人事訴訟法 第6条(調停事件が係属していた家庭裁判所の自庁処理)
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家庭裁判所は、人事訴訟の全部又は一部がその管轄に属しないと認める場合においても、当該人事訴訟に係る事件について家事事件手続法第二百五十七条第一項の規定により申し立てられた調停に係る事件がその家庭裁判所に係属していたときであって、調停の経過、当事者の意見その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは、民事訴訟法第十六条第一項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、当該人事訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。
この条文の基本情報
調停事件が係属していた家庭裁判所の自庁処理とは何ですか?
定義調停事件が係属していた家庭裁判所の自庁処理とは、人事訴訟法第6条に定められた規定で、「家庭裁判所は、人事訴訟の全部又は一部がその管轄に属しないと認める場合においても、当該人事訴訟に係る事件について家事事件手続法第二百五十七条第一項の規定により申し…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 人事訴訟法第6条(調停事件が係属していた家庭裁判所の自庁処理)は、日本の人事訴訟法に含まれる条文です。
- 人事訴訟法第6条の条文原文は「家庭裁判所は、人事訴訟の全部又は一部がその管轄に属しないと認める場合においても、当該人事訴訟に係る事件について家事事件手続法第二百五十七条第一項の規定により申し…」で始まります。
- 人事訴訟法第6条は第二款 管轄に置かれています。
- 人事訴訟法の公布日は平成15年7月16日です。
- 人事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 人事訴訟法第6条の前の条は人事訴訟法第5条です。
- 人事訴訟法第6条の次の条は人事訴訟法第7条です。
- 人事訴訟法第6条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第6条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000109 - 本サイト収録
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第6条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000109/6
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点人事訴訟法6条は、調停が係属した家庭裁判所が管轄を欠く場合でも、調停の経過等から特に必要と認めるとき、申立て又は職権で自ら審理・裁判できると定める。
Q · 調停をした家庭裁判所に管轄がなくても、そこで離婚裁判をしてもらえる?
特に必要と認められれば、調停をした家裁で審理できる
人事訴訟の管轄は人事訴訟法4条で定まり、調停をした家裁に管轄がないこともあります。その場合、原則は民事訴訟法16条1項により管轄裁判所へ移送されます。ただし人事訴訟法6条により、その家裁に調停が係属していて、調停の経過や当事者の意見等から特に必要と認められれば、申立て又は職権でその家裁が自ら審理・裁判できます。訴状に自庁処理を求める旨と理由を添えるのが実務的です。
解説
調停が不成立になった瞬間、事件は制度上いったん切れる。家事調停と人事訴訟は別の手続で、管轄の根拠も別だ。調停は相手方の住所地か当事者が合意した家裁で開けるが(家事事件手続法245条)、離婚などの人事訴訟は身分関係の当事者の普通裁判籍がある家裁でなければならない(人事訴訟法4条)。だから一年かけて調停を回した家裁が、訴訟では管轄を持たないという事態が現実に起きる。原則どおりなら民事訴訟法16条1項で管轄裁判所へ移送され、期日は組み直し、家庭裁判所調査官の調査もやり直しになりうる。本条はその原則に一つだけ穴を開けた。調停がその家裁に係属していたこと、そして調停の経過と当事者の意見から「特に必要」と認められること。この二つが揃えば、管轄がなくてもその家裁が自ら審理し判決を出せる。しかも職権だけでなく申立てでも動く。あなたが訴状に一行書けるかどうかで、審理の場所と、失う数か月が変わる。
法的な位置づけ
人事訴訟法6条の自庁処理とは、人事訴訟の全部又は一部が管轄に属しない家庭裁判所であっても、同一事件について家事事件手続法257条1項による調停が係属していた場合に、調停の経過、当事者の意見その他の事情から特に必要と認めるとき、申立て又は職権により自ら審理及び裁判をすることができる例外的制度をいう。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.管轄の有無を確認する 調停不成立の通知を受けたら、夫婦双方の現住所を確認し、調停をした家庭裁判所に人事訴訟法4条の管轄があるかを判定する。管轄があれば本条は不要。
- 2.自庁処理の理由を整理する 調停期日の回数と期間、家庭裁判所調査官の調査の有無と進捗、子の監護に関する調整状況、双方の出頭実績など、「特に必要」を支える具体的事情を書き出す。
- 3.訴状に自庁処理の申立てを明記して提出 訴状に「人事訴訟法6条による自庁処理を求める」と明記し、理由書を添付して、調停をした家庭裁判所に提出する。期日指定前に書面が届いていることが望ましい。
- 4.相手方の意見に備える 相手方は移送を求める意見を出すことが多い。相手方の移動負担や防御上の不利益への反論も含め、補充書面を準備しておく。
よくある質問 AI による整理
Q1自庁処理とは何ですか?
