介護保険法 第25条(受給権の保護)
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保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
この条文の基本情報
受給権の保護とは何ですか?
定義受給権の保護とは、介護保険法第25条に定められた規定で、「保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 介護保険法第25条(受給権の保護)は、日本の介護保険法に含まれる条文です。
- 介護保険法第25条の条文原文は「保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。」で始まります。
- 介護保険法第25条は第一節 通則に置かれています。
- 介護保険法の公布日は平成9年12月17日です。
- 介護保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 介護保険法第25条の前の条は介護保険法第24条の3です。
- 介護保険法第25条の次の条は介護保険法第26条です。
- 介護保険法第25条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第25条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 - 本サイト収録
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第25条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/409AC0000000123/25
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点介護保険法25条は、保険給付を受ける権利の譲渡・担保提供・差押えを全面的に禁止する。ただし給付が口座に振り込まれ預金債権となった後は、原則として保護が及ばない。
Q · 介護保険の給付金は借金の取り立てで差し押さえられるの?
受給権は差押不可、ただし口座入金後は原則差押可能
介護保険法25条により、保険給付を受ける権利は譲渡・担保提供・差押えのいずれもできません。高額介護サービス費や住宅改修費などの償還払いの請求権も対象です。ただし最判平成10年2月10日の考え方では、給付が口座に振り込まれた時点で普通の預金債権に変わり、差押禁止の効力は原則として及びません。給付日を狙い撃ちした差押えを違法とした高裁判例もあるため、個別事案は弁護士に相談してください。
解説
借金の取り立てで債権者が最初に狙うのは、給料と預金である。給料は民事執行法152条により4分の3が守られるにとどまるが、介護保険の保険給付を受ける権利はそれより強い。一円も差し押さえられない。担保に取ることも、他人に譲り渡すことも禁じられている。あなた自身が「この給付を担保に貸してほしい」と頼んで契約書にサインしても、その合意は効力を持たない。守られるのは現物のサービスだけではない。高額介護サービス費、福祉用具購入費、住宅改修費のように、いったん自己負担で払って後から現金で戻ってくる償還払いの請求権も、同じ保護の下にある。ただし、この盾には切れ目がある。その金が市町村から飛び出してあなたの口座に着地し、預金債権に姿を変えた瞬間、保護は原則として消える。回収のプロが狙っているのは、権利そのものではなく、まさにその着地点である。
法的な位置づけ
介護保険法25条は受給権の保護を定める規定であり、介護保険の保険給付を受ける権利について、譲渡、担保への供与および差押えを一律に禁止する。現物給付に限らず償還払いの請求権にも及び、民事執行法152条の一部差押禁止に対し全額禁止の特則として機能する。受給者本人の同意に基づく担保設定も無効となる。
手順
- 1.差押えの対象を見分ける 差押命令の「差押債権目録」を確認し、介護保険給付を受ける権利そのものが対象か、すでに入金済みの預金債権が対象かを見分ける。
- 2.受給権そのものへの差押えなら執行抗告 受給権自体が対象になっている場合は、介護保険法25条違反を理由に、送達から1週間以内に執行抗告を申し立てる(民事執行法10条2項・145条)。
- 3.預金への差押えなら範囲変更を検討 入金後の預金が差し押さえられた場合、給付が原資であることを入金履歴で示し、民事執行法153条の差押禁止債権の範囲変更申立てや、狙い撃ち差押えとしての違法主張を弁護士と検討する。
- 4.給付の振込先を生活費専用口座に移す 差押命令が出る前に、市町村の介護保険担当窓口で給付の振込先を生活費専用の別口座に変更する届出を出し、入金後は速やかに生活費として使う。
よくある質問 AI による整理
Q1介護保険の受給権とは?
要介護認定を受けた被保険者が、介護サービスや償還払いの給付を保険者である市町村から受ける権利です。介護保険法25条で譲渡・担保提供・差押えが禁止されています。
Q2高額介護サービス費は差し押さえられる?
市町村に請求する段階の権利は介護保険法25条により差し押さえられません。ただし口座に振り込まれた後は預金債権となり、原則として差押えの対象になります。
Q3介護保険の給付 自己破産で没収される?
まだ受け取っていない給付の請求権は差押禁止債権なので、破産法34条3項2号により自由財産となり、破産財団には入りません。
Q4介護保険の給付金 口座 差し押さえ 違法?
