保険業法 第271条の29(保険持株会社に対する改善計画の提出の要求等)
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- 内閣総理大臣は、保険持株会社の業務又は保険持株会社及びその子会社等の財産の状況に照らして、当該保険持株会社の子会社である保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該保険持株会社に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、当該保険会社の経営の健全性を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその必要の限度において監督上必要な措置を命ずることができる。
- 2.前項の規定による命令(改善計画の提出を求めることを含む。次項において同じ。)であって、保険持株会社の子会社である保険会社における保険金等の支払能力の充実の状況によって必要があると認めるときにするものは、保険持株会社の子会社である保険会社における保険金等の支払能力の充実の状況に係る区分に応じ内閣府令・財務省令で定めるものでなければならない。
- 3.内閣総理大臣は、保険持株会社に対し第一項の規定による命令をした場合において、当該命令に係る措置の実施の状況に照らして特に必要があると認めるときは、当該保険持株会社の子会社である保険会社に対し、その業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要な措置を命ずることができる。
この条文の基本情報
保険持株会社に対する改善計画の提出の要求等とは何ですか?
定義保険持株会社に対する改善計画の提出の要求等とは、保険業法第271条の29に定められた規定で、「内閣総理大臣は、保険持株会社の業務又は保険持株会社及びその子会社等の財産の状況に照らして、当該保険持株会社の子会社である保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第271条の29(保険持株会社に対する改善計画の提出の要求等)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第271条の29の条文原文は「内閣総理大臣は、保険持株会社の業務又は保険持株会社及びその子会社等の財産の状況に照らして、当該保険持株会社の子会社である保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保…」で始まります。
- 保険業法第271条の29は第四款に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第271条の29の前の条は保険業法第271条の28の2です。
- 保険業法第271条の29の次の条は保険業法第271条の30です。
- 保険業法第271条の29には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第271条の29 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第271条の29(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/271_29
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法271条の29は、金融庁が保険持株会社に改善計画の提出を求め、監督上必要な措置を命じられると定める。命令が実効を上げないときは、子会社の保険会社へ直接命令できる。
Q · 金融庁は保険会社の親会社にも命令を出せるんですか?
出せます。改善計画の提出要求も監督上の命令です
保険業法271条の29第1項により、内閣総理大臣(金融庁)は、保険持株会社及びその子会社等の財産の状況に照らし、子会社である保険会社の健全な運営と保険契約者等の保護のため必要があると認めるときは、措置を講ずべき事項及び期限を示して改善計画の提出を求め、提出された計画の変更を命じ、又は監督上必要な措置を命ずることができます。第2項により、支払能力の充実の状況によって必要があるときの命令は、その区分に応じ内閣府令・財務省令で定めるものでなければなりません。第3項では、命令の実施状況に照らし特に必要があるときは、子会社である保険会社へ直接命令できます。
