準用で子法人等と委託先は正当な理由があれば拒めます。
解説
金融庁の検査官がまず入るのは、子会社である保険会社のフロアだ。本条が与えているのは、その検査を親会社の側へ伸ばす権限である。内閣総理大臣(実務上は金融庁長官に委任されている)は、129条1項による保険会社への立入検査で「特に必要」があると認めるとき、保険持株会社の事務所、さらにその子法人等や業務の委託を受けた者の営業所にまで職員を立ち入らせ、質問させ、帳簿書類を検査させられる。縛りは三重にかかっている。発動の根拠は持株会社自身の非行ではなく子会社保険会社の検査の必要性であり、行使は「その必要の限度」に限られる。2項の質問・検査は「保険会社に対する質問若しくは検査に必要な事項」に絞られる。そして3項は、立ち入る職員に理由を示す義務を課す。加えて4項により、子法人等と業務委託先には正当な理由による拒絶の余地が残る。保険会社本体にはない盾が、外側の会社にはある。
法的な位置づけ
保険業法271条の28は、保険会社に対する立入検査(同法129条1項)に付随して、監督当局が保険持株会社およびその子法人等・業務委託先の施設に立ち入り、質問および帳簿書類の検査を行う権限を定める規定である。発動は子会社保険会社の検査上「特に必要」がある場合に限られ、行使は必要の限度に制約され、職員には理由の提示義務が課される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.立入りの理由をその場で確認し記録する 3項の理由提示を受けた時点で、示された理由を復唱し、日時・職員氏名・所属・示された理由を書面に残す。後日「保険会社の検査と無関係な範囲まで求められた」と主張する際、この記録の有無が効く
- 2.求められた資料を範囲判定にかける 1項(持株会社本体)か2項(子法人等・委託先)かを切り分け、2項であれば「保険会社に対する質問若しくは検査に必要な事項」に該当するかを資料ごとに判定する。範囲外と考えるものは提出時期と方法の調整として交渉する
- 3.拒絶する場合は正当な理由を書面で明示する 子法人等・業務委託先として拒む場合、4項が準用する前条2項の正当な理由を文書で示す。黙って遅らせる対応は「妨げ」「忌避」と評価されうるため、理由を明示して拒む方が法的に安全側に立てる
- 4.個人情報・第三者秘密を含む資料は法務を通してから出す 個人データや他社との秘密保持契約が絡む資料は、社内法務および外部弁護士の判断を経てから提出する。提出後の是正はできないため、この順序を崩さない
- 5.検査後の不利益処分に備えて期間を管理する 検査を受けた事実と記録を保管し、業務改善命令等が出た場合に備える。審査請求は処分を知った日の翌日から3か月、取消訴訟は6か月であり、起算点を社内で一元管理する
よくある質問 AI による整理
Q1保険持株会社とは?
保険会社を子会社として経営管理を行う会社で、内閣総理大臣の認可を受けたものです。自ら保険の引受けはしませんが保険業法の監督対象であり、271条の28により立入検査が及びます。
Q2金融庁の立入検査に事前通知はある?
保険業法271条の28は事前通知を要件としていません。実効性確保のため無予告で行われる場合もあり、受付に検査官が現れてから動き出す前提で社内手順を用意しておく必要があります。
Q3保険業法129条と271条の28の違いは?
129条1項は保険会社本体への検査権、271条の28はそれに付随して親会社の保険持株会社や子法人等・委託先へ範囲を伸ばす規定です。後者は前者の検査に「特に必要」があることが発動条件です。
Q4立入検査で理由が示されなかったらどうなる?
3項は職員に理由の提示を義務づけています。示されない場合はその場で求め、日時・職員氏名・示された内容を記録します。後に範囲の逸脱を主張する際の材料になります。
Q5立入検査のあとは何が起きる?
検査結果は講評や検査結果通知として示され、必要に応じて報告徴求や業務改善命令等の行政処分につながります。立入検査自体は事実行為で、争うのは後続の不利益処分の段階です。
Q6業務委託先が検査を拒める「正当な理由」とは?
