要点手形法 20 条は、支払拒絶証書の作成後または作成期間経過後の裏書(期限後裏書)が、債権譲渡の効力しか持たず振出人の人的抗弁を承継すると定める。
Q · 受け取った手形が不渡りになった後に裏書で譲り受けたら、ちゃんと額面どおり取れますか?
原則は同じ効力だが、支払拒絶後の裏書は弱い権利になる
手形法 20 条 1 項本文により、満期後の裏書も満期前と同一の効力を持ちます。しかし支払拒絶証書の作成後、または作成期間(支払をなすべき日に次ぐ 2 取引日内、手形法 44 条 3 項)が経過した後の裏書は「期限後裏書」となり、民法上の指名債権譲渡の効力しか持ちません。この場合、振出人が前の所持人に対して持っていた抗弁(支払済み・相殺・原因取引の無効など)を、譲り受けた人がそのまま引き継ぎます。額面どおり取れる保証はなく、受け取る時期ひとつで権利の質が変わります。
取引先から支払いとして約束手形を一枚受け取った。その手形に書かれた満期日と、裏書欄の日付を、あなたはちゃんと照らし合わせただろうか。手形法 20 条は、裏書(手形を他人に譲り渡す署名)の時期によって、あなたが手にする権利の中身が根本から変わると定める。満期前、あるいは満期後でも支払拒絶証書が作られる前なら、あなたは通常の裏書と同じ強い保護を受ける。振出人が前の持ち主に対して持っていた言い分(例えば「あの取引は無効だった」)は、あなたには通用しない。これが人的抗弁の切断だ。ところが支払が拒絶された後、または支払拒絶証書を作る期間が過ぎた後に裏書されると、その手形はただの債権譲渡(民法のルール)に格下げされる。前の持ち主が背負っていた紛争を、あなたはまるごと引き継ぐ。同じ一枚の紙が、受け取った時期ひとつで、抗弁をはね返す盾にも、爆弾の導火線にもなる。
手形法 20 条は期限後裏書を定める規定であり、満期後の裏書は満期前と同一の効力を有するが、支払拒絶証書の作成後または作成期間経過後にされた裏書は、民法上の指名債権譲渡の効力のみを有すると規定する。後者では振出人の人的抗弁が切断されず、取得者に承継される。
AI 輔助整理,以條文原文為準
支払拒絶証書の作成後、または作成期間が経過した後にされた手形の裏書のことです。手形法 20 条 1 項但書により、通常の裏書ではなく指名債権譲渡の効力しか持ちません。
通常裏書は手形上の権利を完全に移転し人的抗弁が切断されます。期限後裏書は債権譲渡の効力のみで、振出人の抗弁を取得者がそのまま引き継ぐ弱い権利になります。
支払をなすべき日に次ぐ 2 取引日内に作成する必要があります(手形法 44 条 3 項)。この期間を過ぎた後の裏書が期限後裏書として扱われます。
譲渡自体は可能で債権譲渡の効力は残ります。ただし期限後裏書となり、譲り受けた人は振出人の人的抗弁を引き継ぐため、額面どおり回収できる保証はありません。
あります。約束手形の振出人に対する請求権は満期の日から 3 年で時効消滅します(手形法 70 条、77 条で準用)。譲渡時期に関わらず起算点は満期日です。
できません。期限後裏書は債権譲渡の効力しか持たないため、手形法 16 条の善意取得や 17 条の人的抗弁切断という手形特有の強い保護は及びません。
満期後に手形が裏書譲渡される場面で適用されます。特に支払拒絶証書の作成後や作成期間経過後の裏書が、債権譲渡に格下げされる境界を画する規定です。
適用されます。手形法 77 条が為替手形の規定である 20 条を約束手形に準用しているため、実務で多い約束手形にもそのまま当てはまります。
むしろ有利な可能性があります。手形法 20 条 2 項は、日付のない裏書は支払拒絶証書作成期間が過ぎる前にされたものと推定すると定めています。つまり通常の強い裏書として扱われる方向に推定が働く。業界裏話ヒント:ただしこれは「推定」なので、振出人側が「実際は期間経過後の裏書だ」と証拠で覆せば保護は外れます。争いになれば、結局は実際の交付時期の立証勝負になるので、受け取った日付や経緯の記録は残しておく
買えますが、期限後裏書になるので注意が要ります。支払拒絶後の裏書は債権譲渡の効力しかなく(20 条 1 項但書)、振出人があなたの売主に対して持っていた抗弁を全部引き継ぎます。業界裏話ヒント:振出人がすでに一部を支払っていたり、原因取引が取り消されていたりすると額面通りには取れません。安い理由は十中八九この抗弁リスク。割引価格はリスク込みと割り切り、可能なら振出人に残額を確認する
請求はできます。ただし権利の質が変わります。満期後でも支払拒絶証書作成前なら通常の裏書と同じ効力(20 条 1 項本文)、支払拒絶後または作成期間経過後なら債権譲渡の効力のみ(同項但書)です。業界裏話ヒント:請求できなくなるわけではなく、振出人の抗弁を浴びる弱い立場になるだけ。さらに手形債権の消滅時効(振出人に対しては満期から 3 年、手形法 70 条)も別途進行しているので、いつの手形かを必ず確認する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる裏書の時期 | 手形法 20 条:満期後かつ支払拒絶後または作成期間経過後の裏書 | — |
| 効力 | 指名債権譲渡の効力のみ(民法のルール) | — |
| 人的抗弁の扱い | 切断されず、取得者が前者の抗弁を承継する | — |
| 取得者の地位 | 前者の紛争ごと引き継ぐ弱い権利 | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。