保険業法 第325条(虚偽文書行使等の罪)
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- 第三百二十二条第一項第一号から第八号までに掲げる者又は基金若しくは相互会社の社債(第六十一条に規定する社債をいう。)を引き受ける者の募集の委託を受けた者が、株式、基金、新株予約権、社債(第六十一条に規定する社債及び会社法第二条第二十三号に規定する社債をいう。以下この項において同じ。)又は新株予約権付社債を引き受ける者の募集をするに当たり、保険会社等の事業その他の事項に関する説明を記載した資料若しくは当該募集の広告その他の当該募集に関する文書であって重要な事項について虚偽の記載のあるものを行使し、又はこれらの書類の作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録であって重要な事項について虚偽の記録のあるものをその募集の事務の用に供したときは、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 2.相互会社の社債(第六十一条に規定する社債をいう。)の売出しを行う者が、その売出しに関する文書であって重要な事項について虚偽の記載のあるものを行使し、又は当該文書の作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録であって重要な事項について虚偽の記録のあるものをその売出しの事務の用に供したときも、前項と同様とする。
- 3.相互会社が株式会社となる組織変更をする場合において、相互会社の保険管理人又は第三百二十二条第一項第四号から第八号までに掲げる者が、第九十二条の規定による株式を引き受ける者の募集をするに当たり、組織変更後の株式会社の事業その他の事項に関する説明を記載した資料若しくは当該募集の広告その他の当該募集に関する文書であって重要な事項について虚偽の記載のあるものを行使し、又はこれらの書類の作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録であって重要な事項について虚偽の記録のあるものをその募集の事務の用に供したときも、第一項と同様とする。
- 4.株式会社が相互会社となる組織変更をする場合において、株式会社の保険管理人、取締役、会計参与、監査役、執行役、民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された株式会社の取締役、監査役若しくは執行役の職務を代行する者、会社法第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項若しくは第四百一条第三項(同法第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、代表取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役若しくは代表執行役の職務を行うべき者又は支配人その他営業に関するある種類若しくは特定の事項の委任を受けた使用人が、第七十八条第一項の規定による基金の募集に当たり、基金の募集の広告その他基金の募集に関する文書であって重要な事項について虚偽の記載のあるものを行使し、又はこれらの書類の作成に代えて電磁的記録の作成がされている場合における当該電磁的記録であって重要な事項について虚偽の記録のあるものをその募集の事務の用に供したときも、第一項と同様とする。
この条文の基本情報
虚偽文書行使等の罪とは何ですか?
定義虚偽文書行使等の罪とは、保険業法第325条に定められた規定で、「第三百二十二条第一項第一号から第八号までに掲げる者又は基金若しくは相互会社の社債(第六十一条に規定する社債をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第325条(虚偽文書行使等の罪)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第325条の条文原文は「第三百二十二条第一項第一号から第八号までに掲げる者又は基金若しくは相互会社の社債(第六十一条に規定する社債をいう。」で始まります。
- 保険業法第325条は第六編に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第325条の前の条は保険業法第324条です。
- 保険業法第325条の次の条は保険業法第326条です。
- 保険業法第325条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第325条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第325条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/325
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法325条は、株式・基金・社債の募集に際し重要な事項に虚偽の記載がある文書を行使した役員等を、5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金に処し、併科もできると定める。
Q · 保険会社の募集資料に嘘の数字を書いたら、誰がどんな罰を受けるの?
行使した本人が処罰される。最大5年の拘禁刑+罰金500万円の併科
保険業法325条により、保険会社等の取締役・執行役・保険管理人・支配人・特定事項の委任を受けた使用人、さらに募集の委託を受けた者が、重要な事項について虚偽の記載がある募集資料や広告を行使し、又は虚偽の記録がある電磁的記録を募集事務の用に供したときは、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処せられ、両方を併科することもできます。処罰されるのは会社ではなく、この行為をした自然人です。投資家に実際の損害が出たかどうかは構成要件ではなく、行使した時点で成立します。
解説
保険会社の資金調達文書に虚偽を書いた人間が何年刑務所に入るか、その答えがここにある。5年以下の拘禁刑、500万円以下の罰金、しかも「又は」ではなく併科できる。つまり刑務所と罰金の両方を食らう。あなたがもし保険会社や相互会社の役員、あるいは社債・基金の募集事務を委託された側にいるなら、この条文はあなたの机の上に置かれている。ポイントは主体の広さだ。取締役や執行役だけではない。募集の委託を受けた者、支配人、特定事項の委任を受けた使用人まで含まれる。つまり「上から言われて資料を配っただけ」の立場でも、重要事項に虚偽があると知りながら行使すれば主体になりうる。さらに紙の資料だけでなく電磁的記録も対象。PDF やスライド、社内システムに登録した募集資料も同じ扱いである。募集広告の一枚が、あなたを被告人席に座らせる。
法的な位置づけ
保険業法325条は、保険会社等の役員等および募集の委託を受けた者による不実文書行使を処罰する規定である。株式・基金・社債等の募集に際し、重要な事項について虚偽の記載がある文書を行使し、又は虚偽の記録がある電磁的記録を募集事務の用に供する行為を構成要件とし、損害の発生を要件としない。法定刑は5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金であり、併科もできる。
よくある質問 AI による整理
Q1保険業法325条とはどんな条文ですか?