4項が準用する前条2項により、子法人等と委託先は正当な理由があれば拒めます。第三者との秘密保持義務や保険会社の検査と無関係な情報であることが典型で、理由の明示が必須です。
Q7求められた資料はすべて提出しなければならない?
2項の質問・検査は「保険会社に対する質問若しくは検査に必要な事項」に限られます。範囲外と考える資料は一件ずつ判定し、提出時期と方法の調整として交渉するのが実務です。
Q8検査結果に不服がある場合はどうする?
立入検査という事実行為には原則として処分性がなく、争えるのは後の業務改善命令等です。審査請求は3か月、取消訴訟は6か月の期間制限があり、起算点の管理が重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1金融庁の検査って、断ったらどうなるんですか?
保険会社および保険持株会社の本体は、検査を拒み、妨げ、忌避すれば罰則の対象であり、行政処分の判断材料にもなる。一方で2項の子法人等や業務委託先は、4項の準用により正当な理由があれば質問・検査を拒める。実務のポイント:実務で使われるのは「拒否」ではなく「提出範囲と時期の調整」である。拒否という言葉で処理した記録は、後の処分理由書に残る。
Q2検査で話したことが、あとで刑事事件の証拠に使われることはありますか?
行政調査と刑事手続は制度上別だが、境界は実務上も学説上も争点である。最大判昭和47.11.22(川崎民商事件)は、憲法35条の令状主義と38条1項の自己負罪拒否特権が行政手続にも及び得るとしつつ、当該税務調査規定は合憲と判断した。実務のポイント:質問の焦点が組織の体制から特定個人の関与へ移り始めた時点が、実務上の切替えサインである。そこで弁護士を入れるかどうかが後を分ける。
Q3うちは保険会社ではなく、ただのシステム委託先です。なぜ検査が来るんですか?
2項が業務の委託を受けた者の営業所を明示しているためである。保険会社の業務が外部に出ている部分を見ないと、検査の実効性が確保できないという理屈だ。範囲は「保険会社に対する質問若しくは検査に必要な事項」に限られ、4項準用で正当な理由による拒絶も残る。実務のポイント:委託契約に包括的な検査協力条項があると、法律上の拒絶余地とは別に契約上の協力義務が先に立つ。拒否権は契約書の段階で手放されているケースが多い。
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば「親会社に検査が入った」という一つの出来事だが、法律から見れば保険会社の検査が親会社へ伸びただけで、持株会社自体が疑われているとは限らない。この落差を理解せずに社内へ「当社に問題が発生した」と伝えると、不要な混乱と情報の出し過ぎを同時に招く
- 検査拒否に罰則があることは広く知られている。知られていないのは「妨げ」「忌避」の射程の広さだ。資料提出を理由なく先延ばしする、担当者を席から外す、システムのアクセス権を渡さない、これらも妨害と評価されうる。拒みたいのなら、黙って遅らせるより理由を明示して拒む方が、法的には安全側に立てる
- 「立入検査に納得できないから取消訴訟を起こせるか」という問いの立て方そのものがずれている。立入検査という事実行為には原則として処分性が認められず、争えるのはその後に出る業務改善命令などの不利益処分の段階である。争う場所を間違えると、出訴期間だけが静かに減っていく
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象 | 271条の28:保険持株会社の事務所、その子法人等・業務委託先の営業所 | 129条:保険会社本体の営業所その他の施設 271条の27:保険持株会社等に対する報告・資料の提出徴求 |
| 発動条件 | 129条1項の検査に際し「特に必要」があると認めるとき | 保険会社の業務の健全かつ適切な運営の確保に必要なとき 同じく必要と認めるとき(物理的な立入りを伴わない) |
| 範囲の絞り | 「その必要の限度」+ 2項は保険会社の質問・検査に必要な事項に限定 | 保険会社本体の業務・財産の状況全般 求める報告・資料の範囲で画される |
