保険業法 第308条の8(手続実施基本契約の不履行の事実の公表等)
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- 指定紛争解決機関は、手続実施基本契約により加入保険業関係業者が負担する義務の不履行が生じた場合において、当該加入保険業関係業者の意見を聴取し、当該不履行につき正当な理由がないと認めるときは、遅滞なく、当該加入保険業関係業者の商号、名称又は氏名及び当該不履行の事実を公表するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。
- 2.指定紛争解決機関は、保険業務等関連苦情及び保険業務等関連紛争を未然に防止し、並びに保険業務等関連苦情の処理及び保険業務等関連紛争の解決を促進するため、加入保険業関係業者その他の者に対し、情報の提供、相談その他の援助を行うよう努めなければならない。
この条文の基本情報
手続実施基本契約の不履行の事実の公表等とは何ですか?
定義手続実施基本契約の不履行の事実の公表等とは、保険業法第308条の8に定められた規定で、「指定紛争解決機関は、手続実施基本契約により加入保険業関係業者が負担する義務の不履行が生じた場合において、当該加入保険業関係業者の意見を聴取し、当該不履行につき正…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第308条の8(手続実施基本契約の不履行の事実の公表等)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第308条の8の条文原文は「指定紛争解決機関は、手続実施基本契約により加入保険業関係業者が負担する義務の不履行が生じた場合において、当該加入保険業関係業者の意見を聴取し、当該不履行につき正…」で始まります。
- 保険業法第308条の8は第二章に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第308条の8の前の条は保険業法第308条の7です。
- 保険業法第308条の8の次の条は保険業法第308条の9です。
- 保険業法第308条の8には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第308条の8 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第308条の8(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/308_8
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法308条の8は、指定紛争解決機関が、加入業者の手続実施基本契約上の義務不履行に正当な理由がないと認めるときは、社名と不履行の事実を公表し内閣総理大臣に報告すると定める。
Q · 保険会社が金融 ADR の手続に応じなかったら、何か罰はあるの?
刑罰はないが社名が公表され内閣総理大臣に報告される
保険業法308条の8第1項により、指定紛争解決機関は、加入保険業関係業者が手続実施基本契約上の義務を履行しない場合、当該業者の意見を聴取したうえで正当な理由がないと認めるときは、遅滞なく商号・名称又は氏名と不履行の事実を公表し、内閣総理大臣に報告しなければなりません。刑罰でも過料でもありませんが、公表は信用を商品とする保険業者にとって重い打撃であり、報告は業務改善命令(同法132条)の端緒にもなり得ます。
解説
保険金は出ません。その一文で諦めた人の大半は、保険会社が最も避けたい場所の存在を知らない。指定紛争解決機関、いわゆる金融ADRである。損害保険なら「そんぽADRセンター」、生命保険なら生命保険協会の相談所がこれにあたる。ここに紛争解決手続を申し立てられた保険会社は、手続実施基本契約(保険業法308条の7)によって手続に応じる義務を負い、資料の提出を求められ、紛争解決委員が示す特別調停案を原則として受け入れなければならない(訴訟提起などの例外あり)。では、その義務を無視したらどうなるか。それを定めるのが本条だ。正当な理由なく義務を果たさなかった業者は、意見聴取を経たうえで社名と不履行の事実を公表され、内閣総理大臣(実務上は金融庁長官)へ報告される。刑罰でも過料でもない。だが保険という商品は信用そのものを売っている。その信用に公的な傷をつけられることが、どんな制裁金より効く。あなたが握っているのは、相手が最も嫌がる場所へ紛争を引き込むスイッチである。
法的な位置づけ
保険業法308条の8は、指定紛争解決機関による不履行公表義務を定める規定である。加入保険業関係業者が手続実施基本契約上の義務を履行しない場合、機関は当該業者の意見を聴取し、正当な理由がないと認めるときは商号等と不履行の事実を公表し、内閣総理大臣に報告する。同条2項は、苦情・紛争の未然防止のための情報提供・相談等の援助に関する努力義務を定める。
手順
- 1.不払い・減額の理由を書面で出させる 電話の口頭説明は後の手続で存在しないものとして扱われる。支払対象外とする理由、根拠となる約款の条項番号、判断の前提となった事実を書面で回答するよう求め、やり取りを日付入りで記録する
- 2.保険会社の苦情窓口に申し出る 査定担当者ではなく社内の苦情・ADR 対応部署へ上げる。同じ担当者から同じ説明が二往復したら段階を上げる合図。この時点から感情ではなく約款の条項番号と時系列の事実だけを書く
- 3.指定紛争解決機関の苦情処理手続へ 損害保険はそんぽ ADR センター、生命保険は生命保険協会の相談所など、当該保険会社が加入する機関に申し出る。苦情処理手続の記録は後の紛争解決手続へ引き継がれる
- 4.紛争解決手続を申し立て、不履行は記録に残す 請求額、根拠となる約款の条項番号、相手の回答の矛盾点を一枚に整理して申立てる。相手が応じない、資料を出さない、特別調停案を拒む場合は、保険業法308条の8の公表と内閣総理大臣への報告の対象になり得る点を明示して記録に残す
よくある質問 AI による整理
Q1指定紛争解決機関とは何ですか?