保険会社等の株式・基金・社債の募集で、重要な事項に虚偽の記載がある文書を行使した者を処罰する不実文書行使罪の規定です。電磁的記録を募集事務の用に供した場合も同じ扱いになります。
Q2保険業法325条の罰則はどのくらい重いですか?
5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、又はその併科です。「又は」ではなく併科が認められている点が特徴で、罰金だけでは抑止できない大型調達事案が想定されています。
Q3保険業法325条で処罰されるのは誰ですか?
322条1項1号から8号の取締役・執行役・監査役・保険管理人等に加え、支配人、特定事項の委任を受けた使用人、募集の委託を受けた者も含まれます。処罰対象は法人ではなく自然人です。
Q4「重要な事項」の虚偽記載とは何ですか?
出資判断に影響を及ぼす事項の虚偽をいいます。財務数値だけでなく、訴訟の係属、行政処分の履歴、主要な再保険契約の解約なども含まれうるため、数字が合っていれば安全とは言えません。
Q5会社法964条との違いは何ですか?
会社法964条は株式会社一般の不実文書行使罪、保険業法325条は保険会社・相互会社の基金や社債の募集に対応する専用規定です。相互会社特有の基金・組織変更の局面を明文で捕捉します。
Q6保険業法325条の公訴時効は何年ですか?
法定刑の長期が5年の拘禁刑であるため、公訴時効は5年です(刑事訴訟法250条2項)。起算点は文書を行使し、又は電磁的記録を募集事務の用に供した時点になります。
Q7法人も罰せられますか?
本条自体は自然人を処罰する規定です。法人の処罰は別途の両罰規定の問題であり、325条の名宛人は取締役・執行役・保険管理人・委託を受けた者といった個人になります。
Q8募集が中止になっても罪になりますか?
成立しうります。本条は出資の実現や損害の発生を構成要件にしておらず、虚偽記載のある文書を行使し、又は電磁的記録を募集事務の用に供した時点で既に充たされます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1上司に言われた通りに資料を作っただけでも罪になりますか?
作成だけでは本条の実行行為に届かない場合があるが、虚偽と知りつつ行使し、または募集事務に供すれば主体になりうる。本条1項は委託を受けた者や使用人も名宛人に含む。実務のポイント:実務では、指示メールを保存しているかどうかで立場が大きく変わる。指示者の故意を立証できれば自分は共犯の周辺に退けられるが、口頭指示しか残っていないと現場担当者が前面に出される
Q2PDF をメールで送っただけでも「行使」になりますか?
本条は書類の作成に代えて電磁的記録が作成されている場合、その記録を募集事務の用に供した行為を明示的に処罰対象としている(本条1項後段)。送信は事務供用の典型である。実務のポイント:訴追側はメールサーバーのログと添付ファイルのハッシュ値で同一性を立証する。ファイルを後から差し替えても、送信時点の版が復元されることが多い
Q3投資家が損をしていなければセーフですよね?
違う。本条は損害発生を構成要件にしていない。重要事項について虚偽の記載がある文書を行使した時点で成立する。損害の有無は量刑や民事賠償の場面で意味を持つにとどまる。実務のポイント:損害が出ていない段階で発覚した事案は、刑事より先に金融庁の行政処分(業務改善命令など、役所が会社に直接下す具体的な決定)として表面化することが多い。行政処分の公表文が後の刑事事件の端緒になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「虚偽記載は会社の責任で、担当者個人は問われない」と考えられがちだが、本条は自然人を処罰する規定である。法人処罰は別途の両罰規定の問題であり、本条の名宛人は取締役・執行役・保険管理人・委託を受けた者といった生身の人間だ
- 「虚偽記載=詐欺罪だろう」と思っている人は、問いの立て方を誤っている。本条は投資家が実際に損をしたかどうか、金を出したかどうかを構成要件にしていない。重要事項の虚偽記載がある文書を行使した時点で成立する。結果を待たない類型であるという点が、刑法の詐欺罪(刑法246条)との決定的な違いである
- 「重要な事項」の意味を軽く見ている人が多い。実務では、投資判断に影響を及ぼす事項かどうかで判断されるが、財務数値だけでなく訴訟の係属、行政処分の履歴、主要な再保険契約の解約なども含まれうる。数字さえ合っていれば安全という理解は、範囲を過小評価している
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 保護の中心 | 保険業法325条:募集文書の情報の真正性(出資者+保険契約者) | 保険業法321条:会社財産そのもの(特別背任) 会社法964条:株式会社の募集文書の真正性 |
| 主体 | 322条1項1〜8号の者+募集の委託を受けた者+保険管理人 | 取締役・執行役等の任務を負う役員等 発起人・設立時取締役・取締役・執行役等 |
| 結果の要否 | 損害不要。行使又は電磁的記録の事務供用で成立 | 会社に財産上の損害が生じることが必要 損害不要。行使で成立 |
