仲裁法 第23条(自己の仲裁権限の有無についての判断)
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- 仲裁廷は、仲裁合意の存否又は効力に関する主張についての判断その他自己の仲裁権限(仲裁手続における審理及び仲裁判断を行う権限をいう。以下この条において同じ。)の有無についての判断を示すことができる。
- 2.仲裁手続において、仲裁廷が仲裁権限を有しない旨の主張は、その原因となる事由が仲裁手続の進行中に生じた場合にあってはその後速やかに、その他の場合にあっては本案についての最初の主張書面の提出の時(口頭審理において口頭で最初に本案についての主張をする時を含む。)までに、しなければならない。ただし、仲裁権限を有しない旨の主張の遅延について正当な理由があると仲裁廷が認めるときは、この限りでない。
- 3.当事者は、仲裁人を選任し、又は仲裁人の選任について推薦その他これに類する関与をした場合であっても、前項の主張をすることができる。
- 4.仲裁廷は、適法な第二項の主張があったときは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める決定又は仲裁判断により、当該主張に対する判断を示さなければならない。
- 一自己が仲裁権限を有する旨の判断を示す場合仲裁判断前の独立の決定又は仲裁判断
- 二自己が仲裁権限を有しない旨の判断を示す場合仲裁手続の終了決定
- 5.仲裁廷が仲裁判断前の独立の決定において自己が仲裁権限を有する旨の判断を示したときは、当事者は、当該決定の通知を受けた日から三十日以内に、裁判所に対し、当該仲裁廷が仲裁権限を有するかどうかについての判断を求める申立てをすることができる。この場合において、当該申立てに係る事件が裁判所に係属する場合であっても、当該仲裁廷は、仲裁手続を続行し、かつ、仲裁判断をすることができる。
この条文の基本情報
自己の仲裁権限の有無についての判断とは何ですか?
定義自己の仲裁権限の有無についての判断とは、仲裁法第23条に定められた規定で、「仲裁廷は、仲裁合意の存否又は効力に関する主張についての判断その他自己の仲裁権限(仲裁手続における審理及び仲裁判断を行う権限をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第23条(自己の仲裁権限の有無についての判断)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第23条の条文原文は「仲裁廷は、仲裁合意の存否又は効力に関する主張についての判断その他自己の仲裁権限(仲裁手続における審理及び仲裁判断を行う権限をいう。」で始まります。
- 仲裁法第23条は第四章 仲裁廷の特別の権限に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第23条の前の条は仲裁法第22条です。
- 仲裁法第23条の次の条は仲裁法第24条です。
- 仲裁法第23条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第23条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第23条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/23
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法23条は、仲裁廷が仲裁合意の効力など自己の仲裁権限の有無を自ら判断できると定める。権限への異議は本案の最初の主張書面の提出時までに出す必要がある。
Q · 仲裁合意が無効だと思ったら、誰にいつまでに言えばいいの?
まず仲裁廷に、本案の最初の書面までに主張する
仲裁法23条により、仲裁合意の存否や効力を含む仲裁権限の有無は、まず仲裁廷自身が判断します。権限がない旨の主張は、本案についての最初の主張書面の提出時まで(手続中に生じた事由ならその後速やかに)に出さなければなりません。仲裁人の選任に関与していても主張できます(3項)。仲裁廷が独立の決定で権限ありと判断した場合、通知から30日以内に裁判所へ申し立てられますが、その間も仲裁は続行されます。
解説
仲裁人は、自分たちにその事件を裁く権限があるかどうかを、自分たちで判断してよい。国際仲裁の世界で「コンピテンス・コンピテンス」と呼ばれるこの原則を、日本で定めているのが仲裁法23条である。相手が仲裁を申し立ててきて、あなたが「そもそもその仲裁合意は無効だ」「この紛争は合意の範囲外だ」と言いたいとする。その主張は、まず仲裁廷そのものに向けて出さなければならない。しかも期限がある。本案(契約違反があったかなど、紛争の中身)について最初の主張書面を出す時までである。中身の反論に熱中して書面を先に出すと、遅れに正当な理由があると仲裁廷が認めない限り、このカードは使えなくなる。一方で、自分で仲裁人を選んだからといって、権限を争う資格を失うわけではない(3項)。仲裁廷が仲裁判断より前に独立の決定で「権限あり」と判断した場合、あなたは通知を受けた日から30日以内に裁判所の判断を求められる。ただし、裁判所で審理している間も仲裁は止まらない。手を打つ順番と日数を知っているかどうかで、戦える場面の数が変わる。
法的な位置づけ
仲裁法23条は、仲裁廷が仲裁合意の存否・効力に関する判断を含め、自己の仲裁権限の有無を自ら判断できることを定める規定である。権限を争う主張の時期的制限、仲裁人選任への関与と異議の両立、判断の形式、独立の決定に対する30日以内の裁判所への申立てを併せて規律し、いわゆるコンピテンス・コンピテンスの原則を具体化している。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.仲裁合意の根拠条項を特定する 申立書が届いたら、相手方が依拠する仲裁条項がどの契約のどの条項か、今回の紛争がその範囲に入るか、署名者に権限があったか、書面要件(仲裁法13条)を満たすかを確認する
- 2.本案の書面より先に権限への異議を出す 合意がない・無効・範囲外と考えるなら、本案についての最初の主張書面の提出前、または少なくとも同書面の冒頭に独立した項目として、仲裁廷が仲裁権限を有しない旨を明確に主張する
- 3.仲裁廷の決定の通知日を記録する 仲裁廷が仲裁判断前の独立の決定で権限ありと判断した場合、決定の通知を受けた日を記録し、30日の申立期限を管理する
- 4.30日以内に裁判所へ申し立てるか判断する 弁護士と協議のうえ、通知から30日以内に裁判所へ仲裁権限の有無の判断を求める申立てを行うか決め、行う場合は申立書と証拠を揃えて提出する
- 5.本案の防御を並行して続ける 裁判所への申立て中も仲裁は続行され仲裁判断が出る可能性があるため、本案についての主張・立証も同時に準備し、期日に遅れないようにする
よくある質問 AI による整理
Q1コンピテンス・コンピテンスとは何ですか?
