人事訴訟法 第4条(人事に関する訴えの管轄)
クイックジャンプ
- 人事に関する訴えは、当該訴えに係る身分関係の当事者が普通裁判籍を有する地又はその死亡の時にこれを有した地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する。
- 2.前項の規定による管轄裁判所が定まらないときは、人事に関する訴えは、最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する。
この条文の基本情報
人事に関する訴えの管轄とは何ですか?
定義人事に関する訴えの管轄とは、人事訴訟法第4条に定められた規定で、「人事に関する訴えは、当該訴えに係る身分関係の当事者が普通裁判籍を有する地又はその死亡の時にこれを有した地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 人事訴訟法第4条(人事に関する訴えの管轄)は、日本の人事訴訟法に含まれる条文です。
- 人事訴訟法第4条の条文原文は「人事に関する訴えは、当該訴えに係る身分関係の当事者が普通裁判籍を有する地又はその死亡の時にこれを有した地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属する。」で始まります。
- 人事訴訟法第4条は第二款 管轄に置かれています。
- 人事訴訟法の公布日は平成15年7月16日です。
- 人事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 人事訴訟法第4条の前の条は人事訴訟法第3条の5です。
- 人事訴訟法第4条の次の条は人事訴訟法第5条です。
- 人事訴訟法第4条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第4条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000109 - 本サイト収録
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第4条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000109/4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点人事訴訟法4条は、離婚・認知など人事に関する訴えを、身分関係の当事者の住所地(死亡時の住所地を含む)を管轄する家庭裁判所の専属管轄と定める。合意で変更できない。
Q · 離婚裁判は、相手の住んでいる街の裁判所まで行かないとできないの?
自分の住所地の家庭裁判所でも訴えを起こせる
人事訴訟法4条1項は、人事に関する訴えの管轄を「身分関係の当事者が普通裁判籍を有する地」を管轄する家庭裁判所と定め、原告・被告を区別していません。そのため夫婦のどちらの住所地の家庭裁判所にも提訴できます。ただし家庭裁判所の専属管轄なので、地方裁判所に出したり、当事者の合意で別の裁判所を選んだりすることはできません。管轄が定まらないときは東京家庭裁判所が受け皿になります(同条2項)。
解説
離婚の裁判を起こそうとして、自分の住んでいる街の地方裁判所に訴状を持っていく人がいる。窓口で断られる。人事訴訟法4条が定めるのは、離婚・認知・親子関係不存在確認といった「身分に関する訴え」を扱えるのは家庭裁判所だけであり、しかもどこの家庭裁判所でもよいわけではない、という二重の縛りである。基準は「当事者の普通裁判籍を有する地」、つまり原則としてどちらか一方の住所地。そして注意すべきは、この管轄が「専属」だという一語だ。専属管轄では、当事者同士が「便利だからこっちの裁判所にしよう」と合意しても効力を持たない。契約書の管轄合意条項(民事訴訟法11条)が通用する世界とは、ルールそのものが違う。あなたが夫の住所地しか選べないと思い込んでいるなら、それも誤りである。条文は「身分関係の当事者」と書いており、あなた自身の住所地も等しく管轄を生む。別居して実家に戻ったあなたが、地元の家庭裁判所で離婚訴訟を起こせるかどうかは、住民票をいつ移したかで決まる。
法的な位置づけ