| 拒絶の余地 | 4項準用により、子法人等・委託先は正当な理由があれば拒める | 本体は拒否・妨害・忌避が罰則および行政処分の判断材料となりうる 前条2項により、子法人等・委託先は正当な理由があれば拒める |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も主管機関(金管会)が保険業に加え金融持株会社とその子会社へ検査権を及ぼす構造をとる。日本と同様、持株会社自身の非行ではなくグループ監督の実効性が根拠となる
韓国では金融委員会・金融監督院が金融持株会社とその子会社に対し検査権を有する。委託先への検査も監督規程で手当てされている
ドイツでは BaFin が保険会社に加え保険持株会社およびアウトソーシング先に対して情報請求と現地検査を行える。EU の Solvency II 体制下でグループ監督が制度化されている
米国は州単位の保険監督であり、持株会社システム規制法を各州が採用して監督官の検査権を定める。連邦一元的な保険検査権は存在しない点が日本と大きく異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 子会社の保険会社に検査が入って三日目、検査官が「親会社の取締役会資料も見たい」と言い出したら、どこまで出す義務が生じるのか? 根拠は1項、縛りは「その必要の限度」である。追加提出の期限を翌朝までと切られた状況で、何を出し何を保留するかを決めるのは、その場にいるあなたの判断になる。
- 保険会社の保全事務を受託している BPO 会社の支店に、検査官が来る。あなたの会社は保険会社ではない。それでも2項の対象であり、断るなら正当な理由を言語化して残す必要がある。
- グループの持株会社が保険以外の事業会社も抱えている場合、保険会社の検査を理由にどこまで横断して見られるかが争点になる。持株会社の子法人等は2項の対象だが、質問・検査は「保険会社に対する質問若しくは検査に必要な事項」に限られる。この一行が、無関係なグループ会社の情報を守る唯一の境界線である。
取るべき行動
被害を受けた側:保険会社の対応に構造的な問題を感じたとき、相手は目の前の支社ではなくグループの親会社かもしれない。金融庁の金融サービス利用者相談室への情報提供は個別紛争を解決する手段ではないが、検査で何を見るかの材料になる。個別の紛争は並行して保険業法上の指定紛争解決機関(生命保険協会、日本損害保険協会の相談窓口)へ。時系列、担当者名、書面の写しを揃えるほど、監督側が動かせる材料に変わる。
訴えられた側:1. 立入りの時点で理由の提示(3項)を求め、日時、職員氏名、示された理由を記録する。2. 求められた資料が「保険会社に対する質問若しくは検査に必要な事項」の範囲かを一件ずつ判定し、範囲外と考えるものは提出時期と方法の調整として交渉する。3. 子法人等や委託先として拒む場合は、黙って遅らせず正当な理由を書面で明示する。4. 個人情報や第三者との秘密保持契約が絡む資料は、社内法務と外部弁護士の判断を通してから出す。
時効(請求できる期限):立入検査そのものに特定の時効はない。ただし検査の結果として業務改善命令等の不利益処分を受けた場合、審査請求は処分があったことを知った日の翌日から3か月(行政不服審査法18条1項)、取消訴訟は同じ起算点から6か月(行政事件訴訟法14条1項)。現場で理由提示を記録できる機会は一度だけで、後から作り直せない。
学説
通説:行政調査は行政目的の達成に必要な範囲でのみ許され、比例原則による限界を受ける。本条の「その必要の限度」および2項の事項限定は、この一般原理を条文上に明文化したものと理解される。
実務上の有力な整理:立入検査は権力的事実行為であり処分性を欠くため、独立に争うことは困難である。違法な範囲逸脱は、後続の不利益処分の取消訴訟における違法性の主張として顕在化させるほかない。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成9年(1997年) 新設:金融持株会社の解禁に伴う関係法律の整備により、保険業法に保険持株会社に関する規定群が設けられ、持株会社およびその関係者に対する監督・検査の枠組みが整備された。
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