保険業法 第50条(社員総会招集請求権)
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- 第四十二条第一項の規定により総代会が設けられている場合においても、社員総数の千分の五(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に相当する数の社員(特定相互会社にあっては、政令で定める数以上の社員)で六月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続いて社員である者は、取締役に対し、総代会の廃止又は同条第二項の規定により定款に定めた事項の変更を社員総会の目的として、当該社員総会の目的である事項及び招集の理由を示して、社員総会の招集を請求することができる。
- 2.次に掲げる場合には、前項の規定による請求をした社員は、裁判所の許可を得て、社員総会を招集することができる。
- 一前項の規定による請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合
- 二前項の規定による請求があった日から八週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内の日を社員総会の日とする社員総会の招集の通知が発せられない場合
- 3.会社法第八百六十八条第一項(非訟事件の管轄)、第八百六十九条(疎明)、第八百七十一条(理由の付記)、第八百七十四条(第四号に係る部分に限る。)(不服申立ての制限)、第八百七十五条(非訟事件手続法の規定の適用除外)及び第八百七十六条(最高裁判所規則)の規定は、前項の場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
- 4.前三項の規定により招集された社員総会において、第四十二条第二項の規定により定款に定めた事項の変更の決議をした場合においては、当該事項に係る定款の変更が効力を生じた日から三年を経過する日までの間は、総代会においては、当該事項に係る定款の変更の決議をすることができない。
この条文の基本情報
社員総会招集請求権とは何ですか?
定義社員総会招集請求権とは、保険業法第50条に定められた規定で、「第四十二条第一項の規定により総代会が設けられている場合においても、社員総数の千分の五(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に相当する数の…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第50条(社員総会招集請求権)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第50条の条文原文は「第四十二条第一項の規定により総代会が設けられている場合においても、社員総数の千分の五(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に相当する数の…」で始まります。
- 保険業法第50条は第二目 総代会に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第50条の前の条は保険業法第49条です。
- 保険業法第50条の次の条は保険業法第51条です。
- 保険業法第50条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第50条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第50条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/50
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法50条は、総代会が設けられている相互会社でも、千分の五以上で六月前から引き続き社員である者が、総代会の廃止を目的に社員総会の招集を請求できると定める。
Q · 生命保険の相互会社で、契約者が自分から社員総会を開かせることはできますか?
千分の五以上かつ六月前からの社員なら請求できます
保険業法50条1項により、総代会が設けられている相互会社であっても、社員総数の千分の五以上(特定相互会社は政令で定める数以上)に相当する数の社員で、六月前から引き続き社員である者は、取締役に対して社員総会の招集を請求できます。ただし議題は総代会の廃止と、同法42条2項により定款に定めた事項の変更に限られます。取締役が遅滞なく招集手続を行わない場合、または請求日から八週間以内を会日とする招集通知が発せられない場合は、請求した社員が裁判所の許可を得て自ら社員総会を招集できます(同条2項)。
解説
相互会社の保険に入っているあなたは、法律上「契約者」であると同時に「社員」である。ところが会社の意思決定は総代会という代理人会議で行われ、社員本人が意見を言う場は事実上ない。総代の顔ぶれを知らないまま何十年も保険料を払い続けている人がほとんどだ。保険業法50条は、その閉じた回路に一本だけ開いている非常口である。社員総数の千分の五以上の社員が集まり、しかも六月前から継続して社員である者であれば、取締役に対して「総代会そのものを廃止せよ」「総代会に委ねた事項を変えろ」という議題で社員総会の招集を請求できる。取締役が動かなければ、裁判所の許可を得て社員自ら総会を開ける。会社側が握っている招集権限を、裁判所の令状ひとつで奪い取れる仕組みが、この条文の実体である。
法的な位置づけ
保険業法50条は、相互会社において総代会が設けられている場合であっても、社員総数の千分の五以上に相当する数の社員で六月前から引き続き社員である者に対し、総代会の廃止または同法42条2項により定款に定めた事項の変更を目的とする社員総会の招集請求権を認める規定である。取締役が招集手続を行わないときは、請求社員は裁判所の許可を得て社員総会を招集することができる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.定款で要件の引下げがないか確認する 自社(契約している相互会社)の定款を取り寄せ、千分の五の割合、六月の継続社員期間、八週間の期限が定款で引き下げられていないかを確認する。あわせて42条2項により総代会に委ねられた事項の一覧を特定し、どこまでが50条1項の議題になるかを確定させる
- 2.社員名簿の閲覧謄写請求で母集団を把握する 保険業法32条の2に基づき社員名簿の閲覧謄写を請求し、千分の五に相当する実数と賛同者を集める基盤を作る。請求の目的を書面で明示し、拒絶された場合の理由も記録に残す
- 3.議題と招集の理由を明記した請求書を内容証明で送付する 取締役宛てに、議題(総代会の廃止または42条2項の定款事項の変更)と招集の理由を示した請求書を内容証明郵便で送付する。八週間の起算点が後に争われるため、請求日を公的に固定することが決定的に重要である
- 4.八週間の期限を管理し、裁判所へ招集許可を申し立てる 請求後に遅滞なく招集手続が行われない場合、または請求日から八週間(定款で短縮されていればその期間)以内の日を会日とする招集通知が発せられない場合、裁判所に社員総会招集許可の申立てを行う。非訟事件として扱われ、疎明で足りる(3項が準用する会社法869条)
- 5.可決後の三年封印を前提に次の防衛線を設計する 42条2項の定款事項の変更を決議できた場合、その定款変更の効力発生日から三年を経過する日までは総代会が当該事項を元に戻す決議をできない(4項)。逆に三年経過後は巻き戻しが可能になるため、社員側の組織を維持する体制をこの時点から設計しておく
よくある質問 AI による整理
Q1相互会社とは何ですか?
