仲裁法 第31条(当事者の陳述の時期的制限)
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- 仲裁申立人(仲裁手続において、これを開始させるための行為をした当事者をいう。以下同じ。)は、仲裁廷が定めた期間内に、申立ての趣旨、申立ての根拠となる事実及び紛争の要点を陳述しなければならない。この場合において、仲裁申立人は、取り調べる必要があると思料するすべての証拠書類を提出し、又は提出予定の証拠書類その他の証拠を引用することができる。
- 2.仲裁被申立人(仲裁申立人以外の仲裁手続の当事者をいう。以下同じ。)は、仲裁廷が定めた期間内に、前項の規定により陳述された事項についての自己の主張を陳述しなければならない。この場合においては、同項後段の規定を準用する。
- 3.すべての当事者は、仲裁手続の進行中において、自己の陳述の変更又は追加をすることができる。ただし、当該変更又は追加が時機に後れてされたものであるときは、仲裁廷は、これを許さないことができる。
- 4.前三項の規定は、当事者間に別段の合意がある場合には、適用しない。
この条文の基本情報
当事者の陳述の時期的制限とは何ですか?
定義当事者の陳述の時期的制限とは、仲裁法第31条に定められた規定で、「仲裁申立人(仲裁手続において、これを開始させるための行為をした当事者をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第31条(当事者の陳述の時期的制限)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第31条の条文原文は「仲裁申立人(仲裁手続において、これを開始させるための行為をした当事者をいう。」で始まります。
- 仲裁法第31条は第五章 仲裁手続の開始及び仲裁手続における審理に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第31条の前の条は仲裁法第30条です。
- 仲裁法第31条の次の条は仲裁法第32条です。
- 仲裁法第31条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第31条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第31条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/31
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法31条は、仲裁廷が定めた期間内に、申立人は申立ての趣旨と根拠事実を、被申立人はこれへの主張を陳述すべきと定める。時機に後れた追加は仲裁廷が排除できる。
Q · 仲裁で申立書や反論を出す期限は、法律で何日と決まっているの?
法律に日数はなく、仲裁廷か合意・規則が決める
仲裁法31条は日数を定めていません。申立人は申立ての趣旨・根拠事実・紛争の要点を、被申立人はそれへの主張を、仲裁廷が定めた期間内に陳述します。証拠書類は提出しても、提出予定として引用するだけでもかまいません。主張の変更・追加は原則自由ですが、時機に後れたものは仲裁廷が許さないことができます(3項)。当事者の合意や仲裁機関規則に別段の定めがあればそちらが優先します(4項)。
解説
仲裁法には「訴状」も「答弁書」も出てこない。代わりにあるのは、仲裁廷(当事者が選んだ単独の仲裁人または合議体)が定める「期間」だけである。31条は、申立人には申立ての趣旨、根拠となる事実、紛争の要点を、被申立人にはそれに対する自分の主張を、その期間内に陳述するよう求めている。証拠書類はこの段階ですべて出してもよいし、「後で出す」と引用しておくだけでもよい。主張の変更や追加も原則として自由である。ただし、時機に後れた変更や追加は、仲裁廷が許さないことができる(3項ただし書)。裁判なら控訴審でもう一度戦えるが、仲裁判断には上訴がなく、原則として一回で終わる。門を閉じられた後に残った主張は、二度と審理されない。しかも4項により、当事者間の合意や JCAA などの仲裁機関規則に別の定めがあれば、そちらが優先する。あなたが最初に読むべきなのは仲裁法の条文ではない。契約書が指定する仲裁規則の締切条項である。
法的な位置づけ
仲裁法31条は、仲裁手続における当事者の主張陳述を定める規定である。仲裁申立人は仲裁廷が定めた期間内に申立ての趣旨、根拠となる事実及び紛争の要点を、仲裁被申立人は同期間内にこれに対する主張を陳述する。陳述の変更・追加は原則として許されるが、時機に後れたものは仲裁廷が許さないことができる。当事者間に別段の合意があれば適用されない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.適用される仲裁規則と手続命令を特定する 契約書の仲裁条項から仲裁機関と規則を特定し、31条より優先する締切や書面回数の定めがないかを確認する(31条4項)。仲裁廷の手続命令に記載された期限を一覧化する
- 2.最初の手続協議で期限と追加主張の扱いを決める ケース・マネジメント会議で、主張書面の回数、各期限、追加主張の扱いを手続命令に書き込ませるよう求める
- 3.期間内に主張を陳述する 申立人は申立ての趣旨・根拠事実・紛争の要点を、被申立人はそれへの主張を、定められた期間内に提出する。揃わない証拠は提出予定として引用する(31条1項・2項)
- 4.間に合わない場合は期限前に延長を申し出る 期限前に、何をいつまでに提出するかの工程表を添えて延長を求める。黙って期限を過ぎると、申立人は33条1項の終了決定を受けるおそれがある
- 5.相手方の遅れた追加主張には即時に異議を述べる 相手方が時機に後れた変更・追加をしてきたら、許さないよう仲裁廷に書面で求める。遅滞すると27条の異議権喪失と絡み、後の手続違反主張が難しくなる
よくある質問 AI による整理
Q1仲裁の申立書には何を書けばいいですか?