仲裁廷が自分に事件を判断する権限があるかどうかを自ら判断できるという原則です。日本では仲裁法23条1項がこれを定めています。
Q2仲裁権限の異議はいつまでに出す必要がありますか?
本案についての最初の主張書面の提出時(口頭審理で最初に本案を主張する時を含む)までです。手続中に生じた事由ならその後速やかに出します。
Q3仲裁権限の異議が期限を過ぎたらもう出せませんか?
原則として出せません。ただし遅れに正当な理由があると仲裁廷が認めれば、期限後でも主張できます(仲裁法23条2項ただし書)。
Q4仲裁人を選任したら権限を争えなくなりますか?
争えます。仲裁法23条3項は、仲裁人を選任し、または推薦などで関与した当事者でも、権限がない旨の主張ができると明記しています。
Q5仲裁廷の権限ありの決定に不服があるときはどうする?
独立の決定の通知を受けた日から30日以内に、裁判所へ仲裁権限の有無の判断を求める申立てができます(仲裁法23条5項)。
Q6裁判所に申し立てたら仲裁手続は止まりますか?
止まりません。仲裁法23条5項後段により、裁判所に事件が係属していても仲裁廷は手続を続行し、仲裁判断をすることができます。
Q7仲裁廷が権限なしと判断したらどうなりますか?
仲裁廷は仲裁手続の終了決定をします(仲裁法23条4項2号)。紛争は仲裁ではなく、裁判所での訴訟などで解決を図ることになります。
Q8仲裁合意の無効は仲裁判断の後でも争えますか?
仲裁判断の取消し(仲裁法44条)で争える余地はありますが、23条2項の期限内に異議を出していないと、異議権の放棄とされるおそれがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仲裁なんて同意した覚えがないんですけど、無視していいですか?
無視は危険である。仲裁廷は仲裁合意の有無を自ら判断できる(23条1項)。あなたが欠席しても手続が進み、仲裁判断が出る可能性がある。合意はないと考えるなら、期限内に仲裁廷へ主張しておくのが原則だ。実務のポイント:異議を出したうえで手続に参加しても、権限を認めたことにはならない。参加することと権限を認めることは別物なので、記録に残る形で異議を書いておけば、後で取消しを求める時の足場になる
Q2仲裁廷が「権限あり」と決めたら、もう終わりですか?
終わりではない。仲裁判断より前の独立の決定で示されたなら、通知から30日以内に裁判所の判断を求められる(23条5項)。仲裁判断の中で示されたなら、取消しの申立て(44条)という道がある。実務のポイント:5項の申立てをしても仲裁は止まらず、裁判所の判断より先に仲裁判断が出ることもある。申立てだけに賭けず、本案の防御も同時に続けるのが実務の定石である
間違えやすい点 AI による整理
- 「仲裁合意が無効なら、裁判所が判断してくれる」と考えがちだが、順番が逆である。仲裁が始まったなら、まず仲裁廷自身が判断する。裁判所が関わるのは、23条5項の申立てや仲裁判断の取消し(44条)という、限られた入口からだけだ
- 期限があることは知っていても、その重さを知らない人が多い。「本案についての最初の主張書面」の提出で期限が来るため、念のため中身にも反論しておいた一通が、権限を争う機会を奪いかねない。権限への異議は、本案の書面の前か、少なくとも同時に、明確に書く
- あなたから見れば、仲裁人を自分で選んだのは手続に協力しただけである。だが相手方は「選任に関わった以上、権限を認めたはずだ」と主張してくるかもしれない。3項はこの言い分をはっきり否定している。協力したことを理由に引き下がる必要はない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 判断する主体 | 仲裁法23条:まず仲裁廷自身が権限の有無を判断 | 仲裁法14条:訴訟が起こされた裁判所が仲裁合意の存在を理由に訴えを却下するか判断 仲裁法44条:仲裁判断後に裁判所が取消事由の有無を判断 |
| 争う時期 | 本案についての最初の主張書面の提出時まで(手続中の事由はその後速やかに) | 訴訟で本案について弁論・申述をする前に仲裁合意を主張する 仲裁判断の通知から3か月以内(執行決定確定後は不可) |
| 効果 | 権限なしなら仲裁手続終了決定、権限ありなら独立の決定または仲裁判断 | 仲裁合意が有効なら訴えは却下され、紛争は仲裁へ 取消事由があれば仲裁判断が取り消される |
| 手続の停止 | 5項の裁判所申立て中も仲裁は続行可能 | 訴訟係属中でも仲裁手続の開始・続行・仲裁判断は可能 取消申立てがあっても仲裁判断の効力は当然には失われない |
他国ではどう定めているか 4 か国
管轄権への異議は仲裁廷が決定する。仲裁合意の対象となる争議について既に陳述した当事者は異議できないとされ、本案主張前の異議を求める点で日本と共通する
