介護保険法 第147条(財政安定化基金)
クイックジャンプ
- 都道府県は、次に掲げる介護保険の財政の安定化に資する事業に必要な費用に充てるため、財政安定化基金を設けるものとする。
- 一実績保険料収納額が予定保険料収納額に不足すると見込まれ、かつ、基金事業対象収入額が基金事業対象費用額に不足すると見込まれる市町村に対し、政令で定めるところにより、イに掲げる額(イに掲げる額がロに掲げる額を超えるときは、ロに掲げる額とする。)の二分の一に相当する額を基礎として、当該市町村及びその他の市町村における保険料の収納状況を勘案して政令で定めるところにより算定した額を交付すること。
- 一実績保険料収納額が予定保険料収納額に不足すると見込まれる額
- 二基金事業対象収入額が基金事業対象費用額に不足すると見込まれる額
- 二基金事業対象収入額及び基金事業交付額の合計額が、基金事業対象費用額に不足すると見込まれる市町村に対し、政令で定めるところにより、当該不足すると見込まれる額を基礎として、当該市町村及びその他の市町村における保険料の収納状況を勘案して政令で定めるところにより算定した額の範囲内の額を貸し付けること。
- 2.前項において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
- 一予定保険料収納額市町村において当該市町村が定める市町村介護保険事業計画の計画期間(以下「計画期間」という。)中に収納が見込まれた保険料の額の合計額のうち、介護給付及び予防給付に要する費用の額、地域支援事業に要する費用の額、財政安定化基金拠出金の納付に要する費用の額並びに前項第二号の規定による都道府県からの借入金(以下この項及び次条において「基金事業借入金」という。)の償還に要する費用の額に充てるものとして政令で定めるところにより算定した額
- 二実績保険料収納額市町村において計画期間中に収納した保険料の額の合計額のうち、介護給付及び予防給付に要した費用の額、地域支援事業に要した費用の額、財政安定化基金拠出金の納付に要した費用の額並びに基金事業借入金の償還に要した費用の額に充てるものとして政令で定めるところにより算定した額
- 三基金事業対象収入額市町村の介護保険に関する特別会計において計画期間中に収入した金額(第五号の基金事業交付額及び基金事業借入金の額を除く。)の合計額のうち、介護給付及び予防給付に要した費用の額、地域支援事業に要した費用の額、財政安定化基金拠出金の納付に要した費用の額並びに基金事業借入金の償還に要した費用の額に充てるものとして政令で定めるところにより算定した額
- 四基金事業対象費用額市町村において計画期間中に介護給付及び予防給付に要した費用の額、地域支援事業に要した費用の額、財政安定化基金拠出金の納付に要した費用の額並びに基金事業借入金の償還に要した費用の額の合計額として政令で定めるところにより算定した額
- 五基金事業交付額市町村が計画期間中に前項第一号の規定により交付を受けた額
- 3.都道府県は、財政安定化基金に充てるため、政令で定めるところにより、市町村から財政安定化基金拠出金を徴収するものとする。
- 4.市町村は、前項の規定による財政安定化基金拠出金を納付する義務を負う。
- 5.都道府県は、政令で定めるところにより、第三項の規定により市町村から徴収した財政安定化基金拠出金の総額の三倍に相当する額を財政安定化基金に繰り入れなければならない。
- 6.国は、政令で定めるところにより、前項の規定により都道府県が繰り入れた額の三分の一に相当する額を負担する。
- 7.財政安定化基金から生ずる収入は、すべて財政安定化基金に充てなければならない。
- 8.第百二十一条第二項の規定は、第二項第一号に規定する介護給付及び予防給付に要する費用の額並びに同項第二号から第四号までに規定する介護給付及び予防給付に要した費用の額について準用する。
この条文の基本情報
財政安定化基金とは何ですか?