解説
保険会社の株を握っている親会社、それが保険持株会社である。あなたが加入している生命保険や損害保険、その保険会社の上に、契約者からは見えない一枚の層が乗っている。この条文が与えているのは、金融庁(内閣総理大臣)がその見えない層に直接手を突っ込む権限だ。しかも構造が二段になっている。第一項で親会社に改善計画を出させ、第二項ではそれが「支払能力の充実の状況」つまりソルベンシー・マージン比率に応じた区分に従わなければならないと縛る。そして第三項、親会社に命令したのに実施が進まないとき、金融庁は孫にあたる保険会社へ直接命令を飛ばせる。あなたが保険契約者なら、押さえるべきはこの点だ。保険会社が健全でも、親会社の資産が傷めば、監督当局はその傷を理由に子会社である保険会社を動かす。契約者に届く前に、上流で舵が切られている。
法的な位置づけ
保険業法271条の29は、保険持株会社に対する監督上の命令を定める規定である。内閣総理大臣は、持株会社及びその子会社等の財産の状況に照らし、子会社である保険会社の健全かつ適切な運営の確保と保険契約者等の保護のため必要があるときは、改善計画の提出要求、その変更命令又は監督上必要な措置を命ずることができる。当該命令は支払能力の充実の状況に係る区分に応じたものでなければならない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.命令書の文言と期限を一字一句確認する 提出要求を受けたら、第1項が要求する「措置を講ずべき事項及び期限」を特定する。命令の射程を確定させ、射程外の自主的な上乗せを安易に約束しない。期限は社内の最優先マイルストーンとして登録する
- 2.第2項の区分と命令内容の整合性を検証する 支払能力の充実の状況によって必要があるとしてされた命令は、その区分に応じ内閣府令・財務省令で定めるものでなければならない。子会社保険会社のソルベンシー・マージン比率がどの区分にあるかを確認し、命令内容が区分に対応しているかを検証する
- 3.改善計画を作成し、期限内に提出する 連結ベースの財産の状況を起点に、資本政策、グループ内取引、リスク管理体制の是正策を、実施時期と責任部署まで落として記載する。取締役会の決議を経て、命令に示された期限内に提出する
- 4.第3項の発動を避けるため実施状況を継続報告する 第3項は、命令に係る措置の実施の状況に照らし特に必要があるときに、子会社である保険会社へ直接命令できると定める。実施進捗を定期的に報告し、遅延が見込まれる時点で先に説明する。第3項が出れば事業会社の現場が止まる
よくある質問 AI による整理
Q1保険持株会社とは何ですか?
保険会社を子会社とする持株会社で、保険業法上の認可を受けた法人です。株主というだけの存在ではなく、金融庁の監督対象そのものとして保険業法の規律を受けます。
Q2改善計画はいつまでに提出するのですか?
本条に一律の期限はありません。第1項により、命令の中で「措置を講ずべき事項及び期限」が個別に示されます。その期限管理が実務の生命線です。
Q3ソルベンシー・マージン比率が下がるとどうなりますか?
本条第2項により、支払能力の充実の状況に係る区分に応じ、内閣府令・財務省令で定める命令が発動されます。区分が下がるほど命令は重くなります。
Q4保険持株会社への行政処分は公表されますか?
金融庁は行政処分等について公表を行う運用をしており、公表されれば格付会社や機関投資家が即座に反応します。法的制裁より先に市場の反応が来ます。
Q5改善計画の提出要求に不服があるときは争えますか?
本条の措置は行政処分であるため、行政不服審査法による審査請求や行政事件訴訟法による取消訴訟で争う道があります。ただし監督関係の継続を踏まえた実務判断が要ります。
Q6保険会社が破綻したら契約はどうなりますか?
生命保険契約者保護機構等による契約者保護の枠組みが動きますが、責任準備金の削減や予定利率の引下げがありえます。本条は破綻の手前で作動する規定です。
Q7保険持株会社の認可は誰が出すのですか?
内閣総理大臣(実務上は金融庁)です。保険業法271条の18以下が設立等の認可を定め、この認可があるからこそ本条の監督命令が及びます。
Q8保険持株会社の子会社にはどんな会社がありますか?
