保険業法 第271条の30(保険持株会社に係る認可の取消し等)
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- 内閣総理大臣は、保険持株会社が法令、定款若しくは法令に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき、又は公益を害する行為をしたときは、当該保険持株会社に対しその取締役、執行役、会計参与、監査役若しくは会計監査人の解任その他監督上必要な措置を命じ、若しくは当該保険持株会社の第二百七十一条の十八第一項若しくは第三項ただし書の認可を取り消し、又は当該保険持株会社の子会社である保険会社に対しその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。この場合において、同条第一項の認可のうち設立に係るものは、当該認可を受けて設立された保険持株会社に対して与えられているものとみなす。
- 2.保険持株会社は、前項の規定により第二百七十一条の十八第一項又は第三項ただし書の認可を取り消されたときは、内閣総理大臣が指定する期間内に保険会社を子会社とする持株会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。
- 3.前項に規定する措置が講じられた場合において、当該措置を講じた会社がなお保険会社の主要株主基準値以上の数の議決権の保有者であるときは、当該措置を講じた日を第二百七十一条の十第二項に規定する事由の生じた日とみなして、同項の規定を適用する。
- 4.内閣総理大臣は、保険会社を子会社とする持株会社が次の各号のいずれかに該当する場合において必要があると認めるときは、当該持株会社の子会社である保険会社に対し、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
- 一第二百七十一条の十八第一項の認可を受けずに同項各号に掲げる取引又は行為により保険会社を子会社とする持株会社になったもの
- 二第二百七十一条の十八第一項の認可を受けずに保険会社を子会社とする持株会社として設立されたもの
- 三第二百七十一条の十八第三項ただし書の認可を受けることなく同項の猶予期限日後も保険会社を子会社とする持株会社であるもの
- 四第一項の規定により第二百七十一条の十八第一項又は第三項ただし書の認可を取り消された持株会社であって、第二項の規定による措置を講ずることなく同項の内閣総理大臣が指定する期間後も保険会社を子会社とする持株会社であるもの
この条文の基本情報
保険持株会社に係る認可の取消し等とは何ですか?
定義保険持株会社に係る認可の取消し等とは、保険業法第271条の30に定められた規定で、「内閣総理大臣は、保険持株会社が法令、定款若しくは法令に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき、又は公益を害する行為をしたときは、当該保険持株会社に対しその取締役…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第271条の30(保険持株会社に係る認可の取消し等)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第271条の30の条文原文は「内閣総理大臣は、保険持株会社が法令、定款若しくは法令に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき、又は公益を害する行為をしたときは、当該保険持株会社に対しその取締役…」で始まります。
- 保険業法第271条の30は第四款に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第271条の30の前の条は保険業法第271条の29です。
- 保険業法第271条の30の次の条は保険業法第271条の31です。
- 保険業法第271条の30には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第271条の30 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第271条の30(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/271_30
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法271条の30は、保険持株会社が法令違反や公益を害する行為をした場合、内閣総理大臣が役員の解任命令、認可取消し、子会社保険会社への業務停止を命じられると定める。
Q · 保険グループの親会社が行政処分を受けると、子会社の保険会社はどうなるの?
親会社の違反で、子会社の保険会社が業務停止になりうる
保険業法271条の30第1項により、内閣総理大臣(実務の権限行使は金融庁)は、保険持株会社が法令・定款・行政処分に違反し、又は公益を害する行為をしたときに、取締役等の解任その他監督上必要な措置を命じ、第271条の18第1項・第3項ただし書の認可を取り消し、さらに子会社である保険会社に業務の全部又は一部の停止を命じることができます。制裁の名宛人は親会社であっても、業務が止まるのは契約者を抱える子会社になりうる点が本条の構造上の特徴です。認可取消し後は、第2項の株式処分等の措置義務と第3項の主要株主規制への移行が続きます。
解説
日本の大手保険グループの頂点には、保険を一枚も売らない会社が座っている。保険持株会社である。本条は、その頂点の会社に対して内閣総理大臣(実務の権限行使は金融庁)が振るえる刃を三本並べている。第一に、取締役・執行役・会計参与・監査役・会計監査人の解任その他監督上必要な措置を命じること。第二に、持株会社となるための認可(271条の18第1項、第3項ただし書)そのものの取消し。そして第三に、違反したのは親会社なのに、子会社である保険会社に業務の全部または一部の停止を命じられること。あなたが契約している保険会社が一つも違反していなくても、その上に立つ会社の違反で業務が止まりうる回路が、ここに書かれている。発動要件は「法令、定款若しくは法令に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき」または「公益を害する行為をしたとき」。後者に条文上の定義はない。監督裁量の幅は、その一句の中にある。
法的な位置づけ
保険業法271条の30は、保険持株会社に対する監督処分を定める規定であり、法令・定款・内閣総理大臣の処分への違反、又は公益を害する行為を要件として、役員の解任等の措置命令、持株会社認可の取消し、及び子会社である保険会社への業務停止命令の三類型を規定する。第2項以下は、認可取消し後の株式処分義務と主要株主規制への移行を定める。
よくある質問 AI による整理
Q1保険持株会社とは何ですか?