定義財政安定化基金とは、介護保険法第147条に定められた規定で、「都道府県は、次に掲げる介護保険の財政の安定化に資する事業に必要な費用に充てるため、財政安定化基金を設けるものとする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 介護保険法第147条(財政安定化基金)は、日本の介護保険法に含まれる条文です。
- 介護保険法第147条の条文原文は「都道府県は、次に掲げる介護保険の財政の安定化に資する事業に必要な費用に充てるため、財政安定化基金を設けるものとする。」で始まります。
- 介護保険法第147条は第八章 費用等に置かれています。
- 介護保険法の公布日は平成9年12月17日です。
- 介護保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 介護保険法第147条の前の条は介護保険法第146条です。
- 介護保険法第147条の次の条は介護保険法第148条です。
- 介護保険法第147条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第147条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 - 本サイト収録
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第147条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/409AC0000000123/147
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点介護保険法147条は、都道府県が財政安定化基金を設け、赤字が見込まれる市町村に交付・貸付を行うと定める。貸付分は次の計画期間の第1号保険料で償還される。
Q · 介護保険の財政安定化基金から市町村がお金を受けたら、返さなくていいの?
交付は返済不要だが、主軸の貸付は次期保険料で返す
介護保険法147条1項1号の交付は返済不要ですが、実績保険料収納額が予定を下回り、かつ基金事業対象収入額が基金事業対象費用額を下回る場合に限られ、基礎額も不足額の2分の1相当です。それ以外の不足は同項2号の貸付となり、市町村は基金事業借入金として次の計画期間に償還します。償還費用は第1号保険料の算定に組み込まれるため、結果として65歳以上の住民の保険料に反映されます。
解説
3年ごとに届く介護保険料の改定通知。金額が跳ね上がる理由の一本が、147条の中に隠れている。市町村の介護保険会計が計画期間(3年)で足りなくなったとき、都道府県の財政安定化基金が穴を埋める。ただし穴埋めには二種類ある。保険料の取りはぐれ(実績収納額が予定を下回る)があり、かつ全体の収支も赤字であるときだけ、不足の2分の1相当が「交付」、つまり返さなくてよい金として入る。それ以外の不足、たとえば給付費の見込み違いは、原則として全額が「貸付」、つまり借金だ。そして基金事業借入金の返済財源は、次の3年間の65歳以上の保険料(第1号保険料)である。あなたの市町村が基金から借りた瞬間、3年後のあなたの保険料上昇が制度上ほぼ予約される。さらに基金の元手の3分の1は市町村が納める拠出金で、4項はその納付を法的義務と定める。その拠出金の原資も第1号保険料だ。一度も借りていない市町村の住民も、県内のどこかの穴埋め用の積立てに毎月払っている。
法的な位置づけ
財政安定化基金とは、介護保険法147条に基づき都道府県が設置する基金であり、計画期間中に保険料の収納不足または介護保険特別会計の収支不足が見込まれる市町村に対し、政令の定めにより交付または貸付を行う。財源は市町村の拠出金、都道府県の繰入金および国の負担金で、負担割合は各3分の1となる。
よくある質問 AI による整理
Q1財政安定化基金とは何ですか?
介護保険法147条に基づき都道府県が設ける基金で、介護保険財政が不足する市町村に交付または貸付を行い、保険給付の継続を支える仕組みです。
Q2財政安定化基金 交付と貸付の違いは?
交付は返済不要で、収納不足と収支不足が同時に見込まれる場合に不足額の2分の1相当を基礎に算定されます。貸付は返済が必要で、次期計画期間に償還します。
Q3基金事業借入金はいつまでに返す?
原則として借り入れた次の計画期間(3年)内に償還するものとされ、具体的な償還方法は政令で定められます。償還費用は第1号保険料の算定に含まれます。
Q4財政安定化基金拠出金は誰が払う?
市町村が都道府県に納付し、147条4項で法的義務とされています。拠出金の財源は第1号保険料であり、実質的には65歳以上の被保険者が負担しています。
Q5財政安定化基金の負担割合は?
都道府県は市町村拠出金の総額の3倍を基金に繰り入れ、国がその繰入額の3分の1を負担します。結果として市町村・都道府県・国が各3分の1となります。
Q6介護保険料3年ごとに上がるのはなぜ?
市町村介護保険事業計画が3年ごとに策定され、給付見込みに加え、前期に基金から借りた分の償還費用も保険料算定に組み込まれるためです。
Q7財政安定化基金 借入 市町村 どこで確認できる?
市町村介護保険事業計画の財政見通しや保険料算定資料で、財政安定化基金償還金の計上を確認できます。不明な点は介護保険担当課に照会できます。
Q8介護保険の保険者は誰?