入金後の預金差押えは原則として適法とされます。ただし給付日を狙い撃ちした差押えを違法とした高裁判例があり、事情によっては争う余地があります。
Q5介護保険の給付を担保にお金を借りられる?
できません。介護保険法25条が担保提供を禁じているため、本人が同意して契約書にサインしても、その担保設定は無効です。
Q6介護保険の受給権を家族に譲渡できる?
できません。介護保険法25条は譲渡も禁止しています。受給権は要介護認定を受けた被保険者本人に帰属し、家族であっても移転はできません。
Q7介護保険給付の差押命令が届いたらいつまでに争う?
差押命令の送達を受けた日から1週間以内に執行抗告を申し立てる必要があります(民事執行法10条2項)。この期間は不変期間です。
Q8住宅改修費の請求権は何年で時効?
保険給付を受ける権利の消滅時効は2年です(介護保険法200条1項)。償還払いの住宅改修費や福祉用具購入費も、期限内に請求しないと権利が消えます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1口座に振り込まれた後だと差し押さえられるって本当ですか?
原則として本当である。最判平成10.2.10は、振り込まれた時点で普通の預金債権に変わり、差押禁止の効力は及ばないとした。ただし給付日を狙い撃ちした差押えを違法とした裁判例もある。実務のポイント:弁護士は債務整理に入るとき、まず給付の振込先を債権者の知らない生活費専用口座に移し、入金後すぐ現金化するよう助言する。口座を分けてあるかどうかで、実際に残る額が変わる
Q2介護事業者が介護報酬を担保に融資を受けているのを見ました。25条違反では?
違反ではない。本条が守るのは被保険者の受給権であって、事業者が国保連に対して持つ介護報酬債権は別の債権である。法定代理受領(介護保険法41条6項等)の構造上、実務では報酬債権の譲渡担保融資やファクタリングが広く行われている。実務のポイント:融資条件の差は、債権の特定方法と国保連への対抗要件の組み方で出る。同じ事業規模でも金利が変わるのはここだ
Q3親の年金と介護給付を担保にお金を貸すと言われました。大丈夫ですか?
介護保険給付を担保にする合意は本条により無効である。年金も各法で同様に担保が禁じられ(国民年金法24条、厚生年金保険法41条)、国が認めていた年金担保貸付制度も令和4年(2022年)3月末で新規申込を終了している。実務のポイント:無効であっても、通帳・印鑑・キャッシュカードを預かって事実上の担保を取る手口は残っている。無効を主張できる立場にあると知らなければ、取り返すという発想自体が生まれない
間違えやすい点 AI による整理
- 差押えができないことは知っていても、その盾が口座入金で切れることの深刻さを知らない人が多い。最判平成10.2.10は、振り込まれた時点で普通の預金債権に変わり、差押禁止の効力は及ばないとした。つまり「守られている」のは受け取るまでの一瞬であり、受け取った後の管理はあなた自身の設計次第である
- 「介護保険の金は絶対に減らされない」という問いの立て方そのものが誤っている。本条が守るのは債権者に対してであって、保険者である市町村に対してではない。保険料を滞納すれば、支払方法の変更(67条の償還払い化)、給付の一時差止、給付額の減額(69条)という別系統の仕組みで、実際に受け取れる額は削られる
- あなたから見れば「自分の権利を担保に入れようが自由」だが、法律から見れば介護の現場に到達すべき目的拘束のかかった資金である。この落差があなたを潰す。本人が納得して合意した担保設定すら無効になるため、それを前提に組んだ資金繰りは契約ごと空振りし、受け取った側の金は法律上の原因を欠く不当利得(民法703条)になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 保護の内容 | 介護保険法25条:受給権の譲渡・担保提供・差押えを禁止 | 介護保険法26条:受給した金品への租税その他の公課を禁止 介護保険法69条:保険料徴収権消滅時に給付額を減額 |
| 誰から守るか | 一般債権者および受給者本人の処分 | 国・地方公共団体の課税 保護ではなく、保険者による給付制限 |
| 受給者から見た効果 | 給付が債権者に取られず介護に届く | 受け取った給付に税金がかからない 自己負担割合の引上げ等で実受給額が減る |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には公的介護保険がなく、長期介護は税財源の長期照顧服務法で提供される。社会保障給付の受領権について譲渡・差押・担保を禁ずる型は日本と共通する
