健康増進法 第30条(特定施設等の管理権原者等の責務)
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- 特定施設等の管理権原者等(管理権原者及び施設又は旅客運送事業自動車等の管理者をいう。以下この節において同じ。)は、当該特定施設等の喫煙禁止場所に専ら喫煙の用に供させるための器具及び設備を喫煙の用に供することができる状態で設置してはならない。
- 2.特定施設の管理権原者等は、当該特定施設の喫煙禁止場所において、喫煙をし、又は喫煙をしようとする者に対し、喫煙の中止又は当該喫煙禁止場所からの退出を求めるよう努めなければならない。
- 3.旅客運送事業自動車等の管理権原者等は、当該旅客運送事業自動車等の喫煙禁止場所において、喫煙をし、又は喫煙をしようとする者に対し、喫煙の中止を求めるよう努めなければならない。
- 4.前二項に定めるもののほか、特定施設等の管理権原者等は、当該特定施設等における受動喫煙を防止するために必要な措置をとるよう努めなければならない。
この条文の基本情報
特定施設等の管理権原者等の責務とは何ですか?
定義特定施設等の管理権原者等の責務とは、健康増進法第30条に定められた規定で、「特定施設等の管理権原者等(管理権原者及び施設又は旅客運送事業自動車等の管理者をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 健康増進法第30条(特定施設等の管理権原者等の責務)は、日本の健康増進法に含まれる条文です。
- 健康増進法第30条の条文原文は「特定施設等の管理権原者等(管理権原者及び施設又は旅客運送事業自動車等の管理者をいう。」で始まります。
- 健康増進法第30条は第二節 受動喫煙を防止するための措置に置かれています。
- 健康増進法の公布日は平成14年8月2日です。
- 健康増進法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 健康増進法第30条の前の条は健康増進法第29条です。
- 健康増進法第30条の次の条は健康増進法第31条です。
- 健康増進法第30条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
健康増進法(平成十四年法律第百三号)第30条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000103 - 本サイト収録
健康増進法(平成十四年法律第百三号)第30条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000103/30
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点健康増進法30条は、施設の管理権原者等が喫煙禁止場所に灰皿等の喫煙器具を使える状態で置くことを禁じ、喫煙者への中止・退出の要請は努力義務と定める規定。
Q · 禁煙の店で客がタバコを吸っていて、店員が注意しなかったら店は違法になるの?
注意しないだけでは違反とならず、灰皿の設置が問題になる
健康増進法30条2項が定める喫煙者への中止・退出の要請は努力義務であり、注意しなかったことだけで店が直ちに過料の対象になるわけではありません。一方、同条1項は喫煙禁止場所に灰皿などの喫煙器具を使える状態で置くことを禁じており、違反すると都道府県知事等による指導・勧告・公表・命令の対象となり、命令違反には過料が科されます。禁煙場所で吸った客本人は同法29条違反となります。
解説
灰皿一枚の置き場所で、店の法的リスクは決まる。健康増進法30条は、施設の管理権原者や管理者(店のオーナーや雇われ店長など、その場所を実際に仕切る人)に四つの義務を課している。ただし、その強さはまるで違う。第1項「喫煙禁止場所に、吸える状態で灰皿などの喫煙器具を置いてはならない」だけが本物の義務である。従わなければ、都道府県知事等(窓口は保健所)の勧告、店名の公表、命令と段階的に進み、命令に違反すれば50万円以下の過料(役所が科す金銭罰で、前科はつかない)となる(最新の改正状況をご確認ください)。一方、吸っている客に中止や退出を求める第2項、タクシーやバスの車内で中止を求める第3項、その他の対策を定める第4項は、すべて「努めなければならない」という努力義務にとどまる。禁煙の店で煙に苦しんでいるとき、確かめるべきは「店員が注意したか」ではなく「テーブルに灰皿があるか」である。店を経営する側なら、客に声をかける前に、まず灰皿の撤去を徹底すること。
法的な位置づけ
健康増進法第30条は、特定施設等の管理権原者等(管理権原者及び施設又は旅客運送事業自動車等の管理者)の責務を定める規定である。第1項は喫煙禁止場所への喫煙器具・設備の設置を禁止し、第2項から第4項は喫煙者への中止・退出の要請および受動喫煙防止のための措置を努力義務として定める。
よくある質問 AI による整理
Q1健康増進法30条とは?
施設や旅客自動車の管理権原者等の責務を定める条文です。喫煙禁止場所への灰皿等の設置禁止が義務、喫煙者への声かけや受動喫煙対策は努力義務です。
Q2管理権原者とは誰のこと?
