人事訴訟法 第3条の3(関連請求の併合による管轄権)
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一の訴えで人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求(当該人事訴訟における当事者の一方から他の一方に対するものに限る。)とをする場合においては、日本の裁判所が当該人事訴訟に係る請求について管轄権を有するときに限り、日本の裁判所にその訴えを提起することができる。
この条文の基本情報
関連請求の併合による管轄権とは何ですか?
定義関連請求の併合による管轄権とは、人事訴訟法第3条の3に定められた規定で、「一の訴えで人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求(当該人事訴訟における当事者の一方から他の一方に対するものに限る。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 人事訴訟法第3条の3(関連請求の併合による管轄権)は、日本の人事訴訟法に含まれる条文です。
- 人事訴訟法第3条の3の条文原文は「一の訴えで人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求(当該人事訴訟における当事者の一方から他の一方に対するものに限る。」で始まります。
- 人事訴訟法第3条の3は第一款 日本の裁判所の管轄権に置かれています。
- 人事訴訟法の公布日は平成15年7月16日です。
- 人事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 人事訴訟法第3条の3の前の条は人事訴訟法第3条の2です。
- 人事訴訟法第3条の3の次の条は人事訴訟法第3条の4です。
- 人事訴訟法第3条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第3条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000109 - 本サイト収録
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第3条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000109/3_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点人事訴訟法3条の3は、離婚等の人事訴訟について日本の裁判所に管轄権がある場合に限り、その原因事実から生じた配偶者間の損害賠償請求を同じ訴えで日本に提起できると定める。
Q · 国際離婚で、離婚と一緒に配偶者への慰謝料も日本の裁判所で請求できる?
離婚の管轄が日本にあれば、配偶者への慰謝料なら可能です
人事訴訟法3条の3により、離婚などの人事訴訟について日本の裁判所が管轄権を有する場合に限り、その原因事実(不貞、暴力、悪意の遺棄など)から生じた損害賠償請求を同じ訴えで日本に提起できます。対象は当事者の一方から他の一方への請求、つまり配偶者間の請求に限られます。不倫相手など第三者への慰謝料請求は本条では併合できず、民事訴訟法3条の3第8号の不法行為地管轄など別の根拠が必要です。
解説
国際結婚が破綻した。相手は海外在住で、あなたは離婚と同時に「不貞による慰謝料」も請求したい。ここで多くの人がつまずく。離婚請求は日本の裁判所で扱えても、慰謝料という金銭請求は別の管轄ルール(民事訴訟法3条の3など)で判断され、相手が外国にいれば日本で審理できない可能性が出てくる。つまり離婚は日本、慰謝料は相手国、という二重訴訟の悪夢だ。人事訴訟法3条の3は、その分断を一本化する。離婚や認知など人事訴訟の請求について日本の裁判所が管轄権を持つなら、その原因事実(不貞、暴力、悪意の遺棄など)から生じた損害賠償請求も、同じ訴えで日本の裁判所に出せる。ただし条件は厳しい。当事者の一方から他方へ、つまり夫婦間の請求に限られる。不倫相手という第三者への慰謝料請求は、この条文では日本に引き込めない。あなたが最初に組む請求の立て方で、戦場が一つになるか二つに割れるかが決まる。
法的な位置づけ
人事訴訟法3条の3は、関連する損害賠償請求を併合した場合の国際裁判管轄を定める規定であり、人事訴訟に係る請求と、当該請求の原因である事実によって生じた損害賠償請求(当事者の一方から他の一方に対するものに限る)とを一の訴えでする場合、日本の裁判所が人事訴訟に係る請求について管轄権を有するときに限り、日本の裁判所への提起を認める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.人事訴訟の管轄原因を特定する 相手の住所、夫婦の最後の共通住所、双方の国籍、遺棄や行方不明の有無を整理し、人事訴訟法3条の2のどの号で日本に管轄が立つかを特定する
- 2.慰謝料の原因事実と離婚原因を対応させる 不貞、暴力、悪意の遺棄など、離婚原因として主張する事実と慰謝料請求の原因事実が同一であることを一覧表にまとめる
- 3.請求の相手方を配偶者と第三者に分ける 配偶者本人への請求は本条で併合し、不倫相手など第三者への請求は民事訴訟法3条の3第8号等の別の管轄根拠を検討する
- 4.一つの訴状で家庭裁判所に提起する 離婚請求と慰謝料請求を一の訴えとして訴状に記載し、管轄原因の主張と疎明資料を添えて家庭裁判所に提出する
- 5.管轄を争う書面への反論を用意する 相手方が国際裁判管轄を争った場合に備え、3条の2の管轄原因と原因事実の同一性について反論書面を事前に準備しておく
よくある質問 AI による整理
Q1人事訴訟法3条の3とは?
