刑事訴訟法 第291条の3
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裁判所は、前条の決定があつた事件が簡易公判手続によることができないものであり、又はこれによることが相当でないものであると認めるときは、その決定を取り消さなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第291条の3は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第291条の3の条文原文は「裁判所は、前条の決定があつた事件が簡易公判手続によることができないものであり、又はこれによることが相当でないものであると認めるときは、その決定を取り消さなければ…」で始まります。
- 刑事訴訟法第291条の3は第一節 公判準備及び公判手続に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第291条の3の前の条は刑事訴訟法第291条の2です。
- 刑事訴訟法第291条の3の次の条は刑事訴訟法第292条です。
- 刑事訴訟法第291条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第291条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第291条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/291_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法291条の3は、簡易公判手続によることができない、又はよることが相当でないと認めるとき、裁判所が職権でその決定を取り消さなければならない義務を定める規定である。
Q · 罪を認めて始まった簡易公判手続は、途中でやめて普通の裁判に戻せるの?
取消しは裁判所の義務で、裁量ではありません
刑事訴訟法291条の3により、簡易公判手続によることができない場合、又はよることが相当でないと裁判所が認める場合、裁判所はその決定を取り消さなければなりません。義務であって裁量ではありません。被告人が否認に転じた、訴因が対象外の重罪に変更された、証拠に無視できない矛盾が現れた、といった事由が典型です。取消し後は公判手続の更新(315条の2)が行われ、伝聞法則の保護が回復します。
解説
「間違いありません」。あなたが法廷でそう述べた瞬間、事件は簡易公判手続という別レーンに乗る可能性が生まれる(291条の2)。このレーンでは証拠調べが簡略化され、本来なら証拠にできないはずの伝聞証拠も、あなたや弁護人が異議を述べなければそのまま証拠になる(320条2項)。早く終わる代わりに、防御の壁を一枚下ろしている。だが線路は一方通行ではない。291条の3は、その事件が簡易公判手続に「よることができない」とき、または「相当でない」と裁判所が認めたとき、決定を取り消さ「なければならない」と定める。義務であって、裁量ではない。訴因が重い罪に変更されて対象から外れた、あなたが途中で否認に転じた、証拠に無視できない矛盾が現れた。そういうとき裁判所は職権でレーンを戻し、通常の証拠調べに引き返す(取消し後は315条の2で公判手続の更新)。乗るのはあなたの同意、降ろすのは裁判所の義務。この非対称を知っているかどうかが、手続が切り替わる局面でのあなたの動きを分ける。
法的な位置づけ
刑事訴訟法291条の3は、簡易公判手続の決定の取消しを定める規定である。決定を受けた事件が同手続によることができない場合、又はよることが相当でないと裁判所が認める場合に、裁判所が職権でその決定を取り消す義務を負う旨を規定し、簡易化された証拠調べから通常の公判手続へ復帰させる安全装置として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.事件が簡易公判手続の前提を満たし続けているか確認 審理の各段階で、被告人の有罪陳述が維持されているか、訴因が対象外の重罪に変更されていないか、証拠に無視できない矛盾が生じていないかを点検する。前提が崩れれば取消事由になる
- 2.「相当でない」事由を具体的に整理する 供述の矛盾、誤解に基づく有罪陳述、新証拠の出現など、簡易公判手続を続けるのが相当でない事由を弁護人とともに具体的に列挙し、書面化する
- 3.できるだけ早い段階で取消しを求める意見を述べる 次回期日を待たず、証拠調べが進む前に取消しを求める意見を裁判所に述べる。判断は裁判所だが、当事者が材料を出すほど取消しが認められやすく、更新の負担も軽くなる
- 4.取消し後は公判手続の更新と証拠戦略の再構築 取消しが認められたら公判手続の更新(315条の2)に対応し、伝聞証拠への異議権を回復したうえで証人尋問請求や証拠意見を組み直す。防御方針を否認か量刑かで再設定する
よくある質問 AI による整理
Q1簡易公判手続とは何ですか?
被告人が公訴事実を認めた事件で、証拠調べを簡略化して審理を迅速化する制度です(刑訴291条の2)。伝聞法則が原則停止し(320条2項)、証拠調べが緩やかになりますが、量刑が軽くなる制度ではありません。
Q2簡易公判手続の取消しは誰が決めますか?
裁判所が職権で決めます(刑訴291条の3)。被告人や弁護人は「相当でない」事由を主張して判断材料を提供できますが、取消しを決定する権限は裁判所にあり、しかも要件を満たせば取消しは義務となります。
Q3簡易公判手続では伝聞証拠が使えるのですか?