保険会社のほか、銀行、証券、資産運用、リース等が並ぶことがあります。本条が見るのは「保険持株会社及びその子会社等の財産の状況」という連結の視野です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1金融庁が保険会社じゃなくて親会社に命令できるって、どういう理屈なんですか
保険業法は第271条の18以下で保険持株会社そのものを認可の対象とし、監督体系に組み込んでいる。だから本条による命令は株主への越権ではなく、認可を受けた者への監督権限の行使である。実務のポイント:保険会社単体が健全でも、親会社の海外事業やグループ内融資が傷めば命令の対象になりうる。保険会社のディスクロージャー資料だけを見ていては、この上流のリスクは見えない
Q2改善計画を出せと言われて、無視したらどうなるんですか
本条第三項により、命令に係る措置の実施の状況が不十分なら、金融庁は子会社である保険会社へ直接必要な措置を命じられる。さらにグループ全体の監督としては業務停止命令(保険業法271条の30)など次段階の措置が控えている。実務のポイント:改善計画の提出要求は行政処分であり、公表対象になりうる。公表された時点で格付会社と機関投資家が動き、資金調達コストが跳ね上がる。法的制裁より先に市場の制裁が来る
Q3第二項の「区分」って、具体的には何で決まるんですか
保険金等の支払能力の充実の状況、実務上はソルベンシー・マージン比率に応じた区分であり、具体的な区分と対応する命令内容は内閣府令・財務省令で定められる。区分が下がるほど命令は重くなる仕組みだ。実務のポイント:この規定は当局を縛る側面も持つ。区分に対応しない過剰な命令が出れば、本項違反として争う余地がある。命令を受けた側の弁護士が最初に検証するのは、まさにこの区分と命令内容の整合性である
間違えやすい点 AI による整理
- 「監督されるのは保険会社であって、持株会社は単なる株主だろう」と考える人が多い。だがこの問いの立て方自体が誤っている。保険業法は第11章で持株会社そのものを免許・認可の対象とし、本条のように直接の命令権限を置いている。持株会社は監督の外にいる存在ではなく、監督体系の中に組み込まれた当事者である
- 改善計画の提出要求は「軽い行政指導」だと受け止められがちだが、深刻度が違う。本条の措置は行政指導(役所のお願い、従わなくても法的な不利益は直接には生じない)ではなく、行政処分(役所があなたに直接下す具体的な決定)である。処分である以上、不服があれば審査請求や取消訴訟で争える一方、従わなければ業務停止など次段階の監督措置へ進む道が開いている
- 「第二項は技術的な委任規定だから読み飛ばしてよい」という理解は、本条の一番おいしい部分を捨てている。第二項は、支払能力の充実の状況に係る区分に応じた命令でなければならないと当局自身を縛る規定である。つまり監督当局は好き勝手に重い命令を出せない。区分を超えた過剰な命令が出れば、それは本項違反として争う足場になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 名宛人 | 保険業法271条の29:保険持株会社(第3項で子会社の保険会社にも直接) | 保険業法132条:保険会社本体 保険業法271条の30:保険持株会社(認可取消・業務停止) |
| 発動の着眼点 | 持株会社の業務又は持株会社及びその子会社等の財産の状況 | 保険会社自身の業務又は財産の状況 法令違反・公益侵害等、より重い事由 |
| 措置の内容 | 改善計画の提出要求・変更命令・監督上必要な措置 | 改善計画の提出要求・業務の全部又は一部の停止等 認可の取消し・業務の停止等、退出に近い措置 |
| 区分連動の縛り | 第2項により支払能力の充実の状況に係る区分に応じた命令でなければならない | 保険会社の支払能力の充実の状況に係る区分に応じた命令の仕組みがある 区分連動ではなく、事由の重大性に応じた裁量的処分 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も金融持株会社そのものを主管機関の監督対象とし、財務健全性の悪化時に改善計画の提出や資本増強等の命令を行う構成を採る。グループ最上位への直接命令という骨格は日本と共通する
韓国は金融持株会社法に加え、금융산업의 구조개선에 관한 법률の적기시정조치(早期是正措置)が自己資本比率等の区分に連動して発動される。区分連動という点で本条第2項と設計思想が近い
ドイツは Solvency II を国内法化した VAG により、保険グループ全体に対するソルベンシー要件とグループ監督を行う。監督当局はグループの資本不足時に回復計画の提出を求める権限を持つ
