特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 第8条(発信者情報開示命令)
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裁判所は、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者の申立てにより、決定で、当該権利の侵害に係る開示関係役務提供者に対し、第五条第一項又は第二項の規定による請求に基づく発信者情報の開示を命ずることができる。
この条文の基本情報
発信者情報開示命令とは何ですか?
定義発信者情報開示命令とは、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第8条に定められた規定で、「裁判所は、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者の申立てにより、決定で、当該権利の侵害に係る開示関係役務提供者に対し、第五条第一項又…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第8条(発信者情報開示命令)は、日本の特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律に含まれる条文です。
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第8条の条文原文は「裁判所は、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者の申立てにより、決定で、当該権利の侵害に係る開示関係役務提供者に対し、第五条第一項又…」で始まります。
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第8条は第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に置かれています。
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律の公布日は平成13年11月30日です。
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第8条の前の条は特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第7条です。
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第8条の次の条は特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第9条です。
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第8条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)第8条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000137 - 本サイト収録
特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)第8条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/413AC0000000137/8
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点情報流通プラットフォーム対処法8条により、裁判所は権利侵害を受けたとする者の申立てで、決定によりプロバイダに発信者情報の開示を命じられる。第5条の要件を満たすことが前提となる。
Q · ネットの匿名の書き込み主は、裁判所の手続で特定できるの?
できる。開示命令の申立てで、一つの手続により特定を目指せる
情報流通プラットフォーム対処法第8条により、権利を侵害されたとする者が申し立てると、裁判所は決定によりプラットフォームや通信会社に発信者情報の開示を命じることができます。従来は仮処分と訴訟の二段階でしたが、非訟手続でまとめて進められるようになりました。ただし第5条の要件、特に権利侵害の明白性は申立人が示す必要があり、通信ログの保存期間内に動くことが欠かせません。
解説
匿名アカウントの正体を突き止める手続は、令和4年(2022年)10月まで二回の裁判が必要だった。一回目はプラットフォーム(X や掲示板の運営者)に IP アドレスを開示させる仮処分、二回目はその IP を割り当てた通信会社に契約者の氏名・住所を開示させる訴訟である。全部で一年近くかかり、その間に通信会社の接続記録(ログ)が消えて、最後まで特定できないこともあった。本条が新しく作った「発信者情報開示命令」は、この二段階を一つの非訟手続(判決ではなく裁判所の「決定」で結論を出す、公開法廷を使わない簡易な手続)にまとめた。権利を侵害されたと主張するあなたが申し立てれば、裁判所は第5条の要件(権利侵害が明らかであること、開示を受ける正当な理由があること)を審理し、決定でプラットフォームや通信会社に開示を命じる。この入口を知っているかどうかで、相手を特定できる確率は大きく変わる。注意すべき点もある。裁判所は自動的に開示を命じるわけではない。「明らかな権利侵害」の立証は、今も申立人であるあなたが負う。
法的な位置づけ
発信者情報開示命令とは、情報流通プラットフォーム対処法第8条に基づき、特定電気通信による情報の流通で権利を侵害されたとする者の申立てを受けて、裁判所が決定の形式で開示関係役務提供者に対し発信者情報の開示を命じる非訟手続上の裁判である。開示の実体要件は同法第5条第1項または第2項による。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.投稿の証拠を保全する 問題の投稿の URL、投稿日時、アカウント名が表示された画面全体を保存し、印刷して取得日を記入する。削除される前に速やかに行う
- 2.権利侵害の内容を法的に整理する 名誉権・プライバシー権などどの権利がどう侵害されたか、違法性阻却事由(公共性・公益目的・真実性)がうかがわれないことを、第5条の要件に沿って整理する
- 3.開示命令・提供命令・消去禁止命令を同時に申し立てる プラットフォーム事業者を相手方として開示命令を申し立て、同時に提供命令(第15条)で通信会社の名称等を出させ、消去禁止命令(第16条)でログの消去を止める
- 4.通信会社を相手方とする開示命令を追加する 提供命令で判明した通信会社に対して開示命令を申し立て、手続を併合して契約者の氏名・住所の開示を求める。発信者には意見照会(第6条)が行われる
- 5.開示後の請求と期限を管理する 氏名が判明したら、損害賠償請求(民法709条、時効3年)と刑事告訴(犯人を知った日から6か月)の期限を並行して管理する
よくある質問 AI による整理
Q1発信者情報開示命令とは何ですか?