保険業に固有の会社形態で、保険契約者が同時に「社員」となる社団です。株式会社の株主に近い地位を持ち、剰余金の分配や機関の意思決定に関与する立場が制度上与えられています。
Q2総代会とは何ですか?
社員数が膨大な相互会社で、全社員による社員総会に代えて置かれる代表者会議です。保険業法42条1項が根拠で、定款で定めた事項を総代会の決議に委ねる仕組みになっています。
Q3保険業法50条の社員総会招集請求の要件は?
社員総数の千分の五以上(定款で引下げ可、特定相互会社は政令の数)に相当する社員で、六月前から引き続き社員である者であることです。議題と招集の理由を示す必要もあります。
Q4特定相互会社とは何ですか?
保険業法上、規模の大きい相互会社として区分されるものです。50条1項の括弧書により、請求に必要な社員数は割合ではなく政令で定める数によることとされています。
Q5相互会社の社員名簿は見られますか?
保険業法32条の2が社員名簿の閲覧謄写請求を定めています。50条の招集請求は賛同社員を集める前提が必要なため、実務上は名簿請求が先行する準備行為になります。
Q6総代はどうやって選ばれますか?
選任方法は各社の定款・総代会規程で定められ、会社の推薦や総代候補者選考委員会を経る例が一般的です。社員が直接候補を立てる余地は会社ごとに大きく異なります。
Q7生命保険の契約者配当は誰が決めますか?
相互会社では剰余金の処分が機関決議事項となり、総代会が設けられていれば総代会の承認を経ます。契約者=社員が直接決議に参加する機会は制度上限られています。
Q8相互会社が株式会社になるとどうなりますか?
組織変更により社員の地位は株主の地位等に置き換わります。配当構造や議決の仕組みが根本的に変わるため、総代会の存廃を議題にできる50条は議論の入口として意味を持ちます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちの保険会社、社員が何百万人もいるんですけど、千分の五って現実的に集まるんですか?
社員数百万規模なら数千人から一万人規模が必要で、個人で集めるのは極めて困難である。ただし特定相互会社(規模の大きい相互会社)については政令で定める数が別に置かれており(50条1項括弧書)、頭数上限が設定されている点が実務上の突破口になる。実務のポイント:定款で「千分の五を下回る割合」を定めている会社もある。まず自社の定款の該当条項を読むのが先で、法定数字を前提に諦めるのは早い
Q2取締役が請求を無視したら、結局そこで終わりじゃないんですか?
終わらない。50条2項は、遅滞なく招集手続が行われない場合、または八週間以内を会日とする通知が発せられない場合に、請求社員が裁判所の許可を得て自ら社員総会を招集できると定める。招集権限が会社の手を離れる仕組みである。実務のポイント:この裁判所手続は非訟事件で、疎明で足りる(3項が準用する会社法869条)。本証まで固めなくても申立てはできるため、証拠のハードルは民事訴訟より低い
Q3せっかく総代会を廃止する決議をしても、次の総代会でひっくり返されませんか?
