人事訴訟法 第7条(遅滞を避ける等のための移送)
クイックジャンプ
家庭裁判所は、人事訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者及び尋問を受けるべき証人の住所その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当該人事訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。
この条文の基本情報
遅滞を避ける等のための移送とは何ですか?
定義遅滞を避ける等のための移送とは、人事訴訟法第7条に定められた規定で、「家庭裁判所は、人事訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者及び尋問を受けるべき証人の住所その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 人事訴訟法第7条(遅滞を避ける等のための移送)は、日本の人事訴訟法に含まれる条文です。
- 人事訴訟法第7条の条文原文は「家庭裁判所は、人事訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者及び尋問を受けるべき証人の住所その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を…」で始まります。
- 人事訴訟法第7条は第二款 管轄に置かれています。
- 人事訴訟法の公布日は平成15年7月16日です。
- 人事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 人事訴訟法第7条の前の条は人事訴訟法第6条です。
- 人事訴訟法第7条の次の条は人事訴訟法第8条です。
- 人事訴訟法第7条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第7条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000109 - 本サイト収録
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第7条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000109/7
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点人事訴訟法7条は、管轄のある家庭裁判所でも、当事者・証人の住所等を考慮し、著しい遅滞の回避や当事者間の衡平のため必要なら、申立て又は職権で他の管轄裁判所へ移送できると定める。
Q · 離婚裁判を起こされた家庭裁判所が遠すぎる。近くの裁判所に移してもらえる?
移せます。遅滞回避か衡平のため必要なら申立てで移送可能
人事訴訟法7条により、家庭裁判所は管轄がある場合でも、当事者や証人の住所その他の事情を考慮し、訴訟の著しい遅滞を避けるため、または当事者間の衡平を図るために必要と認めれば、申立てまたは職権で事件を他の管轄裁判所へ移送できます。ただし移送先は、人事訴訟法4条などにより管轄を有する家庭裁判所に限られます。「遠い」という事情は、遅滞や衡平という法律要件に置き換え、具体的な資料を添えて示すことが重要です。
解説
離婚訴訟を起こす場所は、原則として夫婦のどちらかの住所地の家庭裁判所だ。ところが札幌に住むあなたが、沖縄に転居した相手を訴えたとする。手続上は正しくても、証人となる親族や職場関係者が全員札幌にいるなら、沖縄で審理を続けるのは誰にとっても不合理だ。人事訴訟法7条は、その不合理を裁判所自身の判断で修正する。管轄があるにもかかわらず、当事者と証人の住所その他の事情を考慮し、著しい遅滞を避けるため、または当事者間の衡平を図るために必要と認めれば、事件の全部または一部を他の管轄裁判所へ移送できる。あなたが知っておくべきなのは、これが「申立てにより」も動くという一点だ。裁判所が気付くのを待つ必要はない。遠隔地での審理に苦しむ側から、移送を求めて能動的に申し立てられる。離婚訴訟は期日が何回も重なる。一回の往復が数万円なら、移送が認められるかどうかは生活費そのものを左右する。
法的な位置づけ
人事訴訟法第7条の裁量移送とは、人事訴訟の管轄を有する家庭裁判所が、当事者及び証人の住所その他の事情を考慮し、訴訟の著しい遅滞の回避又は当事者間の衡平のため必要と認めるときに、申立て又は職権により事件の全部又は一部を他の管轄家庭裁判所へ移す制度である。人事訴訟の管轄が専属管轄とされることを踏まえた、移送に関する特則である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.訴えを受けた裁判所と移送先候補の管轄を確認 呼出状に書かれた家庭裁判所を確認し、自分の住所地の家庭裁判所にも人事訴訟法4条による管轄があるかを確かめる。移送先は管轄のある裁判所に限られる
- 2.遠隔地審理の負担を数字と資料にまとめる 往復の交通費と所要時間、想定される期日回数、就労状況、子の就学、通院、介護、避難の経緯を一覧にする。証人となる親族や関係者の所在地も列挙する
- 3.要件に沿って移送申立書を作成 生活上の不便ではなく「訴訟の著しい遅滞を避けるため」「当事者間の衡平を図るため」という要件に当てはめて書く。相手の意図には触れず、客観的な事情を淡々と並べる
- 4.第一回期日前に提出し、却下なら即時抗告を検討 本案の主張を詰める前に申立書を提出する。却下された場合は、告知から1週間以内に即時抗告を検討する。並行してweb会議による期日参加も求める
よくある質問 AI による整理
Q1人事訴訟法7条の移送とは?
管轄のある家庭裁判所が、当事者や証人の住所などを考慮し、著しい遅滞の回避や当事者間の衡平のため、事件を他の管轄家庭裁判所へ移す手続です。
Q2離婚裁判の裁判所が遠いときはどうすればいい?
移送の申立てにより、他に管轄のある家庭裁判所へ移すよう求められます。単に遠いと訴えるのではなく、遅滞や衡平という要件に沿って事情を示すのが要点です。
Q3移送の申立てはいつまでにすべき?