ネット上の権利侵害について、裁判所が決定でプラットフォームや通信会社に投稿者の情報開示を命じる制度です。情報流通プラットフォーム対処法8条が根拠です。
Q2発信者情報開示命令はどこの裁判所に申し立てますか?
原則として相手方となるプロバイダの所在地などを基準に管轄が決まります(同法10条)。東京地裁・大阪地裁に申し立てられる場合もあり、事前の確認が必要です。
Q3開示命令の申立てに必要な書類は?
申立書、投稿の URL や日時が分かる画面の保存資料、権利侵害を基礎づける証拠、相手方プロバイダの登記事項証明書などが一般的に必要です。
Q4開示命令が出るまで何か月かかる?
事案や発信者側の争い方で大きく変わります。旧制度の二段階手続よりは短くなる例が多いとされますが、確定的な期間は示せません。
Q5誹謗中傷の投稿者は自分で特定できる?
本人申立ても可能ですが、権利侵害の明白性の主張立証や提供命令との組合せが必要なため、ネット中傷に詳しい弁護士への依頼が現実的です。
Q6開示命令を出されたら拒否できる?
開示決定に不服がある当事者は、決定の告知から1か月以内に異議の訴えを提起できます(同法14条)。期間を過ぎると決定は確定します。
Q7開示命令と開示請求訴訟はどちらを選ぶべき?
どちらも利用できます。速さを重視するなら開示命令、発信者が強く争うことが予想される事案では最初から訴訟を選ぶ実務家もいます。
Q8海外の SNS でも開示命令は使える?
日本向けにサービスを提供している場合などは、日本の裁判所に申し立てられる場合があります(同法9条)。相手方の登記状況も確認します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1開示命令って、費用と期間はどれくらいかかるんですか?
申立手数料は1件1,000円程度と安価である(最新の改正状況をご確認ください)。費用の大部分は弁護士費用で、着手金だけで数十万円になることが多い。期間は事案によるが、旧制度の約1年より短くなる例が多いとされる(第8条、第15条)。実務のポイント:開示に要した弁護士費用は、その後の損害賠償請求で「調査費用」として相手に請求でき、全額またはかなりの部分が認められた裁判例もある。最初から回収計画に組み込んでおく
Q2悪口を書いたら全部特定されちゃうんですか?
そうではない。第5条は、権利侵害が「明らか」であることを要件にしている。単なる批判や辛口の論評、公共の利害に関わる真実の指摘は、違法性が否定される余地がある。意見照会に対するあなたの回答も、裁判所の判断材料になる(第6条1項)。実務のポイント:意見照会書に「開示に同意しない」とだけ書いて返すのは、ほとんど意味がない。どの事実が真実で、なぜ公益目的なのかを資料付きで書いた回答が、裁判所の判断を実際に動かす
間違えやすい点 AI による整理
- 「開示命令を申し立てれば裁判所がすぐ犯人を教えてくれる」と思われがちだが、条文は「命ずることができる」と定め、その前提として第5条の要件を求めている。権利侵害が「明らか」であること、つまり違法性を阻却する事由(公共性・公益目的・真実性など)がうかがわれないことまで、申立人が示す必要がある。ただの不快な悪口では通らないことが多い
- 新しい手続ができて旧来の開示請求訴訟がなくなった、という理解は前提が誤っている。開示命令はあくまで追加された選択肢であり、第5条に基づく訴訟も引き続き使える。発信者側が争う姿勢を明確にしている事案では、決定に異議の訴え(第14条)が出されれば結局訴訟になるため、最初から訴訟を選ぶ実務家もいる。どちらが速いかは事案次第で、実務上の評価も分かれている
- 被害者の立場からは「やっとスピーディに特定できる」制度に見える。しかし匿名で書く側から見れば、意見照会書が届いてから2週間ほどで、自分の氏名と住所が相手に渡るかどうかが決まり始める制度である。この時間感覚の差を、投稿する側のほとんどは知らない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の性質 | 第8条:非訟手続、裁判所の決定で開示を命じる | 第5条:開示請求権の実体要件(訴訟でも利用可) 第15条:提供命令(通信会社の名称等を提供させる) |
| 主な効果 | プロバイダに発信者情報の開示を命じる | 開示を求める権利の根拠・要件を定める 後続の通信会社を特定し、手続を連鎖させる |
| 不服申立て | 決定告知から1か月以内に異議の訴え(第14条) | 通常の訴訟の上訴 即時抗告等(要確認) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には民事の発信者開示命令に相当する専用制度がなく、刑事告訴を経て検察が通信記録を調取する経路が実務の中心
韓国は명예훼손분쟁조정부への申請を経て利用者情報の提供を求める制度があり、行政的な紛争調整機関を介する点が日本と異なる
ドイツは裁判所の許可を前提にサービス提供者が Bestandsdaten を開示できる構造で、日本と同様に裁判所関与型
米国は John Doe 訴訟を提起したうえで subpoena により特定するのが一般的で、匿名表現の保護との調整基準を判例が形成