離婚などの人事訴訟と、その原因事実から生じた配偶者間の損害賠償請求を、日本の裁判所で一つの訴えにまとめるための国際裁判管轄の規定です。
Q2外国人の配偶者と離婚するとき、日本で裁判できる?
人事訴訟法3条の2の管轄原因(被告の住所、最後の共通住所、双方日本国籍など)のいずれかを満たせば、日本の裁判所で離婚訴訟を起こせます。
Q3国際離婚の慰謝料はどこの国で請求する?
離婚の管轄が日本にあれば、配偶者への慰謝料は本条で日本に併合できます。離婚の管轄がなければ、慰謝料は財産上の訴えとして別途管轄を検討します。
Q4不倫相手が外国にいる場合、日本で慰謝料請求できる?
本条では併合できません。不貞行為が日本国内で行われた場合などは、民事訴訟法3条の3第8号の不法行為地管轄で日本の管轄を主張できる余地があります。
Q5国際離婚の慰謝料請求はいつまでできる?
不法行為に基づく損害賠償として、損害と加害者を知った時から3年、不法行為時から20年で時効にかかります(民法724条)。
Q6人事訴訟法3条の3が新設されたのはいつ?
平成30年(2018年)法律第20号で新設され、2019年4月1日に施行されました。それ以前は国際裁判管轄の明文規定がなく判例に委ねられていました。
Q7日本の離婚判決は外国で効力がある?
相手国が日本の判決を承認するかはその国の法律次第です。承認されない場合に備え、日本国内にある相手の財産への執行も検討すべきです。
Q8国際裁判管轄がないとどうなる?
訴えは却下され、請求の中身の審理に入れません。本条では人事訴訟の管轄が否定されると、併合した慰謝料請求も日本では維持できなくなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1離婚と慰謝料、日本でまとめて訴えられるかどうかって、何で決まるんですか?
離婚請求そのものについて日本の裁判所に管轄権があるか(人事訴訟法3条の2)、これが唯一の入口です。離婚の管轄が立てば、その原因事実から生じた配偶者への慰謝料請求も同じ訴えに乗せられます。実務のポイント:弁護士は受任前に被告の住所地、最後の共通住所地、遺棄の有無を必ず確認します。ここが曖昧なまま提訴すると、管轄争いだけで半年溶ける
Q2夫と不倫相手、両方に慰謝料を請求したいんですが同じ訴訟でいけますか?
本条の対象は当事者の一方から他の一方への請求に限られるため、不倫相手への請求はこの規定では日本に引き込めません。民事訴訟法3条の3第8号の不法行為地管轄など、別の根拠を立てる必要があります。実務のポイント:不貞行為が日本国内で行われていた証拠があると、不法行為地として日本の管轄を主張しやすくなる。行為地を示す出入国記録やホテルの所在は、慰謝料額の証拠であると同時に管轄の証拠でもある
Q3日本で慰謝料の判決が出ても、相手が海外にいたら意味ないんじゃないですか?