内閣総理大臣の指定を受け、金融分野の苦情処理と紛争解決を行う民間機関です。損害保険なら「そんぽ ADR センター」、生命保険なら生命保険協会の相談所がこれにあたります。
Q2手続実施基本契約とは何ですか?
指定紛争解決機関と保険業者が結ぶ契約で、手続への応諾義務、資料提出義務、特別調停案の受諾義務などを内容とします。根拠は保険業法308条の7です。
Q3保険会社は金融 ADR を拒否できますか?
原則できません。手続実施基本契約により応諾義務を負い、正当な理由なく応じなければ保険業法308条の8の公表・報告の対象になり得ます。
Q4保険会社は資料提出を断れますか?
手続実施基本契約上、資料提出義務を負うため原則断れません。提出しないまま沈黙すれば、それ自体が義務の不履行として公表対象になり得ます。
Q5保険金が支払われないときはどこに相談すればいい?
まず保険会社の苦情窓口、次に指定紛争解決機関の苦情処理手続、動かなければ紛争解決手続へ上げます。申立人側の手続費用は原則かかりません。
Q6金融 ADR はどのくらい時間がかかりますか?
事案の複雑さと資料の揃い方により大きく異なり、数か月を要することが一般的です。時効完成が近い場合は訴訟提起との併用を先に検討すべきです。
Q7社名が公表されたら会社はどうなりますか?
公表と同時に内閣総理大臣へ報告され、監督上の記録として残ります。業務改善命令(保険業法132条)の端緒となり得るほか、信用面の打撃を回復する手続は用意されていません。
Q8保険代理店も公表の対象になりますか?
加入保険業関係業者であれば会社の規模を問わず対象です。条文は「商号、名称又は氏名」と定めており、個人事業の屋号も公表され得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ADRって結局、保険会社寄りの組織なんじゃないですか?
運営費を加入業者の負担金で賄っているのは事実です。ただし内閣総理大臣の指定を受けた機関であり、紛争解決委員は弁護士や消費生活相談の経験者など外部の者で構成され、業者側は手続実施基本契約(保険業法308条の7)で資料提出義務を負います。実務のポイント:訴訟なら文書提出命令を経ないと出てこない社内の査定資料や医療照会の結果が、ADRの手続内で提出されることがある。結論を取りに行く場ではなく資料を取りに行く場として使う実務家は少なくない
Q2費用はいくらかかりますか?
申立人側の手続費用は原則として不要です(郵送費や診断書などの実費は自己負担)。制度の費用は加入業者の負担金で支える設計になっており、弁護士に依頼せず本人で申し立てることもできます。実務のポイント:無料であることの副作用は、申立書の書き方で結論がぶれることだ。請求額、根拠となる約款条項、相手の回答文の矛盾点を一枚にまとめて出すかどうかで、紛争解決委員の初期心証が変わる
Q3実際に社名が公表されたことってあるんですか?
