特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 第16条(消去禁止命令)
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- 本案の発信者情報開示命令事件が係属する裁判所は、発信者情報開示命令の申立てに係る侵害情報の発信者を特定することができなくなることを防止するため必要があると認めるときは、当該発信者情報開示命令の申立てをした者の申立てにより、決定で、当該発信者情報開示命令の申立ての相手方である開示関係役務提供者に対し、当該発信者情報開示命令事件(当該発信者情報開示命令事件についての第十四条第一項に規定する決定に対して同項に規定する訴えが提起されたときは、その訴訟)が終了するまでの間、当該開示関係役務提供者が保有する発信者情報(当該発信者情報開示命令の申立てに係るものに限る。)を消去してはならない旨を命ずることができる。
- 2.前項の規定による命令(以下この条において「消去禁止命令」という。)の申立ては、当該消去禁止命令があった後であっても、その全部又は一部を取り下げることができる。
- 3.消去禁止命令を受けた開示関係役務提供者は、当該消去禁止命令に対し、即時抗告をすることができる。
この条文の基本情報
消去禁止命令とは何ですか?
定義消去禁止命令とは、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第16条に定められた規定で、「本案の発信者情報開示命令事件が係属する裁判所は、発信者情報開示命令の申立てに係る侵害情報の発信者を特定することができなくなることを防止するため必要があると認める…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第16条(消去禁止命令)は、日本の特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律に含まれる条文です。
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第16条の条文原文は「本案の発信者情報開示命令事件が係属する裁判所は、発信者情報開示命令の申立てに係る侵害情報の発信者を特定することができなくなることを防止するため必要があると認める…」で始まります。
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第16条は第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に置かれています。
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律の公布日は平成13年11月30日です。
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第16条の前の条は特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第15条です。
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第16条の次の条は特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第17条です。
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第16条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)第16条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000137 - 本サイト収録
特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)第16条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/413AC0000000137/16
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点情報流通プラットフォーム対処法16条は、発信者情報開示命令事件の係属中、裁判所がプロバイダに対し、事件終了まで発信者情報の消去を禁じる命令を出せると定める。
Q · 開示命令の審理中に、プロバイダのログが消えてしまうのを止める方法はある?
開示命令の申立て中なら、裁判所に消去禁止を命じてもらえる
情報流通プラットフォーム対処法16条により、本案の発信者情報開示命令事件が係属していれば、申立人は追加の申立てで、裁判所からプロバイダに対し「事件が終わるまで発信者情報を消去してはならない」と命じてもらえます。異議の訴え(14条)が起こされた場合は、その訴訟の終了まで効力が続きます。ただし命令は保存を命じるだけで、氏名や住所の開示は本案の開示命令(8条)で別途勝ち取る必要があります。
解説
匿名アカウントの書き手を特定するには、通信事業者(アクセスプロバイダ)が持つ接続ログが要る。ところがこのログは、一般に3〜6か月程度で上書き消去されるといわれる。開示命令の審理が長引けば、勝つ前に証拠が消える。本条はこの矛盾を埋めるために置かれた。発信者情報開示命令の申立て(第8条)が裁判所に係属していれば、あなたは追加の申立てをするだけで、裁判所に「その事件が終わるまで、申立てに係る発信者情報を消去してはならない」とプロバイダへ命じてもらえる。命令の効力は、開示命令の決定に対して異議の訴え(第14条)が起こされればその訴訟の終了まで続く。注意点は二つ。第一に、本案の開示命令事件が先に係属していなければ申し立てられない。第二に、これは保存の命令であって開示ではない。ログを凍結し、本案で開示を勝ち取る、この二段構えを理解した人だけが、時間切れの負けを避けられる。
法的な位置づけ
消去禁止命令とは、情報流通プラットフォーム対処法16条に基づき、本案の発信者情報開示命令事件が係属する裁判所が、申立人の申立てにより、相手方である開示関係役務提供者に対して、当該事件(異議の訴えが提起された場合はその訴訟)の終了まで、申立てに係る発信者情報の消去を禁止する決定をいう。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.権利侵害投稿の証拠を確保する 投稿の URL、スクリーンショット、投稿日時、表示されたアカウント情報を記録・保存する。後の開示命令で権利侵害の明白性を立証する基礎資料になる
- 2.コンテンツプロバイダへの開示命令と提供命令を申し立てる SNS・掲示板の運営者を相手方として発信者情報開示命令(8条)を申し立て、あわせて提供命令(15条)によりアクセスプロバイダの名称等の提供を求める
- 3.アクセスプロバイダへの開示命令と消去禁止命令を同日に申し立てる アクセスプロバイダの名称を受け取ったら、期限(15条3項2号)を意識しつつ、同プロバイダへの開示命令と本条の消去禁止命令を同時に申し立て、ログ保存期間の経過による特定不能を防ぐ
- 4.本案で権利侵害の明白性を立証する 消去禁止命令は保存にとどまるため、本案の開示命令事件で権利侵害の明白性と開示を受ける正当な理由(5条)の立証を並行して進める
- 5.不要になれば消去禁止命令を取り下げる 示談成立などで開示が不要になった場合、命令後でも全部または一部を取り下げられる(16条2項)。プロバイダの保存負担を解く調整材料になる
よくある質問 AI による整理
Q1消去禁止命令とは何ですか?
