不動産登記法 第66条(権利の変更の登記又は更正の登記)
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権利の変更の登記又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者(権利の変更の登記又は更正の登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)の承諾がある場合及び当該第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができる。
この条文の基本情報
権利の変更の登記又は更正の登記とは何ですか?
定義権利の変更の登記又は更正の登記とは、不動産登記法第66条に定められた規定で、「権利の変更の登記又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者(権利の変更の登記又は更正の登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第66条(権利の変更の登記又は更正の登記)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第66条の条文原文は「権利の変更の登記又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者(権利の変更の登記又は更正の登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。」で始まります。
- 不動産登記法第66条は第一款 通則に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第66条の前の条は不動産登記法第65条です。
- 不動産登記法第66条の次の条は不動産登記法第67条です。
- 不動産登記法第66条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第66条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第66条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/66
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法66条は、権利の変更・更正の登記を付記登記でできるのは、登記上の利害関係を有する第三者の承諾がある場合か第三者がいない場合に限ると定める。
Q · 二番抵当権者が承諾書に判を押してくれないと、抵当権の増額はできないんですか?
登記自体はできる。失うのは順位だけ(更正登記は例外)
不動産登記法66条は却下事由の規定ではなく、付記登記によってできる条件を定めた規定です。承諾がなくても主登記による変更登記は可能で、失うのは順位だけです。ただし付記登記でしかできない類型(所有権の更正登記など)では、承諾を証する情報を欠く申請は却下されます(同法25条)。抵当権の増額が主登記に落ちれば、増額分は後順位者に劣後し、競売の配当で回収できない可能性が生じます。
解説
登記簿の乙区に「1番付記1号」という表示を見たことがあるだろうか。この「付記」の二文字が、数百万円の差を生む。付記登記は元の登記の順位をそのまま引き継ぐ(不動産登記法4条2項)。後から内容を変えたのに、順位だけは最初の日付のまま残るということだ。66条は、その特権を使える条件を定めている。登記上の利害関係を持つ第三者がいるなら、その承諾が要る。いないなら自由に使える。では承諾が取れなければどうなるか。変更登記自体は主登記としてできるが、変更した部分は新しい順位に落ちる。あなたが住宅ローンを増額し、二番抵当権者が承諾を拒めば、増額分は二番抵当の後ろに並ぶ。競売になったとき、その増額分は配当まで届かない可能性が高い。あなたの実印ではなく、他人の実印が、あなたの担保の価値を決めている。
法的な位置づけ
不動産登記法66条は、権利の変更の登記および更正の登記を付記登記によってする場合の要件を定める規定である。付記登記は主登記の順位を承継するため、順位が事後的に左右される登記上の利害関係を有する第三者(利害関係を有する抵当証券の所持人または裏書人を含む)の承諾がある場合、または当該第三者が存在しない場合に限り、付記登記による実行が認められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記事項証明書で利害関係人を洗い出す 申請前に対象不動産の登記事項証明書を取得し、後順位抵当権者、差押債権者、仮登記権利者を全部特定する。抵当証券が発行されていれば所持人・裏書人まで66条の対象になるため、探索期間を工程に織り込む
- 2.承諾取得を契約条件として先に書き込む 追加融資・借換え・条件変更の交渉段階で、契約書に「後順位者の承諾取得を条件とする」と明記する。融資実行後に頭を下げると相手は退路がないことを知っており、承諾料が跳ね上がる
- 3.承諾書を実印と印鑑証明書のセットで回収する 相手が応じたその場で、承諾書への実印押印と印鑑証明書を同時に受け取る(不動産登記令19条)。メールや口頭の返事は登記所に提出できず、翻意した相手を縛る手段も残らない
- 4.承諾が取れない場合の代替ルートを試算する 主登記による変更で目的を達成できるか、順位劣後を受け入れられるかを司法書士と試算する。物件評価額から先順位残債を引いた実質余力を計算し、無理なら既存登記の抹消・再設定や順位変更登記(民法374条)を検討する
- 5.申請書に承諾を証する情報を添付して申請する 変更登記・更正登記の申請書に承諾を証する情報を添付して法務局に申請する(不動産登記令7条)。添付を欠くと付記登記でしかできない類型では却下されるため、事前に登記官への事前照会で類型を確認しておく
よくある質問 AI による整理
Q1付記登記とは何ですか?
既存の主登記に枝番を付けて記録する登記です。不動産登記法4条2項により主登記の順位を引き継ぐため、内容を後から変えても元の日付の順位が維持されます。
Q2登記上の利害関係を有する第三者とは誰ですか?
登記記録上、その変更・更正で不利益を受けることが明らかな者です。後順位抵当権者、差押債権者、仮登記権利者のほか、66条は抵当証券の所持人・裏書人も明示的に含めています。
Q3抵当権の債権額を増額するとき承諾は必要ですか?