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの飲食店に Google マップで「店主が客を恫喝していた」という事実無根の星1レビューが付き、予約が三割減った。投稿者を特定したい。まず Google LLC を相手方として開示命令を申し立て、同時に提供命令(第15条)で通信会社の名前を出させる。一つの手続で連鎖的に通信会社までたどり着ける
- ある朝、X で軽い気持ちで書いた有名人への悪口について、通信会社から「発信者情報開示に係る意見照会書」が届いた。回答期限はおおむね2週間である。ここで「同意しない」と書くだけでは足りない。投稿が公共性のある事実に基づく論評であるといった理由を具体的に書かないと、裁判所はあなたの言い分を考慮しようがない
- ログの保存期間が3か月の通信会社だったら、どうなる? 投稿から2か月経ってから動けば、すでに手遅れの可能性がある。消去禁止命令(第16条)の申立ては、開示命令の申立てと同時に出す
- 友人が、元交際相手と思われる匿名アカウントに私生活を暴露されたと相談してきた。開示命令で正体が判明すれば、プライバシー侵害の損害賠償(民法709条)に進める。それだけでなく、ストーカー規制法の警告や接近禁止の申立てといった、身の安全を守るための手続にもつながる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 投稿の URL、投稿日時、アカウント名、画面全体のスクショを保存する(印刷して日付を記入しておくと証拠力が高い) 2. その投稿が名誉権・プライバシー権などのどの権利をどう侵害しているかを、事実の摘示・真実性・公共性の観点から整理する3. 投稿から日が浅いうちに、開示命令・提供命令・消去禁止命令をまとめて申し立てる。ネット中傷に詳しい弁護士への依頼が現実的である4. 氏名が判明したら、損害賠償の請求と刑事告訴の期限を同時に管理する
訴えられた側:1. 意見照会書を無視しない。回答期限内に、投稿の公共性・公益目的・真実性・論評の範囲内であることなどを具体的な根拠とともに書く(第6条1項に基づく照会) 2. 違法性が明らかに認められる内容なら、投稿の削除と早期の謝罪・示談を検討する。開示後の調査費用まで損害として請求されることがあるからだ3. 開示決定が出て不服がある場合は、告知から1か月以内に異議の訴え(第14条)を提起する。1か月を過ぎると争えなくなる
時効(請求できる期限):法定の申立期限はないが、通信会社のログ保存期間(一般に3か月から6か月程度とされ、事業者ごとに異なる)が実質的な期限になる。開示決定への異議の訴えは決定の告知から1か月の不変期間(第14条)。判明後の損害賠償請求は、損害と加害者を知った時から3年(民法724条)。名誉毀損罪・侮辱罪の告訴は犯人を知った日から6か月(刑事訴訟法235条)
学説
通説:開示命令は第5条の開示請求権を実現するための手続上の選択肢であり、実体要件は訴訟と同一。手続が迅速化しても、権利侵害の明白性という要件は緩和されていないと解される。
改正沿革 AI による整理
- 令和3年(2021年)改正、令和4年(2022年)10月1日施行 非訟手続による発信者情報開示命令制度を新設し、提供命令・消去禁止命令とあわせて、従来の二段階の裁判手続を一体化した
- 令和6年(2024年)改正、令和7年(2025年)4月1日施行 法律の題名が「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」から現行名に改められた。本条の文言が変わったかどうかは人による確認が必要
改正の年表
- 1.令和3年(2021年) 新設:改正法により、発信者情報開示命令の制度を新設。提供命令・消去禁止命令とあわせて非訟手続による一体的な開示を可能にした(令和4年10月1日施行)
- 2.令和6年(2024年) 改正:法律の題名が現行名に改められた(令和7年4月1日施行)。本条の文言が変わったかどうかは要確認
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 第5条開示請求権の実体要件を定める
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 第6条発信者への意見照会義務
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 第14条開示決定に対する異議の訴え
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 第15条通信会社を特定させる提供命令
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 第16条ログの消去禁止命令
- 非訟事件手続法 第1条開示命令事件の一般手続法(本法が特則)
- 民法 第709条特定後の損害賠償請求の根拠
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