保険業法 第59条(損失のてん補に充てるための損失てん補準備金等の取崩し)
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- 損失てん補準備金は、損失のてん補に充てる場合を除くほか、取り崩すことができない。
- 2.損失てん補準備金を損失のてん補に充ててもなお不足するときは、第五十七条の規定によらないで、基金償却積立金を損失のてん補に充てるため取り崩すことができる。
この条文の基本情報
損失のてん補に充てるための損失てん補準備金等の取崩しとは何ですか?
定義損失のてん補に充てるための損失てん補準備金等の取崩しとは、保険業法第59条に定められた規定で、「損失てん補準備金は、損失のてん補に充てる場合を除くほか、取り崩すことができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第59条(損失のてん補に充てるための損失てん補準備金等の取崩し)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第59条の条文原文は「損失てん補準備金は、損失のてん補に充てる場合を除くほか、取り崩すことができない。」で始まります。
- 保険業法第59条は第四目 基金償却積立金及び損失てん補準備金に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第59条の前の条は保険業法第58条です。
- 保険業法第59条の次の条は保険業法第60条です。
- 保険業法第59条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第59条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第59条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/59
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法59条は、相互会社の損失てん補準備金を損失のてん補以外に取り崩せないと定め、なお不足するときのみ基金償却積立金の取崩しを認める。
Q · 相互会社の保険会社が損失を出したら、まず何が削られるんですか?
損失てん補準備金が先、次に基金償却積立金です
保険業法59条により、相互会社の損失吸収は順序が法定されています。1項は損失てん補準備金を損失のてん補以外の用途で取り崩すことを禁じ、2項は損失てん補準備金を充ててなお不足する場合に限り、57条の手続を経ないで基金償却積立金を取り崩せるとします。つまり第一に損失てん補準備金、第二に基金償却積立金という順序であり、飛び級はできません。契約者配当の減少や保険金の削減は、この二段の内部留保が損なわれた後に生じる現象です。
解説
日本生命、明治安田生命、住友生命、富国生命。これらに保険を掛けているなら、あなたは顧客ではなく「社員」である。相互会社には株主も資本金もない。代わりにあるのが、機関投資家などが拠出した「基金」と、そこから積み上がった二つの内部留保、損失てん補準備金と基金償却積立金だ。59条1項は、損失てん補準備金を損失の穴埋め以外に一円も使わせない。2項は、それでも足りないとき、本来必要な57条の手続を経ずに基金償却積立金まで取り崩してよいと定める。つまり損失を吸収する順番が法定されている。第一に損失てん補準備金、第二に基金償却積立金。ここを食い破られた先に待つのが、基金そのものの毀損、契約者配当の消滅、そして最悪の場合の保険金削減だ。決算資料でこの二つの残高が細っていく会社は、あなたの30年後の受取額が細っていく会社である。
法的な位置づけ
保険業法59条は、相互会社における内部留保の取崩制限を定める規定である。1項は損失てん補準備金の取崩しを損失のてん補に充てる場合に限定し、2項は損失てん補準備金を充ててなお不足する場合に限り、第57条の手続を経ないで基金償却積立金を損失のてん補のため取り崩すことを認める。損失吸収の順序と用途を法定した規律である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
よくある質問 AI による整理
Q1損失てん補準備金とは何ですか?
相互会社が損失の穴埋め専用に積み立てる内部留保です。保険業法59条1項により、損失のてん補に充てる場合を除いて取り崩すことができません。
Q2基金償却積立金とは何ですか?
基金拠出者への償却(返済)原資として積み立てる資金です。原則は57条の規律に従いますが、59条2項により損失吸収の第二順位として取り崩される場合があります。
Q3保険会社の準備金の取崩しはどこで確認できますか?
各社のディスクロージャー誌や決算資料の貸借対照表・剰余金処分計算で確認できます。損失てん補準備金と基金償却積立金の期別残高推移を並べるのが実務的です。
Q4相互会社と株式会社の保険会社は何が違う?
相互会社は株主も資本金がなく、契約者が社員となります。株主が吸収すべき損失を、59条の二つの内部留保が代わりに吸収する構造です。
Q5損失てん補準備金を配当に回すことはできる?
できません。59条1項が損失のてん補以外の取崩しを全面的に禁じており、役員賞与・契約者配当・設備投資への流用はいずれも認められません。
Q6基金償却積立金の取崩しは違法ですか?
違法ではありません。ただし59条2項は損失てん補準備金を充ててなお不足する部分に限定しており、順序を飛ばした取崩しは適法性を欠きます。
Q7生命保険会社が潰れたら保険金はどうなる?
生命保険契約者保護機構を通じた契約移転や更生手続になり、補償は原則として責任準備金の90% です。予定利率の引下げにより実際の受取額はさらに減ります。
Q8保険業法59条は契約者に関係ある条文ですか?
