第三十九条の罪は、労働委員会の請求を待つてこれを論ずる。
要点労働関係調整法 42 条は、公益事業の無届けストを罰する 39 条の罪について、労働委員会の請求がなければ検察官が起訴できないと定める訴訟条件規定である。
Q · 公益事業で無届けストをやったら、すぐに刑事裁判になるの?
労働委員会が請求しなければ検察も起訴できません
労働関係調整法 42 条により、無届けの公益事業ストを罰する 39 条の罪は、労働委員会が請求しなければ起訴できません。これは訴訟条件であり、請求を欠いたまま起訴されても裁判所は公訴を棄却します(刑事訴訟法 338 条)。利用者や会社が告訴・告発しても、検察官は単独では動けません。起訴の引き金を握るのは労使関係を熟知した労働委員会だけであり、実務上この請求権が行使された例はほとんど報告されていません。
鉄道、電気、ガス、病院。こうした公益事業で働くあなたが、十日前の予告なしにストライキへ踏み切ったとする。労働関係調整法 37条はこの予告を義務づけ、39条はその違反に罰金を科す。ところが 42条が、その刑罰の手前にもう一枚の関門を置いている。「第三十九条の罪は、労働委員会の請求を待つてこれを論ずる」。検察官がどれだけ起訴したくても、専門機関である労働委員会が「処罰を求める」と請求しない限り、この罪は裁判の俎上に載らない。怒った利用者が告訴しても、警察が立件しようとしても、労働委員会というゲートが閉じていれば刑事手続は一歩も進まない。労働争議を国家の刑罰権から一段隔てる、見えない安全弁がここにある。あなたが本当に向き合うべき相手は検察官ではなく、労使関係を熟知した第三者機関なのだ。
労働関係調整法 42 条は、同法 39 条の罪(公益事業の争議行為予告義務違反)に対する訴訟条件を定める規定である。検察官による公訴提起の前提として労働委員会の請求を要求し、当該請求を欠く起訴は公訴棄却の対象となる。刑罰権の発動を専門機関である労働委員会の判断に従属させる仕組みである。
AI 輔助整理,以條文原文為準
公益事業の予告義務違反を罰する 39 条の罪について、労働委員会の請求がなければ起訴できないと定める訴訟条件規定です。刑罰権の発動を専門機関の判断に委ねています。
運輸、郵便・電気通信、水道・電気・ガス供給、医療・公衆衛生など、公衆の日常生活に欠かせない事業を指します(労調法 8 条)。これらの争議には予告義務が課されます。
検察官が有効に公訴を提起・追行するために必要な条件です。これを欠く起訴は実体審理に入らず公訴棄却となります。42 条の労働委員会の請求はその一つです。
労働争議が政治的・恣意的に刑事弾圧されるのを防ぐためです。労使関係に精通した第三者機関を刑事手続の入口に置き、刑罰権の発動を慎重にする趣旨です。
少なくとも 10 日前までに労働委員会と厚生労働大臣または都道府県知事へ通知する必要があります(労調法 37 条)。これを欠くと 39 条の罪が問題になります。
予告義務違反は 39 条が定めます。罰金刑であり身柄拘束は予定されていません。具体的な罰金額は e-Gov 法令検索の最新版でご確認ください。重要なのは金額より労働委員会が請求に動く事案かです。
実務上、労働委員会がこの請求権を行使した例はほとんど報告されていません。労働委員会の本務は争議の調停であり、当事者を刑事処罰へ追い込むのは制度趣旨と相反するためです。
適用されません。緊急調整中の争議行為禁止(38 条)違反の罰則(40 条)には請求の関門がなく、検察官が直接起訴できます。42 条は予告義務違反の 39 条のみを対象とします。
捕まりません。39条の罪は罰金刑で身柄拘束を予定しておらず、しかも 42条により労働委員会が請求しない限り起訴自体ができません。利用者や会社が告訴しても、検察は単独では動けません。業界裏話ヒント:実務上、労働委員会がこの請求権を行使した例はほとんど報告されていない。労働委員会の本務は争議の調停であり、当事者を刑事処罰へ追い込むのは制度趣旨と相反するため、この請求は事実上の死文に近い運用になっている
告訴・告発は私人や官公署が捜査機関に犯罪を申告する行為で、それ自体は起訴を強制しません。これに対し 42条の『請求』は訴訟条件で、これがなければ検察は起訴できず、欠けたまま起訴すれば公訴棄却になります(刑事訴訟法 338条)。業界裏話ヒント:独占禁止法の専属告発(96条)と同じ構造で、専門機関が刑事手続の門番を務める型です。『国家が特定分野の処罰に踏み込むには、その分野の専門機関の同意を要する』という日本法のひとつの設計思想がここに映っている
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる罪 | 42 条:39 条の罪(予告義務違反) | — |
| 労働委員会の請求 | 必要(請求なしに起訴できない) | — |
| 起訴の引き金を握る者 | 労働委員会のみ | — |
| 請求を欠く起訴の効果 | 公訴棄却(刑訴 338 条) | — |
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