管轄のない裁判所が、移送せずに自ら事件を審理・裁判することです。人事訴訟では、調停が係属していた家庭裁判所について人事訴訟法6条が認めています。
Q2離婚裁判はどこの家庭裁判所で起こせますか?
人事訴訟法4条により、夫又は妻のいずれかが普通裁判籍(住所地等)を有する地の家庭裁判所です。調停をした家裁とは一致しないことがあります。
Q3自庁処理の申立てはいつまでにすべき?
条文上の期限はありませんが、実務上は訴状提出時に理由書とともに求めるのが確実です。期日指定後や移送判断が進んだ後では効果が薄れます。
Q4自庁処理が認められる基準は?
調停がその家裁に係属していたことに加え、調停の経過、当事者の意見その他の事情から「特に必要」と認められることです。近いから等の便宜だけでは足りません。
Q5相手が引っ越したら離婚裁判の管轄は変わる?
管轄は訴え提起時の住所で判断されるため、調停中の転居で調停をした家裁が管轄を失うことがあります。その場合に自庁処理の必要性が問題になります。
Q6自庁処理の決定に不服申立てできる?
移送決定には即時抗告の道があります(民訴法21条)が、自庁処理そのものをどう争えるかは実務上扱いが分かれます。事前に意見書で反対を示すことが重要です。
Q7調停不成立後、訴訟はいつまでに起こす?
一般の離婚訴訟に期限はありませんが、期間制限のある人事訴訟では、不成立の通知から2週間以内に提訴すれば調停申立時に提訴したとみなされます(家事法272条3項)。
Q8家事審判にも自庁処理はありますか?
あります。家事事件手続法9条1項ただし書が、管轄のない家事事件について家庭裁判所が特に必要と認めるときの自庁処理を定めています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1調停をやった裁判所で、そのまま離婚裁判もやってもらえないんですか?
原則としてできません。調停の管轄(家事事件手続法245条)と人事訴訟の管轄(人事訴訟法4条)は別のルールで、調停をした家裁が訴訟の管轄を持たない場合があります。その唯一の出口が人事訴訟法6条の自庁処理です。実務のポイント:自庁処理は職権でもできますが、弁護士は裁判所が気付くのを待たず、調停の経過をまとめた理由書を訴状に添える。申立てのない事件と書面が着いた事件では、裁判所が手元に持つ判断材料の量が違う
Q2移送されると、具体的に何が損なんですか?
期日の組み直しで数か月、遠方なら毎回の交通費と休業、さらに家庭裁判所調査官の調査が改めて必要と判断されれば子どもがもう一度面接を受けます。6条が「調停の経過」を判断材料に挙げているのは、この蓄積を捨てさせないためです。実務のポイント:管轄を争う手続自体にも時間がかかる。戦う価値があるのは、調査官調査が進んでいる事件か、一方の移動負担が極端に重い事件に絞られる
間違えやすい点 AI による整理
- 「調停をやった家裁でそのまま裁判になる」という前提自体が違う。調停と人事訴訟は別の手続で、管轄の根拠条文も別(家事事件手続法245条と人事訴訟法4条)。調停が不成立になった時点で、あなたは改めて訴えを起こす立場に戻っている。6条はその断絶を例外的に埋める装置に過ぎない
- 自庁処理が「裁判所の裁量」だと知っている人は多いが、その裁量が何を見ているかまで知る人は少ない。条文は判断材料を「調停の経過、当事者の意見その他の事情」と明示している。つまり調停で何を積み上げたか、そして相手が何と言うかが、条文レベルで判断材料に組み込まれている。意見を出さないことは、白紙の意見を出すことと同じだ
- あなたから見れば「近い裁判所で続けたい」という便宜の問題。法律から見れば、相手方が本来の管轄裁判所で裁判を受ける利益を削る話だ。だから「特に必要があると認めるとき」という高いハードルが置かれている。近くて楽だからという理由だけを並べた申立ては通らない
- 移送の決定には即時抗告の道がある(民事訴訟法21条)が、自庁処理そのものをどう争えるかは実務上、扱いが分かれている。「気に入らなければ後で抗告すればいい」という発想で第一回期日を迎えると、争う手段が想定より薄いことに気付く
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律内容 | 人事訴訟法6条:管轄がなくても調停係属家裁が自ら審理(自庁処理) | 人事訴訟法4条:身分関係当事者の普通裁判籍所在地の家裁が管轄 人事訴訟法7条:管轄がある家裁から他の管轄家裁への裁量移送 |
| 前提 | 管轄なし+同事件の調停がその家裁に係属していたこと | 当事者の住所地等 管轄があること |
| 判断基準 | 調停の経過、当事者の意見その他の事情から特に必要 | 機械的に住所地で決まる 著しい遅滞の回避又は当事者間の衡平のため必要 |
| 発動方法 | 申立て又は職権 | 原告が訴え提起で選択 申立て又は職権 |