韓国の長期療養保険でも、給付を受ける権利の譲渡・差押え・担保提供を禁ずる同型の規定が置かれている
ドイツでは社会法典総則が社会給付全般の譲渡・差押えを一括規律する。現物給付は差押え不可、金銭給付は条件付きで差押え可能とする段階的な構造
米国の社会保障給付には譲渡・差押禁止条項がある。ただし公的な介護保険はなく、介護は Medicaid などを通じて提供される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 消費者金融から訴えられ、来週にも口座が差し押さえられると通知が届いた。月末に振り込まれる高額介護サービス費の還付金も一緒に持っていかれるのか? 振り込まれる前なら答えは No、振り込まれた後なら原則 Yes である。残された数日で決まるのは、その金をどの口座で、いつ受け取るかという一点だけだ
- あなたが貸金業者の回収担当だとする。債務者の介護保険給付を直接差し押さえる申立ては、本条を理由に通らない。だが給付が振り込まれる口座を特定し、入金直後に預金債権として押さえる手は実務で使われてきた。もっとも、児童手当の振込口座を入金当日に狙い撃ちした差押えを違法とした高裁判例(広島高裁松江支部 平成25.11.27)があり、狙い撃ち型には制動がかかっている
- 介護事業者から「未払いのサービス利用料は、次に出る給付金から直接引かせてもらう」と言われた。その合意は無効である。給付を担保に取ることを本条が正面から禁じているからだ
- 介護保険料を滞納したまま2年の時効(介護保険法200条)が完成してしまった親のケース。差し押さえられないから安心とはならない。介護保険法69条により給付率が引き下げられ、自己負担が1割から3割になり、高額介護サービス費も支給されなくなる。差押えという正面の扉は閉じていても、給付そのものを削る裏口が開いている(最新の改正状況をご確認ください)
- 親の自己破産を手伝って財産目録を作っている場面。まだ受け取っていない介護保険の還付金は差押禁止債権なので、破産法34条3項2号により自由財産として手元に残り、管財人が集める破産財団には入らない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 差押命令が届いたら、対象が「介護保険給付を受ける権利」そのものか、すでに入金済みの預金債権かを先に見分ける2. 前者なら本条違反として、送達から1週間以内に執行抗告(民事執行法10条2項、145条)を申し立てる3. 後者でも、給付日を狙い撃ちした差押えであれば権利濫用を主張する余地があり、民事執行法153条の差押禁止債権の範囲変更申立ても検討する4. 並行して給付の振込先を生活費専用の別口座に変更し、入金後は速やかに引き出す
訴えられた側:1. 回収側であれば、受給権自体への差押申立ては本条で確実に却下されるため、申立費用の無駄になる2. 給付を担保に取る合意書を交わしても無効であり、受領した金は不当利得返還請求を受ける3. 入金後の預金債権を押さえる方法は形式上可能だが、給付日を狙った狙い撃ちは違法と判断された裁判例があり、後から損害賠償で逆襲される4. 回収不能を前提に、分割和解か債務整理手続への参加へ方針を切り替える方が実利がある
時効(請求できる期限):保険給付を受ける権利自体の消滅時効は2年(介護保険法200条1項)。高額介護サービス費や福祉用具購入費などの償還払いは、支給事由が生じた日から2年で請求権が消える。差押えを争う側では、差押命令の送達を受けた日から1週間が執行抗告の不変期間(民事執行法10条2項)
学説
通説:本条は社会保険給付を介護という目的に確実に到達させるための目的拘束規定であり、債権者の回収を封じるだけでなく、受給者本人による譲渡・担保設定も無効とする強行規定と解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成9年(1997年) 新設:介護保険法の制定に伴い新設。平成12年(2000年)4月の施行により、受給権の譲渡・担保提供・差押えの禁止が適用開始。
- 介護保険法 第18条保護対象となる保険給付の種類を画定
- 介護保険法 第26条受給した金品への公課禁止、保護の税法側面
- 介護保険法 第41条法定代理受領の構造、受給権の現れ方を規定
- 介護保険法 第67条保険料滞納時の給付の一時差止
- 介護保険法 第69条保険料徴収権消滅時の給付額減額
- 民事執行法 第152条差押禁止債権の一般規定、本条は全額禁止の特則
- 破産法 第34条差押禁止財産は自由財産、破産財団に不帰属
- 生活保護法 第58条同型の受給権差押禁止規定
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