4項がその巻き戻しを封じている。前三項により招集された社員総会で42条2項の定款事項の変更を決議した場合、その定款変更の効力発生日から三年を経過する日までの間、総代会では当該事項に係る定款変更の決議ができない。実務のポイント:裏を返せば三年で封印は解ける。三年目に向けて社員側の組織を維持できるかどうかが、この一勝を制度的な変化に変えられるかの分岐点になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「相互会社の保険に入っているのは顧客の立場だ」という前提そのものがずれている。相互会社では保険契約者が同時に社員であり、株式会社の株主に近い地位を持つ。あなたが立てるべき問いは「顧客として何を要求できるか」ではなく「社員として何を議題にできるか」である。この視点の切り替えができない限り、50条は永遠に視界に入らない
- 総代会があるなら社員総会は開けない、と読む人が多いが、条文は逆を明示している。1項冒頭は「総代会が設けられている場合においても」と書く。総代会の存在は、社員総会招集請求権を消滅させない。ただし請求できる議題は総代会の廃止と42条2項で定款に定めた事項の変更に限定される。何でも議題にできる万能鍵ではない
- 千分の五という数字の軽さは知られていても、その後ろにある六月の継続保有要件の重さは見落とされる。トラブルが起きてから慌てて仲間を集めても、その人たちが半年前から社員でなければ頭数に入らない。権利は「怒った時点」ではなく「六か月前の名簿」で決まる。準備を始めるべき時期は、紛争が起きるより半年前だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律している場面 | 保険業法50条:社員による社員総会の招集請求と裁判所許可による自力招集 | 保険業法42条:総代会の設置と、定款で総代会に委ねる事項の定め 保険業法49条:社員総会の招集手続一般の規律 |
| 動かす主体 | 千分の五以上かつ六月前から引き続き社員である者 | 会社(定款による制度設計) 会社側(取締役)による招集 |
| 議題の範囲 | 総代会の廃止と42条2項の定款事項の変更に限定 | 総代会に委ねる事項を定款でどこまで広げるかを決める側 議題一般(招集手続の形式を規律) |
| 会社が動かないときの帰結 | 裁判所の許可により社員自ら招集でき、会社の招集権限が外れる | 対応規定なし(制度の存在根拠を定めるのみ) 対応規定なし(手続の適法性の問題として処理) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は保険業の組織を株式有限公司または保険合作社に限定しており、日本のような相互会社+総代会という二層構造は採用していない。合作社形態では社員大会が直接の意思決定機関となる
韓国も保険業法の中に相互会社の章を置く構造で日本法に近いが、実際に相互会社形態で営業する保険会社はほとんど存在しないとされる
相互会社制度の源流。会員が多数にのぼる VVaG では oberste Vertretung(会員代表機関)が置かれ、日本の総代会に相当する構造をとる
州法ごとに規律が分かれ、policyholder による special meeting の招集請求要件も州により大きく異なる。連邦統一法は存在しない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 契約している相互会社が、剰余金の配当を三年連続で切り下げた。理由を尋ねても「総代会で承認済み」の一点張り。総代の選び方も会社の推薦名簿頼りだと分かった時点で、50条1項の招集請求は「議論の場そのものを取り戻す」唯一の法的手段になる
- 社員有志の会を作って署名を集め始めたが、契約者名簿は会社が握っていて誰が社員か分からない。千分の五を数える母集団すら把握できない。ここで効いてくるのが社員名簿の閲覧謄写請求(保険業法32条の2)で、50条を撃つ前段の弾込め作業になる
- 取締役会に招集請求書を出したが、二か月経っても通知が来ない。請求日から八週間以内を会日とする招集通知が発せられなければ、その瞬間に裁判所への許可申立てが可能になる。カレンダーに八週間目を赤で書き込んでおかないと、いつ権利が発動したのか自分で気付けない
- 会社側の担当者として招集請求書を受け取った。握り潰す判断をした瞬間、非訟事件として裁判所に持ち込まれ、許可の当否が公開の記録に残る。しかも許可決定に対する不服申立ては制限されている(3項が準用する会社法874条4号)。時間稼ぎが逆に致命傷になる構造だ
- 苦労して社員総会にこぎつけ、総代会に委ねた事項を戻す定款変更を可決した。ここで安心してはいけない。効力発生日から三年間、総代会側はその事項を元に戻す決議ができない(4項)。逆に言えば、三年経った後に静かに巻き戻される可能性があり、次の防衛線を今から設計する必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず自社の定款を取り寄せ、千分の五と六月の要件が引き下げられていないか、42条2項で総代会に委ねた事項が何かを確認する2. 社員名簿の閲覧謄写請求(保険業法32条の2)で賛同者を集められる基盤を作る3. 議題(総代会の廃止または定款事項の変更)と招集の理由を明記した請求書を内容証明郵便で取締役宛てに送付4. 請求後、遅滞なく手続が行われないか、八週間以内を会日とする通知が発せられなければ、裁判所へ招集許可の申立てを行う
訴えられた側:1. 会社側として請求を受けたら、要件審査(持分要件、六月要件、議題が50条1項の範囲内か)を書面で速やかに行い、不備があれば理由を明示して回答する2. 要件を満たす請求を放置すると、裁判所許可により会社の統制外で総会が開かれる。招集に応じたうえで議事運営を整える方が損失は小さい3. 請求の背景にある不満(配当、総代選任過程の不透明さ)に対する説明資料を先に開示し、議題の争点を縮小する
時効(請求できる期限):招集請求の後「遅滞なく」手続が行われない場合、または請求日から八週間(定款でこれを下回る期間を定めたときはその期間)以内の日を会日とする招集通知が発せられない場合に、裁判所への許可申立てが可能になる。請求権者側の要件として、請求時点で六月(定款でこれを下回る期間を定めたときはその期間)前から引き続き社員であることが必要。可決後は、定款変更の効力発生日から三年を経過する日までの間、総代会は当該事項の定款変更決議ができない(4項)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 新設:保険業法の全部改正(平成7年法律第105号)により相互会社の機関規律が整備され、総代会が設けられている場合における社員の社員総会招集請求権が定められた
- 2.平成17年〜18年(2005〜2006年) 改正:会社法の制定とその整備法に伴い、本条3項が準用する非訟事件に関する規定が会社法第868条以下の条文を参照する形に整理された
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