原則として市町村および特別区です。保険者が小規模だと給付変動に弱いため、都道府県単位の財政安定化基金や市町村相互財政安定化事業が用意されています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちの市の介護保険料、なんで隣の市よりこんなに高いんですか?
サービス量や所得段階の設定だけでなく、前の3年間の赤字処理が上乗せされている場合があります。147条1項2号の貸付けを受けた市町村は、その返済を次期の第1号保険料で行うためです。実務のポイント:介護保険事業計画書の財政見通し表に「財政安定化基金償還金」の行があるかを見る。数字が入っている市町村は、前期の見込み違いを今の住民が払っている。説明会でその行を名指しして質問すると、担当課の回答は一段具体的になる
Q2基金から交付を受けられるなら、返さなくていいんですよね?
交付(1項1号)は返済不要ですが要件が厳しく、実績保険料収納額が予定を下回り、かつ基金事業対象収入額が基金事業対象費用額を下回る場合に限られ、基礎となるのも不足額の2分の1相当です。残りは2号の貸付け、つまり借金になります。実務のポイント:給付費の見込み違いは収納不足ではないため交付に乗りにくい。計画の読み違いのコストは、制度上ほぼ全額が住民に回る
Q3介護保険料を払わずにいたら、どうなるんですか?
徴収権は2年で時効消滅しますが(介護保険法200条)、消滅した期間はそのまま給付制限に跳ね返り、長期の滞納では償還払いへの切替えや自己負担割合の引上げが行われます(同法66条以下)。実務のポイント:滞納で消えた保険料は市町村の収納率を下げ、その穴は交付と貸付で埋められ、貸付の返済は払い続けた住民の次期保険料に乗る。滞納の最終的な請求先は近所の住民である
Q4国が3分の1出すんだから、市町村の負担は小さいのでは?
基金の規模は市町村が納める拠出金の3倍で、都道府県がその3倍を繰り入れ(5項)、国が繰入額の3分の1を負担します(6項)。結果として市町村:都道府県:国=1:1:1です。ただし市町村の1は第1号保険料が原資で、借入分は全額返します。実務のポイント:「国が3分の1」は積立ての分担率の話であり、赤字の最終負担者の話ではない。議会答弁でこの二つが混ざったまま通ることが多い
間違えやすい点 AI による整理
- 住民から見れば「県が助けてくれる基金」だが、市町村の会計から見れば、その主軸は返済義務のある借入金である。助成ではなく立替えだ。この落差があるために、役所の保険料説明は住民に通じないまま3年ごとに繰り返される
- 基金の存在自体は知られている。知られていないのはその制限の厳しさだ。返済不要の交付を受けるには、実績保険料収納額が予定を下回り、かつ基金事業対象収入額が基金事業対象費用額を下回るという二つを同時に満たす必要があり、しかも基礎になるのは不足額の2分の1相当にすぎない。深刻さは条文の但し書きの側にある
- 「国が3分の1負担するなら住民負担は軽いはず」という問いの立て方そのものが誤っている。1:1:1は基金の元手の分担率の話であり、市町村の1は第1号保険料が原資だ。さらに交付されなかった不足分は借入として住民が全額返す。積立ての分担率と、赤字の最終負担者は別の話である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 仕組みの主体 | 介護保険法147条:都道府県が財政安定化基金を設置し市町村に交付・貸付 | 介護保険法148条:複数の市町村が相互に財政調整(市町村相互財政安定化事業) |
| 財源 | 市町村拠出金・都道府県繰入金・国庫負担(各3分の1) | 参加市町村が調整保険料率に基づき拠出 |
| 住民負担への影響 | 貸付分は次期計画期間の第1号保険料で償還 | 調整保険料率により参加市町村間で保険料水準が平準化 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾の長期介護は税財源方式で、長照服務発展基金が財源を担う。保険者の赤字を貸付で補い次期保険料で返済させる日本型の仕組みは存在しない
韓国の老人長期療養保険は国民健康保険公団が全国一本で運営するため、自治体間の財政変動を吸収する基金は不要な構造となっている
