不動産登記法 第40条(分筆に伴う権利の消滅の登記)
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登記官は、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地について分筆の登記をする場合において、当該分筆の登記の申請情報と併せて当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(当該権利に関する登記が抵当権の登記である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人又は裏書人を含む。)が当該権利を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限る。)は、法務省令で定めるところにより、当該承諾に係る土地について当該権利が消滅した旨を登記しなければならない。
この条文の基本情報
分筆に伴う権利の消滅の登記とは何ですか?
定義分筆に伴う権利の消滅の登記とは、不動産登記法第40条に定められた規定で、「登記官は、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地について分筆の登記をする場合において、当該分筆の登記の申請情報と併せて当該権利に関する登記に係る権利の登記…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第40条(分筆に伴う権利の消滅の登記)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第40条の条文原文は「登記官は、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地について分筆の登記をする場合において、当該分筆の登記の申請情報と併せて当該権利に関する登記に係る権利の登記…」で始まります。
- 不動産登記法第40条は第二款 土地の表示に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第40条の前の条は不動産登記法第39条です。
- 不動産登記法第40条の次の条は不動産登記法第41条です。
- 不動産登記法第40条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第40条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第40条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/40
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法40条は、分筆する土地に抵当権等の登記がある場合、権利者と第三者の承諾情報があれば、登記官は分筆後の一方について権利消滅を登記しなければならないと定める。
Q · 土地を分筆したら、抵当権は分けた両方に残るんですか?片方だけ消せませんか?
抵当権者全員の承諾書があれば、片方だけ抵当権を消せます
分筆は物理的な区画を分ける手続にすぎず、抵当権や地上権などの権利は分筆後の両方の土地に残ります。ただし不動産登記法40条により、権利の登記名義人が「分筆後のいずれかの土地について権利を消滅させる」ことを承諾した情報を分筆登記の申請情報と併せて提供すれば、登記官はその土地について権利が消滅した旨を登記しなければなりません。当該権利を目的とする転抵当権者などの第三者の登記があるときは、その第三者の承諾情報も併せて必要です。承諾が一つでも欠ければ手続は止まります。
解説
土地を二つに割る。ただそれだけの手続に見えるが、その土地に抵当権や地上権、賃借権が付いていた場合、分けた後の二筆にはその権利が自動的に両方へ乗り移る。あなたが所有する300坪の土地の半分を売りたい、あるいは子に贈与したい。しかし抵当権が全体に付いていれば、分けた後の両方に抵当権が残り、買い手は誰も手を出さない。不動産登記法40条は、その膠着を破る唯一の合法的な抜け道である。抵当権者が「分けた後の A の土地からは抵当権を消していい」と書面で承諾すれば、登記官はその承諾に係る土地について権利が消滅した旨を登記しなければならない。「してもよい」ではなく「しなければならない」。要件さえ揃えば登記官に裁量はない。ただし条件が二段ある。権利者本人の承諾に加え、その権利をさらに目的とする第三者(転抵当権者など)がいれば、その第三者の承諾も同時に必要になる。承諾が一枚欠ければ、手続はその場で止まる。
法的な位置づけ
不動産登記法40条は、分筆の登記に伴う権利の消滅の登記を定める規定である。所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地を分筆する場合に、当該権利の登記名義人および当該権利を目的とする第三者の承諾を証する情報が申請情報と併せて提供されたときは、登記官は承諾に係る土地について当該権利が消滅した旨を登記する義務を負う。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記事項証明書で乙区を最後まで洗い出す 対象土地の登記事項証明書を取得し、乙区に記録された所有権以外の権利(抵当権、根抵当権、地上権、賃借権、地役権)と、それらを目的とする転抵当・質権などの第三者の登記を全て抽出する。抵当証券が発行されていれば所持人・裏書人まで確認する
- 2.承諾を要する者を全員リスト化しリードタイムを照会 権利の登記名義人と第三者を漏れなくリスト化し、各金融機関・権利者の社内決裁に要する期間を事前に照会する。分筆後の残地評価額と残債を並べた一枚の資料を先に提示すると、回答までの日数が短縮されやすい
- 3.承諾を証する情報を形式要件込みで取得 承諾書には、分筆後のどの土地について権利を消滅させるかを地番レベルで特定して記載してもらう。実務上は印鑑証明書と法人の資格証明を添える。印鑑証明書の有効期間があるため、決済日から逆算して取得時期を決める
- 4.分筆登記と権利消滅の登記を連件で申請 司法書士・土地家屋調査士と連携し、分筆の登記の申請情報と併せて承諾情報を提供する。後続の所有権移転登記まで連件で組むことで、権利が残ったままの空白期間を作らない
よくある質問 AI による整理
Q1分筆登記とは何ですか?