増額は後順位者の担保余力を直接削るため、付記登記にするには承諾が要ります。承諾なしでも主登記で変更できますが、増額分の順位は後退し配当で不利になります。
Q4所有権の更正登記で承諾が取れないとどうなりますか?
所有権の更正登記は実務上付記登記でしかできない取扱いのため、承諾を証する情報を欠くと申請自体が却下されます(不動産登記法25条)。主登記への切替えができません。
Q5承諾書にはどんな書類が必要ですか?
承諾を証する情報として、承諾書に実印で記名押印し、印鑑証明書を添付します(不動産登記令19条)。メールや口頭の同意は登記所に提出できません。
Q6付記登記と主登記の違いは何ですか?
付記登記は主登記の順位を承継し、主登記は申請時点の新しい順位を取得します。同じ変更内容でも、どちらで実行されるかで競売配当の取り分が変わります。
Q7抵当証券の所持人の承諾も必要ですか?
必要です。66条は括弧書きで、利害関係を有する抵当証券の所持人または裏書人を第三者に含めています。証券が転々流通していると所持人の探索に時間を要します。
Q8根抵当権の極度額変更にも66条が使えますか?
極度額の変更は民法398条の5により利害関係人の承諾が実体法上の効力要件です。66条の手続要件とは別に、承諾がなければ変更の効力自体が生じません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1後順位の抵当権者が承諾してくれなかったら、登記はできなくなるんですか?
登記自体はできる。66条は付記登記でできる条件を定めた規定で、承諾がなければ主登記による変更登記になり、増額した部分が後順位者に劣後するだけである。例外は所有権の更正登記のように付記登記でしかできない類型で、この場合は却下される。実務のポイント:「承諾がないと登記できない」と言われたら、却下される類型なのか順位が落ちるだけなのかを必ず確認する。後者なら、承諾を諦めるという選択肢も残っている
Q2承諾書って、タダでもらえるものなんですか?
法律上、第三者に承諾義務はない。66条は承諾がある場合と第三者がいない場合に限ると定めるだけで、承諾を強制する仕組みは用意されていない。担保余力が減る相手に無償を求めるのは無理があり、実務では承諾料が動く。実務のポイント:金額は削られる担保余力と物件評価で決まり、数万円から数十万円まで開く。先に「物件評価額マイナス先順位残債」を自分で計算しておくと、相手の言い値が妥当かどうか判断できる
間違えやすい点 AI による整理
- 「承諾が取れなければ登記できない」と説明されることが多いが、66条は却下事由の条文ではない。承諾がなくても主登記としての変更登記はでき、失うのは順位だけである。ただし所有権の更正登記のように付記登記でしかできない類型では、結果として申請が却下される。この二つを区別しないまま「登記できない」と言われると、交渉の余地があるのかどうか判断できない
- あなたから見れば承諾書は書類の一枚、判子ひとつである。承諾を求められる後順位者から見れば、自分の担保余力が確定的に削られる決断である。この温度差を理解しないまま「形式的なものですから」と切り出すと、相手は身構え、交渉が長期化する。承諾料が発生するのは相手が強欲だからではなく、実際に財産価値が移転しているからだ
- 付記登記が元の順位を引き継ぐことは知られているが、その順位が競売の配当でいくらの差になるかを計算した人は少ない。抵当権の増額分が主登記に落ちれば、先順位者への配当が済んだ後の残余からしか回収できない。物件が評価額を下回って落札されれば、増額分の回収額はゼロになりうる。順位は書式の問題ではなく、金額の問題である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 承諾の法的位置づけ | 不動産登記法66条:付記登記によってできるための手続要件 | 不動産登記法68条:抹消登記の絶対的要件(承諾がなければ登記自体不可) 民法398条の5:根抵当権の極度額変更における実体法上の効力要件 |
| 承諾がない場合の帰結 | 主登記による変更登記は可能、変更部分の順位のみ劣後(更正登記等は却下) | 抹消登記そのものができない 変更の効力自体が生じない |
| 対象となる登記 | 権利の変更の登記・更正の登記 | 権利の抹消の登記 根抵当権の極度額の変更 |
| 交渉の余地 | 順位劣後を受け入れれば承諾なしでも前に進める余地がある | 承諾が取れなければ代替手段がなく、訴訟による承諾請求を検討 承諾が取れなければ変更を断念するか極度額を据え置く |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も附記登記が主登記の次序に従う構造を採り、抵押權の內容變更登記では後次序權利人の同意書を求める実務が定着している。日本の66条と発想は共通
韓国は付記登記によってする登記を列挙する方式を採り、権利の変更・更正登記については登記上の利害関係ある第三者の承諾がない場合を除くと規定する。日本法の構造をほぼそのまま継受
ドイツは権利の内容変更について第三者の権利が及ぶ場合に同意を要求し、順位の変更は独立の合意と登記により行う。順位を動かす者の同意を要求する点は日本と同じだが、実体法典側に規律が置かれている