条文上の期限はありませんが、審理が進むほど移送自体が遅滞要因と評価されやすくなります。訴状を受け取ったら、第一回期日前の提出を目安にするのが実務的です。
Q4移送先の裁判所は自由に選べる?
選べません。条文は「他の管轄裁判所」と定めており、移送先も人事訴訟法4条などで管轄を有する家庭裁判所に限られます。
Q5移送の申立てが却下されたら不服申立てできる?
できます。移送の決定や申立て却下の決定に対しては即時抗告ができ、期間は告知を受けた日から1週間です(民事訴訟法21条、332条)。
Q6DV避難中でも移送を申し立てられる?
申し立てられます。避難先に管轄があれば、当事者間の衡平を理由に移送を求める余地があります。住所秘匿との関係は、事前に弁護士と一緒に検討しましょう。
Q7移送は裁判所の職権でもされる?
されます。条文は「申立てにより又は職権で」と定めており、裁判所が遅滞や不衡平を認めれば、当事者の申立てがなくても移送できます。
Q8人事訴訟で民事訴訟法17条の移送は使えない?
人事訴訟の管轄は専属管轄とされるため、家庭裁判所間の裁量移送は人事訴訟法7条が特則として規律します。考慮要素は民訴17条とよく似ています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手が遠い裁判所にわざと訴えてきた気がするんですが、これって言えますか?
言えます。人事訴訟法7条の「当事者間の衡平」は、まさにそうした不均衡を是正するための要件です。ただし「わざと」という主観を立証する必要はなく、結果として一方に過大な負担が生じている客観的事情を示せば足ります。実務のポイント:申立書に「嫌がらせだ」と書くと感情的な主張と受け取られやすい。相手の意図には触れず、往復距離・所要時間・証人所在地・就労状況を淡々と並べるほうが通りやすい
Q2移送してもらえなかったら、毎回その裁判所まで行くしかないんですか?
移送が認められなくても、期日への出頭方法には幅があります。近年は web 会議による期日参加が家庭裁判所でも広く運用されており、争点整理の期日であれば遠方からの参加が認められる場面は増えています。実務のポイント:移送申立てで提出した負担の資料は、却下されても消えません。その後の期日方法の調整を求めるとき、裁判所は既にあなたの事情を把握している状態になる。申立ては二段構えで効く
Q3移送されたら、それまでの手続はやり直しになりますか?
やり直しにはなりません。移送を受けた裁判所は事件を引き継ぐ形で審理を続け、それまでに提出された主張や証拠はそのまま効力を持ちます(民事訴訟法22条参照)。実務のポイント:ただし裁判官が交代するため、心証形成は実質的に仕切り直しに近い面がある。すでに有利な心証を得ていると感じるなら、移送を求めるかどうかは慎重に判断したほうがいい。移送は中立的な手続に見えて、勝敗の空気を入れ替えるカードでもある
間違えやすい点 AI による整理
- 「管轄裁判所が決まったら、そこで戦うしかない」という前提そのものが誤っている。管轄の有無と、そこで審理を続けるべきかどうかは別の問題だ。7条は管轄が適法にあることを前提にしたうえで、なお移送を認める。問うべきは「管轄はどこか」ではなく「この裁判所で審理を続けるのが合理的か」である
- 移送は裁判所が勝手に判断するものだと思われがちだが、条文は「申立てにより又は職権で」と明記する。黙って待てば、裁判所はあなたの通院事情も子の就学事情も知らないまま審理を進める。移送の必要性を具体的な事情として提出するのは当事者側の仕事だ
- 「遠方の裁判所でも、弁護士を立てれば自分は行かなくていい」と考える人は多い。訴訟の大半は確かに代理人が対応できる。だが人事訴訟では本人尋問が事実上避けられず、和解期日にも本人の出頭が求められることが多い。代理人だけで完結しない手続だという点を見落とすと、移送の必要性を過小評価する
- あなたから見れば「遠くて不便」という生活の問題だが、条文から見れば「著しい遅滞」または「当事者間の衡平」という法律要件だ。この翻訳をしないまま「遠いので近くにしてほしい」とだけ書いた申立ては、通りにくい
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の内容 | 人訴7条:管轄のある家庭裁判所から他の管轄家庭裁判所への裁量移送 | 人訴8条:関連する損害賠償請求訴訟を、人事訴訟が係属する家庭裁判所へ移送 民訴17条:通常の民事訴訟における遅滞回避等のための移送 |
| 要件 | 著しい遅滞の回避または当事者間の衡平のため必要 | 人事訴訟の請求原因事実から生じた損害賠償請求であること等 著しい遅滞の回避または当事者間の衡平のため必要 |
| 移送の方向 | 家庭裁判所 → 他の管轄家庭裁判所 | 損害賠償請求訴訟が係属する第一審裁判所 → 人事訴訟係属中の家庭裁判所 裁判所 → 他の管轄裁判所(専属管轄の場合を除く) |