ドイツ介護保険は介護金庫間の財政調整を全国的な調整基金で行う。保険者単位の赤字を時間差で被保険者に転嫁する日本の貸付方式とは設計思想が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 自分の市の介護保険料が県内で最も高いと知った。介護保険事業計画案のパブリックコメント締切まであと10日。計画書の財政見通しに「財政安定化基金償還金」の行があるなら、その金額は前の3年の赤字であり、意見を出せる窓は今しか開いていない
- もし、あなたの市町村が計画期間の最終年度に給付費を読み違えたら、どうなる? 不足分は原則として都道府県からの借入になり、返済は次の3年の保険料に乗る。返済不要の交付が使えるのは収納不足があった場合の半分だけで、見込み違いのツケは住民が返す
- 介護保険担当課にいるあなたは、年度末に基金事業対象収入額が費用額に届かないと気付いた。交付の二重要件を満たすのか、それとも全額が借入になるのか。この判定一つで、次期保険料を据え置けるかどうかが決まる
- 親の施設入所をきっかけに、きょうだいから「この市は保険料が高い」と言われた。理由はサービスの量だけではない。前の期の借入金の返済分が上乗せされている
- 隣の家が介護保険料を払っていないと知った。滞納は市町村の収納率を下げ、空いた穴は交付と貸付で埋められ、貸付の返済は真面目に払ってきたあなたの次期保険料に回る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 市町村介護保険事業計画(介護保険法117条)と財政見通しを入手し、財政安定化基金からの借入金の償還額が計上されているか確認する2. あれば、その不足が収納不足由来か給付費超過由来かを担当課に照会する。交付と貸付のどちらで処理されたかで住民負担の重さが変わる3. 計画は3年ごと。パブリックコメントと運営協議会が算定根拠に意見を入れる実質的な窓口である4. 保険料の賦課そのものに不服があるなら、介護保険審査会への審査請求(同法183条)を検討する
訴えられた側:1. 交付は二重要件(実績保険料収納額が予定保険料収納額に不足し、かつ基金事業対象収入額が基金事業対象費用額に不足)を満たさなければ1円も出ない。年度途中から収納額と費用額を実額で押さえる2. 交付の基礎は不足額の2分の1相当にとどまり、残りは貸付=次期保険料の上乗せ要因になる。借入額の決定は次期保険料水準の決定と同じ会議で扱う3. 拠出金の納付は4項の法的義務で、遅延の余地はない4. 単独の財政規模で耐えられないなら、148条の市町村相互財政安定化事業(調整保険料率)を先に検討する
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期限規定はないが、関連する時間の壁は三本ある。保険料その他この法律による徴収金を徴収する権利は、行使できる時から2年で時効消滅する(介護保険法200条)。計画期間は3年で、基金事業借入金の償還は原則として次の計画期間内に行う(具体的な算定・償還方法は政令の定めによる。最新の改正状況をご確認ください)。保険料に関する処分への審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(同法183条、行政不服審査法18条)
改正沿革 AI による整理
- 平成9年(1997年)介護保険法制定 制定時に財政安定化基金を新設。市町村保険者制の財政的脆弱性を都道府県単位の基金と1:1:1の負担構造で補う仕組みとして組み込まれた(施行は平成12年=2000年。条項の対応関係は要検証)
- 平成17年(2005年)改正 地域支援事業および予防給付の創設に伴い、2項各号の予定・実績保険料収納額、基金事業対象収入額・費用額の定義に地域支援事業および予防給付に要する費用が組み込まれたと解される(改正年次と改正箇所の対応は要検証)
改正の年表
- 1.平成9年(1997年) 新設:介護保険法制定時に財政安定化基金を新設。市町村保険者制の財政的脆弱性を都道府県単位の基金で補う仕組みとして設けられた(施行は平成12年=2000年)
- 介護保険法 第117条計画期間と財政見通しの根拠
- 介護保険法 第121条国庫負担の費用額算定規定を準用(8項)
- 介護保険法 第129条返済財源となる第1号保険料の根拠
- 介護保険法 第148条市町村相互財政安定化事業との併用
- 介護保険法 第200条保険料等の徴収権の2年時効
- 地方自治法 第241条基金の設置・管理に関する一般規定
- 国民健康保険法 第81条の2国保の財政安定化基金、同型制度(現行効力を要確認)
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める