保険会社を子会社として支配する持株会社です。自らは保険を引き受けず、グループの経営方針や資本配分を決めます。設立・該当には第271条の18の認可が必要です。
Q2保険持株会社になるには認可が必要ですか?
必要です。第271条の18第1項の認可を受けずに保険会社を子会社とする持株会社になった場合、本条第4項により子会社の保険会社に業務停止が命じられることがあります。
Q3保険持株会社の認可が取り消されたらどうなりますか?
第2項により、内閣総理大臣が指定する期間内に保険会社を子会社とする持株会社でなくなる措置が必要です。措置後も基準値以上の議決権が残れば主要株主規制へ移ります。
Q4猶予期限日とは何ですか?
相続や合併等で意図せず持株会社に該当した場合に、認可取得や議決権引下げを行うための期限です。経過後も該当したままなら第4項第3号で子会社に業務停止が及びます。
Q5主要株主基準値は何パーセントですか?
保険業法上の主要株主基準値は議決権の20%(一定の場合は15%)とされています。第3項は、措置後もこの基準値以上を保有するなら主要株主規制へ接続すると定めます。
Q6行政処分の前に聴聞はありますか?
認可取消しのような不利益処分には行政手続法13条により聴聞が要求されます。通知を受けたら同法18条の文書閲覧請求で行政庁の根拠資料を確認できます。
Q7処分に不服がある場合はどうすればよいですか?
審査請求(行政不服審査法)と取消訴訟(行政事件訴訟法)があります。処分の重さ自体も裁量権の逸脱・濫用(行政事件訴訟法30条)として独立に争えます。
Q8業務停止命令と免許取消しはどう違いますか?
本条の業務停止は業務の全部又は一部を一時的に止める処分で、免許自体は残ります。免許取消し(133条)は保険業を営む資格そのものを失わせる終局的処分です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親会社が処分されたら、私が入っている保険契約はどうなるんですか?
契約そのものは有効に存続する。本条第1項が命じうるのは子会社である保険会社の業務の全部または一部の停止であり、契約の効力を消す規定ではない。免許取消し(133条)や破綻処理とは段階がまったく違う。実務のポイント:報道の「業務停止」を破綻と読み違えて解約すると、解約控除を取られたうえ、予定利率の高い旧契約を二度と買い戻せない。まず停止された業務の範囲を公表文で確認する
Q2解任を命じられたら、その役員はその日でクビになるんですか?
ならない。命令の名宛人は保険持株会社であり、取締役の解任は会社法339条1項により株主総会の決議が必要である。会社が命令に従って手続を踏む構造で、命令によって地位が当然に失われるわけではない。実務のポイント:実務では正面から解任命令が出る前に、自主的な辞任で着地させる調整が入ることが多い。辞任要請の打診が来た時点が、実質的な最終防衛線になる
Q3「公益を害する行為」って、結局なにを指すんですか?
条文に定義はない。法令違反には至らないが保険業の公共性や契約者の信頼を損なう行為が想定されるものの、具体的な線引きは実務上も解釈が分かれており、監督指針と過去の処分事例から読み取るほかない。実務のポイント:金融庁の行政処分は事案と量定が公表される。公表事例の集積が事実上の量定表として機能しているので、自社の事案がどの棚に載るかは、過去事例との距離で測るのが実務の読み方である
間違えやすい点 AI による整理
- 持株会社への処分は親会社の問題だ、という理解自体は正しい。見落とされているのはその射程である。第1項は、親会社の違反を理由に「当該保険持株会社の子会社である保険会社」の業務停止を命じられると明記している。制裁の対象と、痛みを受ける主体がずれている構造を知らないまま、グループのリスク評価を親会社の帳簿だけで済ませている例は多い
- 「どんな違反をしたら処分されるのか」という問いの立て方が、すでにずれている。本条の発動要件は法令・定款違反だけではなく「公益を害する行為」を並列に置いている。違法と評価されない行為でも射程に入りうる前提から設計し直さないと、法令チェックリストを全部緑にしても安全圏には入らない
- 認可を取り消されればその会社は規制の外に出る、と思われがちだが、条文はそこで終わらない。第2項は指定期間内に「保険会社を子会社とする持株会社でなくなるよう」措置を講じる義務を課し、第3項は、それでも主要株主基準値以上の議決権が残るなら主要株主規制(271条の10第2項)へ自動的に接続すると定める。規制の外に出る出口が、あらかじめ塞がれている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処分の名宛人 | 271条の30:保険持株会社(第1項)/子会社である保険会社(第1項後段・第4項) | 271条の29:保険持株会社(改善計画の提出要求等) 133条:保険会社本体 |
| 発動要件 | 法令・定款・内閣総理大臣の処分への違反、又は公益を害する行為/無認可での持株会社化等(第4項) | 業務又は財産の状況に照らし監督上必要と認められる場合 保険会社自身の法令違反等、業務継続が困難な事由 |
| 処分の重さ | 役員の解任命令・認可取消し・子会社の業務停止(全部又は一部) | 改善計画の提出要求・業務改善命令が中心 業務停止から免許取消しまで |