施設の管理について権原を持つ者で、一般には店舗のオーナーや経営者です。本条の「管理権原者等」には施設の管理者(店長など)も含まれます。
Q3禁煙場所に灰皿を置いたら罰金はいくら?
いきなり罰金ではなく、指導・勧告・公表・命令と段階を踏みます。命令に違反した場合に50万円以下の過料となります(最新の改正状況を要確認)。
Q4喫煙禁止場所とはどこのこと?
学校・病院・行政機関などの施設は原則敷地内、飲食店や事務所などは原則屋内が喫煙禁止場所です。喫煙専用室など一定の区域は除かれます。
Q5受動喫煙の通報先はどこ?
施設所在地を管轄する保健所の受動喫煙対策窓口です。日時・場所・灰皿の有無などを写真付きで伝えると、指導につながりやすくなります。
Q6喫煙専用室の中なら灰皿を置いてもいい?
技術的基準を満たした喫煙専用室は喫煙禁止場所に当たらないため、室内の灰皿設置は本条1項違反になりません。基準未達なら禁止場所と同じ扱いです。
Q7店の努力義務を怠ると罰則はある?
30条2項から4項の努力義務には、違反を理由とする過料などの直接の罰則はありません。ただし保健所の指導・助言の対象にはなりえます。
Q8ホテルの客室も禁煙義務の対象?
宿泊施設の客室は人の居住の用に供する場所として喫煙禁止場所から除外されています。ロビーやレストランなど共用部分は規制対象です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1禁煙の店で吸ってる客がいたのに、店員が何も言わなかった。店って違法じゃないの?
客への中止要請(30条2項)は努力義務なので、注意しなかったことだけで店が直ちに過料になるわけではない。禁止場所で吸った客本人は29条違反で、知事の命令に従わなければ30万円以下の過料の対象になる。実務のポイント:保健所を動かしたいなら、店員の態度より、そのテーブルに灰皿があったかを伝えること。灰皿の設置は1項違反として勧告ルートに乗るため、指導の優先度がまるで違う
Q2灰皿は片付けて、吸いたいお客さんにだけ出すならセーフですよね?
引き出しにしまっておくこと自体は違反ではない。1項が禁じているのは「喫煙の用に供することができる状態で設置」することだからだ。しかし、客の求めに応じて禁止場所に出した瞬間、その状態になる。さらに、吸わせたことで店が29条違反の喫煙を黙認した形にもなる。実務のポイント:立入調査では、卓上の灰皿だけでなく、レジ裏の灰皿の在庫や吸殻の痕跡も見られる
Q3加熱式タバコなら、紙巻きと違って店で吸わせても問題ない?
加熱式も本法の「喫煙」に含まれ、禁止場所では吸えない。ただし、要件を満たした「加熱式たばこ専用喫煙室」なら、飲食しながらの喫煙が認められる経過措置がある(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:専用室には煙の流出防止などの技術的基準と標識の掲示が必要である。看板だけ「加熱式OK」と出していても、基準を満たさなければ禁止場所での喫煙と変わらない
Q4タクシー運転手です。車内で吸い出した客を途中で降ろしてもいいんですか?
30条3項が運転手側に求めているのは、喫煙の中止を求める努力義務までで、退出要請は書かれていない。施設向けの2項と違い、走行中の車から降ろすことに危険が伴うためと考えられる。降車や運送拒否ができるかどうかは、各事業者の運送約款の定めによる。実務のポイント:トラブルになったら、まず安全な場所に停車し、ドライブレコーダーの記録を残してから会社に連絡する。これが後で自分を守る
間違えやすい点 AI による整理
- 「客に注意しない店は違法になる」という問いの立て方そのものがずれている。客への中止要請(2項)は努力義務であり、注意を怠っただけで直ちに過料の対象になるわけではない。法的に店を動かす力があるのは、灰皿などの喫煙器具を禁止場所に置いているかどうか(1項)という一点である
- 灰皿を置くことが違反だとは知っていても、その代償の大きさを知らない経営者は多い。過料50万円以下という金額より怖いのは、命令の前段階にある「公表」である。勧告に従わなければ店名が公表されうる。客商売にとっては、過料より公表のほうがはるかに重い打撃になる
- 客から見れば「店員は吸っている人を止めるべきだ」となる。しかし店員から見れば、相手は酔客で、トラブルになれば自分が殴られかねない。法はこの現実を踏まえ、声かけを努力義務にとどめた。その代わりに、店側が確実にコントロールできる灰皿を義務の焦点に据えた。このずれを知らずに店員を責めると、問題は一歩も前に進まない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 義務を負う人 | 30条:施設・旅客自動車の管理権原者等(オーナー・管理者) | 29条:喫煙禁止場所で喫煙しようとする本人 27条:喫煙をする者全般(周囲への配慮) |