発信者情報開示命令事件の終了まで、プロバイダに対して発信者情報の消去を禁じる裁判所の決定です。情報流通プラットフォーム対処法16条が根拠です。
Q2プロバイダのログはいつまで保存されていますか?
法律上の一律の保存期間はなく、一般に3〜6か月程度で上書き消去されるといわれます。審理が長引くと消えるおそれがあるため、消去禁止命令が重要になります。
Q3誹謗中傷の犯人特定はログが消えたらできない?
接続ログが消えると、アクセスプロバイダ側で契約者を突き止められず、特定は事実上困難になります。開示命令の申立てと同時に消去禁止命令を申し立てるのが定石です。
Q4消去禁止命令の効力はいつまで続きますか?
本案の発信者情報開示命令事件が終了するまでです。開示命令の決定に対して異議の訴え(14条)が提起された場合は、その訴訟が終了するまで続きます。
Q5消去禁止命令に不服がある場合、プロバイダはどうする?
即時抗告ができます(16条3項)。期間は告知を受けた日から2週間で、非訟事件手続法67条1項の一般規定によります。
Q6消去禁止命令が出れば投稿者の住所が分かる?
分かりません。命令の効力はログを消させないことに限られ、氏名・住所等の開示は本案の発信者情報開示命令(8条)で認められる必要があります。
Q7消去禁止命令はどの裁判所に申し立てる?
本案の発信者情報開示命令事件が係属している裁判所です。別の裁判所に単独で申し立てることはできず、本案の係属が前提要件となります。
Q8消去禁止命令と民事保全の仮処分はどちらを使う?
開示命令手続を利用するなら、同じ裁判所で追加申立てができる16条の消去禁止命令が簡便です。従来の民事保全法上の消去禁止仮処分は、開示命令手続を使わない場合の選択肢となります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1開示命令を出す前に、ログの保存だけ先にお願いすることはできないんですか?
本条の消去禁止命令は「本案の発信者情報開示命令事件が係属する裁判所」が出すものなので、開示命令の申立てが先に必要です(第16条第1項)。単独では申し立てられません。実務のポイント:本案の準備に時間がかかる場合、プロバイダへ書面で任意の保存を依頼する方法があり、応じる事業者も多いとされます。ただしあくまで任意で、依頼書を出した日付の記録が後で効いてきます
Q2消去禁止命令の申立てを取り下げたら、何か不利になりますか?
命令が出た後でも、全部または一部を自由に取り下げられます(第16条第2項)。開示命令の申立ての取下げに決定後は相手方の同意が要る(第13条第1項)のとは扱いが違います。実務のポイント:示談が成立して開示が不要になった場面などで、消去禁止命令だけ先に取り下げてプロバイダの負担を解く、という使い方が考えられます。相手方との関係調整の材料になる
Q3プロバイダが命令を無視してログを消したら、どうなるんですか?