他国ではどう定めているか 2 か国
管轄違いの家事事件は原則移送だが、統合処理の必要がある場合や当事者が本案につき陳述した場合、法院は自行處理を裁定できる。日本の6条より発動要件が広い
管轄のない裁判所は管轄裁判所へ移送(Verweisung)する構造で、日本の6条のような調停経過を理由とする自庁処理の明文規定は見当たらない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 一年間調停を回してきた家庭裁判所が、もう誰の住所地でもなくなっていたら、訴訟はどこでやることになる? 調停中の転勤や別居先の変更で、これは実際に起きる。原則どおり移送されれば期日は組み直し、家庭裁判所調査官の調査もやり直しの判断がありうる。調停不成立の通知から訴状を出すまでの数週間が、自庁処理を求める一行を書ける唯一の窓になる
- 訴えられた側なら、逆の計算が立つ。移送を主張して審理を数か月遅らせれば、相手は交通費と休業と弁護士費用を削られ、条件交渉で折れやすくなる。だから相手方が出す「当事者の意見」は、ほぼ確実に移送を求める側へ振れる
- 面会交流と監護者の指定が争点の調停で、家庭裁判所調査官が子どもと面接し、学校や保育園の調査まで終わっていた。不成立で訴訟に移り、記録が別の家裁へ送られれば、その家裁が改めて調査を要すると判断することもある。子どもに同じ質問を二度させるかどうかが、6条の申立て一本にかかっている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 調停不成立の通知を受けたら、まず自分と相手の現住所を確認し、その家裁に人事訴訟法4条の管轄があるかを判定する2. 管轄がないなら、訴状に「人事訴訟法6条による自庁処理を求める」と明記し、理由書を添える3. 理由は具体的に。調停の期日回数と期間、家庭裁判所調査官の調査の有無、子の監護に関する進行、双方の出頭実績4. 提出は期日が指定される前に行う。書面が先に着いていることが前提条件になる
訴えられた側:1. 訴状が届いたら、その家裁に人事訴訟法4条の管轄があるかを最初に確認する2. 管轄がなく移送の方が有利なら、第一回口頭弁論期日より前に移送の申立てと、自庁処理に反対する意見を書面で出す。条文が挙げる判断材料に直接効く3. 管轄の有無は職権でも調査されるが、6条があるため待っていれば移送されるとは限らない4. ただし移送は審理を数か月遅らせる。その遅延が婚姻費用・養育費・子との時間にどう跳ね返るか、先に試算する
時効(請求できる期限):本条自体に期間制限はない。ただし自庁処理を求めるなら、実質的な窓は訴状提出時から第一回口頭弁論期日前まで。関連して、期間制限のある人事訴訟(嫡出否認の訴えなど)では、調停不成立の通知を受けた日から2週間以内に訴えを提起すれば、調停の申立ての時に訴えの提起があったものとみなされる(家事事件手続法272条3項)。管轄で争っている間に本来の期間制限が切れないよう、起算点を先に確認すること(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)人事訴訟法制定、平成16年(2004年)4月1日施行 新設。旧人事訴訟手続法には存在しなかった規定で、調停を担当した家庭裁判所が管轄を欠く場合にも自ら審理・裁判できる例外を初めて明文化した
- 平成23年(2011年)家事事件手続法制定に伴う改正、平成25年(2013年)1月1日施行 本条が引用する調停の根拠規定が、家事審判法の調停前置規定から家事事件手続法第257条第1項へ差し替えられた。実質的な要件は変わっていない
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:人事訴訟法(平成15年法律第109号)制定により新設、平成16年(2004年)4月1日施行。旧人事訴訟手続法にはなかった、調停を担当した家裁の自庁処理を明文化
- 2.平成23年(2011年) 改正:家事事件手続法の制定に伴う整備により、引用する調停前置の根拠規定を家事事件手続法257条1項へ差し替え(平成25年(2013年)1月1日施行)。実質的要件は変更なし
- 人事訴訟法 第4条人事に関する訴えの管轄の原則規定
- 人事訴訟法 第7条管轄がある場合の裁量移送、本条の裏側
- 人事訴訟法 第3条の2国際裁判管轄、国内管轄の議論と別枠
- 人事訴訟法 第32条附帯処分、調停の蓄積が最も効く場面
- 家事事件手続法 第257条調停前置主義、本条が前提とする調停の根拠
- 家事事件手続法 第9条家事審判事件における自庁処理の一般規定
- 民事訴訟法 第16条管轄違いの移送原則、本条が排除する対象
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