介護保険法 第214条
クイックジャンプ
- 市町村は、条例で、第一号被保険者が第十二条第一項本文の規定による届出をしないとき(同条第二項の規定により当該第一号被保険者の属する世帯の世帯主から届出がなされたときを除く。)又は虚偽の届出をしたときは、十万円以下の過料を科する規定を設けることができる。
- 2.市町村は、条例で、第三十条第一項後段、第三十一条第一項後段、第三十三条の三第一項後段、第三十四条第一項後段、第三十五条第六項後段、第六十六条第一項若しくは第二項又は第六十八条第一項の規定により被保険者証の提出を求められてこれに応じない者に対し十万円以下の過料を科する規定を設けることができる。
- 3.市町村は、条例で、被保険者、被保険者の配偶者若しくは被保険者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者又はこれらであった者が正当な理由なしに、第二百二条第一項の規定により文書その他の物件の提出若しくは提示を命ぜられてこれに従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたときは、十万円以下の過料を科する規定を設けることができる。
- 4.市町村は、条例で、偽りその他不正の行為により保険料その他この法律の規定による徴収金(納付金及び第百五十七条第一項に規定する延滞金を除く。)の徴収を免れた者に対し、その徴収を免れた金額の五倍に相当する金額以下の過料を科する規定を設けることができる。
- 5.地方自治法第二百五十五条の三の規定は、前各項の規定による過料の処分について準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 介護保険法第214条は、日本の介護保険法に含まれる条文です。
- 介護保険法第214条の条文原文は「市町村は、条例で、第一号被保険者が第十二条第一項本文の規定による届出をしないとき(同条第二項の規定により当該第一号被保険者の属する世帯の世帯主から届出がなされた…」で始まります。
- 介護保険法第214条は第十四章 罰則に置かれています。
- 介護保険法の公布日は平成9年12月17日です。
- 介護保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 介護保険法第214条の前の条は介護保険法第213条です。
- 介護保険法第214条の次の条は介護保険法第215条です。
- 介護保険法第214条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第214条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 - 本サイト収録
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第214条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/409AC0000000123/214
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点介護保険法214条は、届出違反や被保険者証の不提出、調査での虚偽答弁に10万円以下、保険料の不正免脱に免れた額の5倍以下の過料を、市町村が条例で定められるとする規定。
Q · 介護保険料をごまかしたら、どのくらいの過料になるの?
条例があれば、免れた額の5倍以下の過料になりうる
介護保険法214条4項により、市町村は条例で、偽りその他不正の行為によって保険料などの徴収を免れた者に、免れた金額の5倍以下の過料を科す規定を設けることができます。届出違反・被保険者証の提出拒否・調査での虚偽答弁は10万円以下です。過料は刑罰ではない秩序罰で、実際に科されるかは住む市町村の条例の有無と内容によります。処分前には弁明の機会が与えられます(5項・地方自治法255条の3)。
解説
過料という言葉を、罰金と同じものだと思っていないだろうか。介護保険法214条は、市町村が条例で10万円以下の過料を科せる場面を並べている。住所変更の届出を怠った、被保険者証の提出を求められて出さない、市町村の調査に虚偽の答弁をした。そして4項が本丸だ。不正な手段で保険料の徴収を免れた者には、免れた金額の5倍以下の過料。保険料3年分20万円をごまかせば、100万円が上限になる。ここで重要なのは「市町村は条例で規定を設けることができる」という書きぶりだ。介護保険法そのものが直接あなたに過料を科すのではない。あなたの住む市町村が条例を作って初めて発動する。つまり、同じことをしても、隣の市では過料、あなたの市ではお咎めなし、という事態が制度上ありうる。自分の自治体の介護保険条例に何条まで書いてあるか、確認した人はほとんどいない。
法的な位置づけ
介護保険法214条は、市町村に条例で過料規定を設ける権限を授ける規定である。対象は、第一号被保険者の資格届出義務違反、被保険者証の提出要求への不応、202条に基づく文書提出命令・質問への不服従や虚偽答弁(各10万円以下)、および偽りその他不正の行為による保険料等の徴収免脱(免脱額の5倍以下)であり、処分手続には地方自治法255条の3が準用される。
よくある質問 AI による整理
Q1介護保険の過料とは何ですか?
市町村が条例に基づいて科す金銭的制裁で、刑罰ではない行政上の秩序罰です。介護保険法214条が市町村に条例制定の権限を授けています。
Q2介護保険 過料 いくら?
届出違反・被保険者証の不提出・調査での虚偽答弁は10万円以下、保険料の不正免脱は免れた額の5倍以下が上限です。具体額は各市町村の条例で決まります。
Q3介護保険証をなくしたら過料になりますか?
