要点健康保険法 85 条は、入院中の食事療養について基準額から食事療養標準負担額を控除した額を保険者が支給すると定める。患者が払う標準負担額は高額療養費の対象外である。
Q · 入院中の食事代は保険が効くの、それとも全部自腹なの?
大部分は保険給付、患者は定額の標準負担額だけを払う
健康保険法 85 条により、入院中の食事療養は入院時食事療養費として給付されます。厚生労働大臣が定める基準額から食事療養標準負担額を控除した額を保険者が負担し、患者はその標準負担額のみを支払います。ただしこの標準負担額は高額療養費(同法 115 条)の対象外で、入院日数×3 食で青天井に積み上がります。住民税非課税世帯や直近 12 か月の入院が 90 日を超える場合には低い額が定められていますが、適用には保険者への申請と認定が必要です。
入院の請求書で『食事療養費』の行を見たとき、それが保険給付なのか自費なのか説明できる人は多くない。健康保険法85条がやっているのは、病院食の代金を二つに割ることだ。基準額の大部分は保険者が負担し、あなたが払うのは『食事療養標準負担額』という定額だけである(2項)。一般所得者で1食490円、30日入院すれば4万4千円(2024年6月改定、最新の改正状況をご確認ください)。落とし穴は二つある。この標準負担額は高額療養費の対象外で、医療費が月8万円で頭打ちになっても食事代は外側に日数分そのまま乗る。もうひとつ、住民税非課税世帯なら1食230円、過去12か月の入院が90日を超えれば180円まで下がるが、それは保険者に申請して認定を受けた人だけの話だ。2項の括弧書き『厚生労働省令で定める者については、別に定める額』、この一行に届くかどうかで、1か月で2万円以上の差がつく。
健康保険法 85 条は入院時食事療養費を定める規定であり、特定長期入院被保険者を除く被保険者が療養の給付と併せて受けた食事療養につき、厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額から食事療養標準負担額を控除した額を保険者が支給する仕組みを規定する。標準負担額は平均的な家計の食費および特定介護保険施設等の食費を勘案して定められる。
入院中の食事代を保険給付として扱う制度です。健康保険法 85 条が根拠で、基準額から食事療養標準負担額を引いた分を保険者が負担し、患者は定額のみ払います。
一般所得者は 1 食 490 円(2024 年 6 月改定時点)、住民税非課税世帯は 230 円、直近 12 か月の入院が 90 日を超えると 180 円です。改定があるため最新額の確認が必要です。
加入している保険者(協会けんぽ、健康保険組合、市区町村の国保窓口など)に申請します。原則として申請月の初日から適用され、遡っての適用はされません。
健康保険法 85 条 5 項により、保険者は入院時食事療養費相当額を被保険者に代わって病院へ支払えます。支払があれば給付があったものとみなされます(6 項)。
健康保険法 193 条により 2 年で時効消滅します。起算点は当該費用を支払った日の翌日です。償還払いを受ける場合は 2 年以内に請求してください。
健康保険法 85 条 8 項が病院・診療所に領収証の交付義務を課しています。確定申告の医療費控除の証憑になるため、受け取ったら必ず保管してください。
かかります。標準負担額は 1 食単位の定額で、入院日数×3 食で積み上がります。医療費と違い月ごとの上限がないため、長期入院ほど負担が重くなります。
厚生労働大臣が定めます。基準額を定める際は中央社会保険医療協議会への諮問が必要で(3 項)、事情が著しく変動したときは速やかに改定する義務があります(4 項)。
戻らない。高額療養費(健康保険法115条)の対象は一部負担金等であり、食事療養標準負担額は85条2項で別枠の負担として切り出されているため、限度額を超えても払い戻されない。入院が長引くほど、天井のある医療費と天井のない食事代の差は開く。業界裏話ヒント:長期入院の家計を決めるのは限度額ではなく入院日数×3食の掛け算である。入院前の資金計画は、この掛け算から先に作る。
限度額の情報はオンライン資格確認で連携されるが、住民税非課税世帯の食事代減額、特に過去12か月で入院90日超の長期該当分は、保険者への別途申請が必要な運用が一般的である(保険者により異なるため要確認)。業界裏話ヒント:病院の窓口は認定証の有無は尋ねるが、90日を超えましたね申請しましたか、とは基本的に教えてくれない。日数を数えるのは家族の仕事である。
頼める。病院が院内掲示で内容と金額を明示し、患者の同意を得ていれば、特別メニューの食事として標準負担額に上乗せした実費徴収が認められる。この場合も85条8項の領収証交付義務は及ぶ。逆に掲示も同意もない上乗せ徴収は認められない。業界裏話ヒント:明細に見慣れない食事関連の項目があれば、同意書に署名した記憶があるか確認する。なければ返還交渉の余地が残る。
使える。治療のための入院中に病院から提供される食事の自己負担分(食事療養標準負担額)は医療費控除の対象になる(所得税法73条)。原則として対象外となる差額ベッド代とは扱いが違う。85条8項が交付を義務づける領収証がその証拠になる。業界裏話ヒント:入院の領収証は診療分と食事分が一枚にまとまっていることが多く、まとめて申告できる。捨てないこと。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる費用 | 85 条:食事療養(療養病床以外の入院中の食事) | — |
| 対象者 | 特定長期入院被保険者を除く被保険者 | — |
| 高額療養費との関係 | 標準負担額は算定対象外、月の上限が効かない | — |
| 負担軽減の方法 | 所得区分・長期該当による減額(保険者への申請と認定が前提) | — |
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