仲裁法31条1項により、申立ての趣旨、申立ての根拠となる事実、紛争の要点の3つを陳述します。証拠書類の提出や引用も同時にできます。
Q2仲裁で証拠は申立て時に全部出さないといけない?
不要です。31条1項後段により、必要な証拠書類を提出するほか、「提出予定の証拠」として引用しておくこともできます。
Q3仲裁の答弁書 期限はいつまで?
法律に日数の定めはなく、仲裁廷が定めた期間内です(31条2項)。JCAA等の規則や当事者の合意に定めがあればそちらが優先します。
Q4仲裁で主張を後から追加できる?
原則としてできます(31条3項本文)。ただし時機に後れた変更・追加は、仲裁廷が許さないことができます(同項ただし書)。
Q5時機に後れた主張とは何ですか?
手続の進行状況からみて、より早く提出できたのに遅れて出された主張です。仲裁廷が遅れの理由や相手方への影響を考慮して判断します。
Q6仲裁の申立てを無視したらどうなる?
手続は止まりません。仲裁法33条により仲裁廷は手続を続行でき、相手の主張と証拠に基づいて仲裁判断が下されます。
Q7仲裁法31条の期限より仲裁規則が優先する?
優先します。31条4項は、当事者間に別段の合意がある場合は前三項を適用しないと定め、合意で選んだ仲裁機関規則がこれにあたります。
Q8仲裁で主張を排除されたら取り消せる?
取消事由は44条に限定されています。防御することが不可能であった場合などに限られ、「もっと主張したかった」だけでは足りません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1申立書の締切にどうしても間に合わない。延ばしてもらえるの?
期間は仲裁廷が定めるもの(31条1項)なので、期限前に理由を示して延長を申し出れば認められることは珍しくない。危ないのは黙って期限を過ぎた場合で、申立人なら正当な理由がない限り終了決定を受ける(33条1項)。実務のポイント:延長を求めるときは「何日欲しいか」ではなく「何をいつまでに出すか」の工程表を添えたほうが通りやすい。仲裁人がもっとも嫌うのは遅れそのものより、日程が読めなくなることである
Q2審問の直前に新しい主張を出したら、もう絶対に受け付けてもらえない?