一筆の土地を複数の筆に分けて登記記録上も別個の土地とする表示に関する登記です。物理的な区画を分けるだけで、抵当権などの権利関係は当然には分かれません。
Q2分筆すると抵当権はどうなりますか?
分筆後の全ての土地に抵当権がそのまま残ります。片方から外すには不動産登記法40条により抵当権者の承諾を証する情報を提供する必要があります。
Q3不動産登記法40条の承諾書には何が必要ですか?
権利の登記名義人が分筆後のどの土地について権利を消滅させるかを特定した意思表示に加え、実務上は印鑑証明書と法人の資格証明が求められます。
Q4分筆と権利消滅の登記は同時に申請できますか?
条文が「分筆の登記の申請情報と併せて」承諾情報を提供すると定めているため、同時提供が前提です。登記簿上の空白期間が生じず、買主側金融機関も受け入れやすくなります。
Q5地上権や賃借権も分筆後の片方から消せますか?
消せます。40条は「所有権の登記以外の権利に関する登記」全般を対象とするため、地上権、賃借権、地役権、質権なども承諾があれば対象になります。
Q6転抵当権者の承諾がないとどうなりますか?
当該権利を目的とする第三者の登記がある場合、その承諾情報がなければ40条の要件を満たさず、補正または却下となります。乙区の全ての登記の確認が必要です。
Q7抵当証券が発行されている場合は誰の承諾が必要ですか?
条文の括弧書きにより、抵当証券の所持人または裏書人が「登記名義人」に含まれます。登記簿上の抵当権者だけでは足りない点に注意が必要です。
Q8登記官は承諾があっても登記を拒めますか?
拒めません。条文は「登記しなければならない」と定めており、承諾情報を含む要件が揃えば登記官に裁量はなく、法務省令に従って権利消滅の登記をします。
この条文についての質問 AI による整理
Q1銀行が承諾してくれない場合、他に手はないんですか?
40条は承諾を絶対条件としているので、承諾なしにこの登記はできない。代わりに、売却代金で被担保債権の一部を弁済して抵当権の一部解除を交渉する、あるいは代替担保を差し入れる方法がある。実務のポイント:金融機関は「担保割れしないこと」を数字で示されれば実務上応じやすい。分筆後の残地の評価額と残債を並べた一枚の資料を先に出せるかどうかで、回答までの日数が大きく変わる
Q2根抵当権でも同じことができますか?
所有権の登記以外の権利に関する登記であれば対象になるので、根抵当権も含まれる。ただし根抵当権は元本確定前と確定後で処分の扱いが異なり(民法398条の12以下)、確定前は分割譲渡などの別の手法が使われることもある。実務のポイント:元本確定前の根抵当権は、40条の承諾より根抵当権の分割譲渡や一部譲渡を組み合わせた方が、金融機関の稟議が通りやすい場合がある。どちらの筋で攻めるかを最初に司法書士と決めておく
Q3承諾書に押印したあとで気が変わったら撤回できますか?
登記が完了する前であれば実務上取下げの余地はあるが、登記されてしまえばその土地について権利は消滅したものとして公示される。以後の回復は極めて困難である。実務のポイント:承諾書は日付を空欄で預けないこと。決済当日まで日付を入れずに司法書士に預ける慣行があるが、預けた時点で事実上撤回できない状況になる。条件が未成就なら、書面の交付自体を決済日まで留保する
間違えやすい点 AI による整理
- 「土地を分ければ権利関係も分かれる」と考えている人が多いが、前提そのものが逆である。分筆は物理的な区画を分けるだけで、権利は分割後の全筆に等しく残る。だから40条という特別な仕組みが必要になった。分ければ自然に整理されるという発想で計画を立てると、決済直前に破綻する
- 抵当権者の承諾さえあれば足りると理解している人は、条文の括弧書きを読み飛ばしている。転抵当や抵当権の質入れなど、その権利を目的とする第三者の登記があれば、その者の承諾も必須である。承諾者が一人だと思って動いた案件が、実は二人三人だったという事故は実務で珍しくない
- 「承諾書をもらえば権利は消える」と単純化されがちだが、法律上の効果と登記上の処理は別物である。承諾は権利者と設定者の間の実体的な放棄の意思表示であり、40条はそれを登記記録に反映させる手続を定める。だから承諾書に添える印鑑証明や資格証明の形式が整っていなければ、実体があっても登記されない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の目的 | 40条:分筆と同時に、分筆後の一方の土地から権利を消滅させる | 41条:権利関係等が異なる土地の合筆を制限する 68条:権利の登記そのものを抹消する |
| 必要な同意 | 権利の登記名義人+その権利を目的とする第三者の承諾情報 | 承諾の問題ではなく、該当すれば合筆自体ができない 登記上の利害関係を有する第三者の承諾 |
| 登記官の裁量 | 要件充足で「登記しなければならない」=裁量なし | 制限事由に該当すれば申請は受理されない 申請に基づき抹消の登記をする |