米国では先順位抵当権の変更が中間権利者に実質的損害を与える限度で、変更部分が中間権利者に劣後すると整理される。実務では subordination agreement で明示的に順位関係を確定させる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、借り換えの融資実行日が10日後に迫っているのに、二番抵当権者である信販会社が承諾書に判を押さないとしたら? 銀行は融資条件を満たさないとして実行を延期する。あなたは決済日をずらし、売主・引越業者・司法書士の日程を全部組み直すことになる。承諾は法律上の義務ではないので、待つ以外の手段が存在しない
- あなたは知人に金を貸し、その自宅に二番抵当を設定している。ある日、一番抵当の銀行から「債権額を3000万円から4000万円に増額するので承諾してほしい」という書面が届く。押せばあなたの取り分は1000万円分後退する、押さない権利がある
- 相続登記をいったん法定相続分どおりに入れた後、遺産分割協議が整って持分を直したい。ところが相続人の一人の持分に、その人の税金の滞納で差押えが入っていた。この差押債権者が登記上の利害関係人になる。所有権の更正登記は実務上、付記登記でしかできない扱いなので、承諾が取れなければ申請そのものが却下される。家族内で決着した話が、外部の債権者の判子待ちで止まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 申請前に登記事項証明書で利害関係人を全部洗い出す。後順位抵当権者、差押債権者、仮登記権利者、さらに抵当証券が発行されていればその所持人・裏書人まで66条の対象になる2. 承諾は交渉事なので、融資契約や売買契約の段階で「承諾取得を条件とする」と明記しておく3. 承諾書は実印押印と印鑑証明書をセットで回収する4. 承諾が取れない場合、主登記でも目的を達成できるか(順位劣後を受け入れられるか)を司法書士と試算し、無理なら資金計画自体を組み替える
訴えられた側:1. 承諾する法律上の義務はない。まず何がどう変わるのかを、登記事項証明書と変更内容の原案で具体的に確認する2. 債権額の増額や存続期間の延長は、あなたの担保余力を直接削る。物件評価額から先順位の残債を引いた実質的な取り分を計算してから判断する3. 承諾料(実務でいうハンコ代)を求めることは正当な交渉である4. 押印後の撤回は原則できず、登記完了後に不利益を主張しても順位は戻らない。判断は押す前に済ませる
時効(請求できる期限):本条自体に期間制限はなく、特定の時効もない。背景となる債権関係には一般消滅時効(民法166条、債権は権利行使できると知った時から5年または権利行使できる時から10年)が適用される。実務上の締切は別にあり、融資実行日・決済日という契約上の期限、承諾書に添付する印鑑証明書の取扱い、抵当証券が発行されている場合の所持人・裏書人の探索に要する期間が現実の時間圧になる(最新の取扱いをご確認ください)
学説
通説:66条の「登記上の利害関係を有する第三者」は、登記記録上、当該変更・更正によって不利益を受けることが形式的に明らかな者に限られる。実体的に不利益を受けても登記記録に現れていない者は含まれず、これにより登記官の形式的審査で承諾の要否が確定できる。
実務通説:所有権の更正登記は登記の同一性を保つ必要から付記登記でのみ実行される扱いであり、承諾を証する情報を欠く申請は不動産登記法25条により却下される。抵当権の債権額変更のように主登記でも実行できる類型とは、承諾の意味が実務上まったく異なる。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正 旧不動産登記法の規律を引き継ぎつつ現行66条として制定。オンライン申請制度の導入に伴う全部改正の一環であり、変更登記・更正登記を付記登記で行える条件を、登記上の利害関係を有する第三者の承諾がある場合と、そもそも第三者が存在しない場合に限ると明文化した。抵当証券の所持人・裏書人が利害関係人に含まれることも括弧書きで明示している
改正の年表
- 1.明治32年(1899年) 新設:旧不動産登記法が制定され、主登記・付記登記の区別と、付記登記が主登記の順位を承継する仕組みが導入された。ドイツの登記簿制度を範とし、形式的審査主義を採用
- 2.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正により現行66条として制定。オンライン申請制度の導入に伴う全面的な再構成の一環であり、変更登記・更正登記を付記登記で行える条件を、登記上の利害関係を有する第三者の承諾がある場合と当該第三者が存在しない場合に限ると明文化した。抵当証券の所持人・裏書人が利害関係人に含まれることも括弧書きで明示
- 不動産登記法 第4条付記登記の順位は主登記の順位による
- 不動産登記法 第67条更正の登記および登記官の職権更正
- 不動産登記法 第68条抹消登記では承諾が絶対的要件となる対比
- 不動産登記法 第25条承諾証明情報を欠く申請の却下事由
- 民法 第177条不動産物権変動の対抗要件、順位の実体的意味
- 民法 第398条の5根抵当権の極度額変更は承諾が実体法上の効力要件
- 民法 第374条抵当権の順位変更は登記が効力要件
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