本条自体には違反時の罰則が置かれていません。そのため違反の効果は、損害賠償請求などの一般的な民事責任の問題として争われることになり、その範囲は実務上、解釈が分かれうる点です。実務のポイント:実際に大手事業者が裁判所の決定を無視することは考えにくく、命令の真価は罰則より「決定書が社内の削除フローを止める」という事務上の拘束力にあります
間違えやすい点 AI による整理
- 「開示命令を申し立てれば、審理中のログは当然保存される」と考えがちだが、本条の命令が出るまでプロバイダには法的な保存義務はない。任意に保存してくれる事業者も多いとされるが、それは善意であって義務ではない
- 消去禁止命令が出れば犯人が分かる、という期待はずれやすい。本条が命じるのは「消すな」だけであり、氏名や住所を渡させる効力はない。開示は本案の開示命令(第8条)で別途勝ち取る必要がある。保存と開示を混同した人は、命令が出た時点で安心して手を止めてしまう
- 問いの立て方そのものがずれている人もいる。「いつ申し立てればいいか」ではなく「本案が係属しているか」が先決である。本案の開示命令事件なしに単独で申し立てることはできないため、消去禁止命令だけを急いでも門前払いになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 命令の内容 | 16条:申立てに係る発信者情報の消去禁止(保存のみ) | 8条:発信者情報そのものの開示 15条:他の開示関係役務提供者の名称等の提供 |
| 申立ての前提 | 本案の開示命令事件が係属していること | 5条の開示請求の要件を満たすこと 本案の開示命令事件が係属していること |
| 取下げの扱い | 命令後でも全部・一部を自由に取り下げ可(16条2項) | 決定後の取下げには相手方の同意が必要(13条1項) 本条と同様に命令後の取下げ規定あり |
| 不服申立て | 即時抗告(16条3項、告知から2週間) | 異議の訴え(14条1項、告知から1か月) 即時抗告 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には発信者情報に特化した消去禁止命令はなく、一般の証拠保全手続や刑事手続を通じてログを確保するのが一般的
ネットワーク運営者にログの6か月以上の保存を一律に義務付ける方式で、日本の事件ごとの個別命令方式とは発想が異なる
独立証拠手続により証拠滅失のおそれがある場合に証拠調べを先行できる。発信者情報専用の保存命令ではない
政府機関がプロバイダに記録保存を要請できる制度。私人の民事訴訟では litigation hold や subpoena が実務上の手段となる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 匿名掲示板で勤務先と実名を書かれ、X 社への提供命令(第15条)でようやくアクセスプロバイダの名前が分かった。投稿からすでに4か月。プロバイダへの開示命令申立てと同時に消去禁止命令を出しておかないと、審理中にログの保存期間が尽きかねない
- もしプロバイダ側が「この投稿は権利侵害が明らかとはいえない」と争い、開示命令の決定後に異議の訴えまで起こしたら、ログはいつまで残る? 本条の命令は異議訴訟の終了まで効力が続く。訴訟が年単位に延びても、データは凍結されたままだ
- あなたは地方の小さなプロバイダの法務担当。裁判所から消去禁止命令の決定書が届いた。即時抗告できる期間は告知から2週間しかない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 投稿の URL、スクリーンショット、投稿日時をすぐに保存する2. コンテンツ事業者を相手に開示命令を申し立て、あわせて提供命令(第15条)でアクセスプロバイダの名称を得る3. 名称を受け取ったら2か月以内の通知期限(第15条第3項第2号)を意識しつつ、アクセスプロバイダへの開示命令と本条の消去禁止命令を同時に申し立てる4. 消去禁止は保存にすぎないため、本案の権利侵害の明白性の立証準備を並行して進める
訴えられた側:プロバイダの立場なら、決定の告知を受けたら直ちに対象ログを特定し、自動削除の対象から外す社内手配を行う。必要性を欠くと考えるなら、告知から2週間以内に即時抗告(第16条第3項、非訟事件手続法第67条第1項)を検討する。発信者の立場なら、本条は直接争う手段を与えないが、開示請求段階の意見照会(第6条)で、開示に応じるべきでない理由を具体的に述べることが防御の中心になる
時効(請求できる期限):本条の申立て自体に期限はないが、本案の開示命令事件の係属中に限られ、実際にはプロバイダのログ保存期間(一般に3〜6か月程度とされる)が事実上の期限となる。命令の効力は本案事件(異議の訴えが提起されればその訴訟)の終了まで。プロバイダの即時抗告は告知から2週間(非訟事件手続法第67条第1項)。開示命令決定への異議の訴えは告知から1か月の不変期間(第14条第1項)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的理解(制度趣旨):従来は民事保全法に基づく消去禁止の仮処分を別途申し立てる必要があったが、本条は本案の開示命令事件の中で同じ裁判所が保存を命じられるようにし、手続の一体化と迅速化を図ったものと理解されている
改正沿革 AI による整理
- 令和3年(2021年)改正、令和4年(2022年)10月1日施行 非訟手続による発信者情報開示命令制度の創設に伴い、提供命令とともに消去禁止命令が新設された。なお令和6年(2024年)改正により法律の題名が現行名に改められた(2025年4月1日施行)が、本条の規律内容に実質的な変更はない
改正の年表
- 1.令和3年(2021年) 新設:非訟手続による発信者情報開示命令制度の創設に伴い、提供命令とともに消去禁止命令が新設された(令和4年(2022年)10月1日施行)
- 2.令和6年(2024年) 改正:法律の題名が現行名(情報流通プラットフォーム対処法)に改められた(2025年4月1日施行)。本条の規律内容に実質的な変更はない
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 第8条本案となる発信者情報開示命令
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 第15条提供命令、同じ必要性要件の姉妹規定
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 第14条異議の訴え、命令の存続期間を延長
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 第13条本案取下げとの要件比較
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 第5条開示請求権の実体要件
- 非訟事件手続法 第67条即時抗告期間2週間の一般規定
- 民事保全法 第23条従来型の消去禁止仮処分の根拠
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