| 典型的な使用場面 | 分筆後の一部だけ担保から外して売却・贈与したい | 隣接する二筆を一筆にまとめたい 完済により抵当権を全部消したい |
他国ではどう定めているか 4 か国
抵当不動産が分割されても抵当権は影響を受けないとする不可分性を明文化。分割後の一部から抵当権を外すには抵当権者の同意に基づく塗銷登記が必要で、承諾主導という構造は日本と同じ
分筆に相当する분필등기と、担保権者の承諾に基づく権利の消滅登記の枠組みを持つ。日本法を経由した登記制度であり、承諾を証する書面の形式要件を重視する運用も近い
土地が分割されると抵当権は各区画に及ぶ総抵当(Gesamthypothek)となり、一方の区画を担保から外すには債権者の Pfandfreigabe と登記承諾(Eintragungsbewilligung)が必要。承諾主導という点で本条と同型
分譲(subdivision)に際し、レンダーが partial release deed を発行して特定区画を担保から解放し、これを郡の登録所に record する。裁判所も登記官の職権も介在せず、当事者の書面が全てである点が特徴
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 親から相続した広い土地の一部を売って相続税の納税資金に充てたい。しかし土地全体に亡父の事業融資の抵当権が付いたままだ。分筆しただけでは売却部分にも抵当権が残り、買主は決済に進めない。銀行の担当者に「分筆後の売却部分について40条の承諾書をもらえないか」と持ちかけられるかどうかが、売却が成立するかどうかの分岐点になる
- あなたが融資する側、つまり抵当権者だとしたらどうか。債務者から「土地を分けるので片方の抵当権を外してほしい」と承諾を求められる。断る自由はある。だが担保割れしないなら、承諾して売却を進めさせ、売却代金を繰上返済に充てさせた方が回収は確実になる。承諾書一枚の判断が、貸倒れと完済を分ける
- もし、抵当権に転抵当が設定されていることを知らずに手続を進めたら? 抵当権者の承諾書だけ揃えて申請しても、登記官は転抵当権者の承諾情報がないことを理由に却下または補正を求める。登記簿の乙区を最後まで読まなかった代償が、数週間の遅延として跳ね返る
- 決済期日まであと10日。分筆登記と権利消滅の登記、そして所有権移転登記を連件で申請しなければならない。抵当権者の社内決裁が下りるのに通常2週間かかると知ったのは昨日だ。承諾書の取得リードタイムを逆算していれば防げた事態である
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず登記事項証明書を取得し、乙区の権利をすべて洗い出す。抵当権、根抵当権、地上権、賃借権、そしてそれらを目的とする転抵当や質権まで確認する2. 承諾を要する者を全員リスト化し、各社の社内決裁にかかる期間を照会する3. 司法書士に分筆登記と権利消滅の登記、後続の移転登記を連件で組んでもらう4. 承諾書には印鑑証明書と会社の資格証明が必要になるので、有効期限を逆算して取得する
訴えられた側:抵当権者として承諾を求められた側なら、まず残債と分筆後の担保評価を再算定する。承諾は担保の一部放棄であり、一度登記されれば覆せない。承諾の条件として、売却代金からの繰上返済や代替担保の差入れを求めるのが実務の定石である。無条件の承諾書に押印する前に、条件を交渉文書として残しておく
時効(請求できる期限):本条自体に申請期限はない。ただし承諾書に添付する印鑑証明書は作成後3か月以内のものが求められるのが実務であり、この期限が実質的なタイムリミットになる。また分筆の前提となる地積更正や境界確定は別途時間を要する。権利関係の消滅そのものに特定の時効はなく、一般消滅時効(民法166条、債権は権利行使できると知った時から5年または権利行使できる時から10年)の枠組みで考える
学説
実務上の一般的理解:40条の承諾は、権利者による実体上の権利放棄ないし担保の一部放棄の意思表示であり、本条はそれを登記記録に反映させる手続を定めたものと解される。したがって実体的な意思があっても、添付情報の形式要件を欠けば登記は実現しない
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正。オンライン申請に対応して従来の「書面の添付」を「情報の提供」という構成に整理し、分筆に伴う権利消滅の登記についても承諾を証する情報の提供という形で規定された
- 不動産登記法 第39条分筆または合筆の登記の申請人と職権処理
- 不動産登記法 第41条合筆の登記の制限、権利関係が異なる土地の制約
- 不動産登記法 第68条権利の消滅に関する登記の抹消手続との対比
- 不動産登記法 第66条権利の変更登記における第三者の承諾要件
- 民法 第376条抵当権の処分、転抵当権者の利害が生じる根拠
- 民法 第398条根抵当権の処分に関する特則(現行効力を要確認)
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