絶対ではない。3項は変更・追加を原則として自由とし、時機に後れたものを「許さないことができる」と定めるだけで、判断は仲裁廷の裁量である。遅れた理由、相手方の反論機会、審理日程への影響などが考慮される。不当に排除された場合は、防御できなかったことを理由に取消しを求める余地もある(44条1項4号)が、ハードルは高い。実務のポイント:新しい主張と同じ書面に「なぜ今なのか」(新証拠を入手した日など)を必ず書く。説明のない追加主張ほど却下されやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「仲裁は裁判より柔軟だから、主張は後からいくらでも足せる」と思われがちである。たしかに3項本文は変更・追加を原則として自由としている。だがただし書は、時機に後れたものを許さない権限を仲裁廷に与えている。しかも仲裁判断を取り消せる事由は44条に限定列挙されており、「もっと主張したかった」はそのまま取消事由にはならない
- 「仲裁法では答弁の期限は何日なのか」と調べる人がいるが、その問い自体がずれている。条文に日数は書かれていない。期間を決めるのは仲裁廷であり、さらに4項によって当事者の合意や仲裁機関規則が優先する。法律を検索しても答えは出ない。答えは手続命令と規則の中にある
- 被申立人から見れば、申立てを無視するのは抵抗の一種かもしれない。だが法律から見れば、反論の機会を自分で捨てる行為である。33条2項により、仲裁廷は申立人の主張を認めたものとは扱わないものの、手続を続行する。相手の証拠だけが積み上がった記録で判断が下され、その判断には確定判決と同一の効力がある(45条1項)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 仲裁法31条:期間内の主張陳述と変更・追加 | 仲裁法33条:陳述を怠った場合の効果 仲裁法27条:手続違反への異議 |
| 当事者が怠った場合 | 時機に後れた変更・追加は許されないことがある | 申立人は終了決定、被申立人は手続続行 遅滞なく異議を述べないと異議権を失う |
| 合意による排除 | 別段の合意があれば適用しない(4項) | 別段の合意による調整あり 任意規定違反への異議が対象 |
他国ではどう定めているか 3 か国
手続規則は当事者の約定を優先し、仲裁廷に当事者へ十分な陳述機会を与える義務を課す。日本31条のような申立書・答弁書の構造化規定は置かれていない
モデル法を継受し、신청서と답변서の陳述、変更・補完と時機に後れた場合の制限を日本とほぼ同じ構造で定める
モデル法23条を継受し、Klage と Klagebeantwortung の期間内提出、変更・追加の原則自由と遅延時の制限を定める
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 仲裁廷から「申立書は30日以内に提出」との手続命令が届いた翌週、海外子会社の会計資料の翻訳が間に合わないと分かったら、どうなる? 証拠を全部そろえる必要はない。31条1項後段により「提出予定の証拠」として引用し、提出の時期を仲裁廷と調整する道がある。避けるべきは、期限を黙って過ぎることだけである
- あなたは被申立人側の法務担当である。審問の二週間前になって、相手方の別の債務不履行を理由とする相殺の主張を思いついた。理屈は通る。しかし仲裁廷は「なぜ今なのか」を問う。時機に後れたと判断されれば、正しい主張でも審理の外に置かれる
- 取引先との基本契約に JCAA の仲裁条項がある。紛争が起きた瞬間から、法律より先に規則の締切が動き出す。
取るべき行動
被害を受けた側:(申立人として)1. 仲裁条項が指定する機関の規則を特定し、31条より優先する締切がないかを確認する(4項) 2. 仲裁廷が定めた期間内に、申立ての趣旨、根拠となる事実、紛争の要点を必ず陳述する。怠ると、正当な理由がない限り仲裁手続の終了決定を受ける(33条1項) 3. 揃わない証拠は「提出予定」として引用し、提出計画を示す4. 主張を追加する可能性があれば、早い段階で予告しておく
訴えられた側:(被申立人として)1. 申立書を受け取った日から期間を逆算し、延長が必要なら期限前に理由を付けて申し出る2. 無視しても手続は止まらない(33条2項) 3. 相殺や反対請求の可否を規則で確認し、最初の書面に入れる4. 仲裁廷の権限そのものを争うなら、本案について陳述するまでに主張する(23条2項) 5. 相手の遅れた追加主張には、すぐに異議を述べる(27条)
時効(請求できる期限):仲裁法自体に日数の定めはなく、仲裁廷が定めた期間(当事者の合意や仲裁機関規則があればそちら、4項)が基準となる。起算点は通常、手続命令または申立書を受け取った時である。仲裁判断の取消しの申立ては、仲裁判断書の写しの通知を受けた日から3か月以内で、かつ執行決定の確定前に限られる(44条2項)。本条に特定の消滅時効はないが、仲裁手続における請求には時効の完成猶予・更新の効力がある(29条2項)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:31条は当事者自治を前提とする任意規定であり、仲裁機関規則の選択を含む当事者の合意が優先する。時機に後れた変更・追加の排除は仲裁廷の裁量に属するが、25条の当事者平等・十分な説明機会の保障の範囲内で行使されるべきとされる
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)制定 仲裁法の制定時に設けられた。UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法23条(請求と防御の陳述)を基礎とする。令和5年(2023年)改正などによる本条への影響の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:仲裁法制定時に新設。UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法23条を基礎とし、申立人・被申立人の陳述、変更・追加と時機に後れた場合の扱い、合意優先を規定
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