紛失そのものは過料の対象ではありません。214条2項が対象とするのは提出を求められて応じない場合です。紛失したら再交付を申請すれば足ります。
Q4住所変更で介護保険の届出は必要?
第一号被保険者は介護保険法12条により資格の取得・喪失などを市町村へ届け出る義務があります。世帯主が代わりに届け出た場合は214条1項の過料の対象外です。
Q5過料の処分に不服があるときはどうする?
処分通知の教示に従い、知った日の翌日から3か月以内に審査請求、または知った日から6か月以内に取消訴訟を提起できます(行政事件訴訟法14条)。
Q6過料の前に弁明の機会はありますか?
あります。214条5項が地方自治法255条の3を準用しており、市町村長は過料処分の前に告知し、弁明の機会を与えなければなりません。
Q7自分の市の介護保険条例はどこで確認できる?
多くの市町村は公式サイトの例規集(条例・規則データベース)で公開しています。「○○市 介護保険条例」で検索し、罰則・過料の章を確認するのが近道です。
Q8家族の介護保険の調査にも答える義務がある?
214条3項は被保険者の配偶者や世帯主、世帯員、さらに「これらであった者」も対象にしています。正当な理由なく答弁拒否や虚偽答弁をすれば過料の対象になりえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1過料って払わなかったらどうなるんですか、前科つきますか?
前科はつきません。過料は行政上の秩序罰で刑罰ではないため、刑事裁判にも前科にもなりません。ただし納付しなければ地方自治法に基づき地方税の滞納処分の例により強制徴収され、財産の差押えに進む可能性があります。実務のポイント:前科がつかないという一点だけで軽く見る人が多いが、強制徴収の実効性は刑事罰の罰金と変わりません。前科のリスクと回収のリスクは別物です
Q2うちの市には過料の条例がないと聞いたんですが、本当にお咎めなしですか?
214条は「市町村は、条例で……規定を設けることができる」と定めており、条例がなければ本条を根拠とする過料は科されません。ただし保険料の未納分そのものは当然に徴収され、給付制限(介護保険法66条以下)という別の不利益もあります。実務のポイント:過料がないことと不利益がないことはまったく別です。滞納が続くと介護サービスの自己負担が1割から3割に引き上げられる給付制限の方が、家計へのダメージは大きい場合があります
Q3所得を低めに申告したら介護保険料が下がったんですが、これって5倍過料の対象ですか?
4項は「偽りその他不正の行為により」徴収を免れた場合を対象とします。意図的に虚偽の申告をして保険料段階を下げたのであれば射程に入り、免れた額の5倍以下の過料が条例で定められている市町村ではその対象となります。実務のポイント:単純な記載ミスと不正行為の線引きは、調査の段階で自ら訂正を申し出たかどうかが実務上の分かれ目になります。指摘される前に動いた記録が残っているかどうかで、扱いが変わります
間違えやすい点 AI による整理
- 過料は罰金の言い換えだと理解されているが、法的性質がまったく違う。過料は行政上の秩序罰で、刑罰ではない。前科はつかず、刑事裁判も開かれない。だからこそ「刑事事件にならないなら軽い」と油断する人が出るが、4項の5倍過料は刑事罰の罰金より高額になりうる。軽いのは手続の重さであって、金額ではない
- 「法律に書いてあるのだから全国どこでも同じ」という前提そのものが誤っている。本条は市町村に条例制定の権限を授けているだけで、条例がなければ過料は科されない。あなたが確認すべきは介護保険法214条ではなく、あなたの市町村の介護保険条例である
- 4項の5倍という数字を知っている人でも、その分母を軽く見積もっている。免れた保険料が単年度分だけとは限らず、遡って認定された未納分が積み上がれば分母は数十万円規模になる。そこに5倍が掛かる構造を理解している人と、していない人とでは、調査での答弁の慎重さが決定的に違う
- 過料は役所が決めたら終わりだと思われがちだが、5項が地方自治法255条の3を準用しており、処分の前に弁明の機会が与えられ、告知を受ける手続がある。言い分を述べる機会は制度として用意されている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 根拠と位置づけ | 介護保険法214条:介護保険の届出・証・調査・保険料に限った個別授権 | 地方自治法14条3項:条例一般に罰則を置く一般規定 地方自治法228条3項:分担金・使用料・手数料等の徴収免脱に対する過料 |
| 上限額 | 1〜3項は10万円以下、4項は免れた額の5倍以下 | 過料は5万円以下(刑罰も規定可) 免れた額の5倍以下(5倍が5万円以下なら5万円) |
| 制裁の性質 | 過料のみ(秩序罰) | 拘禁刑・罰金等の刑罰と過料の双方 過料のみ(秩序罰) |
