人事訴訟法 第3条の2(人事に関する訴えの管轄権)
クイックジャンプ
- 人事に関する訴えは、次の各号のいずれかに該当するときは、日本の裁判所に提起することができる。
- 一身分関係の当事者の一方に対する訴えであって、当該当事者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。
- 二身分関係の当事者の双方に対する訴えであって、その一方又は双方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。
- 三身分関係の当事者の一方からの訴えであって、他の一方がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。
- 四身分関係の当事者の双方が死亡し、その一方又は双方がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。
- 五身分関係の当事者の双方が日本の国籍を有するとき(その一方又は双方がその死亡の時に日本の国籍を有していたときを含む。)。
- 六日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方からの訴えであって、当該身分関係の当事者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。
- 七日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方からの訴えであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた当該訴えに係る身分関係と同一の身分関係についての訴えに係る確定した判決が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき。
この条文の基本情報
人事に関する訴えの管轄権とは何ですか?
定義人事に関する訴えの管轄権とは、人事訴訟法第3条の2に定められた規定で、「人事に関する訴えは、次の各号のいずれかに該当するときは、日本の裁判所に提起することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 人事訴訟法第3条の2(人事に関する訴えの管轄権)は、日本の人事訴訟法に含まれる条文です。
- 人事訴訟法第3条の2の条文原文は「人事に関する訴えは、次の各号のいずれかに該当するときは、日本の裁判所に提起することができる。」で始まります。
- 人事訴訟法第3条の2は第一款 日本の裁判所の管轄権に置かれています。
- 人事訴訟法の公布日は平成15年7月16日です。
- 人事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 人事訴訟法第3条の2の前の条は人事訴訟法第3条です。
- 人事訴訟法第3条の2の次の条は人事訴訟法第3条の3です。
- 人事訴訟法第3条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第3条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000109 - 本サイト収録
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第3条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000109/3_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点人事訴訟法3条の2は、離婚など人事訴訟を日本の裁判所に提起できる場合を7つの号で定める。被告住所、双方日本国籍、最後の共通住所等のいずれかで足りる。
Q · 相手が海外にいても、日本の裁判所で離婚裁判を起こせるの?
7つの号のどれかに当たれば日本で提訴できる
人事訴訟法3条の2により、7つの管轄原因のいずれか一つに該当すれば、日本の裁判所に離婚などの人事訴訟を提起できます。相手が国外にいても、夫婦双方が日本国籍なら5号、原告が日本に住み最後の共通の住所が日本なら6号、相手が行方不明なら7号が使えます。ただし、日本での審理が当事者間の衡平を害する特別の事情があるときは、同法3条の5により訴えが却下されることがあります。
解説
国際結婚した夫がある日ドバイに行ったきり戻らない。あるいは、日本人夫婦でそろってニューヨークに駐在中、関係が壊れた。こういうとき「どこの裁判所に離婚を申し立てればいいのか」という問いに、2019年3月まで日本の法律は答えを持っていなかった。裁判官が古い最高裁判例を手がかりに事案ごとに判断していたのである。人事訴訟法3条の2は、その空白を七つの号で埋めた条文だ。読み方は単純で、七つのうち一つでも当てはまれば日本の裁判所に訴えを提起できる。特に効くのが5号、夫婦の双方が日本国籍なら、二人とも国外に住んでいても日本で争える。そして6号、最後の共通の住所が日本国内にあり、かつあなたが今も日本に住んでいるなら、相手が世界のどこにいても日本の裁判所が開く。相手の居場所が分からないという理由だけで、あなたが婚姻関係に縛られ続ける必要はない。
法的な位置づけ
人事訴訟法3条の2は、離婚、婚姻無効、認知、親子関係存否確認などの人事に関する訴えについて、日本の裁判所が国際裁判管轄を有する要件を定める規定である。被告の住所、死亡時の住所、当事者双方の日本国籍、最後の共通の住所、行方不明等の特別の事情という7つの管轄原因を列挙し、いずれか一つの該当で管轄を肯定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.該当する号を特定する 7つの号を自分の事情と照合する。まず5号(双方日本国籍)、6号(原告が日本在住+最後の共通の住所が日本)、7号(行方不明・外国判決の不承認等)を優先して確認する
- 2.管轄原因の裏付け資料を集める 国籍、最後の共通の住所、相手の所在不明を示す資料を集める。旧住所の賃貸契約書、住民票の除票、出国の時期がわかる資料、連絡が途絶えた時期のメッセージ履歴などを保全する
- 3.調停前置の要否を確認する 家事事件手続法257条により離婚は原則として調停を先に行う。相手が国外にいて調停が成立する見込みがない場合は、その事情を示して直ちに訴えを提起できるかを弁護士と検討する
- 4.訴状に管轄原因を明記して提訴する 訴状に、どの号によって日本の裁判所が管轄を有するかを具体的に記載し、裏付け資料を添付して家庭裁判所に提出する。相手が行方不明の場合は公示送達の申立ても併せて準備する
- 5.相手国での承認手続まで設計する 判決確定後、相手国で承認されるかを事前に確認し、必要に応じて判決書の翻訳、アポスティーユ等の認証を付けて相手国の登録機関に届け出る
よくある質問 AI による整理
Q1国際裁判管轄とは何ですか?