公表に至った例は極めて少ないのが実情です。制度上は正当な理由のない不履行があれば意見聴取のうえ社名と事実を公表し内閣総理大臣へ報告する義務がありますが(本条1項)、そこへ至る前に業者が応じるためです。実務のポイント:公表欄がほぼ空白であること自体が抑止力の正体である。「公表対象になりますよね」の一言が効くのは、その最初の一社になりたい会社が存在しないからだ
Q4今は保険会社と直接交渉中ですが、いつ切り替えるべきですか?
各社の苦情窓口、指定紛争解決機関の苦情処理手続、そして紛争解決手続という三段構えです。同じ担当者から同じ説明が二往復したら段階を上げる合図と考えてよい。実務のポイント:苦情処理手続の記録は紛争解決手続へ引き継がれる。最初の苦情申出の段階から、感情ではなく約款の条項番号と時系列の事実だけを書いておくと、それがそのまま後の手続の武器になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「ADRは所詮話し合いだから、相手が拒めばそこで終わり」と思われている。しかし金融ADRは片面的に傾いている。紛争解決委員が特別調停案を提示すれば、加入業者側は原則としてこれを受諾しなければならず、正当な理由なく拒めば本条の公表対象になりうる。対等な話し合いの場ではなく、最初から傾斜のついた土俵である
- 公表制度があること自体は知られている。知られていないのはその深刻度だ。内閣総理大臣への報告は監督上の記録として残り、業務改善命令(保険業法132条)の端緒になりうる。一件の不履行が、会社全体の監督ラインを動かす引き金になる構造になっている
- 「ADRに申し立てたら訴訟はできなくなるのか」という問いは、前提から外れている。ADRは裁判を受ける権利を奪わない。合意が成立しなければ訴訟へ進めるし、不成立に至った経緯そのものが次の交渉材料になる。二者択一ではなく、どちらを先に置くかという順番の問題である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 保険業法308条の8:不履行の公表と内閣総理大臣への報告(サンクション) | 保険業法308条の7:手続実施基本契約による応諾・資料提出義務の発生源 保険業法132条:報告を端緒とする業務改善命令等の監督処分 |
| 発動する主体 | 指定紛争解決機関 | 指定紛争解決機関と加入保険業関係業者(契約当事者) 内閣総理大臣(実務上は金融庁長官) |
| 発動要件 | 義務の不履行 + 意見聴取 + 正当な理由がないとの認定 | 指定紛争解決機関への加入と契約締結 業務の健全性・適切性の確保のため必要と認めるとき |
| 効果の性質 | 刑罰・過料ではなく評判への打撃と監督上の記録 | 私法上の契約義務(手続に応じ資料を出す義務) 行政処分(業務改善命令・業務停止命令等) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は金融消費争議の評議制度を法律で整備し、一定額以下の評議決定には金融サービス業側が拘束される片面的構造を採る。日本の特別調停案受諾義務と設計思想が近い
韓国は金融監督院に置かれた紛争調停機構が調停を担い、監督機関と紛争処理が同一組織内にある点で、指定を受けた民間機関が担う日本と組織構造が異なる
ドイツは保険オンブズマンによる調停を法律上位置づけ、一定額までの決定に保険者側が拘束される運用が知られる。義務不履行に対する社名公表という手法は日本に特徴的
米国は不当な保険金処理を州保険庁の監督と州法上の責任(州によっては bad faith 訴訟)で規律し、統一的な ADR 応諾義務ではなく訴訟と行政処分を軸とする
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 交通事故で通院6か月、症状固定後に後遺障害は非該当。保険会社は一歩も動かない。弁護士費用特約がなく訴訟費用を考えて諦めかけているなら、先に指定紛争解決機関である。申立人側の手続費用は原則かからず、相手方には手続に応じる義務がある。訴訟を起こす体力がない側にこそ設計された回路だ
- もし、保険会社がADRの呼び出しに一度も応じなかったら何が起きるか? 機関は業者の意見を聴いたうえで正当な理由がないと判断すれば、社名と不履行の事実を公表し、金融庁に報告する。実務上この公表はほとんど発動しない。発動しないからこそ、最初の一社になりたい会社は存在しない