使えます。簡易公判手続では伝聞法則(刑訴320条1項)が2項で原則停止し、被告人・弁護人が異議を述べない限り伝聞証拠もそのまま証拠になります。防御の壁が一枚下がる点に注意が必要です。
Q4簡易公判手続の対象になる事件は?
死刑・無期・短期1年以上の拘禁刑にあたる重い罪を除く事件で、被告人が冒頭手続で有罪である旨を陳述したものが対象です(刑訴291条の2)。対象外の罪では認めても簡易公判手続には乗れません。
Q5訴因変更で簡易公判手続はどうなりますか?
訴因が対象外の重い罪に変更されると、事件は簡易公判手続「によることができない」ものになり、裁判所は決定を取り消さなければなりません(刑訴291条の3)。義務であって裁量ではありません。
Q6簡易公判手続が取り消されたらどうなりますか?
通常の公判手続に戻り、原則として公判手続の更新が行われます(刑訴315条の2)。伝聞法則が通常どおり適用され、簡易な方式で取り調べた証拠を改めて取り調べ直すことになります。
Q7簡易公判手続と通常の公判手続の違いは?
最大の違いは証拠調べです。通常手続は伝聞法則が適用され証拠調べが厳格ですが、簡易公判手続は伝聞法則が原則停止し方式も簡略化されます(刑訴307条の2、320条2項)。迅速だが防御は薄くなります。
Q8簡易公判手続の取消しに期限はありますか?
特定の出訴期間や時効はありません。取消しは公判係属中、判決に至るまで裁判所が職権で行えます。当事者が取消しを求める意見を述べるなら、口頭弁論終結前が実務上の限界です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1罪を認めたら始まった簡易公判手続って、こっちから取り消してもらえるんですか?
取消しを決めるのは裁判所です(291条の3)。ただし被告人や弁護人が「相当でない」事由(供述の矛盾、新たな争点)を主張すれば、裁判所の判断材料になります。取消し後は原則として公判手続の更新が必要で(315条の2)、伝聞法則の保護が戻ります。実務のポイント:実務では簡易公判手続自体が即決裁判手続に押されてあまり使われない。だからこそ、乗ってしまった事件で「やはり争う」となったら、更新の手間を惜しまず取消しを求める方が、緩い証拠調べのまま有罪判決を受けるより安全です
Q2途中で「やっぱり否認します」と言ったら、どうなりますか?
有罪である旨の陳述が簡易公判手続の前提なので、否認に転じれば前提が崩れ、裁判所は「よることができない」として決定を取り消さなければなりません(291条の3)。以後は通常手続で、伝聞法則も通常どおり適用されます。実務のポイント:否認への転換は早いほど良い。証拠調べが進んだ後だと、簡易な方式で取り調べた証拠を更新でやり直す負担が大きく、裁判官の心証への影響も読みにくい。翻意するなら冒頭に近い段階で弁護人に伝えるのが鉄則です
Q3簡易公判手続って、即決裁判手続と同じものですか?
別物です。簡易公判手続(291条の2以下)は証拠調べを簡略化する制度、即決裁判手続(350条の16以下)は検察官が申し立て被告人が同意して判決まで一気に進める制度で、原則として執行猶予が付きます。実務のポイント:名前が似ていて混同されがちだが、入口の主導権が違う。簡易公判手続は被告人の有罪陳述が起点、即決裁判手続は検察官の申立てが起点。どちらを勧められているのか、入口で確認しないと想定と違う手続に乗ることになります
間違えやすい点 AI による整理
- 「罪を認めれば簡易公判手続で必ず早く軽く終わる」という前提そのものが誤っている。簡易公判手続は証拠調べを簡略化する制度であって、量刑を軽くする制度ではない。しかも対象外の重い罪なら、認めても簡易公判手続には乗れない。問いの立て方が間違っている
- 291条の3を「単なる手続のお掃除規定」と軽く見る学習者は多い。だがこの取消義務こそ、伝聞法則を原則停止する簡易公判手続を憲法上正当化している安全装置である。これがなければ、認めた瞬間に防御権を失う制度になりかねない。深刻度を見誤っている
- 被告人から見れば「自分が認めたのだから、手続も自分の意思で進む」と感じる。だが法律から見れば、簡易公判手続によるか否かも、その取消しも裁判所の判断事項である。あなたの同意は入口の条件にすぎず、出口の取消しは職権。この落差を知らないと、想定外のタイミングで手続が切り替わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 291条の3:簡易公判手続の決定を取り消す(降りる) | 291条の2:簡易公判手続の決定をする(乗る) 350条の16:即決裁判手続の申立て(別の簡略手続) |
| 主導権 | 裁判所の職権(義務) | 被告人の有罪陳述が起点、裁判所が決定 検察官の申立て+被告人の同意 |