ある事件をどの国の裁判所が審理できるかというルールです。離婚などの人事訴訟では、人事訴訟法3条の2が日本の裁判所で審理できる場合を定めています。
Q2外国人の夫と日本で離婚裁判できる?
夫が日本に住んでいれば1号で可能です。夫が国外でも、あなたが日本在住で最後に同居した住所が日本なら6号、夫が行方不明なら7号で提訴できます。
Q3海外在住の日本人夫婦 離婚 どこで裁判?
夫婦とも日本国籍なら、二人とも海外に住んでいても5号で日本の裁判所に提訴できます。現地の裁判所も管轄を持つ場合があり、どちらで争うかの選択が重要です。
Q4相手の住所が分からない 離婚 できる?
日本に住所がある原告なら、相手の行方不明を理由に7号で日本の裁判所に提訴できます。送達は公示送達で進める道があります。
Q5国際離婚 調停しないで裁判できる?
原則は家事事件手続法257条の調停前置ですが、相手が国外にいて調停の見込みがない場合などは、調停を経ずに訴えを提起できる余地があります。
Q6人事訴訟法3条の2いつから施行?
平成30年(2018年)法律第20号で新設され、平成31年(2019年)4月1日から施行されています。それ以前は明文規定がなく、判例に基づき判断されていました。
Q7日本の離婚判決 海外で有効?
自動的には有効になりません。相手国が承認するかはその国の法制度次第で、翻訳や認証を付けて届け出る手続が必要になることが一般的です。
Q8外国で離婚訴訟を起こされたら日本で争える?
日本にも管轄があれば日本で提訴できます。ただし外国判決が先に確定し民事訴訟法118条の要件を満たすと日本でも効力が生じるため、早めの対応が重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1夫が海外に住んでいて連絡も取れません。日本の裁判所で離婚できますか?
できる可能性が高い。二人とも日本国籍なら5号、あなたが日本在住で最後の共通の住所が日本国内なら6号、相手が行方不明なら7号が使える。相手の所在が不明でも公示送達で手続は進む。実務のポイント:弁護士が最初に確認するのは相手の国籍と「最後に一緒に住んだ住所」である。その賃貸契約書や当時の住民票の除票が手元にあるかどうかで、訴状の管轄立証の重さが変わる。捨てていないか今夜確認してほしい
Q2日本で離婚判決が出れば、相手の国でも離婚したことになりますか?
自動的にはならない。日本の判決を相手国が承認するかは、相手国の法制度次第である。承認されなければ、日本の戸籍では独身なのに相手国では既婚のままという状態が残る。実務のポイント:この状態で日本で再婚すると、相手国では重婚とみなされる余地がある。実務では判決確定後に翻訳・認証(アポスティーユ等)を付けて相手国の登録機関に届け出るところまでを一連の作業として設計する。ここまで見通して見積もりを出す弁護士は多くない、最初の面談で「相手国での承認まで対応できますか」と聞くのがよい
間違えやすい点 AI による整理
- 「日本の裁判所で裁判できる」と「日本の法律で判断される」を同じことだと思っている人が非常に多い。この二つは完全に別の話だ。管轄は人事訴訟法3条の2が決めるが、どの国の法律を適用するかは法の適用に関する通則法27条・25条が別途決める。日本の家庭裁判所が、夫の本国法である外国法を適用して判決を書くことは普通にある。問いの立て方そのものがずれていると、弁護士との相談も噛み合わない
- 日本で離婚判決を取れば世界中で離婚が成立すると思われているが、判決の効力が相手国に自動的に及ぶわけではない。相手国が日本判決を承認しなければ、日本の戸籍上は独身、相手国の登録上は既婚という「跛行的婚姻」が生まれる。この状態で再婚すると、相手国で重婚とみなされる危険がある。日本で勝つことと、国際的に決着することは別のゴールである
- 5号の「双方が日本の国籍を有するとき」は最強のカードに見えるが、配偶者が帰化して外国籍になっていれば使えない。国際結婚で配偶者が日本国籍を失ったケース、あるいは元から外国籍のケースでは、6号(最後の共通の住所が日本)か7号(特別の事情)に戦線が移る。自分がどの号で戦うのかを最初に確定させないと、訴状の管轄原因の記載でつまずく
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 役割 | 3条の2:日本の裁判所が管轄を持つ7つの原因を列挙 | 3条の5:管轄があっても特別の事情で訴えを却下 3条の4:親権者指定など子の監護処分の管轄 |
| 誰に有利か | 主に提訴する原告の司法アクセスを確保 | 国外に生活基盤を置く被告の応訴負担に配慮 離婚と一体で子の監護を判断する必要に対応 |
| 判断の性質 | 号への該当性という類型的判断 | 衡平・適正迅速な審理を害するかの個別判断 離婚等の訴えに管轄があることを前提とした付随的判断 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も婚姻事件の国際管轄を明文で定め、当事者の国籍や住所を管轄原因とする点で日本と発想が近い