判決を相手国で執行するには、その国が日本の判決を承認する必要があり、国によって扱いが異なります。相手に日本国内の財産があるなら、そちらへの強制執行の方が現実的です。実務のポイント:相手の日本国内の預金口座、退職金請求権、不動産持分が残っていないかを提訴前に洗う。国外送金の履歴から口座を特定できる場合があり、これが判決を紙切れにしないための実質的な準備になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「離婚訴訟を日本で起こせるなら、関連する金銭請求も当然まとめて扱える」と考えがちだが、順序が逆である。併合できるのは、人事訴訟の請求について日本に管轄権があることが先に確定した場合だけ。慰謝料請求の側に日本との結び付きが強くても、それが人事訴訟の管轄を生み出すことはない。土台がない場所に、上物は建たない
- 慰謝料の相手を「夫と不倫相手の両方」と最初から想定している人は多い。だがこの条文の対象は括弧書きで明確に限定されている。当事者の一方から他の一方へ、つまり夫婦間のみ。不倫相手への請求を日本で争いたいなら、まったく別の管轄規定を自力で立てる必要がある。あなたが立てた「まとめて日本で訴える」という問い自体が、半分だけ成立し半分は崩れている
- 国際裁判管轄の規定を「手続上の細かい話」と軽視する人がいるが、深刻度が理解されていない。管轄がないと判断されれば、内容がどれほど正当でも訴えは却下される。中身の審理にすら入れない。しかも国際離婚では、外国で得た判決が日本で承認されるか(民事訴訟法118条)という次の関門も待っている。入口を間違えると、二年かけて何も得られない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 人訴3条の3:人事訴訟と関連損害賠償請求を併合したときの国際裁判管轄 | 人訴3条の2:人事訴訟そのものの国際裁判管轄 人訴17条:国内管轄における損害賠償請求の併合 |
| 適用場面 | 国際的要素がある事件(相手が海外在住など) | 国際的要素がある事件 国内事件(どの家庭裁判所で扱うか) |
| 要件 | 人事訴訟の管轄が日本にあること、同一原因事実、配偶者間の請求であること | 被告住所、最後の共通住所、国籍など各号の管轄原因 人事訴訟の請求と原因事実を同じくする損害賠償請求 |
| 管轄否定時の結果 | 人事訴訟の管轄がなければ併合請求も日本で提起できない | 訴え却下(3条の5の特別の事情でも却下あり) 管轄のある裁判所への移送が中心 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は牽連する家事事件の合併請求を広く認め、婚姻事件の国際裁判管轄は第53条で定める
2022年施行の全面改正国際私法で、関連事件の併合による国際裁判管轄を一般規定として置いている
ドイツでは婚姻事件の国際管轄をFamFGとEU規則(Brüssel IIb)が規律し、付随する財産的請求は別途の管轄規則による
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 日本人のあなたと外国籍の配偶者。相手が本国に帰ったまま連絡を絶ち、生活費も送ってこない。離婚と悪意の遺棄による慰謝料を一緒に請求したい。離婚について日本の裁判所に管轄権があるなら、慰謝料も同じ訴状に乗せられる。逆に離婚の管轄が日本にないと判断された瞬間、慰謝料の併合も一緒に崩れる。土台が先、上物は後という順番を間違えると、訴状ごと却下される
- 海外赴任中の夫が現地で不貞、妻は日本に残っている。妻は夫への慰謝料と、不倫相手の女性への慰謝料を両方考えている。ここが分岐点。夫への請求は3条の3で日本に併合できるが、不倫相手は「当事者の一方から他の一方に対するもの」に当たらない。第三者への請求は民事訴訟法3条の3第8号(不法行為地)などで別途管轄を立てる必要がある