| 証拠調べ・伝聞法則 | 取消し後は伝聞法則が回復(320条1項) | 簡易な方式・伝聞法則が原則停止(307条の2、320条2項) 証拠調べを簡略化、原則として執行猶予判決 |
| 判断の性質 | 要件充足時は取消しが義務(裁量でない) | 決定するか否かは裁判所の判断 申立て・同意・要件審査を経て決定 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の簡式審判程序も被告認罪を前提に証拠調べを簡略化し、同条第3項で法院が不得・不宜と認めるときに撤銷を定める点で日本の構造に近い
韓国も간이공판절차(簡易公判手続)の決定取消しを規定し、被告人の自白を前提とする点・取消しの構造が日本と類似する
ドイツの加速手続は単純・明白な事件で迅速審理を行い、§419で要件を欠く場合は通常手続に戻す。簡略化と通常手続復帰という機能面で対比できる
米国の有罪答弁(guilty plea)も自白を前提に審理を省略するが、答弁の撤回は Rule 11(d) により厳格に制限される点で、裁判所職権の取消しを置く日本と発想が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは万引きで起訴され、早く終わらせたくて法廷で「間違いありません」と認めた。裁判所は簡易公判手続を決定し、伝聞証拠が異議なしで次々採用されていく。だが審理の途中、共犯者の供述があなたの記憶と食い違うことに気付く。ここで弁護人が「この事件は簡易公判手続が相当でない」と主張すれば、291条の3で決定が取り消され、フルの証拠調べに引き戻せる
- もし、簡易公判手続で進んでいた事件で、検察官が訴因を窃盗から強盗へ変更しようとしたら? 強盗は短期1年以上(現・拘禁刑)で簡易公判手続の対象外になる。裁判所は291条の3により決定を「取り消さなければならない」、義務であって裁量ではない。次回期日まで残された日数で、弁護人は更新後の証拠戦略を組み直す
- 有罪を認めたはずの被告人が、次の期日で「やっぱり否認します」と翻した。簡易公判手続の前提が崩れる。裁判所は決定を取り消し、通常手続に戻さなければならない
取るべき行動
被害を受けた側:あなたが簡易公判手続で進行中、やはり争いたいと気付いた被告人の場合。1. 弁護人に直ちに相談し、簡易公判手続が「相当でない」事由(供述の矛盾、誤解に基づく有罪陳述、新証拠)を具体的に整理する2. 次回期日を待たず、できるだけ早い段階で取消しを求める意見を述べる(291条の3、判断は裁判所だが材料は当事者が出す) 3. 取消しが認められたら公判手続の更新を求め(315条の2)、伝聞証拠への異議権を回復する4. 更新後に向け、争点を否認か量刑かで再設定する
訴えられた側:あなたが被告人で、訴因変更などにより事件が対象外になりつつある場合。1. 検察官の訴因変更請求が出たら、変更後の罪が短期1年以上(現・拘禁刑)等で簡易公判手続の対象外になるか確認2. 対象外なら取消しは裁判所の義務(「取り消さなければならない」)。義務の不履行は手続違背として上訴で争える点を押さえる3. 取消し・更新後は通常の証拠法則が適用されるので、伝聞証拠への異議と証人尋問請求を組み直す4. 防御方針を「認めて軽く」から「争う」へ切り替える判断は更新前に固める
時効(請求できる期限):簡易公判手続の取消しに特定の出訴期間や時効はない。取消しは公判係属中、判決に至るまで裁判所が職権で行う。当事者が取消しを求める意見は、口頭弁論終結前に述べるのが実務上の限界。取消しをしないことを手続違背として上訴で争う場合は、通常の上訴期間(控訴は判決宣告日から14日、刑事訴訟法373条)に従う
学説
通説:291条の3の取消しは、文言「取り消さなければならない」のとおり裁判所の義務であり裁量ではない。簡易公判手続が伝聞法則を原則停止する以上、不適当な場合の取消義務が制度全体の適正さを担保するとされる
改正沿革 AI による整理
- 昭和28年(1953年)新設(要検証) 簡易公判手続制度の導入に伴い291条の2とともに新設されたものと解されるが、その後の技術的改正の有無を確認できていない。条文が歴史的仮名遣い「あつた」を残す点から実質改正は乏しいと推測されるが、人的検証を要する
改正の年表
- 1.昭和28年(1953年) 新設:簡易公判手続制度の導入に伴い、291条の2による決定の取消しを定める規定として新設されたものと解される。条文が歴史的仮名遣い「あつた」を残す点から、その後の実質的改正は乏しいと推測される(要検証)
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