要点健康保険法109条は、受けられるはずの報酬を現実に受けられなかった場合、保険者が傷病手当金・出産手当金の全額または差額を支給し、その額を事業主から徴収すると定める。
Q · 休職中の給料を会社が払ってくれない場合、傷病手当金はもらえるんですか?
健保が代わりに支給し、その分を会社から徴収します
受け取れます。健康保険法108条により、報酬を受けることができる間は傷病手当金・出産手当金の支給が停止されますが、109条1項は、その報酬を現実に受けられなかったときは手当金の全額を、一部だけ支払われその額が手当金より少ないときはその差額を支給すると定めています。さらに109条2項により、保険者が支給した金額は事業主から徴収されます。つまり会社の資金繰りや支払意思にかかわらず給付を受けられ、取り立ての相手は被保険者ではなく保険者に移ります。
「休職中も給与は会社が補償するから」と言われた。だから傷病手当金は止まった(108条の支給調整)。ところが給与日、口座には何も入らない。ここで多くの人は、社長に催促し続けるか諦めるかの二択だと思い込む。109条はその二択の外に、もう一枚の扉を開けている。受け取れるはずだった報酬を現実に受け取れなかったとき、保険者(協会けんぽ・健康保険組合)は止めていた傷病手当金・出産手当金を全額支給する。一部だけ支払われ、その額が手当金より少ないなら、その差額を支給する。そしてこの条文の牙は2項にある。保険者が支給した金額は、事業主から徴収する。あなたが会社と一対一で押し問答をする必要はない。保険者を先に挟めば、取り立てる側はあなたではなく公的保険者に変わる。
健康保険法109条は、報酬との調整により傷病手当金または出産手当金の支給が停止される者が、受けることができるはずであった報酬の全部または一部を現実に受けられなかった場合の給付を定める規定である。全額を受けられなかったときは手当金の全額、一部を受けた場合でその額が手当金の額より少ないときは差額が支給される。支給された金額は、保険者が事業主から徴収する。
報酬との調整で止まっていた傷病手当金・出産手当金を、報酬が現実に支払われなかったときに保険者が支給する規定です。支給した額は2項により事業主から徴収されます。
保険給付を受ける権利は2年で時効消滅します(健康保険法193条)。起算点は労務不能であった日ごとにその翌日なので、待っている間に古い日の分から順に権利が落ちていきます。
提出者は被保険者本人(事業主経由の場合もあり)です。申請書には医師の意見欄と事業主の証明欄があり、いずれも第三者の記入が要るため、在籍中に月ごとに揃えておくと不払い時すぐ出せます。
保険者に事情を申し出てください。賃金台帳や出勤簿など他の資料で審査される場合があります。証明を拒まれたやり取りは記録に残し、給与明細や通帳画面と併せて提示するのが実務的です。
支給されます。109条は傷病手当金と出産手当金の両方を対象とし、全額不払いなら全額、一部支払いで手当金の額に届かないならその差額が支給されます。
加入している保険者に申し出ます。保険証の発行者が全国健康保険協会なら各都道府県支部、○○健康保険組合ならその組合が窓口です。提出書類の細部は保険者ごとに異なります。
労働の対償として経常的に支払われるものが報酬にあたります。恩恵的な見舞金は報酬に含まれないと扱われることがあり、名目ではなく支給の実質で判断されるため、保険者への確認が必要です。
支給開始日以前の一定期間の標準報酬月額の平均を30で除した額の3分の2が基準です(健康保険法99条)。109条の差額支給も、この額と現実に受けた報酬額との差で計算されます。
現に報酬が支払われる限り108条で支給は止まるので、申請しても手当金は出ない。しかし支払われなかった瞬間に109条が動き出す。だから正解は「申請しない」ではなく「申請書を先に整えておく」である。業界裏話ヒント:申請書の事業主証明欄と医師の意見欄は、後から遡って書いてもらうのが最も難しい。在籍中に月ごとの証明を取っておいた人だけが、不払いの翌日に提出できる。
もらえる。109条1項は事業主に現に支払能力があるかを問わず、受けられるはずだった報酬を受けられなかった事実で支給を認める。2項の徴収は保険者と事業主の間の問題であり、あなたの受給とは切り離されている。退職後も要件を満たせば104条の資格喪失後の継続給付がある。業界裏話ヒント:未払賃金そのものは賃金の支払の確保等に関する法律7条の立替払制度で別枠に請求できる。二つを同時に走らせられることを知らず、片方だけ見て諦める人が多い。
請求できる。会社から受けた額が傷病手当金・出産手当金の額より少ないときは、その差額が支給される。傷病手当金の日額は、支給開始日以前の一定期間の標準報酬月額の平均を30で除した額の3分の2が基準になる(99条)。業界裏話ヒント:「一円でも入ったら終わり」と思い込んで放置する例が最も多い。制度はゼロか満額かではなく差額精算で組まれている。(最新の改正状況をご確認ください)
109条2項により、保険者が支給した金額を事業主から徴収する。従業員個人との私的な貸し借りではなく、公的保険者に対する債務として扱われるため、支払時期を相手の温情で延ばす余地は従業員相手のときより確実に狭くなる。業界裏話ヒント:資金繰りのために休職者への補填を止める判断は、社内の一時しのぎに見えて、保険者からの徴収という形で必ず外部に出てくる。就業規則の設計段階で無給+申請支援に切り替えておく会社が増えているのはこのためだ。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 作動する場面 | 109条:受けられるはずの報酬を現実に受けられなかったとき | — |
| 給付の効果 | 手当金の全額、または報酬額との差額を支給 | — |
| 事業主への影響 | 2項により保険者が支給額を事業主から徴収 | — |
| 被保険者が確認すべき点 | 不払いの事実・一部支払額・事業主証明の入手 | — |
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