| 法定刑 | 5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金(併科可) | 特別背任として本条より重い類型が置かれる 5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金(併科可) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は保険業法に本条相当の独立規定を置かず、募集書類の虚偽記載は證券交易法174条の虚偽記載罪で捕捉する構造。保険会社固有の基金という調達手段が存在しない点が日本との最大の差異
韓国は商法に不実文書行使罪を置き、株式・社債の募集における重要事項の虚偽記載文書の行使を処罰する。保険業については保険業法の罰則が別途重畳的に働く
ドイツは刑法典の資本投資詐欺罪として、広く投資勧誘における重要情報の不実表示を処罰。保険監督は VAG が担い、刑事規律と監督規律を分離する建付けが日本より明確
米国は保険業法ではなく連邦証券法と SEC 規則で募集時の重要な不実表示を規律し、刑事・民事・行政の三層が並走する。保険は原則として州法(McCarran-Ferguson Act)の管轄である点が構造的に異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 相互会社の基金募集で、財務の実態より健全に見える数字を載せた説明資料を投資家に配った。上司からは「この数字で作れ」と指示されただけ。だが資料を行使したのはあなたである。委託を受けた者も主体に含まれるため、指示に従っただけという弁解は主体性の否定にならない
- もし、募集用の PowerPoint を社内サーバーにアップロードしただけで、印刷して配っていなかったとしたら? 電磁的記録を「募集の事務の用に供した」時点で本条の対象になる。紙に出していないから安全、という感覚は本条の下では通用しない
- 相互会社が株式会社へ組織変更する局面。92条に基づく株式引受人の募集で、組織変更後の会社の事業説明に虚偽が混ざった。保険管理人も主体に明記されている。会社更生的な局面で入ってきた管財人的立場の人間も、逃げ場はない
- 募集資料の最終稿チェックを任された法務担当のあなた。翌週月曜が投資家説明会で、あと3日。数字の根拠資料が一部見つからない。ここで「たぶん大丈夫」と通せば、行使の瞬間にあなたも文書作成ラインの中に入る。今夜のうちに根拠を取るか、記載を落とすかの二択しかない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 手元の募集資料、広告、説明会スライド、受信メールをすべて日付入りで保全する。電磁的記録は改訂される前に保存することが最優先2. 虚偽と考える記載と、実際の事実の対照表を作る。重要事項性の主張はここで決まる3. 刑事は金融庁または警察・検察への申告、民事は別軌道で損害賠償(民法709条)を検討。刑事が動かなくても民事は独立して進められる4. 投資判断に影響したことを示すために、資料を読んだ時期と出資決定の時期の前後関係を記録する
訴えられた側:1. 自分が文書を「行使」したのか、単に作成過程に関与しただけかを切り分ける。本条は行使または事務供用が要件である2. 記載が「重要な事項」に当たるかを争う。投資判断への影響度が争点になる3. 虚偽性の認識があったかを検証する。根拠資料に基づいて記載した経緯が残っていれば故意が否定されうる4. 主体適格を確認する。委託を受けた者に当たるか、単なる事務補助かで結論が変わる場合がある
時効(請求できる期限):本条の法定刑は5年以下の拘禁刑であるため、公訴時効は5年(刑事訴訟法250条2項)。起算点は文書を行使し、または電磁的記録を募集事務の用に供した時。民事の損害賠償は損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年(民法724条)
学説
通説:本条は募集市場における情報の真正性を保護法益とする抽象的危険犯であり、出資の実現や損害の発生を要しない。行為態様は「行使」または「電磁的記録の事務供用」に限定され、単なる作成行為はこれに至らない場合があると解されている
保険業法固有説:会社法964条と同一の構造をとりながら、保険業法が本条を別置したのは、相互会社の基金・社債という保険業特有の調達手段と、募集段階の虚偽が最終的に保険契約者の保護水準へ転嫁される構造を捕捉するためであると説明される
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 懲役と禁錮を統合する刑法改正に伴い、本条の法定刑の表記が「懲役」から「拘禁刑」へ改められた
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 新設:旧保険業法(昭和14年法律第41号)の全部改正により現行保険業法が制定され、募集文書の不実記載を処罰する本条の原型が罰則章に置かれた
- 2.令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年6月1日)施行 改正:懲役と禁錮を拘禁刑に一本化する刑法改正の関係法律整理により、本条の法定刑の表記が「懲役」から「拘禁刑」へ改められた。刑の重さ自体は変更されていない
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