人事訴訟法4条は、人事に関する訴え(離婚、認知、実親子関係存否確認等)の土地管轄を定める規定であり、身分関係の当事者が普通裁判籍を有する地又は死亡時にこれを有した地を管轄する家庭裁判所に専属管轄を認める。同条1項で管轄が定まらない場合は、最高裁判所規則で定める地を管轄する家庭裁判所の専属管轄となる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.身分関係の当事者と住所地を特定する 訴えの類型(離婚、認知、親子関係存否確認など)を確認し、身分関係の当事者それぞれの現住所(死亡している場合は死亡時の住所)を洗い出す。住民票だけでなく実際の生活の本拠がどこかも確認する
- 2.管轄する家庭裁判所を調べて提訴先を選ぶ 各当事者の住所地を管轄する家庭裁判所を裁判所ウェブサイトの管轄区域表で確認する。複数の家庭裁判所に管轄がある場合、通いやすさ、弁護士の所在、支援機関との距離で提訴先を選ぶ
- 3.調停前置の要否を確認する 離婚・離縁など調停をすることができる事件は、原則として先に家事調停を申し立てる必要がある(家事事件手続法257条)。調停を経ずに提訴すると調停に付されることがある
- 4.調停不成立後2週間以内に管轄家庭裁判所へ提訴する 調停不成立の通知を受けた日から2週間以内に4条の管轄を持つ家庭裁判所へ訴状を出せば、調停申立時に訴えを提起したものとみなされる(家事事件手続法272条3項)。調停をした家庭裁判所に管轄があるとは限らない点に注意
- 5.必要に応じて住所秘匿・移送を申し立てる DV 事案では訴状提出と同時に住所等の秘匿の申立て(民事訴訟法133条)を検討する。被告側は管轄違反があれば移送を求め、管轄が適法でも著しく不便なら人事訴訟法7条の移送を申し立てる
よくある質問 AI による整理
Q1人事訴訟とは
離婚、認知、親子関係の存否確認など、身分関係の形成や存否の確認を目的とする訴えです。人事訴訟法2条が対象を定め、4条により家庭裁判所の専属管轄となります。
Q2離婚裁判の管轄は住民票と実際の住所どっちで決まる?
基準は住民票そのものではなく、生活の本拠としての住所です(民事訴訟法4条2項)。住民票は有力な資料ですが、実際に住んでいなければ争われる余地があります。
Q3認知の訴えはどこの家庭裁判所に出す?
子または父のいずれかの住所地を管轄する家庭裁判所です。子の側が原告なら、子の住所地の家庭裁判所に提起でき、父の住所地まで出向く必要はありません。
Q4人事訴訟を地方裁判所に出したらどうなる?
家庭裁判所の専属管轄に反するため、地方裁判所は管轄のある家庭裁判所へ移送します(民事訴訟法16条1項)。移送までの期間がそのままロスになります。
Q5調停をした家庭裁判所で離婚訴訟もできる?
当然には管轄を持ちません。ただし調停事件が係属していた家庭裁判所は、特に必要があれば管轄外でも自ら審理できる自庁処理の規定があります(人事訴訟法6条)。
Q6離婚訴訟の移送は申し立てできる?
できます。人事訴訟法7条は、訴訟の著しい遅滞を避け、または当事者間の衡平を図るため必要があるとき、他の管轄家庭裁判所への移送を認めています。
Q7離婚訴訟の印紙代はいくら?
離婚のみなら訴額160万円とみなされ、手数料は13,000円です。財産分与や養育費などの附帯処分を併せて申し立てると加算されます。最新額は裁判所で確認を。
Q8相手が死亡していても人事訴訟は起こせる?
類型によっては可能です。4条1項は死亡時の普通裁判籍地も管轄原因とし、親子関係存否確認などでは被告とすべき者がいないとき検察官を被告とします(人事訴訟法12条3項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1夫と別居して実家に戻ったんですが、離婚裁判はどっちの裁判所でやるんですか?
人事訴訟法4条1項は「身分関係の当事者が普通裁判籍を有する地」とし、原告・被告を区別していません。あなたの現住所地の家庭裁判所も、夫の住所地の家庭裁判所も、どちらも管轄を持ちます。実務のポイント:実務では先に訴えを提起した側の裁判所で審理が始まるのが通常で、後から相手が「不便だ」と主張しても移送が認められるとは限りません。別居して住民票を移したなら、提訴を急ぐかどうかがそのまま通庁負担の差になります
Q2お互い納得しているので、近くの地方裁判所でさっさと離婚を認めてもらうことはできませんか?