モデル法16条を受容し、仲裁判定部の権限判断と、権限ありの判断に対する法院への不服申立てを定める点で日本と近い
ドイツもモデル法準拠。仲裁廷の中間決定に対し、当事者は一定期間内に裁判所の判断を求めることができ、その間も仲裁を続行できる構造が日本と類似する
米国では仲裁可能性の判断は原則として裁判所が行い、当事者が明確かつ疑いなく仲裁人に委ねた場合に限り仲裁人が判断するとされ、日本より裁判所寄り
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 海外の取引先から、シンガポールではなく JCAA(日本商事仲裁協会)に仲裁を申し立てられた。契約書を読み返すと、仲裁条項はライセンス契約にしかなく、今回揉めている供給契約には見当たらない。この「範囲外」の主張は、反論書面の一枚目に書かなければ原則として通らない
- もし仲裁廷が独立の決定で「権限あり」と判断し、あなたがそれに納得できなかったら、どうなる? 通知を受けた日から30日以内に裁判所へ申し立てられる。ただし裁判所が判断するまでの間も仲裁は進み、仲裁判断まで出される可能性がある
- あなたは申立人側である。相手方が手続の途中で突然「仲裁合意は無効だ」と言い出した。原因が手続の途中で生じたものでなければ、本案の書面を出した後の主張は原則として遅すぎる。遅延に「正当な理由」があるかどうかを、相手の書面の日付で突き崩す
- 相手方の指名に応じて、こちらも仲裁人を一人選んでしまった。それでも権限を争えるのか不安になる。3項はそれを認めている。選任への協力と、権限への異議は両立する
- 決定の通知が届いたのは三週間前である。残り九日。裁判所への申立書と、仲裁合意の無効を裏付ける証拠を今週中に揃えなければ、この段階で争う道は閉じる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 仲裁合意の書面を特定する(どの契約のどの条項か、紛争がその範囲に入るか、署名者に権限があったか)2. 合意がない、無効である、範囲外であると考えるなら、本案についての最初の主張書面より前に、またはその書面の冒頭で、仲裁廷に権限を争う主張を出す3. 仲裁廷が独立の決定で「権限あり」と判断したら、通知を受けた日を記録し、30日以内に裁判所へ申し立てるかを弁護士と決める4. 申立て中も仲裁は進むため、本案の防御も並行して準備する
訴えられた側:仲裁を申し立てた側で、相手が権限を争ってきた場合:1. その主張が2項の期限内か(最初の主張書面の提出時までか、手続中に生じた事由なら速やかか)を確認し、遅ければ時機に遅れていると主張する2. 相手が仲裁人の選任に関わっていても、それを権限を認めた根拠にはできない(3項)。この点に頼りすぎない3. 仲裁合意の成立を示す書面、メール、交渉の記録を早めに揃え、権限について独立の決定を早く出すよう仲裁廷に求めることも検討する
時効(請求できる期限):権限を争う主張:本案についての最初の主張書面の提出時(口頭審理で最初に本案を主張する時を含む)まで。原因が手続中に生じたものは、その後速やかに。裁判所への申立て:仲裁廷の独立の決定の通知を受けた日から30日以内(23条5項)。仲裁判断そのものの中で権限ありとされた場合は、取消しの申立てを仲裁判断の通知を受けた日から3か月以内に行う(44条2項、執行決定が確定した後は不可。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:仲裁廷による権限判断は終局的なものではなく、最終的な判断権は裁判所に留保される。23条は仲裁の迅速性を確保しつつ、5項の申立てと44条の取消しを通じて裁判所の審査を保障する構造をとる
異議権放棄との関係:23条2項の期限内に権限への異議を出さなかった当事者は、後の仲裁判断取消しの場面でも同じ事由を主張しにくくなると解されており、27条の異議権放棄規定と併せて早期主張が求められる
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)制定 UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法に準拠した仲裁法の制定に伴い、仲裁廷が自己の仲裁権限を判断する規定として定められた(平成16年3月1日施行)。その後の改正による本条への影響は要確認
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法に準拠した仲裁法の制定に伴い、仲裁廷の自己権限判断と異議の時期的制限、裁判所への申立てを定める規定として新設(平成16年3月1日施行)
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