| 義務の内容 | 喫煙器具の設置禁止(1項)+中止要請・対策の努力義務(2〜4項) | 喫煙禁止場所での喫煙の禁止 望まない受動喫煙を生じさせないよう配慮する |
| 義務の強さ | 1項は法的義務、2〜4項は努力義務 | 法的義務 配慮義務(努力義務) |
| 違反時の帰結 | 1項違反は指導・勧告・公表・命令、命令違反で50万円以下の過料 | 指導・命令、命令違反で30万円以下の過料 直接の罰則なし |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も禁菸場所の負責人に禁菸標示と吸菸器物の供應禁止を課す。違反時は行政罰(罰鍰)で担保される点が日本の過料と類似
韓国は公衆利用施設の所有者等に禁煙区域の指定と表示を義務づけ、違反に過怠料を科す。施設側の義務が日本より広い
ドイツは連邦施設・公共交通を連邦法、飲食店等を州法で規律する二層構造。施設管理者の責任範囲は州ごとに異なる
米国は連邦統一法がなく州・自治体条例で規律。施設管理者に掲示と禁煙の確保を求める例が多い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 禁煙のはずの居酒屋で、常連客が加熱式タバコを吸い始めた。店長は見て見ぬふりをし、テーブルには「常連さん用」の灰皿が置かれたままになっている。常連客は29条違反だが、店側の問題は注意しなかったことではない。灰皿を置いていたこと、これが30条1項違反の核心である
- あなたは雇われ店長である。オーナーから「売上が落ちるから、奥の席だけ灰皿を出しておけ」と指示された。「管理権原者等」には施設の管理者も含まれるため、あなた自身も義務の主体になりうる。オーナーの指示だったという言い訳は、保健所の指導の場ではほとんど通用しない
- タクシーの後部座席で、酔った客がタバコに火をつけたら、運転手はどこまでできる? 30条3項が定めるのは中止を求める努力義務だけで、退出までは書かれていない。走行中の車から客を降ろすことの是非は、本条ではなく運送約款と安全の問題になる
- 保健所から「灰皿の撤去について」という指導の連絡が来た。期限内に改善しなければ勧告、その次は店名の公表になる。グルメサイトの口コミより先に、自治体のウェブサイトに店名が載る。動くなら今週中である
- 社員食堂の隅に、誰かが空き缶を灰皿代わりに置き始めた。総務担当のあなたが放置すれば、会社が管理権原者として問われる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 店員への苦情で消耗する前に、灰皿などの喫煙器具が禁止場所に置かれているかを確認し、日時・席・器具の様子を写真で残す2. 店舗の標識(禁煙、喫煙専用室あり等)も撮影する3. 施設所在地を管轄する保健所の受動喫煙対策窓口に、店名と証拠を添えて相談する4. 職場での受動喫煙なら、労働安全衛生法68条の2の事業者の努力義務を根拠に、まず社内窓口へ書面で申し入れる
訴えられた側:1. 禁止場所から灰皿・卓上ライター・吸殻入れなどを即日撤去し、撤去後の写真を残す2. 店舗の区分(喫煙専用室の有無など)と、それに合った標識の掲示を確認する3. 保健所の指導には期限内に改善報告で応じ、勧告・公表の段階に進ませない4. 客への声かけは努力義務だが、対応マニュアルと店内掲示を整えておけば、努力の実績として示せる
時効(請求できる期限):本条自体に期限や時効の定めはない。改善期限は保健所の指導・勧告で個別に示される。受動喫煙による健康被害を民事で争う場合は、損害と加害者を知った時から3年(生命・身体の侵害は5年、民法724条、724条の2)、不法行為の時から20年である
改正沿革 AI による整理
- 平成30年(2018年)改正、令和2年(2020年)4月1日全面施行 望まない受動喫煙の防止を目的とする改正により、第6章に管理権原者等の責務として現行の本条が置かれた。改正前の受動喫煙対策は、施設管理者の努力義務(旧25条)にとどまっていた。条文番号の移動を伴うため、新設か改正かの区別は要検証
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 新設:健康増進法制定。受動喫煙対策は施設管理者の努力義務(旧25条)として規定され、本条の器具設置禁止のような義務規定はなかった
- 2.平成30年(2018年) 改正:望まない受動喫煙の防止を目的とする改正。管理権原者等の責務として現行の本条が置かれ、令和2年(2020年)4月1日に全面施行された
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