| 典型場面 | 別居・避難で当事者が遠隔地に分かれた離婚訴訟 | 地方裁判所に提起された離婚慰謝料請求を離婚訴訟とまとめる 証人が遠方に集中する一般民事事件 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は家事事件法で家事事件の管轄と移送を一元的に規律し、統合処理の必要性を重視する点に特色がある
韓国の民事訴訟法にも、損害や遅滞を避けるための裁量移送が置かれ、日本の民訴17条と発想が近い
ドイツは重要な理由がある場合の事件の引渡しを認めるが、婚姻事件への適用は FamFG § 113により制限される
米国では州裁判所が不便宜法廷の法理で審理を差し控える。子の監護事件は UCCJEA が不便宜法廷の判断要素を明文化している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- DV から逃れて実家のある福岡へ避難したあなたに、東京の家庭裁判所から離婚訴訟の呼出状が届く。相手は東京在住で、管轄自体は適法だ。だが子どもを連れた避難生活で毎回上京するのは現実的でない。当事者間の衡平を理由に福岡への移送を申し立てる道がある。避難の経緯を示す資料(保護命令、相談記録、転居届)が説得力を左右する
- 相手方の立場からも移送は武器になる。妻が実家の県へ転居して現地の家庭裁判所に訴えを提起、しかし婚姻生活の実態も証人となる親族も、すべてあなたの住む地域にある。「証人の住所」という条文上の考慮要素は、被告側からの移送申立ての足場になる
- 審理が長引いている。裁判所が「遅滞を避ける」と判断する場合もある。期日調整が毎回難航し、本人尋問のたびに一方が丸一日を移動に費やす構図なら、裁判所は職権でも動ける
- 離婚訴訟の第一回期日まであと10日。移送を求めるなら、期日で本案の主張を展開する前に申し立てておくほうが圧倒的に通りやすい。期日を重ね、証拠調べが進んだ段階での申立ては「今さら移送すれば余計に遅れる」と扱われる
- もし、あなたが離婚訴訟と同時に子の監護に関する処分も争っているとしたら? 家庭裁判所調査官による子の調査は、子の生活実態のある土地で行うのが自然だ。その一点が移送の判断材料として効いてくることがある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 呼出状を受け取ったら、まず訴えが提起された裁判所と自分の生活拠点の距離、想定される期日回数を確認する2. 遠隔地審理の負担を具体的な数字と資料に落とす。往復の交通費・所要時間、就労状況、子の就学、通院、介護、避難の経緯3. 証人となる親族や関係者の所在地を列挙する。「証人の住所」は条文上の考慮要素そのものだ4. 移送申立書を第一回期日前に提出する。生活の不便としてではなく、著しい遅滞の回避または当事者間の衡平という要件に沿って書く5. DV 事案では住所秘匿の扱いを申立てと同時に弁護士へ相談する
訴えられた側:1. 相手の移送申立てに対しては、現在の裁判所で審理を続ける合理性を対置する。婚姻生活の実態がある地、主要な証人の所在地、既に実施した手続の進行状況2. 移送が避けられないと見るなら、争うより条件交渉へ切り替える。web 会議による期日参加や尋問方式の調整で、実質的な負担は相当調整できる3. 自分の側にも移送を求める事情があるなら、相手の申立てを待たず先に申し立てる。同じ事情でも、後出しは防御的に見える
時効(請求できる期限):移送の申立てに条文上の期間制限はないが、実務上は第一回口頭弁論期日前ないし審理の早期段階が事実上の勝負どころとなる。審理が進行するほど、移送自体が遅滞要因と評価されるためである。なお移送の決定および申立て却下の決定に対しては、即時抗告が可能であり、即時抗告期間は告知を受けた日から1週間(民事訴訟法21条、332条。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説的理解:人事訴訟の管轄は専属管轄とされるため、民事訴訟法17条の移送とは別に、家庭裁判所間の裁量移送を認める特則として7条が置かれた。考慮要素と要件は民訴17条と同様に解されている
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:人事訴訟手続法に代わり人事訴訟法を制定。人事訴訟の第一審を地方裁判所から家庭裁判所へ移管するとともに、家庭裁判所間の裁量移送を本条で定めた
- 人事訴訟法 第4条人事訴訟の管轄、移送の前提となる法定管轄
- 人事訴訟法 第6条併合請求における管轄、移送対象の範囲画定
- 人事訴訟法 第8条関連損害賠償請求に係る訴訟の移送
- 人事訴訟法 第32条附帯処分、子の監護等の審理地選択に影響
- 民事訴訟法 第17条遅滞を避ける等のための移送、本条の一般法的モデル
- 民事訴訟法 第21条移送の裁判に対する即時抗告
- 民事訴訟法 第22条移送の裁判の拘束力と訴訟係属の擬制
- 家事事件手続法 第9条家事事件における管轄違い等による移送
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める