| 処分手続 | 5項で地方自治法255条の3(告知・弁明の機会)を準用 | 長が科す過料は地方自治法255条の3の手続による 長が科す過料は地方自治法255条の3の手続による |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の長期介護は税財源方式で保険料がなく、保険料免脱に対する過料という構造自体がない。近いのは全民健康保険の不正受給・未加入への罰鍰で、国の法律が直接定める点が日本の条例授権型と異なる
韓国は老人長期療養保険法が過料(과태료)を法律で直接定め、国民健康保険公団が運営する。自治体条例に委ねる日本とは設計が異なる
社会保険待遇を詐取した者に詐取額の2倍以上5倍以下の罰款を科す。倍率方式は日本の4項と似るが、対象は給付の詐取で、保険料免脱ではない
ドイツ介護保険は連邦法に秩序違反(Ordnungswidrigkeit)と過料(Bußgeld)を直接規定する。自治体ごとに差が出る日本の二段構造とは対照的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 親を引き取って同居を始め、住民票は移したが介護保険の資格関係の届出は「役所が勝手にやってくれるだろう」と放置した。数か月後に市から照会が来る。1項の届出義務違反は、世帯主が代わりに届け出ていれば免責されるが、誰も出していなければ過料の対象になりうる
- 要介護認定の更新で市から被保険者証の提出を求められたのに、「どこにしまったか分からない」と言って応じないまま放置した。2項が直接狙うのはこの場面である。紛失なら再交付申請をすればよい話で、無視こそが過料の引き金になる
- 市の職員から介護保険料の賦課に関する調査で収入や世帯の状況を聞かれ、保険料段階を下げたい一心で実際より低い所得を答えた。3項の虚偽答弁に当たり、しかも保険料を不正に免れていれば4項が重なる。答弁1回の嘘が、5倍過料の入口になる
- もし、あなたが亡くなった親の介護保険の手続を放置していたら、どうなる? 3項は「これらであった者」も対象に含む。被保険者本人でなくなっても、世帯にいた者であっても、調査対象から外れない
- 市から過料の通知が届いた。記載された納付期限まであと2週間。過料は行政処分であり、不服があるなら審査請求や取消訴訟という道がある。だが期間を過ぎれば争えなくなる。机に放り投げていい書類ではない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 家族の介護保険の手続で市とトラブルになったら、まず自分の市町村の介護保険条例で過料条項の有無と内容を確認する。国の法律だけ読んでも答えは出ない2. 届出漏れを指摘されたら、世帯主が代わりに届け出ていないか(1項括弧書の免責)を確認3. 証の紛失なら速やかに再交付申請、提出拒否ではないことを記録に残す4. 不服があれば処分の通知に記載された教示に従い、審査請求または取消訴訟を検討する
訴えられた側:1. 過料の告知が来たら、まず地方自治法255条の3に基づく弁明の機会の有無と期限を確認、空欄で返さない2. 4項の対象とされた場合、「偽りその他不正の行為」があったのか、単なる申告漏れ・失念かを事実で切り分けて主張する3. 免れた額の算定根拠の開示を求め、分母が過大でないか検証4. 争わないと決めた場合でも、分割納付の相談余地があるか市の担当課に確認する
時効(請求できる期限):過料の処分自体に本条固有の期間制限はないが、処分に不服がある場合は行政不服審査法に基づく審査請求を処分があったことを知った日の翌日から3か月以内、取消訴訟は行政事件訴訟法14条により処分があったことを知った日から6か月以内に提起する必要がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条の過料は秩序罰であり、刑罰ではない。本条は市町村への授権規定にとどまり、条例の定めがなければ本条を根拠に過料を科すことはできない。4項の適用には偽りその他不正の行為という積極的な不正が必要で、単なる失念は含まれない。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成9年(1997年) 新設:介護保険法の制定(平成9年法律第123号)に伴い、市町村条例による過料の授権規定として設けられた。
- 介護保険法 第12条1項が制裁対象とする被保険者の資格届出義務
- 介護保険法 第202条3項が前提とする市町村の文書提出命令・質問権
- 介護保険法 第66条2項の証提出要求の根拠かつ滞納時の給付制限
- 介護保険法 第30条2項が引く被保険者証提出要求の根拠規定
- 介護保険法 第213条同章の罰則、刑罰と秩序罰の役割分担
- 地方自治法 第255条の35項が準用する過料処分の告知・弁明手続
- 地方自治法 第14条条例による過料の上限と罰則制定権の一般規定
- 行政事件訴訟法 第14条過料処分の取消訴訟の出訴期間
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める