米国は州保険庁が持株会社システム全体を登録・監督し、Enterprise Risk Report(Form F)等でグループリスクを把握する。連邦一元監督ではなく州単位である点が日本と大きく異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 加入している生命保険会社の親会社が海外での大型買収に失敗し、連結ベースで巨額の減損を計上した。保険会社自体の決算は黒字である。それでも本条により、金融庁は親会社へ改善計画の提出を求めうる。あなたの保険契約の安全性は、保険会社の決算書だけを見ていては測れない
- あなたが保険持株会社の経営企画部門にいるとする。金融庁から改善計画の提出要求が届いた。ここで誤解してはいけないのは、これは「お願い」ではなく監督上の命令であるという点だ。措置を講ずべき事項と期限が示される。期限を過ぎれば、第三項により子会社の保険会社へ直接の命令が飛ぶ。あなたの部門の遅れが、事業会社の現場を止める
- もし、契約している保険会社のソルベンシー・マージン比率が200% を割り込んだら、何が起きるのか。第二項が答えである。区分に応じて内閣府令・財務省令で定められた命令が発動される。裁量ではなく、区分に紐づいた早期是正の仕組みが動く
- 保険持株会社の社外取締役に就任した。就任前のデューデリジェンスで確認すべきは、単体の財務諸表ではなく「保険持株会社及びその子会社等の財産の状況」という連結の視野である。あと3週間で取締役会。監督当局が何を見ているかを知らずに議決権を行使することになる
- 友人が「大手だから安心」と言って保険を選んだ。あなたは持株会社の連結の状況、ソルベンシー・マージン比率、そして金融庁が改善計画を求めた事実が公表されているかどうか、この三点を三分で説明できる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 加入している保険会社の親会社が保険持株会社かを確認し、金融庁の行政処分等の公表ページで命令の有無を確認する2. ソルベンシー・マージン比率を保険会社のディスクロージャー資料で確認、200% を一つの目安とする3. 第三項の発動、つまり子会社の保険会社への直接命令が出ている場合は、契約の継続可否を保険代理店ではなく独立系の相談窓口で検討する4. 破綻に至れば生命保険契約者保護機構の対象になるが、責任準備金の削減や予定利率の引下げがありうる点を前提に判断する
訴えられた側:1. 提出要求を受けたら、示された「措置を講ずべき事項及び期限」を一字一句確認し、命令の範囲を超えた自主的な上乗せを安易にしない2. 第二項により、命令は支払能力の充実の状況に係る区分に応じたものでなければならない。区分と命令内容の整合性を検証し、過剰であれば行政手続法に基づく意見陳述の機会で主張する3. 改善計画は期限管理が命。第三項による子会社への直接命令を招けば、事業会社の現場が止まる4. 不服があれば行政不服審査法による審査請求または行政事件訴訟法による取消訴訟の道があるが、監督関係の継続を踏まえた実務判断が要る
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。ただし改善計画の提出および措置の実施には、命令において示された個別の期限が付される。命令を行政処分として争う場合、審査請求は処分を知った日の翌日から起算して3か月以内(行政不服審査法18条)、取消訴訟は処分を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)である(最新の改正状況をご確認ください)
学説
行政法学の一般的理解:本条による改善計画の提出要求及び監督上の措置の命令は、行政指導ではなく特定の名宛人に義務を課す行政処分と解される。したがって行政手続法の不利益処分手続が問題となり、審査請求及び取消訴訟の対象となりうる。
金融監督法の一般的理解:第2項は当局への授権であると同時に、区分に応じた命令でなければならないとして当局自身を拘束する側面を持つ。区分を超える過剰な命令は本項違反として争点化しうると理解されている。
- 保険業法 第271条の18保険持株会社の設立等の認可、監督の入口
- 保険業法 第271条の27持株会社への報告徴求・立入検査の権限
- 保険業法 第271条の30持株会社の認可取消・業務停止、次段階の措置
- 保険業法 第132条保険会社本体への改善計画要求、本条の原型
- 保険業法 第130条支払能力の充実の状況の算出基準
- 行政手続法 第13条不利益処分における意見陳述手続の保障
- 行政事件訴訟法 第3条監督命令の処分性、取消訴訟の対象
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