韓国は2022年施行の国際私法全面改正で家事事件の国際管轄を明文化し、日本と同時期に法典化が進んだ
ドイツでは EU 規則が優先し、常居所と国籍を組み合わせた管轄原因が並列的に定められる
米国は州ごとに domicile を基準として離婚管轄を判断し、連邦レベルの統一規定はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 国際結婚した夫が母国に帰ったまま音信不通になって二年。離婚したいが相手の住所も分からない。この場合7号の「他の一方が行方不明であるとき」に乗る。あなたの住所が日本国内にあることが条件で、あとは公示送達で手続を進める道が開く
- 駐在先のカリフォルニアで夫婦関係が破綻。夫が「こっちで離婚訴訟を起こす」と言い出した。二人とも日本国籍なら5号で日本の裁判所も使える。だが問題は速度だ。先に外国の判決が確定してしまうと、それが民事訴訟法118条の要件を満たす限り日本でも効力を持つ。数週間の判断の遅れが、財産分与と親権の戦場を丸ごと決めてしまう
- 訴えられる側になることもある。オーストラリアに住むあなたに、日本の家庭裁判所から訴状が届いた。応訴するか、管轄を争うか。三日以内に弁護士を探すことになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 七つの号を上から順に自分の事情と照合し、該当する号を特定する。特に国籍(5号)、最後の共通の住所(6号)、行方不明(7号)を優先確認2. 該当を裏付ける資料を集める。戸籍謄本、住民票の除票、旧住所の賃貸契約書、相手の出国記録、連絡が途絶えた時期の LINE 履歴3. 家事事件手続法257条の調停前置が原則だが、相手が国外で調停が功を奏する見込みがない場合は直ちに訴えを提起できる余地がある4. 相手が外国で先に提訴する気配があれば、順序を逆にして提訴を最優先する
訴えられた側:1. 国外にいる状態で日本の訴状が届いたら、無視は最悪手である。欠席判決が出て、それが後で相手国の手続でも使われる2. まず3条の2の各号に本当に該当するか検証する。該当しなければ管轄違いを主張できる3. 該当していても、人事訴訟法3条の5の「特別の事情による訴えの却下」を主張する道がある。応訴の著しい困難や証拠の所在を具体的に示す4. 手続追行のために日本の弁護士に訴訟委任すれば、毎回の渡航は不要になる
時効(請求できる期限):管轄そのものに期間制限はない。ただし人事訴訟の類型ごとに出訴期間があり、嫡出否認は父が子の出生を知った時から3年(民法777条、2022年改正・2024年4月1日施行。改正前に生まれた子には経過措置あり)、婚姻の取消しにも期間制限がある。離婚の訴え自体に出訴期間はないが、財産分与の請求は離婚成立時から2年の除斥期間(民法768条2項)。真の時間圧は、相手が外国で先に確定判決を得るまでの期間である(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条は被告の応訴負担に配慮した被告住所地原則を基礎に、国籍・最後の共通の住所という強い関連性がある類型に限って原告側の提訴を認め、7号で救済の空白を拾う構造と理解される。管轄の広がりすぎは3条の5の特別の事情による却下で調整する
改正沿革 AI による整理
- 平成30年(2018年)法律第20号、平成31年(2019年)4月1日施行 人事訴訟事件の国際裁判管轄規定として新設。従来は明文規定がなく、最高裁判例の準則に依拠して事案ごとに判断されていた領域を、七つの管轄原因として明文化した。同時に人事訴訟法3条の3から3条の5、家事事件手続法の国際裁判管轄規定も新設された
改正の年表
- 1.平成30年(2018年) 新設:人事訴訟法等の一部を改正する法律(平成30年法律第20号)により新設、平成31年(2019年)4月1日施行。判例準則に委ねられていた人事訴訟の国際裁判管轄を明文化し、家事事件手続法の国際裁判管轄規定も同時に整備された
- 人事訴訟法 第3条の3併合請求における管轄権の拡張
- 人事訴訟法 第3条の4親権者指定など子の監護処分の管轄権
- 人事訴訟法 第3条の5特別の事情による訴えの却下、管轄の調整弁
- 人事訴訟法 第2条人事訴訟の定義、本条の適用範囲を画する
- 人事訴訟法 第4条国内の土地管轄、国際管轄肯定後の受け皿
- 家事事件手続法 第3条の13婚姻関係事件の調停に関する管轄権
- 民事訴訟法 第118条外国確定判決の承認要件、競合訴訟の帰趨を決める
- 法の適用に関する通則法 第27条離婚の準拠法、管轄と準拠法の分離
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める