できません。人事訴訟法4条は家庭裁判所の「専属」管轄と定めており、当事者の合意で他の裁判所に持ち込むことはできません。契約紛争で使える管轄合意(民事訴訟法11条)は人事訴訟には及びません。実務のポイント:本当に双方納得しているなら、そもそも訴訟ではなく協議離婚(届出のみ)か調停で終わります。訴訟にする必要があるのは争いがある場合か、公的に判決という形が要る場合だけ。訴訟を選んだ時点でコストが跳ね上がるので、まず協議・調停の選択肢を潰したか確認を
Q3相手が海外に行ってしまって日本に住所がありません。日本では訴えられないんですか?
4条1項で管轄裁判所が定まらない場合、2項により最高裁判所規則で定める地(人事訴訟規則により東京家庭裁判所)の専属管轄となります。ただしその前に、日本の裁判所が国際裁判管轄を持つかを人事訴訟法3条の2で判定する必要があります。実務のポイント:3条の2は原告の住所が日本にあり被告が行方不明といった類型を拾っており、2019年施行の規定です。古い解説書はこの条文以前の記述なので、国際事案では出版年を必ず確認してください
間違えやすい点 AI による整理
- 「裁判は相手の住所地で起こすもの」という民事訴訟の基本(民事訴訟法4条、被告の普通裁判籍)を、そのまま人事訴訟に当てはめる人が多い。人事訴訟法4条は原告・被告の区別をせず「身分関係の当事者」の普通裁判籍地とする。原告であるあなたの住所地でも訴えを起こせる。この一点を知らずに遠方まで通い続けた人がいる
- 専属管轄という言葉を「家庭裁判所でやればどこでもよい」程度に理解している人がいるが、深刻度が違う。専属管轄違反は控訴審で職権調査される事項であり、移送によって審理が振り出しに戻る。数か月の主張立証と、その間の弁護士費用と、精神的な消耗がまとめて空転する
- あなたから見れば「離婚は夫婦二人の問題だからどこで決めても同じ」だが、法から見れば人事訴訟の判決は第三者にも効力が及び(対世効、人事訴訟法24条)、戸籍という公的記録を書き換える。だからこそ国が管轄を固定し、当事者に選ばせない。この落差を理解しないまま「便宜的な合意」を結ぶと、その合意自体が無効になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 管轄の基準 | 人訴4条:身分関係の当事者いずれかの住所地(死亡時の住所地を含む) | 民訴4条:被告の普通裁判籍(被告住所地) 人訴3条の2:日本の裁判所が審理できるか(国際裁判管轄) |
| 担当する裁判所 | 家庭裁判所のみ(専属管轄) | 簡易裁判所または地方裁判所 日本の裁判所全体(国内のどの家裁かは4条で決まる) |
| 合意・応訴による変更 | 不可(民訴13条により合意管轄・応訴管轄を排除) | 可(民訴11条の合意管轄、12条の応訴管轄) 法定の管轄原因による |
| 管轄が定まらない場合 | 最高裁判所規則で定める地(東京家庭裁判所)が受け皿 | 民訴10条の2等の補充規定 管轄原因がなければ日本では審理できない |
他国ではどう定めているか 4 か国
婚姻事件を夫婦の住所地、共同居所地、訴えの原因事実が生じた居所地の法院の専属管轄とする。日本より管轄原因の類型が細かく定められている
婚姻関係訴訟について夫婦の共通住所地などを段階的に定める専属管轄。家庭法院が担う点で日本と共通する
婚姻事件について、共通の未成年子と同居する配偶者の常居所地などを段階的に定める専属的土地管轄。子の所在を重視する点が日本と異なる
離婚管轄は州ごとの居住要件で決まり、カリフォルニア州では州内6か月・郡内3か月の居住が必要。住所の長さが管轄を左右する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 夫の暴力から逃れて福岡の実家に戻り、住民票も移した。夫は東京に住んでいる。離婚訴訟をどちらで起こせるか。4条は「当事者が普通裁判籍を有する地」と定めており、あなたの住所地である福岡家庭裁判所も管轄を持つ。先に訴状を出した方の裁判所で審理が始まるため、動く速さがそのまま出廷コストの差になる