- あなたが保険代理店を経営している側だとする。顧客からのADR申立てに「今は手が回らない」で応じなければ、屋号が公表対象になりうる。加入業者の義務は会社の規模を問わない
- 保険給付を請求する権利の消滅時効は3年(保険法95条)。不払い通知から交渉を重ねて2年半、残りは半年。ADRか訴訟かを決める期限がすでに視界に入っている。ADR手続中の時効の取り扱いには制度上の手当てがあるが、確実さを取るなら訴訟提起との併用を早期に弁護士へ相談する局面である
- 親が入院給付金の請求を断られ、あなたに相談してきた。契約者本人でなくても代理人として申立てができる場合がある。親が電話口で説得されて請求を取り下げる前に、口頭のやり取りを書面へ切り替える。電話は記録が残らず、相手の説明も残らない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 不払い・減額の理由を必ず書面で出させる。電話の口頭説明は後の手続で存在しないのと同じ2. まず保険会社の苦情窓口、次に指定紛争解決機関の苦情処理手続へ。二往復しても結論が動かなければ紛争解決手続に上げる3. 申立書には請求額、根拠となる約款の条項番号、相手の回答の矛盾点を一枚に整理する4. 相手が応じない、資料を出さない、特別調停案を拒む場合は、本条の公表と内閣総理大臣への報告の対象になりうる点を明示して記録に残す
訴えられた側:1. 加入業者として申立てを受けたら、応答の遅れ自体が不履行と評価されうると認識する。多忙や担当者不在は正当な理由になりにくい2. 争う場合も、不応諾ではなく手続内で反論する。資料を出したうえでの不成立と、出さずに沈黙した不履行では帰結が全く違う3. 特別調停案を受諾しない方針なら、法定の例外要件に該当するかを法務・顧問弁護士と事前に詰め、根拠を書面で示す4. 公表前には意見聴取の機会があるため、その場で正当な理由を具体的事実で立てる
時効(請求できる期限):本条の公表・報告自体に期間の定めはなく「遅滞なく」行うとされる。実益上の期限は請求権側にあり、保険給付を請求する権利等の消滅時効は3年(保険法95条、権利を行使できる時から)。紛争解決手続の利用中は時効の取り扱いに制度上の手当てがあるが、時効完成が迫っている場合は訴訟提起による確実な中断措置を併用すべきである(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成21年(2009年)改正、平成22年(2010年)10月1日施行 金融分野の裁判外紛争解決制度(金融ADR制度)の創設に伴い新設。指定紛争解決機関に対し、加入業者の手続実施基本契約上の義務不履行について意見聴取を経たうえで社名等を公表し内閣総理大臣へ報告する義務を課し、あわせて苦情・紛争の未然防止のための情報提供・相談等の努力義務を定めた
改正の年表
- 1.平成21年(2009年) 新設:金融分野の裁判外紛争解決制度(金融 ADR 制度)の創設に伴い新設され、平成22年(2010年)10月1日施行。指定紛争解決機関に対し、加入業者の手続実施基本契約上の義務不履行について意見聴取を経たうえで商号等を公表し内閣総理大臣へ報告する義務を課すとともに、苦情・紛争の未然防止のための情報提供・相談等の努力義務を定めた
- 保険業法 第2条指定紛争解決機関・加入保険業関係業者等の定義
- 保険業法 第308条の2紛争解決等業務を行う者の指定制度
- 保険業法 第308条の7手続実施基本契約の内容、応諾義務と資料提出義務の根拠
- 保険業法 第308条の13紛争解決手続と特別調停案の提示(現行効力を要確認)
- 保険業法 第132条報告を端緒とする業務改善命令等の監督処分
- 保険法 第95条保険給付請求権の3年の消滅時効
- 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律 第25条認証ADRにおける時効の完成猶予の一般則
- 銀行法 第52条の68銀行分野の金融ADRにおける同一構造の公表規定
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