- もし、日本での離婚訴訟が進行中に、相手が「慰謝料部分は日本の裁判所に管轄がない」と抗弁してきたら? 争点は離婚請求と慰謝料請求が同じ原因事実から生じているかどうかに移る。不貞を離婚原因として主張しているなら、その不貞による慰謝料は原因事実の同一性を満たす。主張の組み立て方が、そのまま管轄の攻防になる
- 国際的な子の認知訴訟。認知請求とともに、これまで支払われなかった養育費相当額を損害賠償として請求する構成を検討している。ただし養育費そのものは家事審判事項で、人事訴訟の併合対象とは別ルート。何が「損害の賠償に関する請求」に当たるかの線引きは実務上、解釈が分かれている
- 第一回口頭弁論期日まであと10日。相手方代理人から国際裁判管轄を争う準備書面が届いた。人事訴訟部分の管轄根拠(3条の2各号のどれか)を先に固めないと、併合した慰謝料請求も道連れになる。今週中に相手の住所、最後の共通住所、国籍、遺棄の有無を書面で整理しきれるかが勝負
取るべき行動
被害を受けた側:1. 人事訴訟の管轄根拠を先に固める。被告の住所地、夫婦の最後の共通住所地、原告の住所地と遺棄の有無、双方の国籍(人事訴訟法3条の2各号)を資料で裏付ける2. 慰謝料の原因事実が人事訴訟の請求原因と同一かを確認。不貞を離婚原因として主張するなら、その不貞による慰謝料は併合しやすい3. 請求の相手方を整理。配偶者本人への請求のみが本条の対象、不倫相手には別の管轄根拠が必要4. 証拠は相手が国外へ出る前に確保。海外からの証拠収集は時間も費用も跳ね上がる
訴えられた側:1. 人事訴訟部分の管轄を争えるかを最優先で検討。本体が崩れれば併合された慰謝料請求も維持できない2. 慰謝料の原因事実が人事訴訟の請求原因と別物だと構成できれば、併合の要件を外せる余地がある3. 管轄の抗弁は本案について弁論をする前に申し立てる。時期を逃すと争えなくなる4. 日本での応訴コストと、判決が自国で承認執行されるリスクを比較し、早期の和解交渉も並行して検討する
時効(請求できる期限):本条自体に期間の定めはない。ただし併合される慰謝料請求は不法行為に基づく損害賠償として、損害および加害者を知った時から3年(人の生命または身体を害する場合は5年)、不法行為時から20年の消滅時効に服する(民法724条、724条の2)。管轄違いの抗弁は本案について弁論をする前に申し立てる必要がある(民事訴訟法12条参照)
学説
一般的理解:本条は人事訴訟の管轄を前提とする従属的な管轄規定であり、損害賠償請求の側に日本との結び付きがあっても、それ自体が人事訴訟の管轄を生み出すことはないと解されている
改正沿革 AI による整理
- 平成30年(2018年)法律第20号 人事訴訟事件および家事事件の国際裁判管轄法制の整備に伴い新設。従来は明文規定がなく判例・学説に委ねられていた国際裁判管轄のルールを条文化し、関連請求の併合による管轄権を明示した
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:人事訴訟法制定。国内の管轄規定は置かれたが、国際裁判管轄の明文規定はなく判例・学説に委ねられていた
- 2.平成30年(2018年) 新設:人事訴訟法等の一部を改正する法律(平成30年法律第20号)により、人事訴訟の国際裁判管轄規定の一つとして本条を新設。2019年4月1日施行
- 人事訴訟法 第3条の2人事訴訟の国際裁判管轄、本条の前提となる土台
- 人事訴訟法 第3条の4子の監護に関する処分等の附帯処分の管轄権
- 人事訴訟法 第3条の5特別の事情による訴えの却下、併合後の調整弁
- 人事訴訟法 第17条国内管轄における損害賠償請求の併合
- 民事訴訟法 第3条の6財産権上の訴えにおける併合請求の管轄権の一般則
- 民法 第709条併合される慰謝料請求の実体法上の根拠
- 民事訴訟法 第118条外国判決の承認要件、二国分断時の出口問題
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