関係します。相互会社の契約者は社員であり、59条の二つの準備金が尽きた先に立つのは契約者自身です。配当見込みの下方修正も同じ経路で起きます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1日本生命って株式会社じゃないんですか。契約者が社員って、どういう意味ですか。
相互会社という保険業法固有の形態で、株主も資本金もない。保険契約者がそのまま「社員」となり、意思決定は社員から選ばれた総代の総代会で行われる。損失を吸収する原資が59条の二つの準備金だ。実務のポイント:多くの社は総代候補の応募・推薦制度を公表しているが、その存在を知って動く契約者はほぼいない。
Q2準備金を取り崩したって、私が受け取る保険金には関係ないですよね。
保険金額が直ちに減るわけではない。ただし59条1項は損失のてん補以外の用途を禁じており、取崩しは配当原資となる剰余金が出ていないことの裏返しである。配当型契約なら受取総額は確実に落ちる。実務のポイント:設計書の配当込み受取額を、配当ゼロで再計算させてみる。説明の実像が一枚で出る。
Q32項の「57条の規定によらないで」って、結局なにが省けるんですか。
基金償却積立金は本来57条の定めに従ってしか動かせないが、2項は損失てん補準備金を充ててなお不足する局面に限り、その手続を経ない取崩しを認める。順序は法定で飛び級はできない(59条2項)。実務のポイント:どの期にいくら充当したかの証跡が、監査と当局対応で早い段階に見られる箇所である。
Q4もし相互会社が破綻したら、私の契約はどうなるんですか。
金融機関等の更生手続の特例等に関する法律による更生手続、または生命保険契約者保護機構を通じた契約移転になる。補償は原則として責任準備金の90%である。実務のポイント:90%という数字だけが独り歩きしているが、実際に効くのは予定利率の引下げのほう。過去の破綻事例では、高い予定利率の古い契約ほど実質的な目減りが大きかった。
間違えやすい点 AI による整理
- 相互会社に株主がいないことは知っているだろう。だが「株主がいない=誰も損失を被らない」ではない。株主の代わりに損失を吸収するのが損失てん補準備金と基金償却積立金であり、それが尽きたとき次に立つのは契約者自身だ。株主不在の会社では、最後の株主はあなたである
- 「準備金があるなら経営が苦しいときに使えばいい」という問いの立て方そのものが誤っている。1項は損失のてん補以外の用途を全面的に禁じる。役員賞与にも、配当にも、設備投資にも回せない。使える場面が一つしかないからこそ、取り崩された瞬間が異常事態の公的なシグナルになる
- 2項の「第五十七条の規定によらないで」を、経営者向けの緩和規定と読む人が多い。効果としては手続の省略だが、意味は逆である。順序(まず損失てん補準備金、なお不足する部分だけ基金償却積立金)は法定されたまま動かせず、手続を外してでも穴を埋めさせる設計であり、発動した事実は財務悪化の記録として残る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 保険業法59条:損失てん補準備金の取崩制限と基金償却積立金の例外的取崩し | 保険業法57条:基金償却積立金の原則的取扱い 保険業法6条:相互会社の基金の総額規制(現行効力を要確認) |
| 作用する局面 | 損失が生じた決算期の損失吸収処理 | 平時における基金の償却手続 会社設立・基金増額時の資本的基盤の確保 |
| 手続の要否 | 2項は57条の手続を経ない取崩しを認める(順序は法定で飛び級不可) | 所定の手続に従うことが原則 基金総額に関する規制の遵守 |
| 契約者への影響経路 | 取崩しは配当原資の不存在を示し、契約者配当の見通しが下がる | 基金拠出者への償却原資に影響 会社の資本的基盤の厚み全体に影響 |
他国ではどう定めているか 1 か国
ドイツの相互保険社団(VVaG)にも損失吸収のための積立金規律があり、相互会社形態の系譜上は近い発想を持つ。ただし条文の具体的対応関係は要検証
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし加入している相互会社が大きな運用損失を出したら、まず何が減るのか。答えは保険金でも配当でもなく、この二段の内部留保である。決算資料に「損失てん補準備金の取崩し」の一行が現れた年、配当型契約の受取見込みは静かに下方修正されている
- あなたが相互会社の経理担当で、決算処理まであと20日。運用損が損失てん補準備金を食い尽くす見込みが立った。2項は57条の手続を経ない取崩しの道を用意しているが、その道を使った事実は計算書類に残り、監査法人・格付会社・総代会の三方向から順序と根拠を問われる
- 基金を引き受けた機関投資家。返ってくるはずだった償却原資が、2項の一行で損失吸収に回る。自分の順位が思っていたより下だったと、そこで初めて分かる
- 総代会の招集通知が届いた。議案に「損失てん補準備金の取崩しの件」とある。他の総代は素通りするが、あなたは質問できる。取り崩した後、基金償却積立金は何年分残っているのか、と
- 60歳払込の終身保険を検討している。担当者はソルベンシー・マージン比率の高さだけを見せてくる。だがその比率は単年度の写真であり、二つの準備金の推移は動画だ。30年契約で見るべきはどちらか、契約書にサインする前に決めておく必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 加入先が相互会社か株式会社かを確認する。2. ディスクロージャー誌で損失てん補準備金と基金償却積立金の三期推移を見て、取崩しの有無を確認する。3. 取崩しがあれば、契約者配当の見通しを書面で照会する。4. 万一破綻に至った場合は生命保険契約者保護機構による補償(原則として責任準備金の90%)に移るが、予定利率の引下げで実際の受取額はそれ以上に減る。乗換え判断は解約返戻金の水準と並べて計算すること。
訴えられた側:1. 損失てん補準備金を損失のてん補以外に流用する処理は59条1項違反であり、監査上の指摘に加え、行政処分(業務改善命令など、役所が会社に直接下す具体的な決定)の対象になりうる。2. 2項を用いる場合も、まず損失てん補準備金を充て、なお不足する部分に限る。順序を飛ばした取崩しは適法性を欠くため、充当額の証憑を期ごとに残す。3. 取崩し後の総代会・格付機関・当局への説明は事前に設計する。事後の追認では通らない。
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期間制限はなく、取崩しは各事業年度の決算処理として毎期判断される。関連する期限として、契約者の保険給付請求権は保険法95条により3年(支払事由発生時から起算)。役員の任務懈怠を理由とする損害賠償請求には民法166条の一般消滅時効(権利行使できると知った時から5年、行使できる時から10年)が適用される。
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