| 処分後の出口 | 第2項の株式処分等の措置義務、第3項で主要株主規制(271条の10第2項)へ自動接続 | 改善計画の履行状況のフォローアップ 清算・契約移転等の破綻処理手続へ |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は金融持株会社を一本の特別法で規律し、金融監督管理委員会が負責人の解除職務、業務の一部停止、許可の廃止まで命じうる。グループ親会社を通じて子会社を制御する発想は日本の本条と同型
韓国も金融持株会社法で銀行・保険を含む持株会社を包括規律し、金融委員会が是正措置命令から認可取消しまでの段階的処分権限を持つ
ドイツは保険グループ監督を VAG で規律し、BaFin が保険持株会社の役員の適格性(fit and proper)を理由に解任を要求できる。EU のソルベンシーII 体制によるグループ監督が上位枠組みとして働く点が日本と異なる
米国は州ごとの保険監督が基本で、持株会社の取得・支配変更には州保険庁の事前承認を要する。連邦法ではなくモデル法の各州採用という構造のため、処分権限の内容は州により差がある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 金融庁から聴聞の通知が届いた。予定される不利益処分の内容欄には「第271条の18第1項の認可の取消し」とある。期日まで二週間。この二週間のうちに文書閲覧請求(行政手続法18条)を出さなければ、行政庁が何を根拠に処分を組み立てたのかを見る機会は二度と来ない。処分が出てから資料を求めても、その権利はもう存在しない
- 合併の結果、認可を取らないまま保険会社を子会社とする持株会社になっていたとしたら? 第4項第1号が正面から当たる。命令の名宛人になるのは親会社ではなく、子会社である保険会社の業務停止である
- 契約先の保険グループの持株会社に行政処分、という速報がニュースに流れた夜、家族から「解約したほうがいいの」と LINE が来る。答えられるかどうかは、業務停止(本条)と免許取消し(133条)と破綻処理がまったく別の段階だと知っているかにかかっている。慌てて解約すれば、解約控除と予定利率の高い旧契約を同時に失う
- 創業家の相続で保険会社の株式が一つの資産管理会社に集中し、その会社が気付かないうちに保険会社を子会社とする持株会社に該当した。271条の18第3項の猶予期限日までに認可を取るか、議決権を下げるか、選択肢は二つだけ。期限を一日過ぎれば第4項第3号が起動し、止まるのは資産管理会社ではなく、契約者を数百万人抱えた子会社の方である
取るべき行動
被害を受けた側:契約者・株主の側なら、1. 金融庁が公表する行政処分の内容を読み、停止されたのが新契約の募集だけか、保険金支払を含むかを確認する2. 保険金や給付金を請求中なら、書類の提出日と受領記録を残す3. 業務停止は免許取消し(133条)でも破綻でもない。万一破綻に至った場合の生命保険契約者保護機構・損害保険契約者保護機構による補償の範囲(責任準備金の一定割合など)を先に確認し、報道だけで解約に走らない(最新の改正状況をご確認ください) 4. 株主なら適時開示の内容と、役員の責任追及(会社法847条)の可否を並行して検討する
訴えられた側:1. 聴聞の通知を受けたら即日、代理人選任・期日変更の申立て・文書閲覧請求(行政手続法17条、18条)を同時に走らせる2. 争点は「違反事実の有無」と「処分の重さ」の二層。後者は裁量権の逸脱・濫用(行政事件訴訟法30条)として独立に争える3. 第1項の認可取消しを受けた場合は、第2項の指定期間内に持株会社でなくなるための株式処分計画を並行起案し、第3項で主要株主規制へ移行する前提まで設計しておく4. 処分後は審査請求と取消訴訟のどちらを先行させるかを、期限から逆算して決める
時効(請求できる期限):本条自体に権限行使の期間制限はない。争う側の期限が厳格である。文書閲覧は聴聞の通知時から聴聞終結まで(行政手続法18条)、審査請求は処分があったことを知った日の翌日から3か月かつ処分の日の翌日から1年(行政不服審査法18条)、取消訴訟は処分があったことを知った日から6か月かつ処分の日から1年(行政事件訴訟法14条)。第2項の株式処分は、内閣総理大臣が個別に指定する期間が起算点になる(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 要検証 保険持株会社制度は平成9年(1997年)の独占禁止法改正による持株会社解禁を受け、金融システム改革関連の保険業法改正で導入されたとされる。会計参与を名宛人に含む文言は平成17年(2005年)会社法制定に伴う整備と考えられるが、枝番の付与時期と個別改正の回数は未検証であり、人的確認を要する
- 保険業法 第271条の18本条が取り消す認可の根拠規定
- 保険業法 第271条の10第3項が接続する主要株主への措置
- 保険業法 第271条の29前段階の監督、改善計画の提出要求
- 保険業法 第271条の27処分の前提となる報告徴求権限
- 保険業法 第133条保険会社本体への免許取消し等の並行規定
- 行政手続法 第13条認可取消しに聴聞を要求する手続保障
- 会社法 第339条解任命令の実行に株主総会決議を要する
- 行政事件訴訟法 第30条裁量権の逸脱濫用による処分取消しの根拠
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