- 協議離婚の話し合いがこじれ、相手から「面倒だから近くの地方裁判所で決着をつけよう」と持ちかけられた。応じてはいけない。人事訴訟は家庭裁判所の専属管轄であり、当事者の合意で地方裁判所に持ち込むことはできない。訴えを起こしても却下または移送される
- 国際結婚の相手が母国に帰ってしまい、日本に住所がない。あなたも海外赴任中。この場合4条1項では管轄裁判所が定まらず、2項により最高裁判所規則(人事訴訟規則6条、東京家庭裁判所)が受け皿になる。なお国際裁判管轄そのものは人事訴訟法3条の2以下が別に定めており、日本の裁判所で審理できるかはまず그 관문を通る必要がある
- もし配偶者が訴訟の途中で亡くなったら、管轄はどうなる? 4条1項は「その死亡の時にこれを有した地」も管轄原因として明記している。親子関係不存在確認や認知の訴えなど、相手が既に死亡している類型で検察官を被告とする場合、この後段が唯一の足場になる
- 調停が不成立になり、家庭裁判所から「2週間以内に訴えを提起すれば調停申立時に遡って提訴とみなされる」と告げられた。その訴え先も4条の管轄に従う。調停をやった家庭裁判所が当然に管轄を持つとは限らない、この思い込みで期限を溶かす人がいる
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず自分と相手それぞれの住民票上の住所を確認、どちらの家庭裁判所も管轄を持つ2. 通いやすさ、弁護士の所在、支援機関との距離で提訴先を選ぶ3. 離婚・離縁は原則として調停前置(家事事件手続法257条)、いきなり訴えると調停に付される4. 調停不成立なら告知から2週間以内に提訴、遡及効を確保5. DV 事案では住所秘匿の申出(民事訴訟法133条、秘匿決定)を訴状提出と同時に検討
訴えられた側:1. 訴状を受け取ったら、まず管轄が4条に適合しているか確認、専属管轄違反なら移送申立てが可能2. ただし専属管轄では応訴管轄(民事訴訟法12条)が成立しないため、遅れても管轄違いは主張できる3. 管轄が適法でも、遠方で著しく不便なら民事訴訟法17条の移送申立てを検討、人事訴訟法7条にも自庁処理・移送の規定がある4. 答弁書の提出期限は管轄争いとは別に進むので、期限は必ず守る
時効(請求できる期限):管轄自体に期限はないが、調停不成立の通知を受けた日から2週間以内に提訴すれば調停申立時に訴え提起があったものとみなされる(家事事件手続法272条3項)。専属管轄違反は応訴によって治癒されないため、審理の途中でも主張可能。なお離婚に伴う財産分与は離婚成立から2年、慰謝料請求は損害および加害者を知った時から3年(民法724条)と、別軸の期限が並走する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:人事訴訟の確定判決は対世効を持ち戸籍にも反映されるため、公益性の観点から管轄を法定し専属とする。他方、当事者双方の住所地を管轄原因とすることで、原告の出廷負担にも配慮した折衷的な規律と理解されている
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:旧人事訴訟手続法を全面的に改めて人事訴訟法を制定(平成15年法律第109号、2004年4月施行)。人事訴訟の第一審管轄を地方裁判所から家庭裁判所に移管し、本条で当事者の普通裁判籍地を基準とする専属管轄を定めた
- 2.平成30年(2018年) 改正:人事訴訟事件の国際裁判管轄に関する規定(3条の2以下)を新設し、2019年4月施行。本条の国内土地管轄の前段として、日本の裁判所が審理できるかの判断基準が明文化された
- 人事訴訟法 第2条人事に関する訴えの定義、本条の適用範囲を画する
- 人事訴訟法 第3条の2国際裁判管轄、国内管轄の前提となる関門
- 人事訴訟法 第6条関連請求の併合による管轄の特則
- 人事訴訟法 第7条遅滞回避等のための移送、専属管轄下の調整弁
- 人事訴訟法 第24条確定判決の対世効、管轄固定の実質的理由
- 民事訴訟法 第4条普通裁判籍の一般規定、本条の基準を供給
- 民事訴訟法 第13条専属管轄における合意管轄・応訴管轄の排除
- 家事事件手続法 第257条調停前置主義、提訴の前段階を規律
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める